『神撃のバハムート』をはじめ、『三国志パズル大戦』や『アイドルマスター シンデレラガールズ』など、数々のソーシャルゲームの企画・開発・運営を行うCygames。2011年5月にサイバーエージェントグループとして設立された同社は、2013年9月期決算公告の最終損益が、前期(2012年9月期)と比べて2倍近い増収増益を見せるなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで成長している。
また、“ブラウザゲームの限界に挑戦”と謳った大作RPG『グランブルーファンタジー』では早くも登録ユーザー数が100万人を突破、「Mobage」総合ランキングで首位を獲得するなど、大ヒットしている。
Cygamesでは、現在、2016年度のインターンシップ生のエントリーを開始している。本稿では、『グランブルーファンタジー』のエンジニアとして活躍するCygames2013年度入社の3人に、同社の魅力や志望動機、そして開発現場の雰囲気を赤裸々に語ってもらった。
■ 新卒でも大役を…。Cygamesの大胆な人材育成方法
株式会社Cygames
『グランブルーファンタジー』エンジニア
■JUN
最終学歴:電気通信大学 電気通信学部 情報通信工学科
学生時代主に学んだこと:電気回路や電磁気学
職種:フロントエンドエンジニア
趣味:アプリ開発
座右の銘:やればできる!
■NAOKI
最終学歴:東京農工大学 工学部 情報工学科
学生時代主に学んだこと:情報ネットワーク工学 システム情報学 自然言語情報学
職種:バックエンドエンジニア
趣味:ゲーム、プログラミング、webサイト制作
座右の銘:継続は力なり
■HIRO
最終学歴:東京大学大学院 情報理工学系研究科 コンピュータ科学専攻
学生時代主に学んだこと:計算機科学、自然言語処理、バイオインフォマティクス
職種:フロントエンドエンジニア
趣味:プログラミング
座右の銘:温故知新
――:よろしくお願いします。まずみなさんがCygamesを選んだ志望動機からお聞かせください。
JUN:もともと私は、学生時代から自分でゲームを制作していました。就職活動をしていた当時は、ちょうどソーシャルゲームが盛り上がりを見せていたときで、こんなに多くのユーザーからゲームのフィードバックがあるのは、非常に魅力的だと感じ、自分もソーシャルゲームを作りたいと思いました。
じつは「最高のコンテンツを作る」というコーポレートビジョンに感銘を受けていて、就職活動当初から本命はCygamesでした。私も自分でゲームを作っていたときは、「納得できるまでこだわり抜いて作品を制作する」という意識を持っていたため、自分のゲーム作りに対する考え方と、Cygamesの考えとがマッチしたのが一番の志望動機です。
NAOKI:私は当初WEBデザイナー志望でした。学生時代は自身でホームページなどを制作し、アクセスカウンターが増えていく過程が楽しくて、当時から“自分の作ったものが人から見てもらえる”ことに対して喜びを感じていました。
しかし、それ以上にゲーム好きだったためソーシャルゲームのエンジニアを志望することにしました。Cygamesの面接では人事の方の対応が非常に良かったということもあり、次第に入社したいという思いが強くなりました。また、新卒入社としての第1期生ということで、自分自身、今後大きく成長できる良いタイミングだということも考慮し志望しました。
HIRO:私は当初データマイニングエンジニア志望でした。Cygamesに対しては、『神撃のバハムート』や『アイドルマスター シンデレラガールズ』などを制作しており、非常に多くのユーザーから支持されている企業、という印象でした。そのためデータマイニングとして働くには非常にやりがいのある環境だということ、また、その仕事に注力できる体制が整っていることもCygamesを選んだ理由です。
――:みなさんは2013年4月に入社されていますが、実際に『グランブルーファンタジー』の開発現場に配属されたのはいつ頃でしょうか。
JUN:私とNAOKIは研修を終えて、すぐ配属されたので2013年の6月頃です。
HIRO:私は入社時、技術管理部門に所属していました。開発現場に正式に配属されたのは2013年の9月頃です。
――:なるほど。割と早い段階で大作に関わることができたのですね。ちなみに『グランブルーファンタジー』で担当されている内容を、詳しく教えていただけますか。
