【インタビュー】ミクシィのモンストスタジオが採用強化中! ひと癖ある『モンスト』の世界を彩るデザイングループのマネージャーに訊く制作現場



現在ミクシィ<2121>のモンストスタジオでは、今後の事業拡大のため、様々な職種で採用面に力を入れている。

代表作『モンスターストライク』は、直感的な操作性はもとより、友人たちと集まってわいわい遊ぶマルチプレイなど、口コミを通して若年層を中心に広がり、瞬く間に日本を代表する大ヒットゲームアプリへと成長した。さらに、直近では対戦プレイに特化した『モンストスタジアム』の提供も開始。

今回「Social Game Info」では、『モンスターストライク』のデザイングループのマネージャーである加藤博昭氏にインタビューを実施。本作におけるデザインでこだわっている部分や具体的な業務内容、求めている人物像など、様々な視点からお話を聞いてきた。

■ミクシィ
 


 

■王道エンターテイメントにひとつまみのスパイス




株式会社ミクシィ
モンストスタジオ デザイングループ マネージャー
加藤 博昭


――:本日はよろしくお願いします。はじめに加藤さんの簡単なご経歴からお聞きしたいと思いますが、そもそもデザイナーと一括りにしても様々な職種があるかと思います。

もともと私は、地元名古屋のテレビ局でWEBデザイナーをしていました。公式サイトを手掛けたり、そのほかモバイルコンテンツの運営なども行ったりしていました。その後はフリーランスとゲーム開発会社を経て、2014年2月にミクシィのモンストスタジオにジョインしました。


――:当時、ミクシィに転職する際の志望動機や決め手はなんだったのでしょう。

コミュニケーションを大事にしたサービスに携わりたいと思っていて、なかでもミクシィはSNS「mixi」をはじめとする様々なサービスで、人と人とを繋ぐコミュニケーションを大切にしており、とても魅力に感じていました。会社の価値観やビジョンが、自分のなかで共有できて転職を決めました。

また、モンストスタジオの木村(『モンスターストライク』プロデューサー・木村弘毅氏)と初めて会ったときも印象深かったです。彼が私に『モンスト』の説明をするときに、自身のiPhoneでTwitterを開いて「モンスト」と検索し、ユーザーさんがどのように遊んでいるのかを、楽しそうに話してくれたんですよ

ゲームシステムへのこだわりやビジネス面の話だけではなく「いかにユーザーさんが楽しく遊んでくれているか」に重きを置いて話してくれて、そんなところにグッと来てしまいました(笑)。「ここで働きたい」という思いが強まりましたね。

 


――:なるほど。『モンスト』自体も“みんなで集まって遊ぶ”というコミュニケーションを軸に立ち上がったコンテンツということもあり、加藤さんが描くビジョンにもマッチしたのですね。では、具体的な業務内容を教えてください。

モンストスタジオ デザイングループのマネージャーという立場で、『モンスト』に関わるすべてのデザインのクオリティチェックを担っています。私が入社した当時は、まだデザイナーの数も少なかったのですが、そこからデザイン的な課題の解決に取り組みつつ、プロフェッショナルな人材を集めて、現在の組織体制を構築していきました。


――:何か『モンスト』のデザインに携わるうえで、大切にしていることはありますか。

『モンスト』の世界は「友情」や「協力」といった普遍的なものをテーマにした王道エンターテイメントです。機能性や使いやすさを重要視したUI・UXデザインにおいても、きちんとそのテーマが反映されているかどうかを大切にしています。たとえば、『モンスト』の世界に浸っていることを心地良いと感じられるか、興奮を喚起させられるかなど、徹底してこだわりながら作っています。


――:個人的にはデザインの統一感も見られます。ちなみに、世界観にはコンセプトなどはあるのでしょうか。一見ファンタジーのような感じもしますが。

『モンスト』の世界は、様々なモチーフやキャラクターを受け入れられる弾力性が求められます。それこそ「ファンタジー」と一言で括れない世界観かもしれません。

『モンスト』のデザインで指標としているのは、何かひと癖があり、引っかかりのある内容にすることです。もちろんビジュアル的な意味でのクオリティはひとつの価値ですが、それだけでなく、スパイスが効いた要素をどこかに加え、総合的に見て楽しめるデザインに仕上げることで『モンスト』独自の世界観を築き上げています。




