ガンホー決算説明会 『パズル&ドラゴンズ』のMAUは千数百万人規模…「過去最大級の超大型コラボ」などで更なるユーザー増を目指す
ガンホー・オンライン・エンターテインメント<3765>は4月28日、2014年12月期第1四半期(1~3月)の連結決算を発表し、都内で決算説明会を開催した。1~3月の売上高は前四半期(10~12月)比7%増の499億円、営業利益は27%増の287億円と、売上・利益ともに四半期として過去最高を記録した(関連記事)。スマートフォンゲームの活動ユーザー数が増え、業績を押し上げた。
森下一喜社長は説明会で、主力タイトル『パズル&ドラゴンズ』のMAU(月間活動ユーザー数)が国内・海外ともに伸びていることを強調し、国内MAUの実数が千数百万規模であることを伺わせる発言をした。
今後もARPPU(課金ユーザー1人当たりの平均月間課金額)を適切に調整しながら、MAUを着実に伸ばしていく施策をとる方針だと語った。MAU活性化の施策として、『パズル&ドラゴンズ』で「過去最大級」の超大型コラボを実施するほか、新ゲーム要素を追加する大型アップデート「パズル&ドラゴンズW」も鋭意開発中(関連記事)だと述べた。(以下、かぎ括弧内は森下社長の発言)
1~3月の売上高が増えた理由はユーザー数の増加だ。パズドラ中心にスマホ向け6タイトルが好調に推移し、3DS向けソフト『パズドラZ』を発売した昨年10~12月を上回る売上高を記録した。
6タイトル合計の総ダウンロード数は、重複アカウントは除いた国内のみで、4000万ダウンロードを突破している。うち2700万以上がパズドラによるものだ(関連記事)。
特に、パズドラの国内MAU、つまり活動しているユーザー数はリリースから2年が経過した今でも伸びている。海外のMAUも急速に増加。今年に入って香港・台湾で正式サービスを開始したことが寄与したもよう(関連記事)。
森下社長は、パズドラの国内MAUの実数は非開示としつつも「おおよそダウンロード数の半数以上。現在のダウンロード数は2700万以上。その半数以上ということで、だいたいのイメージはしていただけるかと思う」と述べ、MAUの実数が千数百万規模であることをにおわせた。
一方、1人当たりの平均課金額、つまりARPPUは戦略的に低く調整したという。「我々の定義として、家庭用ゲームのパッケージソフトを(毎月)1つ買う程度の水準を指針としてみている。(平均課金額が)上がり過ぎた翌月は少し下げるようにしている。長く継続して提供することを目指すため調整している。ユーザーの疲弊を避けつつ、お祭りは大きく、という考えでやっている」と述べた。
今後も、ユーザー数を増やしながら、平均課金額を適切な水準に調整することで、業績の成長を図っていく方針だという。前述した通り、2Q(4~6月には)はパズドラで「過去最大級」の超大型コラボを実施するという。大型アップデートのパズドラWも鋭意開発中で、「だいぶブラッシュアップしてきた」状況という。
国内MAUの増加は、「エヴァンゲリオン」などとの各種コラボやゲーム内イベントといった、運営力が背景にあるという。「PCオンラインゲームの『ラグナロクオンライン』も7年間、アクティブユーザーが伸び続けている。テーマパークのような運営ができていることが他社との違い」とのこと。スマホの乗り換えシーズンである春、休みの多い夏と年末年始には、様々なイベント施策やっていくことが重要と述べた。
過去最大級の超大型コラボや、パズルアクション部分に特化した新要素を追加する大型アップデート「パズドラW」も、MAUのさらなる活性化が狙いだ。超大型コラボの相手は国内で非常に人気のあるもので、さらに海外でも知名度があるため、海外展開も視野に入れているという。一方、大型アップデートはモンスターの育成・合成といったRPG要素を難しいと感じるカジュアルユーザー向けの施策となるもようだ。
『ラグナロクオンライン』に代表されるPCオンラインゲーム事業の状態は引き続き厳しい。1~3月の売上高は10億円と、前年同期比で36%減、前四半期比でも2割減った。営業赤字の状態も続いている。以下、昨年10~12月までのPCオンライン事業の業績推移のグラフとなる。
説明会資料にはPCオンラインゲーム事業の業績が掲載されていたが、今後はスマートフォンアプリとPCオンラインゲームの事業を分けず、単一の事業区分として業績を開示していくとのこと。とはいえ、説明会では「スマホにこだわらず、さまざまなプラットフォームに展開していきたい」と述べており、スマホ一本足になる方針ではなさそうだ。
