コロプラ、24年9月期決算は新作BCゲームへの先行投資で上場以来初の損失計上 上席執行役員制度導入やCxO任命など経営体制も刷新

コロプラ<3668>は、11月6日、2024年9月期通期および第四四半期決算説明会を行った。宮本貴志社長(写真左)が主に説明を行い、2024年9月期は通期で上場以来、初めての赤字となり、新たな中期経営方針と経営体制の刷新を発表した。エンターテインメント事業では、新作のリリース遅れや既存タイトルの低減により減収となった。投資育成事業では、タイミーのエグジットにより増収増益となった。ブロックチェーンゲーム「ブリリアンクリプト」の展開や、新作ゲームの開発状況についても報告があった。今後の方針として、海外市場への積極的展開、国内IPの活用、新しいUXの提供を掲げ、グローバルでの存在感を高めることを目指している。新たな経営体制として上席執行役員制度を導入し、CXOを任命することで執行責任の明確化を図る。2025年9月期に向けて、既存ビジネスの強化と新規ビジネスへの挑戦を進めていく方針が示した。

 

■2024年9月通期と第4四半期の状況

代表取締役社長の宮本でございます。本日は、株式会社コロプラの2024年9月期通期および第4四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。まず、決算概要についてご説明いたします。こちらが四半期業績推移でございます。当第4四半期の連結売上高は76億円、営業利益はマイナス5億円となりました。

 

 次に、通期連結業績についてです。連結売上高は259億円、連結営業利益はマイナス12億円となりました。

 

次に、通期のセグメント別業績でございます。エンターテインメント事業は、売上高244億円、営業利益はマイナス13億円となりました。売上高は、新作のリリースが当初予定より遅れたことに加え、既存タイトルの逓減やクローズの影響により、前期と比較し減収となりました。営業利益については、ブロックチェーンゲームの事業本格化に伴うコストの先行により減益となりました。

投資育成事業においては、売上高15億円、営業利益は0.9億円となりました。投資先であるタイミー社のEXITにより、前期と比較して増収増益となりました。

 

通期の連結損益計算書はご覧の通りとなっております。預金利息や有価証券売却益の計上により、経常利益はマイナス9億円、当期純利益はマイナス18億円となりました。

 

次に、連結貸借対照表です。自己資本比率は89.4% と、引き続き盤石な財務基盤を維持しております。今後の成長に向けた株式の取得などにより、現金及び預金が減少しましたが、固定資産が増加いたしました。

 

次に、株主還元についてご説明いたします。まず、当社の還元方針は、連結業績、DOE 、キャッシュ・フローおよび資本の効率性を総合的に勘案し、安定的かつ継続的な配当を実施することとしております。この方針に基づき、1株当たり配当金は昨年と同額の20円とさせていただく予定です。

決算概要に関するご説明は以上となります。

  

■エンターテインメント事業

続きまして、エンターテインメント事業についてご説明いたします。エンターテインメント事業における四半期売上推移でございます。当第4四半期の売上高は65億円となりました。前年同四半期と比較し、既存タイトルの逓減やクローズの影響があったものの、前四半期との比較では、10周年を迎えた「白猫プロジェクト」と5周年を迎えた「ドラゴンクエストウォーク」が貢献いたしました。エンターテインメント事業の主なトピックスについて順にご説明いたします。

 

まず、8月30日にリリースした新作「フェスティバトル」についてです。「フェスティバトル」は、「白猫プロジェクト」や「モンスターストライク」などのキャラクターが登場するチームアクションゲームです。配信や視聴機能をゲーム内に搭載し、対戦が苦手な方も一緒にバトルを体験いただけます。9月には、ゲーム「にゃんこ大戦争」と、本作初となるコラボイベントを開催いたしました。引き続き、「誰もが必ず楽しめる場所があるゲーム」をテーマに、今後の運営に注力してまいります。

 