JUN:私はフロントエンドエンジニアとして携わっています。主にデザイナーが制作したキャラクターやデザインパーツを、指示された内容に沿ってプログラムに組み込む作業を担当しています。たとえば「ここのボタンを押したら、こういう挙動にして欲しい」や「このキャラクターをこういう感じで動かして欲しい」などの要望をプログラムに組み込み、ゲームの動きを表現しています。
NAOKI:JUNはフロントエンド側の実装を担当していますが、主に私はバックエンド側を担当しています。フロントエンド側から来た値を基に計算を行い、画面にどのような動きをさせるかをプログラムによってフロントエンド側に返す作業を担当しています。その他にもバトル中に発動するキャラクターのアビリティ部分も担当していて、特定のアビリティを発動したら、一定の状態異常が付与するところまで私がプログラミングしています。
HIRO:私はサウンドまわりを担当しています。サウンドチームから「このタイミングでボイスを流してほしい」という要望や可能な限りハイクオリティで楽曲が鳴るようプログラムし、実装するところまで担当しています。まだまだ改善しなければならない点がありますが、ユーザーの皆さんに素晴らしいサウンドで『グランブルーファンタジー』を楽しんでいただくために努力しています。
――:Cygamesの技術的面についてはいかがでしょう。
HIRO:最大の特徴は高い技術力を個々が持ち合わせているということではないかと感じています。
Cygamesのコンテンツは累計登録ユーザー数が5,000万人を突破しており、その膨大なデータベースを処理できる技術を持った人や、CSSでインパクトのある表現力のUIを手掛ける人など、個々の技術力はバランス良く高水準にまとまっていると思います。
また、設立当初からCygamesタイトルを遊んでくださっているユーザーも大切に考えているため、仕様追加やデザイン変更を過剰に行わず、何よりもバグによってユーザーのプレイ体験を損なうことのないようにする、ということを常に意識して開発しています。
――:分かりました。それでは、せっかく『グランブルーファンタジー』のエンジニアさんたちがそろい踏みされているので、本作の魅力について教えてください。
JUN:やはりサウンドですね。すべてのサウンドを鳴らすことができるように開発したおかげで、これまでのブラウザゲームからワンランク上の作品となり、コンシューマ並のクオリティに近づいたと思っています。また、ブラウザゲームでボイスと音楽、そして効果音を同時に鳴らす技術力を世の中にアピールすることができたという面でも、自信を持って提供できる作品になったと思います。
HIRO:やはり技術的なところに魅力を感じます。ソーシャルゲーム業界では、長年Flashの技術が多用されてきましたが、ここ最近はAndroidやiPhoneでFlashを使うことができなくなってきました。それを代替するための技術としてCreateJSというライブラリがあり、これを『グランブルーファンタジー』ほど多用しているブラウザゲームはあまり無いと思っています。
NAOKI:私はバトル部分です。特にマルチバトルで、全体にステータスを与えるスキルを使用すると、他プレイヤーのキャラクターにも影響があるなど、全員で戦っている一体感を違和感なく表現できているのが魅力です。私自身がバトル部分の実装を担当していることもあり、一番のポイントだと思っています。このバトルシステムを実現するのに大変苦労しました。『グランブルーファンタジー』をもっと楽しんでいただくために今後も改善していきますので、ぜひバトル部分には注目していただきたいと思います。
――:『グランブルーファンタジー』の売りとも言える「マルチバトル」を支えるのは、さぞご苦労がおありかと思います。そういえば、2013年12月にクオリティアップのご判断をされた際も「マルチバトル」が中心とお聞きしました。現場での状況はいかがでしたか。
NAOKI:バトルの裏側のクラス設計は、その時期に大きく変わりました。当時はデータベースの負荷が高く、またプログラムも複雑でバグの原因になりやすかったのが問題でした。
もともとシングルプレイの拡張版としてマルチバトルが存在するため、同じファイルにプログラムを書いていたものを、すべてシングルとマルチに分ける必要がありました。お互いが影響しない形でのプログラム作成を完了させたのが、だいたい2014年1月頃だったと思います。
