【ドリコム決算説明会】ブラウザ減速と先行投資で減収減益…IPタイトルは堅調続き『フルボッコ』は月商1億視野、新作はオリジナル&品質重視で勝負

ドリコム<3793>は、1月29日、2015年3月期第3四半期(3Q、14年10~12月)の連結決算を発表し、東京都内で決算説明会を開催した。売上高は前四半期比7.4%減の17億5400万円、営業利益は同76.9%減の4000万円と、前四半期(7~9月)との比較(QonQ)では減収減益となった。2つの大型IP(知的財産、版権)タイトルが堅調だったものの、既存のブラウザゲームの縮小傾向が続いたためだ。また単体との比較となるが、前年同期との比較では増収・黒字転換となった。

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続く第4四半期(4Q、1~3月)の業績は、売上高14億6800万円(QonQで16.3%減)、営業損益2億2400万円の赤字(前四半期4000万円の黒字)と減収・赤字となる見通し。説明会で内藤裕紀社長(写真)は、「新作が出ていないので苦しい状況が続いているが、第4四半期ではリリースに向けてブラッシュアップしているタイトルが複数あり、そのうちいくつか(のアプリ)がリリースできるだろう。ただ、新作の業績の影響は、人件費や広告宣伝費のみ織り込み、売り上げは含めていない。数字として寄与するのは4~6月期からになるだろう」と説明した(以下、カギ括弧内は内藤社長の発言)。業績予想としては保守的なものとなっているようだ。
 

 
このほか、新作アプリ『COLOR』を『崖っぷちバスターズ』に名称変更するとともに、事前登録の開始を再延期すると発表。当初は昨年12月に事前登録を始める予定だったが、ブラッシュアップのため、1月に延期していた。「仕様に沿ったものを作ってリリースするだけならば、予定は立つが、できあがったものを実際に遊んで、もっと面白くできるようであれば手直ししている。このため、開発完了の見通しが立ちづらい。あくまで自分たちで良いと思ったものを出していきたいし、足元良いものができている。もう少しお待ちいただきたい」と語り、スケジュールよりもクオリティを重視する姿勢をあらためて示した。



■3Qの業績改善…IPタイトル2本が好調、『フルボッコ』月商1億円も視野に

サービス別の四半期売上高と営業利益の推移を見ると、収益の大半を占めるソーシャルゲーム事業の売上高は、QonQで12.9%減の14億6300万円となった。また、広告メディアが29.3%増の2億6900万円と伸び、ソーシャルラーニングの売上高は2100万円と業績への寄与は限定的だった。両事業は、ソーシャルゲームで培ったノウハウを活かすとともに、ゲーム事業の収益のボラティリティを緩和する存在として、現在、投資・育成を行っている段階にある。
 


さて、主力のソーシャルゲームの売上は3四半期連続でマイナスとなった。これはこれまでも何度か説明されているが、既存のブラウザゲームなど自社タイトルの売上減に加え、他社IPタイトルの売上比率が上昇したことによるものだ。特に他社IPタイトルは、他社がアプリストアでパブリッシングを行っているため、パブリッシャーの取り分とストアへの手数料を差し引いた金額が売上となる。

他社IPタイトルについては、バンダイナムコゲームスと共同で提供する2タイトルが堅調だった。とりわけ、『ONE PIECE トレジャークルーズ』は、11月20日にApp Store売上ランキングで数時間ながら首位を獲得し、たびたびTOP3に入るなどマーケットでも存在感を示した。グラフから判断する限り、第3四半期への売上高は8億円程度と推測される。また『ちょこっとファーム』や『フルボッコヒーローズ』も堅調だったとのこと。
 

『フルボッコヒーローズ』が上向きになった理由について質問が出た。内藤社長は「1月も堅調な数字が出ると考えている。継続率とARPPUが改善したこともあり、広告宣伝費を再度かけた結果、アクティブユーザー数が伸びたことが一因だ。第4四半期中に大型アップデートを行う予定で、今度はARPPU(Average Revenue Per Paid Users)が伸びるだろう。広告宣伝費をかけて集めたお客様が継続して遊んでくれるか、そしてアップデートの状況次第で、もう少し広告宣伝のアクセルを踏む可能性もある。まだ到達していないが、月商1億円も見えてきた。」と答えた。

セグメント別の営業利益では、ソーシャルゲームを中心とするコンテンツサービスは、QonQで42.6%減の1億6300万円となったものの、3四半期連続での黒字達成となった。またメディアサービス事業が前四半期の1億円の赤字から1億2300万円の赤字に膨らんだ。同社では、コンテンツサービスに関しては、ネイティブシフトの先行投資が回収期に入ったこと、そしてメディア事業はアプリへの投資を行っている段階にあるという。
 



