【座談会】『七つの大罪』原作・アニメ・スマホゲームに携わるキーマンが明かす三者三様の裏話。鈴木先生描き下ろしのゲーム版オリジナルキャラも初公開
ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>は、5月15日、渋谷ヒカリエ DeNA本社において、マンガ『七つの大罪』を題材にしたスマートフォン向けゲーム『七つの大罪 ポケットの中の騎士団』三社座談会を開催した。
当日は、ゲーム版を手掛けたDeNAのプロデューサーを筆頭に、同コンテンツに携わるアニプレックスや講談社のキーマンが登壇し、DeNAの社内カフェのリラックスした雰囲気の中で、『七つの大罪』やゲーム『七つの大罪 ポケットの中の騎士団』について語り合われた。
また、座談会では大型コラボレーションや新キャラクターのお披露目など、いくつかの重大情報も発表されたほか、ここだけでしか聞けないマンガ・アニメ版の裏話と充実した内容となった。本稿では、今をときめく大人気マンガ『七つの大罪』の各種コンテンツに携わる、三者三様の裏話が披露された座談会の様子をレポート。
■「じつは先生は…」 『七つの大罪』に携わるキーマンが明かす三者三様の裏話
株式会社アニプレックス
アニメ『七つの大罪』プロデューサー
瓜生恭子 氏(写真左)
株式会社講談社
週刊少年マガジン編集部『七つの大罪』担当
藤井俊宏 氏(写真中央)
株式会社ディー・エヌ・エー
『七つの大罪 ポケットの中の騎士団』プロデューサー
庄司美弥子 氏(写真右)
『七つの大罪』(作者:鈴木央<すずきなかば>)は、「週刊少年マガジン」で連載中の王道ファンタジーマンガ。2014年10月にテレビアニメが放映され、2015年には第39回講談社漫画賞・少年部門を受賞するなど今や国民的マンガのひとつに成長した。ゲーム版は、原作ストーリーに沿って展開されるスマートフォン向けバトルRPG。プレイヤーは、「七つの大罪」のメンバーをはじめとする個性豊かな仲間たちを集め、自由にパーティーの「騎士団」を結成して、敵とのバトルを繰り広げていく。
▲ゲーム版『七つの大罪 ポケットの中の騎士団』(開発:ラクジン)
前述している通り、今回の座談会には『七つの大罪』に携わる、原作(マンガ)・アニメ・ゲームの各プロデューサー陣が一同に会する豪華なイベントになった。はじめに、DeNA側で用意された質問事項に沿って進行し、それぞれここでしか聞けない制作舞台裏を明かしてくれた。
Q:連載が始まってどれぐらいでアニメ化が決まったのか?
最初の質問はずばりアニメ化の経緯。これについてアニプレックスの瓜生氏は、「講談社さんに最初企画を持っていったのはコミックスの2巻が発売した直後ぐらいです」と早くに企画を持ち込んだことを語った。
当時からアニプレックス社内でも話題となっており、王道ファンタジーながらも、番外編でせつないラブストーリーが描かれるなど、早くから作品の奥深かさに気づき、じつに「週刊少年マガジン」で連載した半年後に、アニメ化の話を持ち込んだようだ。
ちなみにゲーム版『七つの大罪 ポケットの中の騎士団』は、基本的にアニメ版の素材などを用いているため、DeNA側の庄司氏としては「アニメが無い状態ですと(イラストの発注・各種確認など)原作者側にご迷惑をかけてしまうので…」と先にアニメ化が決まったことに安堵している様子だった。
Q:アニメ化までの簡単なプロセスは?
これについても瓜生氏が返答。はじめに放送局の選定、時間帯を講談社側との協議の結果、老若男女楽しめる作品のため日曜日の夕方5時に決定。そこから具体的な放送時期を決めて、制作スタッフのアサインとなるようだ。
また、アニメ化に伴い“編集部側で特別原作の内容を変えることはあるのか”、という質問に対して、週刊少年マガジン編集部『七つの大罪』担当の藤井氏は「変えることはありません。もともと先生自身が“誰にでも読める作品にしたい”という思いがあったため、今回のアニメ化もマッチしていたと思います」とコメント。
また、アニメ制作中のエピソードとして、鈴木先生がかなりの頻度でアフレコ現場に訪れていた話も披露してくれた。藤井氏いわく、鈴木先生はアシスタントがひとりもいない状態で、奥さんのサポートのみで週刊連載を続けている、漫画家のなかでも異例の進行を行っている方であることを述べた。
そんなスケジュール的にも大変のなかでも、原稿を持ち込みながらアフレコ現場に訪れる理由を藤井氏は「恐らく単純に自分の作品に声をあてる人を見たいのではないでしょうか。それも現場で意見を言うのではなく、いちファンとして楽しんでいる様子でした」と振り返った。
瓜生氏は「原稿を持ち込みながらも、毎回アフレコ現場に訪れてくれる姿は、本当に涙ぐましいです。ただ、逆に来ていただいたことで、“ここの台詞のイントネーションはどちらが正しいですか?”とすぐに確認できたりしたのは良かったですね(笑)」と語ってくれた。
Q:お気に入りのシーンやキャラクターは?
