コロプラ<3668>は、7月30日、第3四半期(13年10月~14年6月期)の決算説明会を東京都内で開催した。同日発表した第3四半期決算は、売上高は前年同期比3.7倍の377億円、営業利益は同5倍の169億円、経常利益は4.9倍の169億円、純利益は4.9倍の95億円と大幅な増収増益を達成した。『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』や『軍勢RPG 蒼の三国志』といった既存タイトルが持続的な成長に加え、『スリングショットブレイブズ』と『ほしの島のにゃんこ』が収益を押し上げた。
同時に、2014年9月期の業績予想を上方修正し、売上高は従来予想を70億円(16%)上回る520億円、営業利益は同47億円(26%)上回る227億円、純利益は24億円(25%)上回る124億円にそれぞれ引き上げた。
決算説明会に臨んだ馬場功淳社長(写真)は、修正計画について、「第4四半期の売り上げは第3四半期と同じ水準と想定している。広告宣伝費も増えるため、営業利益はQonQ(前四半期比)で減益となる計画だ」と語った。ただし、「既存タイトルのDAU(日次アクティブユーザー数)は低下する前提。また『白猫プロジェクト』は、好調な滑り出しだが、業績予想には加味していない」とし、保守的な計画であることを強調した。決算説明会では、『白猫プロジェクト』への質問が相次いだ(以下、特に断りがない限り、カッコ内の発言は馬場氏)。
■クイズと三国志が予想以上の伸び
まず、第2四半期(1~3月期)の業績を振り返っておこう。第2四半期では、売上高が前四半期比で11.6%増の123億6000万円、営業利益が同9.0%増の53億2600万円となり、増収増益を達成した。四半期ベースで過去最高の業績となったものの、2013年10~12月期の強烈な伸びに比べると収益の伸びが鈍化し、市場関係者からは「季節的なものがあるとはいえ、やや物足りない」という声が聞かれたのも事実だった。
今回発表された第3四半期(4~6月期)は、売上高が前四半期比で15.7%増の142億9700万円、営業利益が同26.7%増の67億5000万円となった。過去最高を更新するとともに、2ケタの伸びを達成し、成長鈍化懸念を払拭するものとなった。営業利益率も47.2%となり、上場後の最高率。『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』や『軍勢RPG 蒼の三国志』の伸びに加え、『ほしの島のにゃんこ』と『スリングショットブレイブス』が「及第点」といえる収益だったことによる。
とりわけ、『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』や『軍勢RPG 蒼の三国志』について、「想定以上に好調だった。DAUが伸びるとともに、課金率(DAUあたり課金者比率)が大きく向上したことが大きかったと考えている。課金ユーザーの裾野が全体的に広がった」と振り返った。
全体のQAU(ダウンロードから7日以上経過したユーザーを対象に集計した四半期アクティブユーザー数)は、前四半期比20.7%増の約572万と大きく伸びた。『ほしの島のにゃんこ』が押し上げたことによる。QAUあたりの売上高(ARPQU)は、QAUが20%伸びたにも関わらず、前四半期比2.6%減の2350円と高い水準を維持した。
新作のリリースが遅れ、広告宣伝費が前四半期比でマイナスとなったことも営業利益を押し上げる要因となった。いわば予定していた広告宣伝費を次の四半期に持ち越したことが影響したのだ。このため、第4四半期(7~9月期)は、後述のように大島優子さんを起用した『白猫プロジェクト』のテレビCMを打つなど、新規タイトルを中心に積極的な広告宣伝を行っていく予定。
ちなみに、コロプラでは広告宣伝費について通期売上の10%以内にするルールを定めているが、取締役CSOの長谷部潤氏(写真)は「大きな効果が出るとわかっていて、かつこのルールが手かせ・足かせになっていると判断した場合、ルール自体を見直す可能性もある。ただし、今期中は現在のルールで運用していく。早くても来期(2015年9月期)からになるだろう」と語った。
なお、第3四半期の売上構成をみると、収益の柱であるスマホネイティブアプリが引き続き伸び、95%から96%に上昇した。一方、位置ゲームプラットフォーム事業は5%から3%に低下した。内製ゲームが不振となる一方、LAP(位置情報ゲームを提供する外部デベロッパー)アプリの売上高が大きく落ち込んだことによる。「Colopl Party」第一弾アプリも立ち上がりが不調とのことだった。
■役割が変わる「Kuma tha Bear」
