【アクセルマーク決算説明会】1Qは減収・赤字転落 ネイティブゲームの投入で下期挽回へ 第1弾『大乱闘!!ドラゴンパレード』は好調な滑り出し
アクセルマーク<3624>は、2月5日、2015年9月期の第1四半期(10~12月)連結決算を発表するとともに、東京都内で決算説明会を開催した。発表した決算は、売上高が前四半期(7~9月期)に比べ7.1%減の7億6100万円、営業損益3000万円の赤字(前四半期は100万円の黒字だった。また前年同期との比較でも減収・赤字転落となった。
減収・赤字となった要因は、主力のモバイルゲーム事業で新規ネイティブゲーム5タイトルの開発コストが収益を圧迫したことに加え、既存のブラウザゲームもライフサイクルの関係で売り上げが低下したことが主な要因だった。そうした中、セガネットワークスとの共同タイトル『反逆のシエルアーク』が非常に好調で、過去最高の売上高を記録したという。
■新作ネイティブゲームの遅れで既存の落ち込みをカバーができず
セグメント別の売上高の四半期別の推移をみていくと、主力のモバイルゲームの漸減傾向が続いていることがわかる。運営中のブラウザゲームがライフサイクルに伴う売上減が続いていることに加え、新作ネイティブゲームアプリのリリースが遅れており、ブラウザゲームの減少をカバーできていない状況にあるとのこと。
一方、広告事業はアドネットワーク「ADroute」を展開し、ここ最近は3億円台の売上をキープしている。尾下順治社長(写真)は「広告事業は、売上を拡大する局面と、収益を確保する局面を繰り返しながら成長させている。1Qは利益を確保するフェーズだったため、収益が大幅に改善した。状況としてはかなり良い」と説明した。
また、かつての主力事業であったモバイルコンテンツの配信は減少傾向が続いている。フィーチャーフォン向けのサービス売上が減少しているためだ。現在、「コミックルーム」など、新しいサービスを投入することで、今後の収益性の立て直しを図っていくとのこと。
なお、最終損益は前の四半期の400万円の赤字から5100万円の赤字に拡大した。営業損益段階で赤字幅が拡大ことほか、過去配信していたコンテンツに係る権利に関連する費用として特別損失に1700万円を計上したことによる。
このほか、貸借対照表にも言及しておこう。現金及び預金は前期末の10億6400万円から10億3500万円に微減となった一方で、借入金や固定負債がなく、全体としては安定した財務状況となっている。自己資本比率も78.5%となった。
■第2四半期は増収も赤字幅が拡大する見通し
第2四半期(2015年1~3月期)は、売上高が前四半期(14年10~12月期)比で22.8%増の9億3500万円、営業損益は700万円の赤字増加となる3700万円の赤字を見込む。増収となる一方、赤字幅が若干拡大する見通しだ。
増収となる要因は、新作『大乱闘!!ドラゴンパレード』の売上が業績に寄与するためだ。ではなぜ赤字幅が拡大するのか。尾下社長は、4タイトルの新規ゲーム開発に関連する先行投資負担や、新作ゲームに関する広告宣伝費、そして、開発体制の強化に伴う採用費の上昇、「コミックルーム」への開発投資と広告宣伝費が計上されるため、と説明した。ただ『大乱闘!!ドラゴンパレード』の売上寄与は保守的に見ているようだ。
なお、『大乱闘!!ドラゴンパレード』の広告宣伝費に関しては、セガネットワークスと一定の割合で費用を出し合う形になっているという。大きな金額を投じる予定で、第1四半期に比べて数倍の規模になる予定だ。
■『大乱闘!!ドラゴンパレード』に「非常に強い手応え」
今回の決算説明会では、今後の中期的な成長を左右する新作タイトルの進捗状況に多くの時間を割いて説明した。まず、先にリリースされた、セガネットワークスとの共同タイトル『大乱闘!!ドラゴンパレード』については、「リリースから2週間を経過したが、大規模なプロモーション活動は行わっておらず、50万ダウンロードを達成した。かなりいいスタートだ」とコメントした。
国内アプリストアで主流のラインディフェンスゲームは端末を横持ちで遊ぶゲームが多いが、本作は縦持ちで遊べることが評価ポイントになっている。またモンスターのレアリティも☆1から5まで用意されているが、☆3のモンスターの中にはしっかりと育てると、お金を使わなくても☆5になるものがあるという。尾下社長は「予想以上にいい数字で、大変手応えを感じている。ロングランヒットタイトルを目指したい」と述べた。
尾下社長によると、当初予定の11月に配信できたが、追加開発が必要と判断し、2カ月リリースを延期したという。その間、新しいワールドやイベントの開発などリリース後の運営を想定したコンテンツ開発を行った。「お客様のコンテンツ消費速度が速いことを想定したが、現在の状況を考えると正解だった。それでも想定以上にヘビーに、アクティブに遊んでいただいている。そう考えると延期にも意義があった」と振り返るとともに、ネイティブシフトが順調であることを示した。
