LINE、ゲームコンテンツを対象とした投資ファンド「LINE GAME Global Gateway」を設立!舛田氏とgumi國光氏が世界を制覇したいと語った発表会をレポート
LINEは、本日(8月6日)、東京・渋谷ヒカリエにおいて同社が運営するゲームサービス「LINE GAME」における今後の展開を発表、あわせてgumiが資本業務提携について基本合意したことも発表された。本記事では発表会と質疑応答の模様をレポートしていく。
■キーワードは「Go global with LINE」 はじめに登壇した、LINE株式会社 上級執行役員 CSMO 舛田淳氏は、年に一度開催される「LINEカンファレンス」を待たずに今回の発表に踏み切ったことを冒頭で明かし、無料通話・メッセージアプリとしてスタートしたサービス「LINE」が、すでに10億アプリダウンロードを達成し、フラッグシップタイトルとも言える「LINE POP」を始め、最近ではトップセールス上位に食い込む「LINE:ディズニー ツムツム」「LINE レンジャー」などの勢いも追い風となり「LINE GAME」も好調であると、最新の状況を簡単に説明した。
また、アプリマーケット市場データを提供する調査/分析会社「App Annie」調べによると2013年のグローバルパブリッシャーランキング(売上・iOS&Android)にて、「パズドラ」のガンホー、「Clash of Clans」のSupercell社、「Candy Crush」のKing社、そしてEAに次いで第5位にランクインしており、いわゆるプラットフォーマーとしてゲームをパブリッシングしているのは、LINEだけだと舛田氏は喜んでいた。
順調に展開していった「LINE GAME」だが、世界では特定の国だけで多くプレイされていたり、LINEオリジナルでも日本のデベロッパー開発のタイトルは、まだまだトップセールスのランキングに食い込まないことも現実であるため、次のステップとして「パートナーとさらなる連携強化」をし、キーワードを「Go global with LINE(LINEと一緒に世界へ行こう)」と定め、LINEを通じてパートナーとより世界へ活躍したい、といった想いが込められているとも発表された。
■ゲーム事業における新戦略、投資ファンド「LINE GAME Global Gateway」
初期段階ではあまりコストのかからなかったゲームアプリ開発について、昨今のスマートフォンの普及率の早さや、コアプレイヤーによるゲームタイトルへの期待度、新たな開発者の参入率の高さなどにより、現在ではコストは数億を超えるタイトルがあると言われており、日本の開発会社やコンテンツプレイヤーが、あまり世界展開に成功していない現状があることも、投資ファンドを運用決定した理由の一つとなるようだ。
これまで自社でゲームコンテンツやサービスを開発・運用することに注力し、ある種のロールモデルを構築してきたLINEだが、今後次のステージに上がるため、またパートナーと共に世界へ活躍するために、今まで積極的に実施してこなかった資本提携やJV(ジョイントベンチャー)などの手法を今回採用したとのこと。
そしてその第一社目となる、提携パートナー企業が「株式会社gumi」であることが明かされ、登壇した同社の代表取締役社長「國光宏尚」氏は、自らの経歴を交えながら、7月の上旬から短期間で今回の資本提携の話がまとまったことを舛田氏に感謝するととともに、「ブレイブフロンティア」のヒットを受け、アジアだけでなく全世界を制覇したいと思っていた際に、同じくメッセンジャープラットフォームとしてグローバル化を強化しようと考えていたLINEと提携できたことが、とにかく嬉しいと語った。
gumiは、子会社であるエイリムが提供しているモバイルオンラインゲーム「ブレイブフロンティア」を、国内App Store/Google Playはもとより、海外拠点を通じて、すでに北米やヨーロッパ、そして東南アジア諸国など、これまでに世界50カ国以上のマーケットに向けて展開している。
舛田氏は今回の資本提携のスキームについて、LINE株式会社よりgumiに出資、出資比率は現在協議中だが約10%未満になると明かし、今後は開発ラインやスタジオを用意し、ゲームコンテンツを年に複数本LINE GAMEで提供する予定、LINEを通じて世界に向けて積極的に支援していくと力強くコメントを締めくくった。
Q:LINEと資本提携を結んだ経緯を詳しく教えて下さい。
國光氏:gumiも海外では順調に成長しているんですが、モバイルのゲーム市場の急激に成長していることを受けて、アジア、アメリカ、ヨーロッパだけでなく全世界の市場に圧倒的に展開していくには、一社単独よりも他の会社とタッグを組むことが有利と考えました。
Q:投資ファンド設立の理由や、現状で世界に進出するための今後の資金の流れや戦略などを教えて下さい。
