ネクソン<3659>は2月13日、2013年12月期通期の決算を発表し、都内で決算説明会を開いた。2013年12月期通期の売上高は1553億円と、gloopsの買収などが寄与し前年度から43%増加、営業利益も7%増えた。ただ四半期ごとの推移をみると日本と、欧州その他地域の売上高の減少傾向が継続。日本では、gloops買収で強化したモバイルゲーム事業も緩やかな減少基調を続けている。
決算発表と同時に、取締役CFO(最高財務責任者)兼管理本部長であるオーウェン・マホニー氏が次期社長候補として選任されたと発表した。崔承祐(チェ・スンウ)社長は社長交代の理由について「グローバル展開を進めてきたが、新たなフォーカス(焦点)が必要」と指摘。「欧米事業とモバイル分野の拡大に向けて、マホニー以上にふさわしい人材はいない。変化の激しい環境のなか、新しい経営陣でチャンスをつかんでもらいたい」と話した。
足もとの業績を振り返ると、確かに日本のモバイル事業と欧米事業は課題と言えそうだ。
ネクソンのモバイル事業の大半を占める日本の売上高を見ると、全体で緩やかな減収傾向が続いている。PCオンラインゲームだけでなく、gloopsが中核を占めるモバイルゲーム事業もじりじりと減少。国内のモバイル事業の4Q売上高は、3Q比で3%減の62.6億円だった。
2013年12月期通年の日本のモバイル事業の売上高は270.13億円だった。
同社の懸念は中国のMAU(月間アクティブユーザー数)が減り、ネクソン全体のMAUが減少基調にあること。マホニーCFOは中国のMAUについて「満足していない数字」と述べつつ、「足もとの1Q(1~3月)は旧正月(の長期休暇)があったため、MAUは上昇してきている」と指摘。「1Qの内容と、6月の大型コンテンツ アップデートの影響を見極めたい。6月の時点でV字回復は見込んでいないが、この時期がひとつのマイルストーン(節目)となるだろう」と話していた。
また、ネクソン全体でみると4Q(13年10~12月)は営業利益が3億円にとどまり、最終損益は44億円の赤字に転落した。営業利益の減少は、韓国子会社Ndoors(エヌドアーズ)に関する資産(ゲームタイトルなど)の減損処理約95億円を実施したため。最終赤字に転落したのは、持分法適用会社の6wavesに関する減損損失を約25億円計上したためだ。
国内において、Ndoorsは『三国志を抱く』といったクロスプラットフォーム(モバイル・PC横断)型のMMORPG、6wavesはもの探しゲーム『ミステリーハウス』『ミステリーワールド』などで知られる。
質疑応答の時間には、崔社長の退任に関する質問が相次いだ。退任を決断した理由については「ネクソンは20周年を迎える。グローバル展開進めてきたが、事業面で新たなフォーカス(焦点)が必要なタイミングだ」「欧米ビジネスとモバイル分野の拡大に向けて、マホニー以上にふさわしい人材はいない。変化の激しい環境のなか、新しい経営陣でチャンスをつかんでもらいたい」と述べた。(写真は質問に回答する崔社長)
今後の経営への関与については、「今後、経営には一切関与しない。任期終了ととともに役員会にも参加しない」「ネクソンはさらにグローバル化を進める必要がある。私が担当してきたアジア市場もまだ色々なチャンスがあるが、欧米ビジネスの拡大が必要だ。世代交代する時期でもある」と述べた。
■関連リンク
・決算説明会資料
・2013 年度第4四半期及び通期 連結業績のお知らせ
決算発表と同時に、取締役CFO(最高財務責任者)兼管理本部長であるオーウェン・マホニー氏が次期社長候補として選任されたと発表した。崔承祐(チェ・スンウ)社長は社長交代の理由について「グローバル展開を進めてきたが、新たなフォーカス(焦点)が必要」と指摘。「欧米事業とモバイル分野の拡大に向けて、マホニー以上にふさわしい人材はいない。変化の激しい環境のなか、新しい経営陣でチャンスをつかんでもらいたい」と話した。
▼ネクソン全体の売上状況
■国内モバイルは品質重視でリリース数絞る、欧米は運営改善などで成長目指す