■新作の状況:本当に面白いと思うオリジナルタイトルで勝負する

今回、内藤社長が時間を割いたのは、新作アプリ2タイトルと、新サービス『DropMusic』の進捗状況に関する説明だ。まず、冒頭で触れたが、事前登録が再延期となった『崖っぷちバスターズ』については、「本来であれば、ゲームの中身やデモをお見せしたいが、新しい機能を盛り込んでいるので、競合のことも考えると、直前まで情報開示を控えたい。現状のステータスは、新機能を含めて、体験全体をどうやって設計するかという最後の設計を行っている状況」にあるそうだ。
 

第4四半期のリリースに向けて子会社グリモアが『ソード×ソード』シリーズの最新作を開発している。こちらはキービジュアルのみが公開された。カードゲーム『ソード×ソード』や『ドラゴン×ドライツェン』を手がけたディレクターが開発しているタイトルで、今期中にリリースできる見込み。「機能的な新しさは『崖っぷちバスターズ』に比べて少ないので、リリースのスケジュールが見えてきた」。現在、開発最終フェーズにあるとのこと。
 

なお、会場からはIPを使った新作に関して質問がでた。内藤社長は「開発中のIPタイトルはない。IPタイトルがうまくいっているため、色々な会社からお声がけいただいているが、オリジナルタイトルでヒットを生み出せる会社にしないとマーケットで勝てないと認識している。お客様の目が肥えていることと、マーケットがグローバル化していることを考慮すると、本当に面白いゲームでないと勝てない。良いもの、面白いもの、新しい体験が得られるものを提供するという方針を振らさずに進みたい」と回答した。

またコロプラの決算説明会で開発費と広告費でイニシャルで5億円ほしいというコメントがあったことを引き合いに、ドリコムでかかるコストに関する質問も出た。内藤社長は「まずイニシャルコストを分解していくと、当社の今期中に開発が完了するタイトルでは、プロトタイプを除いた開発費は約2億円。その次を見ると、アッパーで3億円くらいとみている。ユーザーの目線が高くなっており、演出などに関する費用が増えているためだ。広告宣伝費については事前登録では1000~2000万の範囲に収まる。リリース後は獲得コストが上がるため、広告宣伝費は上がっていくが、最初の30~50万DLであれば1ユーザーあたりの獲得コストは300~500円で、100万人の獲得コストは1.5~2億円になる。『白猫プロジェクト』は、開始当初にテレビCMを打ったが、そういうやり方だと5億円には到達するだろう。事前登録段階でCMを打つという判断が必要で、それ相応のノウハウが必要になるのではないか。」とコメントした。

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■音楽ストリーミングアプリ『DropMusic』は3ケタ万のMAU

最後に現在積極投資中の音楽ストリーミングサービス『DropMusic』については、500万ダウンロードを突破した。一時的にAndroid版を下げていたが、先日、再度リリースし、「1日あたり良い時で2万人ペースでお客様が増えている」だけでなく、「月間で3ケタ万のアクティブユーザーを抱える」などサービス規模が大きくなり、急成長が続いている。。現在も高水準の流入が続いており、引き続き伸びる見通しだ。
 

ソニーとSpotify、LINE MUSIC、「AWA」など音楽産業を取り囲む状況はめまぐるしく変化しているが、音楽業界内でもどこにむかっているのか、その見方はさだまっていない状況にあるという。同社としては、音楽産業の各社とどうやって協業するかを検討しつつ、まず、ユーザーに使ってもらい満足してもらうため、ブラッシュアップを行っているとのこと。マネタイズに関してはまだ先といったところだろうか。

会場から他のサービスとの差別化のポイントの質問が出た。これに対し、「お客様が音楽そのものに求めている体験が変わっており、何千万曲、何億曲ありますというアピールはニーズからずれていると感じる。お客様の1日のライフスタイルで音楽がどう使われていて、どういったサービスを提供すれば生活の中に入っていけるのかを把握したい。そのためにお客様に来ていただいてヒアリングも行っている。お客様の中心は25歳以下の女性だ。国内外の事例を見てもトレンドセッターなので、熱量の高いお客様を呼べるようなサービスにしたい」と述べた。
 
 
(編集部 木村英彦)



■関連リンク

決算説明会資料(PDF)
株式会社ドリコム
http://www.drecom.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社ドリコム
設立
2001年11月
代表者
代表取締役社長 内藤 裕紀
決算期
3月
直近業績
売上高105億2800万円、営業利益15億9100万円、経常利益15億4100万円、最終利益8億700万円(2022年3月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
3793
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