ライトアプリ群「Kuma tha Bear」は、MAU(月間アクティブユーザー数)が150万件台とピーク時の半分程度まで落ち込んだ。この点について、馬場氏は「Kuma tha Bear」の役割が変化していると説明した。これまで集客目的だったが、4月入社の新卒研修の成果として2タイトルをリリースするなど開発者育成という側面が出てきている。
また「当社は新作については新しい遊び、楽しさを重視しているが、開発費が大きくなる中、新しい要素だからといって、いきなりそれで開発するのは危険だ。新しく考えたコアアクションを取り入れたカジュアルゲームを出して、ユーザーの反応を見ている」。つまり、実験・検証といった側面が強くなっているとのことだった。
ただし、『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』で新作の事前登録を行った結果も良好で、自社アプリからの送客は落ち込んでいるわけではないとも述べた。
■7タイトルの新作を開発中
新作タイトルについては、すでに第4四半期で2タイトルがローンチされたが、未発表で開発中のアプリは、7タイトルになっているとのこと。「新作についてはユーザーにどういった新しさを提案できるか、届けるのかを重視している。今後出てくるタイトルは変わり種のものが出てくる。次に出るタイトルは、半年前に『半年から1年後には、このジャンルのタイトルが来るはずだ』と考えて狙ったタイトルになる」。
これ以外にも「コロプラらしくないタイトルも出す。ユーザーにとっては新しくないかもしれないが、われわれにとって新しいものだ」と語る。これ以外にも「会社設立以来、イラストなどを除いて内製で開発していたが、完全に外部の会社に開発を依頼するタイトルも出す予定だ。社内リソースだけでは出せない、新しいタイトルになる」という。
■質疑応答(1) 『白猫プロジェクト』について
業績予想を上方修正したものの、『白猫プロジェクト』などの収益を加味しなかった理由はなぜか。馬場氏は、「『白猫プロジェクト』はローンチ後、2週間が経過した。当社は、これまでのオンラインアプリの実績に基づいてモデル式をきっちりと作成し、業績への寄与を予測している。ところが、これまでのモデル式に『白猫』を当てはめると、とんでもない数字になってしまう。モデル式の見直しさえ必要かもしれず、そのため、今回はあえて業績予想には入れなかった」と語った。
この点について、改めて会場から質問が出たが、馬場氏は、「リリース直後ということもあり、課金施策は実施していない。そのため、なぜこんなに売り上げが出ているのかわからない。何かの間違いではないかと話し合ったほどだ。そして、初動でこんなに売り上げが出たのは、ゲームのクオリティに感動して初めだけお金を使ってくれただけかもしれず、今後もこの状況が続くとは限らないのではないか、とさえ考えた。状況を分解しきれないものは予測に入れられない」と回答した。
長谷部氏は、補足として「具体的な数字は開示できないが、24ページのバブルチャートで示すと、リリース後、間もないため課金率はまだ低いが、ARPPUに関しては『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』と『軍勢RPG 蒼の三国志』の間くらいになる。つまり、課金率は直近の『スリングショットブレイブス』より良い。特筆すべきは円の大きさ(=DAU)で、『ほしの島のにゃんこ』の3月と6月の間に位置するイメージになる。iOSバージョンを入れたばかりの時期であり、まだその寄与の少なさを考えると、想定をはるかに上回る」と説明した。
続いて『白猫プロジェクト』がユーザーから評価されている要因についての質問も出た。これに関して、あるレビューサイトの記事で、(1)「ぷにコン」が従来のアクションゲームで使われていたバーチャルパッドの弱点を克服する操作方法だったこと、(2)純粋なアクションRPGに仕上がっていること、(3)ハイクオリティなゲームでありながら、データ容量が大きすぎず、ユーザーに与えるストレスが少ないことが指摘されていると紹介した。
馬場氏個人の感想として、「スマホで本格的なアクションゲームが楽しめるという新しい体験がユーザーから評価されたのではないか。業界内ではこのジャンルのゲームは流行しないといわれてきたが、もしこのゲームがヒットすれば、必ずしもそうではないと示すこともできると思う。この2年間で蓄積したノウハウと技術をうまくいかすことができた」と語った。そしてその他の要因として、4人で一緒に戦うリアルタイム通信や、システムトラブルが発生していないこともあげた。
このほか、リリースの遅れに関する質問も出た。この点について、馬場氏は「ご迷惑をおかけして本当に申し訳ない。1年間、白猫は自信作であるとお伝えし続けてきて、しかも発表してからも1週間遅れてしまった」と反省しつつ、「当社にかぎらず、業界的にも開発の遅延が目立ってきている」と明かした。その理由として、「開発している途中、類似したアプリや良質なアプリが出ると、作り直す部分も出てくるからだ。白猫に関しては、それに加えて社内でレビューを徹底して行い、様々な意見を反映させた」と回答した。
