ミクシィ決算説明会 『モンスト』の驚異的な成長続く 四半期売上高は100億円を突破、7~9月期は180億円を計画

ミクシィ<2121>は、8月8日、第1四半期(14年4~6月期)の決算発表を行うとともに、東京都内で決算説明会を開催した。第1四半期は、売上高は前四半期比119.4%増の127億円、営業利益は同370.1%増の46億円、経常利益はは414.7%増の46億円、最終利益は116.9%増の2919億円と驚異的な増収・増益を達成した。『モンスターストライク(以下、モンスト)』の四半期売上高は100億円に到達するなど引き続き高い成長を見せたことが主な要因だ。期初段階で月商ベースでは25億円と想定していた売上計画を大きく上回った。


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同時に4~9月期の業績予想を上方修正し、売上高は従来予想を69%上回る330億円、営業利益を2.8倍の130億円とした。決算説明会に臨んだ代表取締役社長の森田仁基氏(写真)は「『モンスト』は、第2四半期累計で280億円、7~9月期に限ると前四半期(4~6月期)比で80%増となる180億円となる見通し。国内でしっかりと数字を伸ばし、次いで海外という新しい市場への開拓を進めたい」と語った。月商60億円という計算になる。さらに2015年3月期の業績予想も取り下げ、非開示とした。「『モンスト』が順調に伸びているものの、半年後の数字を合理的に算出することが難しいと判断した」とのこと。

 


このほか、スマートニュースとの資本業務提携も行うと発表した。決算説明会では『モンスト』の動向と、スマートニュースとの提携への質問が相次いだ。今回のレポートでは、第2四半期の決算と質問事項が相次いだ『モンスト』、スマートニュースとの提携を中心に報告する(以下、「」内は断りがない限り、森田氏の発言)。



■急成長みせる『モンスト』

第1四半期の売上高は、前四半期比で119.4%増と驚異的な伸びを見せたが、その要因は『モンスト』の高い成長にある。『モンスト』を中心とするコンテンツ事業の売上高は、前四半期(1~3月期)は31億1300万円だったが、前四半期比222.8%増の100億4900万円となった。これだけで同社の業績拡大のかなりの部分が説明できてしまうが、結婚支援やフォトブック、求人広告などを展開するライフイベント事業も同14%増の13億9300万円と手堅く伸び、収益を押し上げた。その一方、SNS「mixi」を運営するメディア事業は、ブラウザゲームが苦戦し、同12.0%減の12億0900万円だったという。

 



費用面では、『モンスト』に関連した費用の増加が目立った。まず売上原価をみると、外注費が同87.7%増の10億6800万円と拡大した。

 


 
販管費では、『モンスト』の業績拡大に伴い、AppleやGoogleに支払う決済手数料が同169.4%増の34億8600万円、テレビCMなど広告宣伝費が同76.9%増の16億6500万円となった。広告宣伝費のうち、約12億5000万円が『モンスト』に関する広告宣伝費だった。取締役財務経理本部担当執行役員の荻野泰弘氏は「コストコントロールをしつつも売り上げを伸ばせている」と述べた。

 




■『モンスト』の第2四半期の売り上げは180億円に

『モンスト』は、順調にインストール数を伸ばし、7月19日に大台の1000万人を突破した。それに伴い、セールスも順調に伸び、iPhoneとAndroidでの売上ランキングでも1位を獲得した。これまでiPhoneでは1位をとれることもあったが、iPadやGoogle Playでも首位をとれるようになったことは大きい。App Annieの調査によると、アプリ別の売上ランキングでは世界6位、パブリッシャー別の売上ランキングでも全世界で10位となるなど、グローバルでの存在感を高めている。


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『モンスト』の拡大要因として、森田氏は、テレビCMの存在をあげた。7月から新テレビCMとして新たに4つのクリエイティブを流した。最初は4人で同時で遊べるというマルチプレイを訴求するものだったが、今回は視聴者に驚きを与えるため、「誰もが直感で楽しめる」ゲームの世界観を、意外性のあるストーリー展開で表現したという。新しいクリエイティブについては、ソーシャルメディアやブログでも好評で、インスールの増加にも寄与したとみている。


 


さらに、プロモーション活動の一環として、タイアップやマーチャンダイジングも展開。雑誌とのコラボに加え、グッズ展開やキャラクターコンビニとのコラボなどを行った。これは「オンライン以外で、ユーザーが目にする機会を増やすため」。トライアル的に実施したものだったが、「非常に好評で今後も積極的に行なっていく」考えだ。

