ガンホー決算説明会 森下社長「目標はパズドラ超え」 成長持続へ「三本の矢」…パズドラに新ゲーム追加、完全新作投入、M&Aなど
ガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>は2月4日、都内で、3日に発表した2013年12月期連結決算の説明会を開催した。国民的人気ゲーム『パズル&ドラゴンズ』(パズドラ)が好調に推移し、売上高1630億円(前期比6.3倍)、営業利益912億円(同9.8倍)と急成長を果たした。ニンテンドー3DS向けソフト『パズドラZ』の広告宣伝費などがかさみ、2013年10~12月の四半期をみると、前四半期比で利益率が低下したが、大きな利益を創出していることには変わりない。
今期の業績予想を公開しなかったものの、森下一喜社長は「カズノミクス」と称し、成長に向けた「3本の矢」を説明。『パズドラ』への新しいゲーム要素の追加、完全新作ゲームの投入、M&Aへの姿勢などを示した。また「面白いゲームの開発」を目指すことを再度強調し、「パズドラを超えるゲームを生み出す」という目標を語った。(会場での写真撮影は禁止された。以下、かぎ括弧内は森下社長の発言)
1月の月次単体売上高は165億円と、過去最高水準となった。1月は冬休みでARPPU(有料会員一人当たりの平均売上)、MAU(月刊のサービス利用ユーザー数)が上昇したほか、『パズドラZ』の売上寄与もあったという。
ガンホーが開示した単体売上の推移資料をみると、MAUは安定的推移しており、ARPPUの変動が売上高の変動要因になっていることがわかる。月次単体売上高の会社公表数値をみると、4月120億円、7月135億円、10月130億円であるため、おおむね月次売上で130億~150億円の推移になっているとみることができる。
四半期別に業績の推移をみると、第4四半期(4Q、10~12月)は前四半期比で増収減益。営業利益は4~6月をピークとして、2四半期連続で減少している。
会場からは、4Qの利益率低下について質問が相次いだ。大きい理由は広告宣伝費の増加。「年末商戦向けに『パズドラZ』のテレビCMを放映したことで、広告宣伝費がかさんだ」という。また、スマホゲームの手数料に比べて、パッケージソフト制作はROMの制作手数料が多くかかる点も影響したとのこと。
広告宣伝費の効果が4Qに落ちてはいないかという質問については、「落ちてはいないが、冬休みや年末商戦という広告の値段が高くなっている時期にも広告を出した」と話した。なお、2013年の1年間で広告宣伝費は約100億円使用した。四半期ごとに10億円ずつ積み上げていったイメージだという。研究開発費は年間で約6億円だった。
PCオンラインゲームの事業の赤字幅が拡大していることについても質問が出た。
森下社長は「全社員に(モバイルゲームの)大ヒット御礼としてインセンティブを配給した。PCオンラインゲーム事業部門にも出しており、部門別に区切るとインセンティブの部分が(費用として)かさんでいる。ただ、(パズドラという)大ヒットゲームを作ってこれたのはPCオンラインゲーム事業があったからこそ。カスタマーサポートやシステム運用などオンライン事業部門の含まれている人も、モバイルゲームの成長を支えている」と話した。
同事業の今後については、「スマホモバイルゲーム事業へのシフトに伴いリソース(資源)の最適化をはかっていくが、サービスの質を下げるわけではない」と述べた。
森下社長は、App Annie社の調査でガンホーの『パズドラ』が2013年の世界売上ランキング首位のゲームになったこと、ガンホーが世界首位のパブリッシャーとなったこと、出資しているスーパーセルが2位のパブリッシャーであることを指摘し、2013年にガンホーが勝ち取ったポジションは「全世界のスマートフォン向けゲーム市場で圧倒的首位の座」だと強調した。
さらに業績の成長を目指せるかという質問には、「上場企業である以上、増収増益を目指すのはあたりまえ」と指摘。「スマホの普及自体はまだまだ続く。(スマホ向けゲームの)市場が伸びるのに、世界で首位の我々に成長余地がないわけはない」と自信を示した。
森下社長は「アベノミクス」にちなんで「カズノミクス」と称し、ガンホーの成長戦略を語った。IT企業のスマホゲーム参入による競争激化のなかで、ゲーム専業会社がどのように生きていくのかを、「三本の矢」として3点説明した。以下、この三本の矢について個別に見ていきたい。
