​【TGS2014】『モンスターストライク』×『キャンディークラッシュ』トップ対談レポート。ミクシィとKing Japanが思い描く海外戦略とは


2014年9月18日~21日に千葉・幕張メッセで「東京ゲームショウ2014(TGS2014)」が開催。本稿では、9月18日にCyberZブースで行われた、『モンスターストライク』×『キャンディークラッシュ』トップ対談の模様をお伝えする。

このステージイベントには、『モンスターストライク』を運営するミクシィの代表取締役社長 森田仁基氏と、『キャンディークラッシュ』を運営するKing Japanの代表取締役 枝廣憲氏、そして進行役としてCyberZの代表取締役社長 山内隆裕氏が登壇し、両社の現状や今後の展開、そして海外へ向けた施策など、さまざまな話題が語られた。
 

▲左から山内隆裕氏、森田仁基氏、枝廣憲氏

CyberZといえばスマートフォンに特化した広告マーケティング会社であり、9月9日にはスマートフォン向けゲームのプレイ動画共有サービス「OPENREC」提供を開始したばかり。そんな近況もあってか、山内氏は「動画による広告が大きな一手になりうるのか?」という話題を切り出した。

この問に対して枝廣氏は、「以前と比べて、動画の使い方が広がったと思います」と話す。現在はスマートフォンなどの動画を見られる端末が進化したことで、動画をアップロードする、見る、拡散するといった一連の行動がスムーズに行えるようになったことに、大きな興味を持っているようだ。

森田氏も同様のことを考えているそうで、『モンスターストライク』の成功も攻略動画の存在が大きかったと語った。現在はYouTubeに触れるユーザーも多いことから、攻略動画はTVCMと同等の価値があると考えているとのこと。また、「OPENREC」などの普及によって、一般ユーザーも手軽に動画を作成できるようになったことは、非常に大きな流れであるとも述べていた。

一方、「CMは話題になったときの波状効果が凄い」と話すのは枝廣氏だ。King Japanはゲーム画面を全面に押し出したCMを放送しても、短期的に遊ぶユーザーしか得られないと考えている。そのため、一見しただけではゲームのCMだと分からない内容の映像を制作し、より多くの視聴者に興味を持ってもらえるよう心がけているとのこと。

また、King JapanのCMの大きな特徴として、タレントの起用も挙げられる。枝廣氏によると、ゲームに対するハードルを低くするだけでなく、スマートフォン向けゲームが日本のスタンダードマーケットに成長してほしいという思いも込めて、タレントを起用しているそうだ。
 
 

■両社が考えるアジアでの戦略とは


続いての話題は、日本と海外にある、ゲームに対する捉え方の違いについて。まず話を切り出した枝廣氏は、英国に本拠地を置くKing Digital Entertainmentのスタッフは、元々日本のゲームに触れて育ったため、日本のゲーム文化をリスペクトしていると話した。そのため、開発の面においては、日本と海外に大きな違いはないと考えているという。

『モンスターストライク』に関しては、先日台湾での展開を開始したタイミングだが、森田氏は「想定通りの部分と、想定よりも苦戦している部分があります」と現状を吐露した。引っ張って離すというシンプルなシステムと気持ちよさは台湾のユーザーにもすぐに受け入れられたそうで、一定の成功を収めているという森田氏。その反面、複数のユーザーフェイス・トゥ・フェイスで遊ぶスタイルは未だに浸透していないとのことで、ここはミクシィがしっかりフォローしなくてはいけない部分だと認識しているという。
 
 
▲『キャンディークラッシュ』と『モンスターストライク』

ここで話題に挙がった台湾をはじめ、アジア各国は両社ともに未開拓の地域だ。今後の展開として外すことのできない地域だが、枝廣氏は「日中韓は似て非なる文化を持っています」と分析していた。『キャンディークラッシュ』は現在、韓国ではカカオ、中国ではテンセントを介して配信しているが、このように、それぞれの国の文化に合った形で、時には現地の会社とパートナーシップを組みながら展開していくことが大切だと、枝廣氏は考えている。この話を聞いた森田氏は「僕らはこれから展開する立場なので」と謙遜しつつも、年内にはアジアへ向けた施策も打ち出そうと計画しているそうだ。

日中韓以外の、例えばシンガポールやインドネシアといった国に関しては、ヨーロッパなどのウエスタンマーケットと似ていると語ったのは枝廣氏。というのも、これらの国は日常的に英語を使っているため、欧米県の文化に基づいたコンテンツに対して抵抗感なく触れてもらえるからだ。また、手軽さが魅力のスマートフォン向けゲームは、通信環境や所得の問題を超え、ワールドワイドで成功する可能性を持つコンテンツであるとも語っていた。

 

■二極化が進むスマートフォンゲーム市場



現在のスマートフォンゲームを見てみると、手軽に楽しめるカジュアルゲームやソーシャルゲームと、フル3Dで制作された本格的なゲームの二極化が進んでいる。この現状について森田氏は「あって当然のこと」と語る。スマートフォンは多くの人が持つものであり、ゲームの間口もできるだけ広いほうがいいと持論を展開していた。

そして枝廣氏は「近いうちに、ソーシャルゲームという言葉がなくなると思っています」とコメント。多彩なゲームがリリースされることで、今以上にスマートフォンでゲームを遊ぶことが当たり前になるとゲームの種類も増え、「ソーシャルゲーム」という括りでは語り尽くせなくなると考えているようだ。

対談も終盤に差し掛かったところで飛び出したのが、GoogleやAppleといったプラットフォームとの付き合い方に関する質問だ。『モンスターストライク』では、セブン-イレブンでGoogle Playのカードを買うとゲーム内コンテンツが入手できるキャンペーンを実施していたように、プラットフォームとコンテンツホルダーが一体となってユーザーを獲得する動きは、今後も積極的に行っていきたいと森田氏は語っていた。

また枝廣氏に対しては、「ゲーム以外のビジネスチャンスをどう考えているか」という質問が投げかけられた。枝廣氏は、King Japanはあくまでもエンターテイメントカンパニーであると考えているそうで、今後もゲームをベースにしていきたいと話した。この対談が行われた9月18日には新作となる『ペットレスキュー』が配信されたばかりで、これを含めたさまざまなタイトルで、ユーザーとコミュニケーションを取っていきたいと述べ、本イベントは幕を閉じた。
 


■『キャンディークラッシュ』
 

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■『モンスターストライク』
 


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会社情報

会社名
株式会社MIXI
設立
1997年11月
代表者
代表取締役社長 木村 弘毅
決算期
3月
直近業績
売上高1468億6800万円、営業利益:191億7700万円、経常利益156億6900万円、最終利益70億8200万円(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
2121
企業データを見る
株式会社CyberZ
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会社情報

会社名
株式会社CyberZ
設立
2009年4月
代表者
代表取締役社長CEO 山内 隆裕
決算期
9月
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