会場からは開発費に関する質問が出た。尾下社長は、「開発期間は1年8ヵ月を費やした。開発当初は試行錯誤が多かったため、今の開発水準で取り組むと1年ほどで開発できるだろう。開発費は2億円~5億円が標準的なレンジで、現状はそのレンジ内に収まっている。」と回答した。
■注目の新作情報も
フジテレビ、クリームフィールドとの共同タイトル『ソウルオブクリスタル』も11月にリリースできたが、リリースを後ろ倒しにした。ゲームとして新しい機能を追加して埋もれないようにするとともに、「間口を狭める可能性がある」ため、ダークファンタジーからファンタジーRPGに変更したとのこと。ブラウザとネイティブアプリとして提供する予定が、尾下社長は「楽しめるゲームに仕上がった。リリースを春に延期するが、十分期待できるタイトルとなっていると思う」と述べた。リリース前にクローズドβテストも行う考え。
またディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>との共同開発タイトル『キングダム』は、春秋戦国時代をモチーフにしたタイトルだ。原作となるマンガは、身分の低い少年が武勲を上げながら大将軍を目指すという、歴史を題材にしたフィクションとなっている。1月15日より事前登録の受付を開始したが、連載中の『週刊ヤングジャンプ』紙面やコミックスの帯でも紹介されているという。
このほか、『ダージュ オブ ロア』に関しては追加の情報開示は行われなかった。スマホ×王道RPGがコンセプトとなっているが、公開されているのはキービジュアルのみで新しい情報はないとのこと。こちらは2015年春にリリースする予定。
また、新作ネイティブゲームの5本目となる新規タイトルについては情報開示は行われなかった。5本目の新規タイトルに関する質問が出た。尾下社長は、「オリジナルタイトルだ。オリジナルを作らないゲーム開発会社は廃れていくと考えている。IPを使うのかどうかはゲームシステムにマッチするかどうかが重要で、なんでも使えばいいわけではない」と回答した。
なお、『大乱闘!!ドラゴンパレード』は、同社初のフルネイティブのアプリとしてリリースされたタイトルだが、好調な滑り出しとなったことを考えると、同社としても、これまで着実に積み上げてきた開発力と運営力には自信を深めたのではないか。今後、リリースされる予定の新作タイトルにも期待が募る。
■関連サイト
減収・赤字となった要因は、主力のモバイルゲーム事業で新規ネイティブゲーム5タイトルの開発コストが収益を圧迫したことに加え、既存のブラウザゲームもライフサイクルの関係で売り上げが低下したことが主な要因だった。そうした中、セガネットワークスとの共同タイトル『反逆のシエルアーク』が非常に好調で、過去最高の売上高を記録したという。
■新作ネイティブゲームの遅れで既存の落ち込みをカバーができず
セグメント別の売上高の四半期別の推移をみていくと、主力のモバイルゲームの漸減傾向が続いていることがわかる。運営中のブラウザゲームがライフサイクルに伴う売上減が続いていることに加え、新作ネイティブゲームアプリのリリースが遅れており、ブラウザゲームの減少をカバーできていない状況にあるとのこと。
一方、広告事業はアドネットワーク「ADroute」を展開し、ここ最近は3億円台の売上をキープしている。尾下順治社長(写真)は「広告事業は、売上を拡大する局面と、収益を確保する局面を繰り返しながら成長させている。1Qは利益を確保するフェーズだったため、収益が大幅に改善した。状況としてはかなり良い」と説明した。
また、かつての主力事業であったモバイルコンテンツの配信は減少傾向が続いている。フィーチャーフォン向けのサービス売上が減少しているためだ。現在、「コミックルーム」など、新しいサービスを投入することで、今後の収益性の立て直しを図っていくとのこと。
なお、最終損益は前の四半期の400万円の赤字から5100万円の赤字に拡大した。営業損益段階で赤字幅が拡大ことほか、過去配信していたコンテンツに係る権利に関連する費用として特別損失に1700万円を計上したことによる。
このほか、貸借対照表にも言及しておこう。現金及び預金は前期末の10億6400万円から10億3500万円に微減となった一方で、借入金や固定負債がなく、全体としては安定した財務状況となっている。自己資本比率も78.5%となった。
■第2四半期は増収も赤字幅が拡大する見通し
第2四半期(2015年1~3月期)は、売上高が前四半期(14年10~12月期)比で22.8%増の9億3500万円、営業損益は700万円の赤字増加となる3700万円の赤字を見込む。増収となる一方、赤字幅が若干拡大する見通しだ。