IP(知的財産)価値の最大化とIPブランドの長期的な確立による安定収益の確保を、一つ目の矢として説明。その施策として「ワンソース、マルチユース」を挙げ、例として『パズドラZ』を出した。『パズドラZ』の累計販売本数は130万本を突破しており、「若年層への訴求により、生涯顧客となりうるユーザーを獲得できた」と長期的な効果を語った。キャラクターの商品化や、スクウェア・エニックスと共同で開発したアーケードゲーム『パズドラ バトルトーナメント』(関連記事)などもマルチユースの例だ。
また、スマートフォンゲームの『パズドラ』に新たなゲーム要素を追加することも説明した。詳細は近日発表予定とのこと。既存プレイヤー、新プレイヤー、双方に有効的な効果があるだろうと述べた。「狙いはアクティブユーザーの増加。ダウンロード数をさらに伸ばしていきたい」と指摘。加えて、『パズドラ』が2月20日をもって2周年で「2年やればどんなに面白いゲームでも飽きが生じてくる」といい「既存ユーザーに新たな刺激を与える」狙いもあると述べた。「ARPPU(の上昇)を目指したものではない」と強調した。
なお、新ゲーム要素の追加で「プレイヤーのゲーム内資産が喪失するといったことはない」とのこと。『パズドラ』本体とは異なるアプリをダウンロードさせるわけではないという。「ひとつのゲームを成長させていくのが、ガンホーの得意技。10年以上、(PCオンラインゲームの)『ラグナロクオンライン』を支えてきたノウハウがある」と語った。
新ゲームの追加でUI(ユーザーインターフェース)が複雑化してしまわないか、ロード時間(動作、データダウンロード)が長くならないかという懸念も会場から出てきた。「UIはシンプルで直感的で革新的なものという基本的な方針がある。要素追加で複雑化する面はあるが、徐々にアップデートで要素を織り込み、段階的にUIに慣れていってもらうという工夫の仕方もある」と述べた。一方、ローディングが長くなる場合は「最適化、技術的な問題解消をはかるほか、設計を工夫する。我々は家庭用ゲーム機の開発してきたので、ROMからのローディング問題は昔から課題としてやってきた。ローディングに対する意識は自然に持っている」と課題解消への自信を語った。
三の矢である「収益基盤の積み上げ」に関しては、まず『ケリ姫スイーツ』の成長性について説明。2013年の国内ダウンロード数ランキングでは、首位はパズドラ、2~7位はLINEのタイトル、そして『ケリ姫』が8位につけていることを指摘。同年の売上ランキングでもトップ10に入っていることを説明し、さらなる成長を目指す方針を語った。なお、『ケリ姫』のダウンロード数700万については重複ダウンロードを含まない点を強調。「重複を含んでしまうと、その数そのものに本質的な意味がまったくない」と述べた。
さらに、完全新作ゲーム『サモンズボード』も公表した(関連記事)。2月10日からAndroid端末向けサービスの先行配信、iOS端末向けサービスについても近日、配信予定という。「スマホ時代の新しいボードゲーム」といい、モザイクのかかった動画を説明会で公開した。動画を見る限りでは、4×4マスのボード上をキャラクターが動くゲームのように見受けられた。「実はまだ、バランス調整をしている。最後の最後までこだわりぬいた作品を提供したい」と話していた。
三本目の矢である海外展開については、スーパーセルとの協力関係の有効活用と海外支社の連携強化、状況に応じてM&A(合併・買収)を積極的に視野に入れることで、加速度的に進めていきたいと述べた。『サモンズボード』は日本からの配信になるが、今後開発していくタイトルは基本的に世界同時配信タイトルとして開発していきたいという。
スーパーセルとの活用は「ゲームの思想の違いなどの点で手間取っていることはある」が、ゲームにおいて定期的にコラボを実施しているほか、「共同マーケティングはゲーム内のシナジー(統合効果)だけではなく、スーパーセルのマーケティングに我々が相乗りしたりなど、見えにくい部分でも進めている」という。
ガンホーは、海外展開の強化で、世界のモバイルゲーム業界における圧倒的な首位を維持し、拡大していく方針だ。「2番じゃだめなんですか、と問う方がいるかもしれないが、2番じゃだめなんです。我々は日本におけるオンライゲームの文化をつくってきた。スマホでも首位の座を維持し、世界のスマホ市場の文化を変えていく」との意気込みを語った。
海外展開については、会場から質問が相次いだ。