なお、『白猫プロジェクト』については、元AKB48で女優の大島優子さんを起用したテレビCMを放映することも明らかされた。テレビCMは、8月1日より放映される予定。白猫を彷彿とさせる全身白の衣装に身を包んだ大島優子さんが次世代インターフェース「ぷにコン」の操作性を中心にバトル、街づくり、ストーリーといったゲームの特徴を伝えるという(関連記事)。「大幅なユーザーの増加に備えて、弊社のスーパーエンジニアたちがチームを組んでサーバーのチューニングに取り組んでいる」とテレビCMによるユーザー増への備えができていることを示した。
■質疑応答(2) 海外市場への取り組み
海外市場への取り組みについても複数質問がでた。まず『魔法使いと黒猫のウィズ』の中国展開を行っているが、この状況についての質問が出た。長谷部氏は「中国市場での展開については思わしくない。クイズというジャンルの難しさがあるし、国によってクイズの難易度を適切に調整しなくてはならないからだ。むしろ三国志の方が良好な結果が出ている」と回答した。
続けてコロプラとしてのその他の市場への取り組みについては、『スリングショットブレイブス』と『ほしの島のにゃんこ』の効果で第3四半期の海外DAUが大きく伸びているものの、継続率とARPPUなどは日本とは比較にならないほど低い。「どういうことをするとDAUが伸びるのか、そのノウハウができたことは収穫だ」と述べた。
国・地域別のプライオリティについては、「業界としてアジア市場を重視する会社が多いが、英語版を直接リリースする方が数字としても良好が出ている。アジアの場合、パートナー企業を介して展開しているため、グリップが効きづらい」と語った。
■質疑応答(3)日本で一番をとりたい
最後に来期の大きな目標についても聞かれた。「我々がまだやっていないことがある。それは1位を取ることだ。できれば世界で1位をとりたいが、短期・中期的にはなんとしても日本で1位をとりたい。海外についても表現力の高いアプリが出せるようになり、技術力では海外のアプリには引けをとらないと自負している。特に『白猫プロジェクト』は、アジアでも新しいゲームとして受け入れてもらえるかもしれない。とはいえ、私の仕事は、もっと新作を作ること。まずはそれに注力していきたい」と語り、決算説明会を締めくくった。
同時に、2014年9月期の業績予想を上方修正し、売上高は従来予想を70億円(16%)上回る520億円、営業利益は同47億円(26%)上回る227億円、純利益は24億円(25%)上回る124億円にそれぞれ引き上げた。
決算説明会に臨んだ馬場功淳社長(写真)は、修正計画について、「第4四半期の売り上げは第3四半期と同じ水準と想定している。広告宣伝費も増えるため、営業利益はQonQ(前四半期比)で減益となる計画だ」と語った。ただし、「既存タイトルのDAU(日次アクティブユーザー数)は低下する前提。また『白猫プロジェクト』は、好調な滑り出しだが、業績予想には加味していない」とし、保守的な計画であることを強調した。決算説明会では、『白猫プロジェクト』への質問が相次いだ(以下、特に断りがない限り、カッコ内の発言は馬場氏)。
■クイズと三国志が予想以上の伸び
まず、第2四半期(1~3月期)の業績を振り返っておこう。第2四半期では、売上高が前四半期比で11.6%増の123億6000万円、営業利益が同9.0%増の53億2600万円となり、増収増益を達成した。四半期ベースで過去最高の業績となったものの、2013年10~12月期の強烈な伸びに比べると収益の伸びが鈍化し、市場関係者からは「季節的なものがあるとはいえ、やや物足りない」という声が聞かれたのも事実だった。
今回発表された第3四半期(4~6月期)は、売上高が前四半期比で15.7%増の142億9700万円、営業利益が同26.7%増の67億5000万円となった。過去最高を更新するとともに、2ケタの伸びを達成し、成長鈍化懸念を払拭するものとなった。営業利益率も47.2%となり、上場後の最高率。『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』や『軍勢RPG 蒼の三国志』の伸びに加え、『ほしの島のにゃんこ』と『スリングショットブレイブス』が「及第点」といえる収益だったことによる。
とりわけ、『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』や『軍勢RPG 蒼の三国志』について、「想定以上に好調だった。DAUが伸びるとともに、課金率(DAUあたり課金者比率)が大きく向上したことが大きかったと考えている。課金ユーザーの裾野が全体的に広がった」と振り返った。