次期社長のオーウェン・マホニーCFOは、15 年にわたりゲーム業界に従事。2000年から09年までエレクトロニック・アーツ(EA)で経営企画を務め、大規模なM&A(合併・買収)など事業開発を手掛けてきた。(写真は説明会でのマホニー氏)
マホニー氏は説明会で「欧米」と「モバイル分野」における成長を優先課題として説明した。
モバイル分野については、日本におけるネイティブアプリ開発の強化方針を説明した。「日本市場はブラウザゲームの減速傾向が続いており、ネイティブへのシフト(移行)が非常に早く起こっている。gloopsで、より多くの開発者をネイティブへ振り向ける」と指摘。「リリースタイトルの数は減らし、より良い製品を作っていく」「今後は多くのゲームの配信するのではなく、面白い少数のタイトルに人員を投入していく」と、リリース数よりも品質を重視する姿勢を示した。具体的な開発体制や今後のリリース予定の開示は控えた。
もうひとつの重点分野である欧米は、「米国で運営面の改善を実施する。また韓国の開発者とのコミュニケーションを強化し、西欧向けのタイトルを出していく」という。「欧米事業の成果が出てくるのは4Qごろ」「北米事業はオフラインからオンライン、シングルプレイからマルチプレイ、P2P(Pay to Play、有料ゲーム)からF2P(Free to Play、基本無料ゲーム)という大きな変化が起こっている」と話した。
また、マホニー氏は自身の目指す企業像として、「ネクソン以外のゲームメーカーは、クリエイティブな事業をやっているということを忘れているのではないか、と感じている。私はゲーム開発者ではないがゲーマーだ。ビデオゲームは映画や音楽と似ている。子供に語ることができるようなものを作ることが必要だ」と述べた。
マホニー氏は説明会で「欧米」と「モバイル分野」における成長を優先課題として説明した。
モバイル分野については、日本におけるネイティブアプリ開発の強化方針を説明した。「日本市場はブラウザゲームの減速傾向が続いており、ネイティブへのシフト(移行)が非常に早く起こっている。gloopsで、より多くの開発者をネイティブへ振り向ける」と指摘。「リリースタイトルの数は減らし、より良い製品を作っていく」「今後は多くのゲームの配信するのではなく、面白い少数のタイトルに人員を投入していく」と、リリース数よりも品質を重視する姿勢を示した。具体的な開発体制や今後のリリース予定の開示は控えた。
もうひとつの重点分野である欧米は、「米国で運営面の改善を実施する。また韓国の開発者とのコミュニケーションを強化し、西欧向けのタイトルを出していく」という。「欧米事業の成果が出てくるのは4Qごろ」「北米事業はオフラインからオンライン、シングルプレイからマルチプレイ、P2P(Pay to Play、有料ゲーム)からF2P(Free to Play、基本無料ゲーム)という大きな変化が起こっている」と話した。
また、マホニー氏は自身の目指す企業像として、「ネクソン以外のゲームメーカーは、クリエイティブな事業をやっているということを忘れているのではないか、と感じている。私はゲーム開発者ではないがゲーマーだ。ビデオゲームは映画や音楽と似ている。子供に語ることができるようなものを作ることが必要だ」と述べた。
■gloops含む国内モバイル事業は減収基調、欧米その他地域は為替一定だと2ケタ減収
足もとの業績を振り返ると、確かに日本のモバイル事業と欧米事業は課題と言えそうだ。
ネクソンのモバイル事業の大半を占める日本の売上高を見ると、全体で緩やかな減収傾向が続いている。PCオンラインゲームだけでなく、gloopsが中核を占めるモバイルゲーム事業もじりじりと減少。国内のモバイル事業の4Q売上高は、3Q比で3%減の62.6億円だった。
2013年12月期通年の日本のモバイル事業の売上高は270.13億円だった。
北米と欧州その他地域の業績も伸び悩んでいる。為替レートを一定とした場合、北米の売上高は前年同期比15%減少、欧州その他地域では40%減少した計算になる。