スーパーセルとの提携の印象を問われると、「まだ出資して間もないため、わからないことも多いが、ガンホーへの協力をまったく惜しまない姿勢に、やけに親切な人たちだなあ、という感想を持っている」と述べた。一方、出資を決めた時点ではまだスーパーセルがAndoridにタイトルを展開しておらず、「Androidの立ち上がりはややスローペースだった」と振り返った。
ガンホーが開発したタイトルをスーパーセルがパブリッシャーとして提供する可能性については「ない」と言いきった。「ガンホーとスーパーセルでは、オンラインゲームの運営サービスを持っているかいないかという決定的な違いがある。スーパーセルが継続的に(ガンホーのゲームを)運営するのは、我々とはノウハウの差があるため難しいとみている」と指摘。一方、逆は「(スーパーセルが開発したゲームの)サーバ側の運用・管理などは、やっていく可能性があるかもしれない」と述べた。
アジア展開については「香港と台湾向けの『パズドラ』はリリース直後から好調。オリジナルを提供することで模倣を回避していくことが重要」と指摘した。マーケティングについてパートナーシップを結び、さらなるプロモーションを実施していくという。一方、中国本土のスマホゲーム市場については、規模は大きく、無視しているわけではないとしつつも、「カントリーリスクがあるため、我々のIPを守り、かつ我々が主導できる条件で展開できるかどうか、さまざまな企業と交渉中」といい、引き続き見極め段階であることを明かした。
M&Aの対象企業については「異業種ではなく、我々の作ったゲームを世界で展開する際に、伝道者となるような企業を視野に入れている」と述べた。
森下社長は、3つの成長施策を語った後、改めて、ガンホーという企業の成長の「本質は面白いゲームの開発」だと主張した。
森下社長によれば「目標はパズドラを超えること」だという。「おニャン子クラブというアイドル集団のオリジナルを超えたのはAKB48しかない。(おニャン子クラブを生み出した)秋元康さんを超えるのは(AKB48を生み出した)秋元康さん」とのたとえを語り、「パズドラを作ったガンホーだからこそパズドラを超えることができる」と、自信を語る場面もあった。
■関連リンク
・決算説明会資料
今期の業績予想を公開しなかったものの、森下一喜社長は「カズノミクス」と称し、成長に向けた「3本の矢」を説明。『パズドラ』への新しいゲーム要素の追加、完全新作ゲームの投入、M&Aへの姿勢などを示した。また「面白いゲームの開発」を目指すことを再度強調し、「パズドラを超えるゲームを生み出す」という目標を語った。(会場での写真撮影は禁止された。以下、かぎ括弧内は森下社長の発言)
▼ガンホーの業績は2013年に急成長を果たした
■4Qは冬休みと『パズドラZ』効果で増収、広告宣伝強化で利益率は低下
1月の月次単体売上高は165億円と、過去最高水準となった。1月は冬休みでARPPU(有料会員一人当たりの平均売上)、MAU(月刊のサービス利用ユーザー数)が上昇したほか、『パズドラZ』の売上寄与もあったという。
ガンホーが開示した単体売上の推移資料をみると、MAUは安定的推移しており、ARPPUの変動が売上高の変動要因になっていることがわかる。月次単体売上高の会社公表数値をみると、4月120億円、7月135億円、10月130億円であるため、おおむね月次売上で130億~150億円の推移になっているとみることができる。
四半期別に業績の推移をみると、第4四半期(4Q、10~12月)は前四半期比で増収減益。営業利益は4~6月をピークとして、2四半期連続で減少している。
会場からは、4Qの利益率低下について質問が相次いだ。大きい理由は広告宣伝費の増加。「年末商戦向けに『パズドラZ』のテレビCMを放映したことで、広告宣伝費がかさんだ」という。また、スマホゲームの手数料に比べて、パッケージソフト制作はROMの制作手数料が多くかかる点も影響したとのこと。
PCオンラインゲームの事業の赤字幅が拡大していることについても質問が出た。
森下社長は「全社員に(モバイルゲームの)大ヒット御礼としてインセンティブを配給した。PCオンラインゲーム事業部門にも出しており、部門別に区切るとインセンティブの部分が(費用として)かさんでいる。ただ、(パズドラという)大ヒットゲームを作ってこれたのはPCオンラインゲーム事業があったからこそ。カスタマーサポートやシステム運用などオンライン事業部門の含まれている人も、モバイルゲームの成長を支えている」と話した。
同事業の今後については、「スマホモバイルゲーム事業へのシフトに伴いリソース(資源)の最適化をはかっていくが、サービスの質を下げるわけではない」と述べた。