営業利益が増加したのは、売上の増加に加え、費用が減少したため。ひとつは『パズドラZ』の発売時にかけた広告宣伝費が減ったこと。また人件費は、前四半期が全社員向けのインセンティブ(特別報酬)で一時的に増えたこともあり、1~3月は前四半期比で減った。
業績の急成長度合いに比べて、人員を大きく増やす傾向が見られない点については、「開発ラインを増やして量産体制をとるよりは、品質をおろそかにしないよう、少数精鋭型の開発を進めている。正直に言うと、人員を増やすと、自分自身が把握しきれなくなる」と答えた。
スマホ向け最新作『サモンズボード』で大規模なプロモーションを実施する時期はいつか、という質問には、「大々的なプロモーションは社内の基準点を超えたところで実施していく。現在はサービスの安定と、ユーザー数そのものを伸ばすことを最優先で考えている」と話した。
海外展開の動向について、会場から説明が相次いだ。すでにサービスを展開している香港、台湾、韓国、アメリカでは「クラウドサービスを活用し、サーバーの運営、運用を日本から行っている。プロモーションは現地メディア企業と共同して実施している」という。すでに香港版「パズドラ」はトップ10の常連となっており、台湾でもトップ10常連を目指すという。
中国に向けてのゲーム配信は「準備中」とのこと。台湾・香港含め中国語圏のローカライズでは、要望の多い現地語版の提供を目指していきたいという。中国現地企業がゲームの現地化(ローカライズ)において求めるソースコードの引き渡しについては「今のところソースコードを渡す予定はない」とし指摘つつ、「ローカライズでは現地におけるパートナーとの協力関係が重要」と述べた。
「ローカライズができたからといって成功するわけではない。我々のゲームはテーマパーク型のゲーム。コンテンツとサービスそのものを海外でも展開していく。海外展開の速度が他社と比べて遅いと言われるが、そういうポリシーでやっている」と答えた。
森下一喜社長は説明会で、主力タイトル『パズル&ドラゴンズ』のMAU(月間活動ユーザー数)が国内・海外ともに伸びていることを強調し、国内MAUの実数が千数百万規模であることを伺わせる発言をした。
今後もARPPU(課金ユーザー1人当たりの平均月間課金額)を適切に調整しながら、MAUを着実に伸ばしていく施策をとる方針だと語った。MAU活性化の施策として、『パズル&ドラゴンズ』で「過去最大級」の超大型コラボを実施するほか、新ゲーム要素を追加する大型アップデート「パズル&ドラゴンズW」も鋭意開発中(関連記事)だと述べた。(以下、かぎ括弧内は森下社長の発言)
■スマホゲームが好調…パズドラのMAUは千数百万規模?
1~3月の売上高が増えた理由はユーザー数の増加だ。パズドラ中心にスマホ向け6タイトルが好調に推移し、3DS向けソフト『パズドラZ』を発売した昨年10~12月を上回る売上高を記録した。
6タイトル合計の総ダウンロード数は、重複アカウントは除いた国内のみで、4000万ダウンロードを突破している。うち2700万以上がパズドラによるものだ(関連記事)。
特に、パズドラの国内MAU、つまり活動しているユーザー数はリリースから2年が経過した今でも伸びている。海外のMAUも急速に増加。今年に入って香港・台湾で正式サービスを開始したことが寄与したもよう(関連記事)。
森下社長は、パズドラの国内MAUの実数は非開示としつつも「おおよそダウンロード数の半数以上。現在のダウンロード数は2700万以上。その半数以上ということで、だいたいのイメージはしていただけるかと思う」と述べ、MAUの実数が千数百万規模であることをにおわせた。
一方、1人当たりの平均課金額、つまりARPPUは戦略的に低く調整したという。「我々の定義として、家庭用ゲームのパッケージソフトを(毎月)1つ買う程度の水準を指針としてみている。(平均課金額が)上がり過ぎた翌月は少し下げるようにしている。長く継続して提供することを目指すため調整している。ユーザーの疲弊を避けつつ、お祭りは大きく、という考えでやっている」と述べた。
■課金額を適切に調整、MAU増加で成長目指す
今後も、ユーザー数を増やしながら、平均課金額を適切な水準に調整することで、業績の成長を図っていく方針だという。前述した通り、2Q(4~6月には)はパズドラで「過去最大級」の超大型コラボを実施するという。大型アップデートのパズドラWも鋭意開発中で、「だいぶブラッシュアップしてきた」状況という。