たとえば、UI・UXデザイナーは洗練されたデザインを目指し、無駄を削ぎ落としていくものですが、そこにユーザーさんの心を動かす要素が含まれていないと、仮に洗練されていても魅力的に感じないものになってしまいます。UI・UXにおいても「エンターテイメントとしての機能」という視点を持ち、これらの要素のバランスを見ながら作り上げていくことが非常に大切です。


――:ここ最近は、コラボなどでIP案件のデザインも手掛けられているかと思います。何か配慮しているところや、逆に『モンスト』ならではのエッセンスを加えたりすることはありますか。

まずコラボするうえでの前提として、双方のファンが満足できることが大事になります。そのためには、デザインする前にコラボ先のIPファンの心理をきちんと理解するところから始め、改めて該当IPに対して“絶対に押さえておきたいポイント”を事前に洗い出します。そして、それらの要素を『モンスト』というフォーマットに持ってきたときに、どういった相乗効果を生み出すことができるか、プランナーやマーケティングのメンバーとも議論を重ねた上で実施内容を決定し、制作に入ります。

たとえば、「ミュータント・タートルズ」とコラボしたときは、キャラクターが登場するだけでなく、回復アイテムをハートではなくてピザ(主人公たちの好物)にしたり、「エヴァンゲリオン」とのコラボでは劇中で印象的な「使徒」と呼ばれる敵の変形シーンを攻撃演出で再現したり、細部までこだわってファンが楽しめる要素を盛り込んでいます。これまで行ったコラボについては自分たちが大好きなものばかりなので、こういった作業はとても楽しくもありますし、ファンの期待に応えるという意味ではデザイナーとしてとてもやりがいを感じますね。

 
 
▲「ミュータント・タートルズ」コラボ、「エヴァンゲリオン」コラボ


――:また、『モンスト』では通常のイラストから、引っ張って飛ばす球状のイラストも描かなければいけません。特徴を押さえつつ、球状に落とし込むことに並々ならぬこだわりを感じるのですが。

そうですね。初期の頃は、まだそのあたりのノウハウが不足していたため、ハーレーなど後から改善を行ったキャラクターもいましたが、現状はノウハウも蓄積して上手く仕上げられるようになっています。各キャラクターの特徴を押さえて、それらがもとのイラストと比べてもちゃんと魅力を踏襲していれば良しとしています。このあたりはイラストレーター陣が徹底してこだわって実現しているところですね。


――:ちょっと雑談ですが、加藤さんのなかで思い入れのあるキャラクターなどはいますか。

沢山いるので選ぶのは難しいですが、一つ挙げるとすればクシナダですね。【超絶】と言われる難度の高いボスキャラクターで、デザインもかなりホラーテイストになっています。じつは、当初は今の怖いイラストでは無くて、おしとやかで可愛いキャラクターでした。ですが、こうした神話や歴史上の人物などは、ほかのゲームタイトルでもキャラクターとして登場することが多々あります。もちろんクシナダも同様で「このまま史実通りのイメージで描いても面白くないよね」とチーム内で考え、一度はじめから作り直したことがありました。

そして、改めて「『モンスト』ならではのクシナダってなんだろう…」と、デザイナーで集まり議論し、「八岐大蛇に生贄にされそうになる」という設定を活かし、そこの「生贄にされそうになる恐怖心」をビジュアルにしてみようという結論に至り、現在のデザインになりました。

 

▲クシナダ

このように『モンスト』では、史実上の登場人物を使うにしても、独自の解釈で少しひねりを加えて、ほかではやっていないような形に仕上げようとしています。実際には賛否両論はありましたが、「期待していたものと違うけどいい!」「こう来たか!」という意見が多くて、話題を作ることができたのかもしれません。


――:なるほど。ちなみに、デザイナーの加藤さん目線で改めて『モンスト』の魅力はどこにあると思いますか。

ゲームとしての魅力は友達と一緒に遊んで盛り上がれるところが一番です。デザイン面に関しては、爽快感のある演出ももちろんですが、やはり様々な要素を独自の解釈で盛り込むことで生まれる魅力的なキャラクターや世界観だと思います。とはいえ、我々が予想もしていなかったキャラクターたちが、ユーザーさんのなかで話題になることもあります。こうしたユーザーさんのなかでキャラクターたちがひとり歩きして育っていくのは、とても印象深かったですし、そのデザインが愛されているひとつの証拠なのかもしれません。