■世界で圧倒的1位の座を強調、成長持続の意志示す
森下社長は、App Annie社の調査でガンホーの『パズドラ』が2013年の世界売上ランキング首位のゲームになったこと、ガンホーが世界首位のパブリッシャーとなったこと、出資しているスーパーセルが2位のパブリッシャーであることを指摘し、2013年にガンホーが勝ち取ったポジションは「全世界のスマートフォン向けゲーム市場で圧倒的首位の座」だと強調した。
さらに業績の成長を目指せるかという質問には、「上場企業である以上、増収増益を目指すのはあたりまえ」と指摘。「スマホの普及自体はまだまだ続く。(スマホ向けゲームの)市場が伸びるのに、世界で首位の我々に成長余地がないわけはない」と自信を示した。
森下社長は「アベノミクス」にちなんで「カズノミクス」と称し、ガンホーの成長戦略を語った。IT企業のスマホゲーム参入による競争激化のなかで、ゲーム専業会社がどのように生きていくのかを、「三本の矢」として3点説明した。以下、この三本の矢について個別に見ていきたい。
■一の矢:既存価値の最大化… 『パズドラ』に新ゲーム要素追加、複数媒体展開
IP(知的財産)価値の最大化とIPブランドの長期的な確立による安定収益の確保を、一つ目の矢として説明。その施策として「ワンソース、マルチユース」を挙げ、例として『パズドラZ』を出した。『パズドラZ』の累計販売本数は130万本を突破しており、「若年層への訴求により、生涯顧客となりうるユーザーを獲得できた」と長期的な効果を語った。キャラクターの商品化や、スクウェア・エニックスと共同で開発したアーケードゲーム『パズドラ バトルトーナメント』(関連記事)などもマルチユースの例だ。
また、スマートフォンゲームの『パズドラ』に新たなゲーム要素を追加することも説明した。詳細は近日発表予定とのこと。既存プレイヤー、新プレイヤー、双方に有効的な効果があるだろうと述べた。「狙いはアクティブユーザーの増加。ダウンロード数をさらに伸ばしていきたい」と指摘。加えて、『パズドラ』が2月20日をもって2周年で「2年やればどんなに面白いゲームでも飽きが生じてくる」といい「既存ユーザーに新たな刺激を与える」狙いもあると述べた。「ARPPU(の上昇)を目指したものではない」と強調した。
なお、新ゲーム要素の追加で「プレイヤーのゲーム内資産が喪失するといったことはない」とのこと。『パズドラ』本体とは異なるアプリをダウンロードさせるわけではないという。「ひとつのゲームを成長させていくのが、ガンホーの得意技。10年以上、(PCオンラインゲームの)『ラグナロクオンライン』を支えてきたノウハウがある」と語った。
新ゲームの追加でUI(ユーザーインターフェース)が複雑化してしまわないか、ロード時間(動作、データダウンロード)が長くならないかという懸念も会場から出てきた。「UIはシンプルで直感的で革新的なものという基本的な方針がある。要素追加で複雑化する面はあるが、徐々にアップデートで要素を織り込み、段階的にUIに慣れていってもらうという工夫の仕方もある」と述べた。一方、ローディングが長くなる場合は「最適化、技術的な問題解消をはかるほか、設計を工夫する。我々は家庭用ゲーム機の開発してきたので、ROMからのローディング問題は昔から課題としてやってきた。ローディングに対する意識は自然に持っている」と課題解消への自信を語った。
■二の矢:新規価値創造で収益基盤積み上げ…新作ゲームの投入を発表
三の矢である「収益基盤の積み上げ」に関しては、まず『ケリ姫スイーツ』の成長性について説明。2013年の国内ダウンロード数ランキングでは、首位はパズドラ、2~7位はLINEのタイトル、そして『ケリ姫』が8位につけていることを指摘。同年の売上ランキングでもトップ10に入っていることを説明し、さらなる成長を目指す方針を語った。なお、『ケリ姫』のダウンロード数700万については重複ダウンロードを含まない点を強調。「重複を含んでしまうと、その数そのものに本質的な意味がまったくない」と述べた。
▼『Princess Punt Sweets』が『ケリ姫スイーツ』
さらに、完全新作ゲーム『サモンズボード』も公表した(関連記事)。2月10日からAndroid端末向けサービスの先行配信、iOS端末向けサービスについても近日、配信予定という。「スマホ時代の新しいボードゲーム」といい、モザイクのかかった動画を説明会で公開した。動画を見る限りでは、4×4マスのボード上をキャラクターが動くゲームのように見受けられた。「実はまだ、バランス調整をしている。最後の最後までこだわりぬいた作品を提供したい」と話していた。