舛田氏:アプリに限った話をしますと「開発者(プレイヤー)の数が圧倒的に変わった」ということが言えます。誰でもアプリを開発することができ、手軽に世界中にアプリを配信するコストが格段に低くなっています。ただ、世界のスマートフォンの市場は成熟し始めていますので、ある程度の資本を持った会社が次々と参入してきています。世界で通用するようなIPを持った企業がアプリを開発し、それが昨今のランキングの上位に登場しています。それが、これからスタートアップしようと考えている企業がなかなかチャレンジできない状況を作っているんです。今回投資ファンドを立ち上げたのは、そんな企業や会社を支援するためでもありますね。
舛田氏:国内では初めてとなりますが、グローバルではマイナー出資などは過去に実施しております。
Q:積極的、抜本的な支援の詳細を教えて下さい。
舛田氏:LINE GAMEプラットフォーム上での、スタンプやオフィシャルアカウントなどを利用したさまざまなプロモーションや露出、さらにTVCMやオフラインイベントなど今までLINEを広めるために蓄積してきたノウハウを提供する予定です。
Q:本日8月6日、LINEオーディションでエントリーが12万件を記録したとの発表がありましたが、エンタメや娯楽など、LINEが秘めるポテンシャルについて教えて下さい。
舛田氏:これまでテレビやラジオなどのエンターテインメントコンテンツは、オフラインの環境で展開してきました。そこに「人が集まっていた」からそこにコンテンツを供給することで成り立っていたんですね。そして、PCの時代になりコンテンツを組み合わせてデリバリーするといったトレンドが生まれました。そして、自分が次に考えているトレンドは「メッセージング」です。スマートフォンを通じて生まれた流通経路にコンテンツを溶けこませていくことが必要ではないかと。そしてコンテンツのキーワードとなる「emotion&communication」を意識しつつ、エンタメコンテンツとLINEを拡大したいと考えています。
Q:gumiとの資本提携後のゲームの方向性は決まっていますか?
舛田氏:どのようなゲームを作るのかは今後の話なんですが、LINE GAMEはカジュアルなゲームを通じてこれまでゲームをプレイしていないユーザーに親しんでもらってきました。現在ではLINE GAMEを遊ぶユーザーのニーズも多様化してきており、今までのカジュアルゲームをベースとしつつ、gumiが手がける「ブレイブフロンティア」のようなミッドパワーのゲームを組み合わせて作りたいと思っています。
Q:課金体系について教えて下さい。
國光氏:gumiはミッドパワーでコアでソロで遊ぶタイプのゲーム開発を得意としてきましたが、LINEの「友人との関係性」に重点を置きつつ、カジュアルより少し重た目のゲームを考えています。課金体系についてはこれからのことが多いですが、LINEのキャラクターを生かしたようなマルチな展開と収益化を考えているところです。
Q:世界に展開する上でローカライズ・カルチャライズについて考えていることを教えて下さい。
國光氏:世界の国々によってユーザーの趣味・趣向なども違いますし、ユーザーのリテラシーや個人の端末の種類、インフラの整備状況なども含めて、考えていかないとダメだと思っています。日本のバージョンをそのままローカライズするのではなく、アプリ自体のサイズなど、全世界の国それぞれの特徴を徹底的に調査して、ローカライズ・カルチャライズしていきたいと考えています。
舛田氏:サービスするコンテンツは一つなんですが、通信環境、OSの違いなども国によって全然違います。今回gumiと組むことを決定したのは、同社が「ブレイブフロンティア」を世界に展開する際に、手間はかかりますが、ソースコードを拠点のスタジオに渡して1つずつ、徹底的にローカライズ・カルチャライズしている手法を取っている数少ない会社だから、といった経緯からでもあります。
Q:メッセージアプリとしてゲームを提供していく際に戦略はありますか?
國光氏:LINEではすでにリアルなユーザー同士のコミュニティが形成されており、そこにリーチするようなゲームは現在ほとんどリリースされていないので、ターゲットをそこに向けて戦略を含め、今後考えていく予定です。
Q:資本提携した会社が作ったゲームへの制約などはありますか?
國光氏:(開発会社は)複数のタイトルを開発していますし、LINE GAMEに向けてのゲームコンテンツも作ってもらいつつ、その他は自由にすることで、開発会社も成長しますし、LINEのプラットフォーマーとしての力ともなりますので、厳しい制約はないと思います。
ありがとうございました。
(C)LINE Corporation
会社情報
- 会社名
- 株式会社gumi
- 設立
- 2007年6月
- 代表者
- 川本 寛之
- 決算期
- 4月
- 直近業績
- 売上高120億6600万、営業損益50億4000万円の赤字、経常損益45億1400万円の赤字、最終損益59億3400万円の赤字(2024年4月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3903
会社情報
- 会社名
- LINE株式会社
- 設立
- 2019年12月
- 代表者
- 代表取締役社長 出澤 剛/代表取締役 慎 ジュンホ