ゲーム版のプロデューサーの庄司氏は、「七つの大罪」一員の巨人族の女の子・ディアンヌを挙げた。「個人的なことですけど、私身長が178cmもありまして、昔からディアンヌと同様に“大きい大きい”と言われる人生を歩んできました。ディアンヌには乙女な一面もあったり、小さくなりたいエピソードがあったりと、大きい女の子ならではの共感できるところがあって好きです」とコメント。
瓜生氏は「七つの大罪」一員のキング。「ビジュアルもいいけど、18話ラストの展開がものすごく好き。彼の素直さが表れています」と魅力を語ってくれた。また、藤井氏は本作のマスコット的な存在であるホークをチョイス。「久野美咲さんが演じるアニメ版のホークの声をはじめて聞いたとき、もうこれ以外考えられないと思いました。先生もホーク推しです」と明かしてくれた。
Q:アニメ版のヒットの秘訣は?
これについて瓜生氏は「スタッフの間で共通意識としてあったのは、なるべく“原作通りに描こう”ということです。映像も鈴木先生のテイストを意識して、オリジナルエピソードもありましたが、根幹となる話の流れも忠実に描くことにしました。もちろん監督や脚本家も素晴らしいですが、もともとの原作が面白かったからじゃないでしょうか」と改めて原作の魅力を述べた。
藤井氏も「豪華声優陣による演技もそうですが、いま瓜生さんがおっしゃったように、アニメ制作スタッフのみなさんが原作の良さをよく理解していたことですね。原作は子供でも楽しめるように、バトルシーンも分かりやすくしているのですが、そのへんも制作スタッフたちに共有されていて、アニメ版は子供が見ても大人が見ても楽しめる内容になっています」と分析してくれた。
Q:ゲーム版でこだわっているところは?
庄司氏は「原作やアニメでもバトルが激しいので、それをゲームのなかでもきちんと表現したところです」と、ド派手なバトル演出にこだわったことを明かした。
また、実際にゲーム版を遊んだ鈴木先生は、藤井氏いわく「スキルを発動する上フリックの操作が“爽快で気持ちいい”と言っていました。じつは先生は、パソコンやスマホを一切持っていない方で、メールも一切せず、連絡も基本的には電話とFAXのみなんです。ゲームアプリ版もDeNAさんから実機を借りて遊んでいました。最初は恐る恐るという感じでしたが、もともと先生はゲーム好きでしたので、気づいたら夢中になって5連撃などを繰り出してくれました。慣れるのは早かったですね」と鈴木先生の思わぬ一面を語ってくれた。
■「気になるあの妖精はガウェインくん?」 鈴木先生に質問コーナー
続いて、「週刊少年マガジン」で掲載されている鈴木先生への質問コーナー「答えてばっちょ!」の出張編を実施。事前に寄せられた質問に対して鈴木先生が回答、当日は藤井氏が代理で返答してくれた。
Q:当初想定していた設定や転換を逸脱して成長したキャラクターやストーリーはありますか?
A:「ヘンドリクセンは、思った以上に美味しいキャラクターになりました。また、ジェリコも描いているうちに、自分でも妙に可愛く見えてきました。振られても振られても折れない女子が可愛いですね」
Q:お話を考えていて楽しかったキャラクターを教えてください!
A:「これは全部ですね!」
Q:面白いお話を書く秘訣はなんでしょうか?
A:「まずは先生自身が面白いと思うことを書きますが、先生は読者の予想を裏切るような展開も考えます。例えば、ファンレターのほうで次の展開について“こうしてほしい”という内容があれば、それが面白ければその逆のことを描くこともあります。また、キャラクターの作り方も意識しています。良いキャラクターであれば、あとは自然に動いていくようです。実際に人間観察して分析するなど、キャラクター作りには並々ならぬこだわりがあります」
Q:エリザベス、ディアンヌ、エレイン、マーリンの3サイズを教えてください!
A:「エリザベス:92・56・89、ディアンヌ:91・58・90、エレイン:73・50・70、マーリン:85・57・85、です!」
Q:117話「二人の妖精王」に登場する妖精族の男の子はガウェインくん(鈴木先生の代表作『ライジングインパクト』に登場する主人公の名前)でしょうか?
A:「これは気のせいです(笑)。彼にはプオーラという名前があります。ただ、ガウェインという名前のキャラクターは今後登場する予定です」
Q:バンとエレインの人間変換した時の年齢差はどれくらいなのでしょうか?
A:「人間に変換したことないですが、10歳ぐらいですね」
Q:ゲーム『七つの大罪 ポケットの中の騎士団』へコメントをいただけますか?