次に「白猫プロジェクト」についてです。「白猫プロジェクト」は、7月に10周年を迎え、リアルとオンラインで記念イベントを開催いたしました。本作最大規模となるリアルイベントでは、全国から多くのユーザーさまにご来場いただき、大きく盛り上がりました。またゲーム内では、新たな世界観でお届けするメインストーリーを開幕したほか、複数のイベントやキャンペーンを展開いたしました。この10周年を新たなスタートとし、今後もユーザーさまとのコミュニケーションに注力しながら、タイトルの更なる長期運営を目指してまいります。

 

「ドラゴンクエストウォーク」は、9月に5周年を迎え、記念イベントを開催いたしました。また、睡眠時間を記録できる機能を新たに実装し、日中だけでなく、夜の睡眠時まで冒険を進められるようになりました。10月にも新機能となるカジュアルゲームを追加しております。日常生活のエンタメ化を目指したゲーム体験の提供で、これまで出会えていなかった新たなユーザー層へのアプローチを進めてまいります。

 

その他タイトルでは、自社IPとのコラボや、ユーザー参加型のイベントを開催いたしました。「アリス・ギア・アイギス」では、15周年イヤーの「STEINS;GATE」とのコラボを実施し、「クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ」では、ユーザー参加型の人気イベント「ゴールデンアワード」を開催いたしました。「ゴールデンアワード」のイベント期間には、アミューズメント施設のタイトーステーションとコラボを行い、多くのユーザーさまに店舗へ足を運んでいただきました。

 

続いて、ブロックチェーンゲーム「Brilliantcrypto」についてご説明いたします。自社発行暗号資産であるBRILトークンが、9月10日にグローバル暗号資産取引所のBit2Meへ上場し、ブラジルをはじめとする世界66ヶ国で取り扱いが開始されました。また、ブラジル地域においては現地の法令調査が完了し、日本同様、BRILトークンを直接ゲームで獲得することが可能となりました。このタイミングにあわせて、南米最大級のNFTイベント「NFT Brasil」へ登壇し、現地でのネットワーク拡大を推し進めました。

 

次に、「Brilliantcrypto」におけるデジタル宝石の取引状況についてです。9月末時点のデジタル宝石の累計取引件数は、10万件を突破いたしました。足元では15万件を突破しており、ゲームリリース以降、取引ペースは順調に推移しております。

 

ブロックチェーンゲームの業績についてご説明いたします。左の図は、通期業績となります。売上高は、ゲームをリリースした当第3四半期からの実績となります。営業費用については、期初からの実績となり、開発費・広告費が先行しております。一方、BRILトークンを一部売却したことで、右の図にある、創出価値を示す指標の「GRV」が増加しております。今後はグローバルユーザーの増加による売上高の積み上げと、段階的なコスト効率化によって、業績貢献を目指してまいります。ブロックチェーンゲームに関するご説明は以上となります。

 

エンターテインメント事業の最後のトピックスは、グループ会社の360Channelを通じて取り組んでいる「XR/メタバース」でございます。左の図、WEBmetaverseの売上高については、季節要因により下期に落ち込みましたが、通年ではYoYプラスにて推移しております。当第4四半期では、WEBmetaverseの機能拡充や、Web3技術との融合を目指したアライアンス強化を実施いたしました。エンターテインメント事業については以上となります。 

 

■投資育成事業

次に、投資育成事業についてご説明いたします。こちらが投資育成事業における四半期売上推移でございます。当第4四半期の売上高は10億円となりました。前年同四半期と比較して投資先であるタイミー社のEXITにより増収となりました。

 

次に営業投資有価証券の残高でございます。当第4四半期末の営業投資有価証券残高は101億円となりました。投資先の時価評価や新規投資の増加があったものの、為替や減損損失の影響により、前四半期末と比較して横ばいで推移いたしました。

 

続いて、投資育成事業のトピックスです。当第4四半期では、株式会社TableCheckや株式会社フォワードへの新規投資を実施し、ポートフォリオの拡充を図りました。投資育成事業については以上となります。

  