国内MAUの増加は、「エヴァンゲリオン」などとの各種コラボやゲーム内イベントといった、運営力が背景にあるという。「PCオンラインゲームの『ラグナロクオンライン』も7年間、アクティブユーザーが伸び続けている。テーマパークのような運営ができていることが他社との違い」とのこと。スマホの乗り換えシーズンである春、休みの多い夏と年末年始には、様々なイベント施策やっていくことが重要と述べた。
過去最大級の超大型コラボや、パズルアクション部分に特化した新要素を追加する大型アップデート「パズドラW」も、MAUのさらなる活性化が狙いだ。超大型コラボの相手は国内で非常に人気のあるもので、さらに海外でも知名度があるため、海外展開も視野に入れているという。一方、大型アップデートはモンスターの育成・合成といったRPG要素を難しいと感じるカジュアルユーザー向けの施策となるもようだ。
■PCオンラインゲーム事業は依然厳しく
『ラグナロクオンライン』に代表されるPCオンラインゲーム事業の状態は引き続き厳しい。1~3月の売上高は10億円と、前年同期比で36%減、前四半期比でも2割減った。営業赤字の状態も続いている。以下、昨年10~12月までのPCオンライン事業の業績推移のグラフとなる。
説明会資料にはPCオンラインゲーム事業の業績が掲載されていたが、今後はスマートフォンアプリとPCオンラインゲームの事業を分けず、単一の事業区分として業績を開示していくとのこと。とはいえ、説明会では「スマホにこだわらず、さまざまなプラットフォームに展開していきたい」と述べており、スマホ一本足になる方針ではなさそうだ。
■人員増は目立たず…「量産体制よりも品質重視の少数精鋭開発」
営業利益が増加したのは、売上の増加に加え、費用が減少したため。ひとつは『パズドラZ』の発売時にかけた広告宣伝費が減ったこと。また人件費は、前四半期が全社員向けのインセンティブ(特別報酬)で一時的に増えたこともあり、1~3月は前四半期比で減った。
業績の急成長度合いに比べて、人員を大きく増やす傾向が見られない点については、「開発ラインを増やして量産体制をとるよりは、品質をおろそかにしないよう、少数精鋭型の開発を進めている。正直に言うと、人員を増やすと、自分自身が把握しきれなくなる」と答えた。
スマホ向け最新作『サモンズボード』で大規模なプロモーションを実施する時期はいつか、という質問には、「大々的なプロモーションは社内の基準点を超えたところで実施していく。現在はサービスの安定と、ユーザー数そのものを伸ばすことを最優先で考えている」と話した。
■海外展開…中国語圏で現地語版の提供目指す
海外展開の動向について、会場から説明が相次いだ。すでにサービスを展開している香港、台湾、韓国、アメリカでは「クラウドサービスを活用し、サーバーの運営、運用を日本から行っている。プロモーションは現地メディア企業と共同して実施している」という。すでに香港版「パズドラ」はトップ10の常連となっており、台湾でもトップ10常連を目指すという。
中国に向けてのゲーム配信は「準備中」とのこと。台湾・香港含め中国語圏のローカライズでは、要望の多い現地語版の提供を目指していきたいという。中国現地企業がゲームの現地化(ローカライズ)において求めるソースコードの引き渡しについては「今のところソースコードを渡す予定はない」とし指摘つつ、「ローカライズでは現地におけるパートナーとの協力関係が重要」と述べた。
「ローカライズができたからといって成功するわけではない。我々のゲームはテーマパーク型のゲーム。コンテンツとサービスそのものを海外でも展開していく。海外展開の速度が他社と比べて遅いと言われるが、そういうポリシーでやっている」と答えた。
会社情報
- 会社名
- ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
- 設立
- 1998年7月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 森下 一喜
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高1253億1500万円、営業利益278億8000万円、経常利益293億800万円、最終利益164億3300万円(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3765