例えば、ゴジラとのタイアップでは、ゴジラがゲーム内で敵として出現する企画を実施したところ、アクティブ率やプレイ回数も上がったという。またローソンとのコラボでは、特定の商品を購入し、シリアルコードを入力するとローソン専用キャラクターがもらえるもので、対象商品は通常よりも好調な売れ行きを示したとのことだった。

 


なお、海外展開については、最初に開始した台湾では早くも70万人を突破するなど会員数が増加している。セールスも伸びており、Google Playの売上ランキングで9位、App Storeでも4位となった。「テストマーケティングの段階で、日本と同じく口コミ中心でユーザーが伸びている。今月からラッピングバスなどを走らせるなど積極的にプロモーションを行っていく」とのことで、今後さらなる拡大が期待される。またテンセントとの中国版はクローズドβテストを実施しており、チューニングとゲームの改修を行っているという。公開時期は未定。

 


(2)第2四半期の見通し

『モンスト』の売上高は第1四半期で100億円を突破したが、第2四半期(7~9月期)では、前四半期比で80%増となる180億円と引き続き高い成長を見込んでいる。月平均では約60億円という計算になる。ただ、この数字は、国内運営での売り上げだけでなく、台湾版の売り上げが含まれる。

荻野氏は「ARPU(ユーザー一人あたりの課金額)がほぼ横バイとなる一方、アクティブユーザーが増加することを想定している」という。当初、ARPUとアクティブユーザーが6月頃に横ばいになると想定したが、アクティブユーザーが足元、引き続き伸びていると明かした。続けて「国内での売り上げをしっかりと伸ばすことが第一で、海外市場にも出していく」。気になる新作は、国内でリリースすると『モンスト』のユーザーが新作に移るといったことも考えられ、全体として売り上げが伸びない可能性もあるため、プライオリティはやや下がるようだ。じっくりと1タイトルを育てていく考えといえよう。

また、テレビCMを中心としたプロモーション展開については、『モンスト』関連の広告宣伝費を前四半期の12億5000万円から第2四半期には20億円に増やす計画。テレビCMは「今後も重要なプロモーション手段になる。クリエイティブも定期的に変えながら、引き続き取り組む。ソーシャルによるバイラル効果を研究し、『モンスト』やテレビCMにも盛り込んだ」。SNS「mixi」を10年にわたって運営してきた経験や知見が生かされたものといえる。



■「スマートアド(仮称)」の収益貢献は年末年始頃から

決算発表と同時に、広告事業の新しい取り組みとして、スマートニュースと資本業務提携を行うことも明らかにされた。スマートニュースに出資する一方、同社が構築する予定のネイティブ広告ネットワーク「スマートアド(仮称、以下、スマートアド)」に参画する。ミクシィの出資比率や出資額は非公開。


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業務提携の具体的な内容としては、「スマートアド」を構築するにあたって、ミクシィ取締役の川崎裕一氏がスマートニュースの執行役員にも就任(兼任)し、媒体獲得やサービスのつなぎ込みなど事業開発を支援する。そして、アプリ版「mixi」のフィード広告枠を「スマートアド」に独占的に提供し、ネイティブ広告を配信する。また収益は、スマートニュースとのレベニューシェアとなる予定で、収益貢献はサービス開始予定となる年末年始になる見通し。影響額については判明次第、改めて開示する予定。

会場から「スマートアド」の特徴について質問があった。荻野氏は「スマートアドは、いわゆるネイティブアド。ネイティブアドとは、北米を中心にスマートデバイス向けの新しい広告手法として注目を集めている。大手SNSなどでも導入されており、ユーザーのタイムラインや投稿、インターフェース、挙動などの部分でユーザーにストレスがなく、親和性の高い形で配信されている。今回、ネイティブアドのなかでもフィード型とよばれる形態で広告を配信する」と回答した。

このほか、川崎氏を執行役員として派遣することについての質問があった。荻野氏は、「(川崎氏は)ミクシィで新規事業を管掌しているが、スマートニュース社との取り組みはその一環にあたる。新規事業の立ち上げは非常にパワーがいるため、当社としても力強くコミットすべきと考えた」と答え、ミクシィとしての注力事業であることを強調した。
株式会社MIXI
https://mixi.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社MIXI
設立
1997年11月
代表者
代表取締役社長 木村 弘毅
決算期
3月
直近業績
売上高1468億6800万円、営業利益:191億7700万円、経常利益156億6900万円、最終利益70億8200万円(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
2121
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