――:いやはや、お疲れさまです。みなさんが入社されて1年と数ヵ月経過していますが、振り返ってみて仕事面での苦労はありましたか。
JUN:トライ&エラーの毎日です。たとえば、完成したバトル画面を次の週には大きく変更することもあるため、スピード感を持って作業をすることを求められることが多々あり、慣れるまでは大変でした。
しかし、コーポレートビジョンにもあるように「最高のコンテンツを作る」ためには、絶対必要な意識だと思い仕事に取り組んできました。その中で、自分の作っている作品がどんどん良いものに仕上がっていくのは嬉しかったです。また、開発中は月に1回のペースで役員陣によるレビュー会があり、そこで良い評価があがったりすると達成感もひとしおでした。
振り返ってみれば、入社したばかりの新卒であるにも関わらず『グランブルーファンタジー』というビッグタイトルに携わらせてもらうことができ、さらにRPGでメインパートとも言うべきバトル部分を担当させてもらえたことには驚きました。それはCygamesという企業の器の大きなところだと思います。
HIRO:私は現在『グランブルーファンタジー』でサウンドまわりと、リアルタイム通信を担当しているのですが、入社当時は両方ともあまり社内にノウハウが蓄積されていない技術で正直、私自身も初めて携わる作業でした(苦笑)。それを新卒の私一人に実装まで任せてくれるのですから大英断だったと思います。先輩エンジニアの方たちに助けてもらいながら実装し、非常に苦労しましたが、貴重な経験をさせてもらったと感謝しています。
NAOKI:研修が2013年6月頃に終わったあと、最初の1~2週間は様々なコードを勉強するところから始まりました。今ではかなりのレベルにまでスキルアップし、先輩方から「このアビリティ作ってみて」と依頼されるようになりました。
私も当時は入社したばかりにも関わらず、すぐに大きな仕事を任されたため正直驚きましたが、先輩方にやり方を教わりながらやり遂げることができました。責任の大きな仕事を任されたプレッシャーはありましたが、逆にやる気さえあれば、新卒でも大きな仕事を任せてもらえるチャンスを勝ち取ることができる会社ですね。
■ Cygamesのエンジニアが想い描く未来像
――:みなさんの1日のスケジュールを教えてください。
JUN:始業は朝10時です。まず朝会があり、その後は自分のやるべきタスクに対応していきます。13~14時のランチ後は昼会でエンジニアが集まり、作業や問題の共有をします。そして自分の作業に戻り、業務終了時の日報を書いて退社します。帰宅時間は時期によって異なりますね。
――:社内環境についてはいかがですか。
NAOKI:設備は最高です。座り心地の良い椅子をはじめ、ディスプレイからマウス、キーボードにいたるまで、自身が使いたい機材はすぐに用意してもらえます。
HIRO:そうですね。たとえば、私はFlashを使って作業することはほとんどないのですが、ちょっと編集しないといけない素材があるというだけで編集用のソフトが導入されました。あと、お客様の問い合わせに珍しいタブレットがあった場合は、検証のためすぐに取り寄せてくれるなど、業務を円滑に進めるための環境作りへの対応は素晴らしいと思います。
――:『グランブルーファンタジー』に対するユーザーからの感想についてはいかがでしょうか。
JUN:やはりTwitterで「面白い」という意見があると、「よっしゃー!」ってなりますね(笑)。特に自分の作ったバトルコマンドについて「ここがすごい」という発言があったりすると、本当にやりがいと達成感を感じることができます。
NAOKI:レビューなどをよくチェックしているのですが、想定以上に多くのユーザーにプレイしていただいていることもあり、中には古い機種の端末を使用されているユーザーもいらっしゃいます。そのため、そういった機種をお使いの方から「バトル画面が重い」というご意見を頂くことがあります。遊んでいただいているすべての皆さんに快適にプレイして頂きたいとの思いから、常に軽量化に向けて改善しています。
あとは個人的に『グランブルーファンタジー』をプレイしているとき、ふとフレンドのプロフィール画面を見てみると、一言コメントの欄に「『グランブルー』楽しい」という書き込みを見つけたことがあったりします。そういったユーザーからの何気ないお褒めの一言は、本当にありがたいですね。