■主力の中国、韓国はともに前年比で増収確保…MAU低下の中国は6月が焦点
主力市場である中国と韓国の4Q(13年10~12月)売上高は、前四半期比で減収となったが、前年比で増加した。 PCオンラインゲームは休暇などの関係で収益の増減に季節性が出やすい。とりわけ、中国では旧正月の長期休暇のある1Q(1~3月)が強く、新学期開始後の4Q(10~12月)は弱く出やすい。
同社の懸念は中国のMAU(月間アクティブユーザー数)が減り、ネクソン全体のMAUが減少基調にあること。マホニーCFOは中国のMAUについて「満足していない数字」と述べつつ、「足もとの1Q(1~3月)は旧正月(の長期休暇)があったため、MAUは上昇してきている」と指摘。「1Qの内容と、6月の大型コンテンツ アップデートの影響を見極めたい。6月の時点でV字回復は見込んでいないが、この時期がひとつのマイルストーン(節目)となるだろう」と話していた。
なお、韓国では今年下半期(6~12月)に「攻殻機動隊」を題材としたPCオンラインゲームをリリース予定だ。
■4Qは最終赤字に転落、子会社の減損が響く
また、ネクソン全体でみると4Q(13年10~12月)は営業利益が3億円にとどまり、最終損益は44億円の赤字に転落した。営業利益の減少は、韓国子会社Ndoors(エヌドアーズ)に関する資産(ゲームタイトルなど)の減損処理約95億円を実施したため。最終赤字に転落したのは、持分法適用会社の6wavesに関する減損損失を約25億円計上したためだ。
国内において、Ndoorsは『三国志を抱く』といったクロスプラットフォーム(モバイル・PC横断)型のMMORPG、6wavesはもの探しゲーム『ミステリーハウス』『ミステリーワールド』などで知られる。
ネクソン全体のKPI(評価指標)をみると、中国市場を主因としたMAUの大幅減少を、ARPPU(課金ユーザー1人当たりの売上高)の上昇で下支えした格好となっている。課金率は10%でほぼ横ばい。
1Q(2014年1~3月)の業績予想は以下の通り。売上高をみると、PCオンラインゲームは前年比で堅調。モバイルゲーム事業は4Q(13年10~12月、67億円)から上下に3億円振れる予想を立てた。一方、営業利益、純利益ともに前年を下回る計画だ。
1Q(2014年1~3月)の業績予想は以下の通り。売上高をみると、PCオンラインゲームは前年比で堅調。モバイルゲーム事業は4Q(13年10~12月、67億円)から上下に3億円振れる予想を立てた。一方、営業利益、純利益ともに前年を下回る計画だ。
■崔社長「新しい経営陣でチャンスをつかんでもらいたい」「今後、経営には関与せず」
質疑応答の時間には、崔社長の退任に関する質問が相次いだ。退任を決断した理由については「ネクソンは20周年を迎える。グローバル展開進めてきたが、事業面で新たなフォーカス(焦点)が必要なタイミングだ」「欧米ビジネスとモバイル分野の拡大に向けて、マホニー以上にふさわしい人材はいない。変化の激しい環境のなか、新しい経営陣でチャンスをつかんでもらいたい」と述べた。(写真は質問に回答する崔社長)
今後の経営への関与については、「今後、経営には一切関与しない。任期終了ととともに役員会にも参加しない」「ネクソンはさらにグローバル化を進める必要がある。私が担当してきたアジア市場もまだ色々なチャンスがあるが、欧米ビジネスの拡大が必要だ。世代交代する時期でもある」と述べた。
■関連リンク
・決算説明会資料
・2013 年度第4四半期及び通期 連結業績のお知らせ
会社情報
- 会社名
- 株式会社ネクソン
- 設立
- 2002年12月
- 代表者
- 代表取締役社長 イ・ジョンホン(李 政憲)/代表取締役CFO 植村 士朗
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上収益4233億5600万円、営業利益1347億4500万円、最終利益706億0900万円(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3659