ボルテージ<3639>の第3四半期(2014年1~3月期)の連結決算は、売上高26億1400万円(前四半期比2.8%増)、営業利益2億0600万円(同45%減)、経常利益2億0300万円(同49.8%減)、四半期純利益9100万円(同56.4%減)となった。売上高は四半期ベースで過去最高を更新した一方、営業利益については半期比較(QonQ)では大幅なマイナスとなった(以下、断りにない限り、前四半期との比較)。テレビCMを中心とする大規模なプロモーションや、ネイティブアプリの増加に伴い、プラットフォーム手数料が増加したことが主な要因だ。ただ、利益面では計画を大きく上回る結果となり、同社の横田晃洋社長(写真)は、個別取材で「仕様の実現や開発スケジュールの遅延などネイティブアプリの開発で苦労しているものの、全体としては良好な内容だった」と振り返った。以下、その取材をベースに決算をみていこう。
横田氏によると、第2四半期、特に年末にかけてに「特需的」に売り上げが伸びる傾向にあるという。これは過去の業績推移でも明らかだ。ただ、積み上げ型のビジネスに近いうえ、コンテンツでポートフォリオのようなものを組んでいるため、売り上げは四半期単位で大きく減ることもなく、大きく伸ばすとその次の四半期も続く傾向がある。ヒットタイトルの有無で収益が一変する他社とは収益のイメージが異なる点に注意が必要だ。特需的に伸びた直後の四半期にも関わらず売り上げが伸びたが、これは「王子様のプロポーズ」や「今宵、妖しい口づけを」などが貢献したとのことだった。いずれもプラットフォームのランキングでも上位に入った。
海外での売上高についてもまだ大きな比率ではないが、着実に伸びている。米国App Storeの売上ランキングでもエンターテイメントカテゴリーながら上位20タイトル中、6タイトル、そしてシンガポールでも9タイトルを占める状況となった。同社ではアメリカ子会社の開発したタイトルと、日本で開発したタイトルの英語版を海外で展開しているが、現在、日本で開発したタイトルが主流で、「日本のアニメのようなイラストだが、クリエイティブのクオリティが高いため、海外でも通用している」という。他方、サンフランシスコの米国子会社で開発しているタイトルは、「クオリティを高めている最中で、運営面でもPDCAをきちんと回せば、翻訳版を上回ることも可能」とみている。
他方、前四半期に比べて営業利益がマイナスとなった要因は、販売費及び一般管理費が20%伸びたことによる。テレビCMを中心とする大規模なプロモーション活動の結果、広告宣伝費が前四半期比で前四半期比で85%増の4億8400万円となった。今後の拡大に向けた先行投資といえよう。またキャリア公式サイトの売上比率が落ちる一方、ネイティブアプリやソーシャルアプリの売上比率が高まったことに伴い、販売手数料も2.8%増の7億7600万円に伸びた。
なお、これまでの費用面での推移をみていこう。売上原価と原価率の推移は以下のとおり。2012年10-12月期は原価率が20%台に抑えられていたが、原価率が30%台に上がっていることが分かる。
次のグラフは、2012年7-9月期以降の労務費と外注費の変動を見たものだが、2014年1-3月期の労務費は2012年7-9月期に比べて、約50%伸びた。原価及び原価率の上昇は、ビッグバン(開発スタッフの大幅増員)に伴う社内の開発者の増員によるものだ。
また、販売管理費のうち、広告宣伝費と販売手数料を示すものが以下のグラフだ。これをみると、広告宣伝費に関しては7-9月期に大きくなる傾向がある一方、販売手数料は増加傾向にあることがわかる。キャリア公式サイト経由の売り上げの比率が下がり、ネイティブアプリやソーシャルゲームプラットフォーム経由の売り上げが伸びていることを示唆している。
■第4四半期以降の見通し
第4四半期においては、「側ネイティブ」を含むネイティブアプリを中心にリリースしていく予定だ。サスペンスドラマアプリ『新・生存率0%!地下鉄からの脱出』を投入した。『新・生存率0%!地下鉄からの脱出』は、昨年リリースされたバージョンをリニューアルしたものだが、前回に比べて継続率が改善されたものの、それでも恋愛ドラマアプリに比べて課金率や継続率がまだ低いため、今後も改善に取り組んでいく考えだ。サスペンスへのニーズがあるため、今後も「半年に1本程度のペース」で継続的にリリースしていく予定。男性の比率がやや高めだが、バトルゲームやカードゲームほどの高いARPPUを目指すものではなく、女性向けの恋愛ドラマアプリに似たようなイメージを目指しているという。プロモーション面では、来期(2015年6月期)に向けて新しいテレビCMなども検討していくとのこと。
2014年6月通期の業績予想は変更していないが、第3四半期までの実績から計算すると、第4四半期(2014年4~6月期)の業績見通しは、売上高25億4800万円(前四半期比2.5%減)、営業利益2800万円(同86.4%減)、経常利益400万円(同98.0%減)、四半期純損益400万円の赤字(前四半期は9100万円黒字)となる。業績予想を変更しなかった理由については、ネイティブアプリの収益見通しが立てづらいためだ。モバイルゲームは、環境の変化が激しいうえ、売り上げが読みづらいだけでなく、開発が計画通りに進まない可能性も考慮した模様だ。消費増税の影響については、月額のキャリア公式サイトで若干の影響が出ているものの、その他のプラットフォームで提供するタイトルへの影響は特に見られないとのこと。