――:Cygamesを志望する方たち、特にエンジニアを志望される方に向けて、「こういう技術的なスキルを持っておいたほうがいい」というものはありますか。
JUN:『グランブルーファンタジー』ですとJavaScriptに強いといいかもしれません。ただ、スキルというよりも本当に必要な資質はコミュニケーション力だと思います。よく現場ではプランナーさんとコミュニケーションを取りながら開発を進めていくため、最低限のコミュニケーション能力と積極性が必要ですね。むしろ、こちらのほうが重要です。
NAOKI:バックエンド側を目指すのであれば、データベースまわりに強いと武器になりますね。やはりユーザー数が多いためデータベースに負荷がかかることが多く、いかに負荷を軽減させる方法を知っているかが重要です。
HIRO:「基礎力」を身に付けることだと思います。会社ではひとつのことだけをやっていれば良いということはなく、エンジニアとしてサウンドまわりやリアルタイム通信を並行して担当するといったように、複数の業務に対応しなければなりません。その際、この「基礎力」を身に付けておけば、様々な要求に対してすぐに対応することができると思います。
――:みなさんの今後の目標などは。
JUN:いずれはゲーム作りに必要な様々なスキルを身につけて、自分一人でもゲームを作れるようになりたいですね。今自分が担当しているバックエンド側はもちろん、フロントエンド側やイラストなどのデザインもできるようになって、一人でもゲーム作りを手掛けることができるマルチプレイヤーになれるよう努力しています。
NAOKI:先輩からよく言われるのですが、「作るのは簡単。それをいかに軽量化してユーザーに快適なプレイ環境を提供できるか」という指針を持って頑張っています。一年前と比べ自分でも成長していると感じていますが、『グランブルーファンタジー』のような大作ですとユーザー数も多く、先ほどの話にも出たように中には古い機種をお使いの方もいることから、すべてのユーザーに快適な環境を提供することが常に課題として残ります。その課題を解決すること、今後もそこを目標にしていきます。
HIRO:弊社の取締役CTOである芦原からはよく、「Cygamesのエンジニアはジェネラリストであり、かつスペシャリストであれ」と言われます。もともと私はジェネラリストとしてのエンジニアになりたかったということもあり、フロントエンド側やバックエンド側、データマイニングなど、様々な技術に興味がありました。その中でも突出した得意分野のスキルを維持しつつ、ほかの分野でも通用するようなフィールドプレイヤーになっていきたいと思います。同時に自身のスキルを他の人にも共有し、ともに成長できるような人間になりたいですね。
――:それでは、最後にCygamesで働くことを目指している新卒者に向けて、メッセージ……というよりも、何かアドバイスをお願いします。
JUN:新しい技術を用いて、多くのユーザーにゲームとしての面白さを提供できるCygamesは、本当にやりがいのある会社であると思います。同時に、業界の最先端を担っていくことができる会社でもあります。「最高のコンテンツを作る」という目標を持っている方は、ぜひCygamesの門を叩いてきてください。
NAOKI:恐らくエンジニア志望の方だと、「どこまでついていけるか…」という自分の技術力不足を不安に思うことがあるでしょう。しかし、Cygamesであれば技術は後からいくらでも習得できる環境と機会がたくさんあります。ですから技術力不足や経験の長さなどをそんなに気にしなくていいと思います。人一倍のやる気とゲーム好きであれば大丈夫です! ぜひトライしてみてください。
HIRO:就職活動で大変かと思いますが、ぜひ学生生活を謳歌して欲しいと思います。Cygamesには、本当に面白い社員の方がたくさんいます。その面白さや人柄は、その人が歩んできた“人生”そのものの表れだと思います。「Cygamesに入るから」ではなくて、「自分はこういう人生を歩んできた面白い人間。だから面白い人間がたくさんいて、面白いコンテンツが作れるCygamesに入りたい」という気持ちを持つことが大切かもしれません。学生のうちに、今できることを精一杯やってみてください。
――:本日はありがとうございました。
■『グランブルーファンタジー』
©Cygames, Inc.