増収となる要因は、新作『大乱闘!!ドラゴンパレード』の売上が業績に寄与するためだ。ではなぜ赤字幅が拡大するのか。尾下社長は、4タイトルの新規ゲーム開発に関連する先行投資負担や、新作ゲームに関する広告宣伝費、そして、開発体制の強化に伴う採用費の上昇、「コミックルーム」への開発投資と広告宣伝費が計上されるため、と説明した。ただ『大乱闘!!ドラゴンパレード』の売上寄与は保守的に見ているようだ。
なお、『大乱闘!!ドラゴンパレード』の広告宣伝費に関しては、セガネットワークスと一定の割合で費用を出し合う形になっているという。大きな金額を投じる予定で、第1四半期に比べて数倍の規模になる予定だ。
■『大乱闘!!ドラゴンパレード』に「非常に強い手応え」
今回の決算説明会では、今後の中期的な成長を左右する新作タイトルの進捗状況に多くの時間を割いて説明した。まず、先にリリースされた、セガネットワークスとの共同タイトル『大乱闘!!ドラゴンパレード』については、「リリースから2週間を経過したが、大規模なプロモーション活動は行わっておらず、50万ダウンロードを達成した。かなりいいスタートだ」とコメントした。
国内アプリストアで主流のラインディフェンスゲームは端末を横持ちで遊ぶゲームが多いが、本作は縦持ちで遊べることが評価ポイントになっている。またモンスターのレアリティも☆1から5まで用意されているが、☆3のモンスターの中にはしっかりと育てると、お金を使わなくても☆5になるものがあるという。尾下社長は「予想以上にいい数字で、大変手応えを感じている。ロングランヒットタイトルを目指したい」と述べた。
尾下社長によると、当初予定の11月に配信できたが、追加開発が必要と判断し、2カ月リリースを延期したという。その間、新しいワールドやイベントの開発などリリース後の運営を想定したコンテンツ開発を行った。「お客様のコンテンツ消費速度が速いことを想定したが、現在の状況を考えると正解だった。それでも想定以上にヘビーに、アクティブに遊んでいただいている。そう考えると延期にも意義があった」と振り返るとともに、ネイティブシフトが順調であることを示した。
会場からは開発費に関する質問が出た。尾下社長は、「開発期間は1年8ヵ月を費やした。開発当初は試行錯誤が多かったため、今の開発水準で取り組むと1年ほどで開発できるだろう。開発費は2億円~5億円が標準的なレンジで、現状はそのレンジ内に収まっている。」と回答した。
■注目の新作情報も
フジテレビ、クリームフィールドとの共同タイトル『ソウルオブクリスタル』も11月にリリースできたが、リリースを後ろ倒しにした。ゲームとして新しい機能を追加して埋もれないようにするとともに、「間口を狭める可能性がある」ため、ダークファンタジーからファンタジーRPGに変更したとのこと。ブラウザとネイティブアプリとして提供する予定が、尾下社長は「楽しめるゲームに仕上がった。リリースを春に延期するが、十分期待できるタイトルとなっていると思う」と述べた。リリース前にクローズドβテストも行う考え。
またディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>との共同開発タイトル『キングダム』は、春秋戦国時代をモチーフにしたタイトルだ。原作となるマンガは、身分の低い少年が武勲を上げながら大将軍を目指すという、歴史を題材にしたフィクションとなっている。1月15日より事前登録の受付を開始したが、連載中の『週刊ヤングジャンプ』紙面やコミックスの帯でも紹介されているという。
このほか、『ダージュ オブ ロア』に関しては追加の情報開示は行われなかった。スマホ×王道RPGがコンセプトとなっているが、公開されているのはキービジュアルのみで新しい情報はないとのこと。こちらは2015年春にリリースする予定。
また、新作ネイティブゲームの5本目となる新規タイトルについては情報開示は行われなかった。5本目の新規タイトルに関する質問が出た。尾下社長は、「オリジナルタイトルだ。オリジナルを作らないゲーム開発会社は廃れていくと考えている。IPを使うのかどうかはゲームシステムにマッチするかどうかが重要で、なんでも使えばいいわけではない」と回答した。
なお、『大乱闘!!ドラゴンパレード』は、同社初のフルネイティブのアプリとしてリリースされたタイトルだが、好調な滑り出しとなったことを考えると、同社としても、これまで着実に積み上げてきた開発力と運営力には自信を深めたのではないか。今後、リリースされる予定の新作タイトルにも期待が募る。
■関連サイト
会社情報
- 会社名
- アクセルマーク株式会社
- 設立
- 1994年3月
- 代表者
- 代表取締役社長 松川 裕史
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高21億4400万円、営業損益9800万円の赤字、経常損益1億円の赤字、最終損益1億200万円の赤字(2023年9月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3624