【ボルテージの四半期売上高・営業利益の推移(単位:千円)】
横田氏によると、第2四半期、特に年末にかけてに「特需的」に売り上げが伸びる傾向にあるという。これは過去の業績推移でも明らかだ。ただ、積み上げ型のビジネスに近いうえ、コンテンツでポートフォリオのようなものを組んでいるため、売り上げは四半期単位で大きく減ることもなく、大きく伸ばすとその次の四半期も続く傾向がある。ヒットタイトルの有無で収益が一変する他社とは収益のイメージが異なる点に注意が必要だ。特需的に伸びた直後の四半期にも関わらず売り上げが伸びたが、これは「王子様のプロポーズ」や「今宵、妖しい口づけを」などが貢献したとのことだった。いずれもプラットフォームのランキングでも上位に入った。
海外での売上高についてもまだ大きな比率ではないが、着実に伸びている。米国App Storeの売上ランキングでもエンターテイメントカテゴリーながら上位20タイトル中、6タイトル、そしてシンガポールでも9タイトルを占める状況となった。同社ではアメリカ子会社の開発したタイトルと、日本で開発したタイトルの英語版を海外で展開しているが、現在、日本で開発したタイトルが主流で、「日本のアニメのようなイラストだが、クリエイティブのクオリティが高いため、海外でも通用している」という。他方、サンフランシスコの米国子会社で開発しているタイトルは、「クオリティを高めている最中で、運営面でもPDCAをきちんと回せば、翻訳版を上回ることも可能」とみている。
他方、前四半期に比べて営業利益がマイナスとなった要因は、販売費及び一般管理費が20%伸びたことによる。テレビCMを中心とする大規模なプロモーション活動の結果、広告宣伝費が前四半期比で前四半期比で85%増の4億8400万円となった。今後の拡大に向けた先行投資といえよう。またキャリア公式サイトの売上比率が落ちる一方、ネイティブアプリやソーシャルアプリの売上比率が高まったことに伴い、販売手数料も2.8%増の7億7600万円に伸びた。
なお、これまでの費用面での推移をみていこう。売上原価と原価率の推移は以下のとおり。2012年10-12月期は原価率が20%台に抑えられていたが、原価率が30%台に上がっていることが分かる。
【売上原価と原価率の推移(単位:千円/%)】
次のグラフは、2012年7-9月期以降の労務費と外注費の変動を見たものだが、2014年1-3月期の労務費は2012年7-9月期に比べて、約50%伸びた。原価及び原価率の上昇は、ビッグバン(開発スタッフの大幅増員)に伴う社内の開発者の増員によるものだ。
【労務費と外注費の推移(単位:千円)】
また、販売管理費のうち、広告宣伝費と販売手数料を示すものが以下のグラフだ。これをみると、広告宣伝費に関しては7-9月期に大きくなる傾向がある一方、販売手数料は増加傾向にあることがわかる。キャリア公式サイト経由の売り上げの比率が下がり、ネイティブアプリやソーシャルゲームプラットフォーム経由の売り上げが伸びていることを示唆している。
【広告宣伝費と販売手数料の推移(単位:千円)】
■第4四半期以降の見通し
第4四半期においては、「側ネイティブ」を含むネイティブアプリを中心にリリースしていく予定だ。サスペンスドラマアプリ『新・生存率0%!地下鉄からの脱出』を投入した。『新・生存率0%!地下鉄からの脱出』は、昨年リリースされたバージョンをリニューアルしたものだが、前回に比べて継続率が改善されたものの、それでも恋愛ドラマアプリに比べて課金率や継続率がまだ低いため、今後も改善に取り組んでいく考えだ。サスペンスへのニーズがあるため、今後も「半年に1本程度のペース」で継続的にリリースしていく予定。男性の比率がやや高めだが、バトルゲームやカードゲームほどの高いARPPUを目指すものではなく、女性向けの恋愛ドラマアプリに似たようなイメージを目指しているという。プロモーション面では、来期(2015年6月期)に向けて新しいテレビCMなども検討していくとのこと。
2014年6月通期の業績予想は変更していないが、第3四半期までの実績から計算すると、第4四半期(2014年4~6月期)の業績見通しは、売上高25億4800万円(前四半期比2.5%減)、営業利益2800万円(同86.4%減)、経常利益400万円(同98.0%減)、四半期純損益400万円の赤字(前四半期は9100万円黒字)となる。業績予想を変更しなかった理由については、ネイティブアプリの収益見通しが立てづらいためだ。モバイルゲームは、環境の変化が激しいうえ、売り上げが読みづらいだけでなく、開発が計画通りに進まない可能性も考慮した模様だ。消費増税の影響については、月額のキャリア公式サイトで若干の影響が出ているものの、その他のプラットフォームで提供するタイトルへの影響は特に見られないとのこと。
会社情報
- 会社名
- 株式会社ボルテージ
- 設立
- 1999年9月
- 代表者
- 代表取締役社長 津谷 祐司
- 決算期
- 6月
- 直近業績
- 売上高34億5600万円、営業損益9400万円の赤字、経常利益1500万円、最終利益500万円(2024年6月期)
- 上場区分
- 東証スタンダード
- 証券コード
- 3639