■中期経営方針

続きまして、今後の方針についてご説明いたします。当社は「Entertainment in Real Life」をMissionに、「最新のテクノロジーと、独創的なアイデアで"新しい体験"を届ける」というVisionを掲げております。社会のイノベーションを機会に、位置ゲーをはじめとする、祖となるコンテンツづくりで成長を遂げてきました。

 

当社のMissionとVisionをより追求していくため、この度、中期経営方針を策定いたしました。

ご覧の図にあるように、

・海外市場への積極的展開、
・国内IPの活用、
・新しいUXの提供(唯一無二のものづくり)

以上3点を戦略として掲げております。各戦略の遂行により、グローバルでヒットタイトルを創出し、モバイルゲーム市場での存在感を高めていきたいと考えております。

 

こちらは、IPとUXを軸にゲームコンテンツ戦略を整理した図になります。IPを横軸、UXを縦軸とした四象限のうち、上部に位置する既知のUXの領域については、レッドオーシャンと捉えており、取り組む際は、グループ会社やパートナーとの協業によりチャンスをうかがっていきます。下部に位置する未知のUXの領域は、当社がこれまでヒットを生み出してきた領域です。

当社は、位置情報やブロックチェーンをはじめとした海外でも通用し得る技術を多数有しており、未知のUXを形にすることができます。その未知のUXとグローバルに強い有力なIPとを組み合わせることで、世界的なヒットを狙います。そのため、今後は、主に右下の領域に開発リソースを集中させてまいります。

 

以上の中期経営方針をスピード感を持って推し進めるために、本日、新たな経営体制への移行を発表いたしました。新たに上席執行役員制度を導入し、CxOを任命することで、各人のスペシャリティに応じた執行責任の明確化を図ります。また、取締役会における社外取締役比率および女性取締役比率の向上と、長期在任となる社外取締役の交代を行うことで、監督機能の実効性を高めます。この新体制により、当社グループ全体における事業推進力の向上と、その土台となるコーポレート・ガバナンスの強化を図ります。

 

中期経営方針を踏まえた、エンターテインメント事業における2025年9月期の方針はご覧の通りでございます。既存ビジネスにおいては「IPの積極活用とアプローチする市場の拡大」を、新規ビジネスにおいては「将来の収益化を目指した新技術領域への挑戦」を進めてまいります。

 

続いて、各ゲームのパイプラインについてです。スマートフォンゲームが4本、コンシューマーゲームが9本となっております。スマートフォンゲームについては、従前よりお伝えしているproject MASKのほか、もう1本を2025年9月期中にリリースする予定です。

 

開発中の新作スマートフォンゲームについてです。レジェンドクリエイター金子一馬が手掛ける新作は順調に進捗しており、リリースに向け鋭意開発に努めております。

 

続いて、コンシューマーゲーム「STEINS;GATE」についてご説明いたします。「STEINS;GATE」は、10月に15周年を迎え、記念ライブイベントを開催いたしました。先行チケットが即日完売するなど、開催前から注目を集め、当日も大きな盛り上がりを見せることができました。

また、開発中の新作「STEINS;GATE RE:BOOT」の情報も発表いたしました。従来からグラフィックが一新され、ストーリーに一部新要素が追加されます。新たなユーザー層の開拓を目指し、2025年のリリースに向け開発に注力してまいります。

 

コンシューマーゲームにおいては、人気IPを用いたアドベンチャーゲームも、順次リリースを進めております。引き続き、自社IPだけでなく、他社IPを活用した新作開発にも注力いたします。

 

次に、ブロックチェーンゲーム「Brilliantcrypto」についてです。10月よりEpic Games Storeでの配信を開始いたしました。Epic Games Storeは、PCユーザー数が2億7,000万人を超える大手プラットフォームです。今回の配信開始により、グローバルユーザーの更なる拡大を目指します。

 

また、ロードマップのPhase2に掲げる「ジュエリー工房」の開発を発表いたしました。ゲーム内で採掘したデジタル宝石を自由にデザインし、オリジナルのNFTジュエリーを生成できる新機能となります。デジタル宝石の付加価値をより高めることで、宝石取引の更なる活性化を図ります。