 

■「世界に通用するデザインを」


――:ここからは採用面についてお聞きしていこうと思います。現在デザイングループの開発体制はどのような形ですか。

UI・UXデザイナー、イラストレーター、ゲーム中のアニメーションやエフェクトなどを手掛けるデザイナーの大きく3つに分かれています。現在は約30人で、その多くがイラストレーターです。私自身はマネジメントという立場ですが、画面設計やエフェクトなども手掛けていました。


――:デザイングループをはじめ、社内の雰囲気はいかがですか。
 

活気がありますね。デザイングループには、ゲームやアニメが好きな方が多く揃っているので、日々そういう話をして盛り上がっています。『モンスト』も常に遊んでいますし、それ以外のゲームも積極的に遊んでいます。デザイナーとしては、より多くのエンターテイメント作品に触れて、インプットしていくことが大事ですし、そういうことをメンバーには口酸っぱく言っています……が、まあ言わなくともみんなやりますね(笑)。また、職種問わずフラットにコミュニケーションできる雰囲気もとても良いです。


――:御社ならではの社内環境や特徴的な福利厚生などはありますか。

仕事に関わる費用を補助してくれる点はありがたいです。たとえば、最近話題になっているスマートウォッチを購入すると半額補助してくれたり、各アプリストアのプリペイドカード購入も補助してくれたりと、話題になっているものや新しいものに触れることで、クリエイターたちがインプットしやすいようにサポートしてくれています。

このほかデザイングループでは、自主的に毎週勉強会を開いて、スキルのベースアップ講習をやっています。一括りにデザイナーといっても様々な職種があるため、ノウハウの共有やスキルの向上などに役立っています。現在はWEBデザインの講習を行っているのですが、たとえばイラストレーターさんが全然知識のないWEBデザインを知ることで、自身のクリエイティブでより価値の高いものが生み出せるきっかけに繋がればと思っています。



――:そして現在御社では、新しい人員を募集しているとのことですが、デザイングループではどのような人物像を求めているのでしょうか。

UI・UXデザイナーであれば、課題解決の意識やデザインスキル、技術面への理解はもちろんですが、エンターテイメントコンテンツならではの新たな表現方法などのチャレンジ精神を持った方を求めています。イラストレーターでは、個々のこだわりや独自性を大切にしつつも、ひとりよがりにならない客観的な視点を持ち、それらを両立できる方が望ましいです。

また、全体を通してでは、遊び心を持っていることも重要です。頭でっかちになりすぎず、自身が「楽しい」「面白い」と思う経験をインプットして、それらをロジックに落とし込んで、デザインや表現ツールとしてアウトプットできることが理想だと思います。そのため、よく面接では「最近印象に残ったデザイン」などについてお聞きします。この質問では、アンテナ感度が高いかどうかを見ていて、はっきりと答えられる方は普段から色々なものを見て体験し、吸収している証拠だと思っています。



――:分かりました。それでは、最後にデザイングループとして『モンスターストライク』の今後の展望を教えてください。
 

現在『モンスト』では、海外展開にも力を入れているのですが、それに際してデザインにおける様々な課題が出てきています。単純なローカライズではなく、各国の文化に合わせたカルチャライズなど、我々もより一層デザインに対する理解を深めなければいけません。そういう意味では、『モンスト』ではまだまだやりきれていないところがたくさんありますし、それと同じく可能性もあります。これから世界に通用するようなデザインにも挑戦していきますので、ぜひ一緒にデザインを手掛けたい方はご応募ください。


――:本日はありがとうございました。
 
(取材・文:編集部 原孝則)


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会社情報

会社名
株式会社MIXI
設立
1997年11月
代表者
代表取締役社長 木村 弘毅
決算期
3月
直近業績
売上高1468億6800万円、営業利益:191億7700万円、経常利益156億6900万円、最終利益70億8200万円(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
2121
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