A:「鈴木先生自身すごくゲーム化を喜んでいます。コンセプトのなかにあった、自分好みの騎士団が作れるというのが、とても良かったとのことです」
■ここで重大発表! ゲーム版から派生したオリジナルキャラは原作にも…
と、ここで『七つの大罪 ポケットの中の騎士団』に関する重大情報が発表された。はじめにゲーム版に登場するオリジナルキャラクターについて。当日は鈴木先生描き下ろしのラフスケッチも公開された。
オリジナルキャラクターは、弓を持った19歳の青年アーデン、ポニーテールとリンボが特徴的な23歳の女性デルドレーの2体。誕生経緯について、事前にDeNA側が用意したいくつかの候補設定のなかのひとつで、「七つの大罪」メンバー内にギャグっぽい恋愛トラブルを起こすようなキャラクターという題材を鈴木先生が選び描いたとのこと。
オリジナルキャラクターは、弓を持った19歳の青年アーデン、ポニーテールとリンボが特徴的な23歳の女性デルドレーの2体。誕生経緯について、事前にDeNA側が用意したいくつかの候補設定のなかのひとつで、「七つの大罪」メンバー内にギャグっぽい恋愛トラブルを起こすようなキャラクターという題材を鈴木先生が選び描いたとのこと。
これまで鈴木先生が描いてきたキャラクターとは、少し毛色の異なる形に挑戦したという。また、藤井氏いわく先生自身も大変気に入っており、なんとマンガ本編にも登場予定であることを明かした。声優も今後発表されていくとのこと。なお、ゲームには夏頃登場予定。
続いて、鈴木先生自ら審査を行うキャラクターのオリジナルファッションコンテストが開催決定。優勝作品には、ゲーム内で2Dイラスト及び3Dモデルとなって登場予定である。応募方法などの詳細は、近日公式Twitterなどにて告知されるとのこと。
【コンテスト概要】
・『七つの大罪』からキャラクターを1人選び、オリジナル衣装を考案
・オリジナル衣装の投稿はイラスト及び文章による説明で受付
・今回のテーマは「食べ物」
▲参考として、DeNAのデザイナーが執筆した「どんぐり」衣装に身を包んだキング(変身)を披露。藤井氏は鈴木先生からのコメントを代弁して「風格が漂う。全体的な衣装もおっさんとマッチして良いです」とコメント。
▲また、コンテストへの参加者を増やすために、登壇した3名も即興でイラストを執筆。
▲左から瓜生氏、藤井氏、庄司氏。
「応募へのハードル下がりましたか?」と苦笑いながらも、会場は笑いに包まれた。
▲そして、『進撃の巨人 -自由への咆哮-』とのコラボレーションイベントも開催決定。ゲーム内に、『進撃の巨人』でお馴染みのキャラクター「エレン」「ミカサ」「リヴァイ」が登場。
座談会の最後には、『七つの大罪』のマンガ・アニメに関する近況も告知。
■マンガ・原作
バンの番外編収録のOAD付き限定版も発売する『七つの大罪』単行本15巻が6月17日発売。また、8月12日発売の16巻の限定版にはメインキャラ総登場のオリジナルアニメが収録。さらに5月27日発売の「週刊少年マガジン」は大贈ページで、ディアンヌの外伝が掲載予定。同じ頃にピンナップやディアンヌのポスターも収録されるとのこと。
■アニメ
『七つの大罪』Blu-ray/DVDの第5巻が5月27日発売。第5巻には、第1巻に付いて来た鈴木先生描き下ろし前半巻収納BOXの後半が付いてくるという。また、これらを繋げることで一枚の絵になる。このほか、7月25日・26日の2DAYS4回公演で開催される「七つの大罪 FES」も告知。
▼『七つの大罪』Blu-ray/DVD収納BOX
(取材・文:編集部 原孝則)
■『七つの大罪 ポケットの中の騎士団』
©鈴木央・講談社/「七つの大罪」製作委員会・MBS
©DeNA / Developed by Racjin Co., Ltd.
会社情報
- 会社名
- 株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
- 設立
- 1999年3月
- 代表者
- 代表取締役会長 南場 智子/代表取締役社長兼CEO 岡村 信悟
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上収益1367億3300万円、営業損益282億7000万円の赤字、税引前損益281億3000万円の赤字、最終損益286億8200万円の赤字(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 2432
会社情報
- 会社名
- 株式会社ラクジン
- 設立
- 1995年4月
- 代表者
- 代表取締役社長 中野 哲雄
会社情報
- 会社名
- 講談社
会社情報
- 会社名
- 株式会社アニプレックス
- 設立
- 1995年9月
- 代表者
- 岩上敦宏
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- ・売上高:2062億2200万円(前の期比36.6%増)
・営業利益:534億5300万円(同81.9%増)
・経常利益:537億5100万円(同84.2%増)
・最終利益:369億3600万円(同100.5%増) - 上場区分
- 未上場