 

今後の「Brilliantcrypto」のロードマップはご覧の通りとなっております。2025年9月期はPhase2への移行と、世界展開の強化を進める方針です。

 

こちらは「Brilliantcrypto」が掲げる中長期的な方針です。将来的に目指す「メタバース経済圏の確立」に向け、これまでにご説明した各種取り組みを進めてまいります。

 

 次にXRの2025年9月期の方針です。引き続き、サービス強化とBtoB領域の営業拡大に注力いたします。また、これまで培ってきた技術力や知見を活かし、シナジーある新規事業の創出に取り組みます。最新かつ高品質なXRのサービス提供を通じて、世の中に新たなソリューションの提供を目指してまいります。エンターテインメント事業の方針は以上でございます。

 

最後に投資育成事業の方針についてご説明いたします。「日本およびアジアのエンタメ、BtoC企業を中心に投資」することを基本方針に掲げ、知見のある分野、地域での集中的な投資により、グループ全体への業績貢献を目指してまいります。2025年9月期においてもこの基本方針を軸に、市場の動向を見極めながら投資ポートフォリオの拡充を図ってまいります。

以上、2024年9月期の決算に関するご説明となります。ご清聴ありがとうございました。

 

■質疑応答

Q:第 4 四半期業績について、エンターテインメント事業が赤字になった背景をお聞きしたい。
A:既存タイトルについては、逓減はあるものの、5 周年の「ドラゴンクエストウォーク」や 10 周年の「白猫プロジェクト」は想定通りのレンジであった。一方で、新作スマートフォンゲーム「フェスティバトル」のリリースに伴う広告費の大幅増と、ブロックチェーンゲーム「Brilliantcrypto」の事業本格化に伴うコストなどにより赤字での着地となった。

Q:「Brilliantcrypto」の評価と今後の見通しをお聞きしたい。
A:中長期的な目標の第一歩として掲げていた、デジタル宝石の価値創出が実現できていることから、滑り出しは好調と評価している。現在は費用が先行しているが、IEO で調達した 15 億円が会計の都合上、売上にまだ振り替わっていない影響も大きい。売上になる前の将来収益としての契約負債は、ユーザーのゲームプレイに伴って売上に振り替わる。

今後は海外各国への BRIL 上場をはじめとした更なるグローバル展開と、開発中の「ジュエリー工房」機能の実装を予定している。BRIL 売却による契約負債(将来収益)の確保と、ユーザー増加による売上の積み上げにより、中長期的な業績貢献を目指していく。

Q:投資育成事業の今後の見通しについてお聞きしたい。
A:事業開始直後に行った投資が収穫期にさしかかっているため、EXIT が徐々に増えてくると考えている。EXIT を増やす一方で、ビジネス構造上投資初期に発生する減損を抑えることも重要であり、市場環境にあわせて投資判断を厳しくすることで減損発生を抑え、継続的な利益確保を目指していく。

Q:コンシューマーゲーム分野への今後の取り組みについて、市場の動向と合わせてお聞きしたい。
A:コンシューマーゲームについては、株式会社エイティングや株式会社 MAGES.といったグループ会社を中心に取り組んでいくが、コロプラ単体としては引き続きモバイルゲームを中心に事業を展開していく。近年、コンシューマーゲーム、モバイルゲームともにマルチプラットフォーム化が進み、競争が激化しつつある。一方で「位置ゲー」に代表されるモバイル端末の特性を活かしたマーケットはあると考えている。コロプラが培ってきた技術を生かして、モバイルならではのゲーム体験を実現すること、またグローバルに強い IP を組み合わせることで、世界的なヒットを狙っていく。

株式会社コロプラ
https://colopl.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社コロプラ
設立
2008年10月
代表者
代表取締役会長 チーフクリエイター 馬場 功淳/代表取締役社長 宮本 貴志
決算期
9月
直近業績
売上高309億2600万円、営業利益28億5800万円、経常利益32億7600万円、最終利益18億9300万円(2023年9月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3668
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