■三の矢:海外展開強化…M&Aも積極的に視野
三本目の矢である海外展開については、スーパーセルとの協力関係の有効活用と海外支社の連携強化、状況に応じてM&A(合併・買収)を積極的に視野に入れることで、加速度的に進めていきたいと述べた。『サモンズボード』は日本からの配信になるが、今後開発していくタイトルは基本的に世界同時配信タイトルとして開発していきたいという。
スーパーセルとの活用は「ゲームの思想の違いなどの点で手間取っていることはある」が、ゲームにおいて定期的にコラボを実施しているほか、「共同マーケティングはゲーム内のシナジー(統合効果)だけではなく、スーパーセルのマーケティングに我々が相乗りしたりなど、見えにくい部分でも進めている」という。
ガンホーは、海外展開の強化で、世界のモバイルゲーム業界における圧倒的な首位を維持し、拡大していく方針だ。「2番じゃだめなんですか、と問う方がいるかもしれないが、2番じゃだめなんです。我々は日本におけるオンライゲームの文化をつくってきた。スマホでも首位の座を維持し、世界のスマホ市場の文化を変えていく」との意気込みを語った。
■スーパーセルは「親切な人たち」、M&A対象は「ゲームの伝道者」
海外展開については、会場から質問が相次いだ。
スーパーセルとの提携の印象を問われると、「まだ出資して間もないため、わからないことも多いが、ガンホーへの協力をまったく惜しまない姿勢に、やけに親切な人たちだなあ、という感想を持っている」と述べた。一方、出資を決めた時点ではまだスーパーセルがAndoridにタイトルを展開しておらず、「Androidの立ち上がりはややスローペースだった」と振り返った。
ガンホーが開発したタイトルをスーパーセルがパブリッシャーとして提供する可能性については「ない」と言いきった。「ガンホーとスーパーセルでは、オンラインゲームの運営サービスを持っているかいないかという決定的な違いがある。スーパーセルが継続的に(ガンホーのゲームを)運営するのは、我々とはノウハウの差があるため難しいとみている」と指摘。一方、逆は「(スーパーセルが開発したゲームの)サーバ側の運用・管理などは、やっていく可能性があるかもしれない」と述べた。
アジア展開については「香港と台湾向けの『パズドラ』はリリース直後から好調。オリジナルを提供することで模倣を回避していくことが重要」と指摘した。マーケティングについてパートナーシップを結び、さらなるプロモーションを実施していくという。一方、中国本土のスマホゲーム市場については、規模は大きく、無視しているわけではないとしつつも、「カントリーリスクがあるため、我々のIPを守り、かつ我々が主導できる条件で展開できるかどうか、さまざまな企業と交渉中」といい、引き続き見極め段階であることを明かした。
M&Aの対象企業については「異業種ではなく、我々の作ったゲームを世界で展開する際に、伝道者となるような企業を視野に入れている」と述べた。
■「本質は面白いゲームを作ること」「ガンホーだからパズドラ超えられる」
森下社長は、3つの成長施策を語った後、改めて、ガンホーという企業の成長の「本質は面白いゲームの開発」だと主張した。
森下社長によれば「目標はパズドラを超えること」だという。「おニャン子クラブというアイドル集団のオリジナルを超えたのはAKB48しかない。(おニャン子クラブを生み出した)秋元康さんを超えるのは(AKB48を生み出した)秋元康さん」とのたとえを語り、「パズドラを作ったガンホーだからこそパズドラを超えることができる」と、自信を語る場面もあった。
▼4日時点のガンホーの株価チャート
■関連リンク
・決算説明会資料
会社情報
- 会社名
- ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
- 設立
- 1998年7月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 森下 一喜
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高1253億1500万円、営業利益278億8000万円、経常利益293億800万円、最終利益164億3300万円(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3765