全体のQAU(ダウンロードから7日以上経過したユーザーを対象に集計した四半期アクティブユーザー数)は、前四半期比20.7%増の約572万と大きく伸びた。『ほしの島のにゃんこ』が押し上げたことによる。QAUあたりの売上高(ARPQU)は、QAUが20%伸びたにも関わらず、前四半期比2.6%減の2350円と高い水準を維持した。
新作のリリースが遅れ、広告宣伝費が前四半期比でマイナスとなったことも営業利益を押し上げる要因となった。いわば予定していた広告宣伝費を次の四半期に持ち越したことが影響したのだ。このため、第4四半期(7~9月期)は、後述のように大島優子さんを起用した『白猫プロジェクト』のテレビCMを打つなど、新規タイトルを中心に積極的な広告宣伝を行っていく予定。
ちなみに、コロプラでは広告宣伝費について通期売上の10%以内にするルールを定めているが、取締役CSOの長谷部潤氏(写真)は「大きな効果が出るとわかっていて、かつこのルールが手かせ・足かせになっていると判断した場合、ルール自体を見直す可能性もある。ただし、今期中は現在のルールで運用していく。早くても来期(2015年9月期)からになるだろう」と語った。
なお、第3四半期の売上構成をみると、収益の柱であるスマホネイティブアプリが引き続き伸び、95%から96%に上昇した。一方、位置ゲームプラットフォーム事業は5%から3%に低下した。内製ゲームが不振となる一方、LAP(位置情報ゲームを提供する外部デベロッパー)アプリの売上高が大きく落ち込んだことによる。「Colopl Party」第一弾アプリも立ち上がりが不調とのことだった。
■役割が変わる「Kuma tha Bear」
ライトアプリ群「Kuma tha Bear」は、MAU(月間アクティブユーザー数)が150万件台とピーク時の半分程度まで落ち込んだ。この点について、馬場氏は「Kuma tha Bear」の役割が変化していると説明した。これまで集客目的だったが、4月入社の新卒研修の成果として2タイトルをリリースするなど開発者育成という側面が出てきている。
また「当社は新作については新しい遊び、楽しさを重視しているが、開発費が大きくなる中、新しい要素だからといって、いきなりそれで開発するのは危険だ。新しく考えたコアアクションを取り入れたカジュアルゲームを出して、ユーザーの反応を見ている」。つまり、実験・検証といった側面が強くなっているとのことだった。
ただし、『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』で新作の事前登録を行った結果も良好で、自社アプリからの送客は落ち込んでいるわけではないとも述べた。
■7タイトルの新作を開発中
新作タイトルについては、すでに第4四半期で2タイトルがローンチされたが、未発表で開発中のアプリは、7タイトルになっているとのこと。「新作についてはユーザーにどういった新しさを提案できるか、届けるのかを重視している。今後出てくるタイトルは変わり種のものが出てくる。次に出るタイトルは、半年前に『半年から1年後には、このジャンルのタイトルが来るはずだ』と考えて狙ったタイトルになる」。
これ以外にも「コロプラらしくないタイトルも出す。ユーザーにとっては新しくないかもしれないが、われわれにとって新しいものだ」と語る。これ以外にも「会社設立以来、イラストなどを除いて内製で開発していたが、完全に外部の会社に開発を依頼するタイトルも出す予定だ。社内リソースだけでは出せない、新しいタイトルになる」という。
■質疑応答(1) 『白猫プロジェクト』について
業績予想を上方修正したものの、『白猫プロジェクト』などの収益を加味しなかった理由はなぜか。馬場氏は、「『白猫プロジェクト』はローンチ後、2週間が経過した。当社は、これまでのオンラインアプリの実績に基づいてモデル式をきっちりと作成し、業績への寄与を予測している。ところが、これまでのモデル式に『白猫』を当てはめると、とんでもない数字になってしまう。モデル式の見直しさえ必要かもしれず、そのため、今回はあえて業績予想には入れなかった」と語った。
この点について、改めて会場から質問が出たが、馬場氏は、「リリース直後ということもあり、課金施策は実施していない。そのため、なぜこんなに売り上げが出ているのかわからない。何かの間違いではないかと話し合ったほどだ。そして、初動でこんなに売り上げが出たのは、ゲームのクオリティに感動して初めだけお金を使ってくれただけかもしれず、今後もこの状況が続くとは限らないのではないか、とさえ考えた。状況を分解しきれないものは予測に入れられない」と回答した。
長谷部氏は、補足として「具体的な数字は開示できないが、24ページのバブルチャートで示すと、リリース後、間もないため課金率はまだ低いが、ARPPUに関しては『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』と『軍勢RPG 蒼の三国志』の間くらいになる。つまり、課金率は直近の『スリングショットブレイブス』より良い。特筆すべきは円の大きさ(=DAU)で、『ほしの島のにゃんこ』の3月と6月の間に位置するイメージになる。iOSバージョンを入れたばかりの時期であり、まだその寄与の少なさを考えると、想定をはるかに上回る」と説明した。
続いて『白猫プロジェクト』がユーザーから評価されている要因についての質問も出た。これに関して、あるレビューサイトの記事で、(1)「ぷにコン」が従来のアクションゲームで使われていたバーチャルパッドの弱点を克服する操作方法だったこと、(2)純粋なアクションRPGに仕上がっていること、(3)ハイクオリティなゲームでありながら、データ容量が大きすぎず、ユーザーに与えるストレスが少ないことが指摘されていると紹介した。
馬場氏個人の感想として、「スマホで本格的なアクションゲームが楽しめるという新しい体験がユーザーから評価されたのではないか。業界内ではこのジャンルのゲームは流行しないといわれてきたが、もしこのゲームがヒットすれば、必ずしもそうではないと示すこともできると思う。この2年間で蓄積したノウハウと技術をうまくいかすことができた」と語った。そしてその他の要因として、4人で一緒に戦うリアルタイム通信や、システムトラブルが発生していないこともあげた。
このほか、リリースの遅れに関する質問も出た。この点について、馬場氏は「ご迷惑をおかけして本当に申し訳ない。1年間、白猫は自信作であるとお伝えし続けてきて、しかも発表してからも1週間遅れてしまった」と反省しつつ、「当社にかぎらず、業界的にも開発の遅延が目立ってきている」と明かした。その理由として、「開発している途中、類似したアプリや良質なアプリが出ると、作り直す部分も出てくるからだ。白猫に関しては、それに加えて社内でレビューを徹底して行い、様々な意見を反映させた」と回答した。
なお、『白猫プロジェクト』については、元AKB48で女優の大島優子さんを起用したテレビCMを放映することも明らかされた。テレビCMは、8月1日より放映される予定。白猫を彷彿とさせる全身白の衣装に身を包んだ大島優子さんが次世代インターフェース「ぷにコン」の操作性を中心にバトル、街づくり、ストーリーといったゲームの特徴を伝えるという(関連記事)。「大幅なユーザーの増加に備えて、弊社のスーパーエンジニアたちがチームを組んでサーバーのチューニングに取り組んでいる」とテレビCMによるユーザー増への備えができていることを示した。
■質疑応答(2) 海外市場への取り組み
海外市場への取り組みについても複数質問がでた。まず『魔法使いと黒猫のウィズ』の中国展開を行っているが、この状況についての質問が出た。長谷部氏は「中国市場での展開については思わしくない。クイズというジャンルの難しさがあるし、国によってクイズの難易度を適切に調整しなくてはならないからだ。むしろ三国志の方が良好な結果が出ている」と回答した。
続けてコロプラとしてのその他の市場への取り組みについては、『スリングショットブレイブス』と『ほしの島のにゃんこ』の効果で第3四半期の海外DAUが大きく伸びているものの、継続率とARPPUなどは日本とは比較にならないほど低い。「どういうことをするとDAUが伸びるのか、そのノウハウができたことは収穫だ」と述べた。
国・地域別のプライオリティについては、「業界としてアジア市場を重視する会社が多いが、英語版を直接リリースする方が数字としても良好が出ている。アジアの場合、パートナー企業を介して展開しているため、グリップが効きづらい」と語った。
■質疑応答(3)日本で一番をとりたい
最後に来期の大きな目標についても聞かれた。「我々がまだやっていないことがある。それは1位を取ることだ。できれば世界で1位をとりたいが、短期・中期的にはなんとしても日本で1位をとりたい。海外についても表現力の高いアプリが出せるようになり、技術力では海外のアプリには引けをとらないと自負している。特に『白猫プロジェクト』は、アジアでも新しいゲームとして受け入れてもらえるかもしれない。とはいえ、私の仕事は、もっと新作を作ること。まずはそれに注力していきたい」と語り、決算説明会を締めくくった。
会社情報
- 会社名
- 株式会社コロプラ
- 設立
- 2008年10月
- 代表者
- 代表取締役会長 チーフクリエイター 馬場 功淳/代表取締役社長 宮本 貴志
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高309億2600万円、営業利益28億5800万円、経常利益32億7600万円、最終利益18億9300万円(2023年9月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3668