現在ミクシィ<2121>のモンストスタジオでは、今後の事業拡大のため、様々な職種で採用面に力を入れている。
代表作『モンスターストライク』は、直感的な操作性はもとより、友人たちと集まってわいわい遊ぶマルチプレイなど、口コミを通して若年層を中心に広がり、瞬く間に日本を代表する大ヒットゲームアプリへと成長した。さらに、直近では対戦プレイに特化した『モンストスタジアム』の提供も開始。
今回「Social Game Info」では、『モンスターストライク』の開発にエンジニアとして携わる柳澤氏と五嶋氏の2名にインタビューを実施し、その内容を前後編の2回にわたって伝えていく。前編では、本作で具体的に携わっている箇所や知られざる開発エピソードに着目。
■ミクシィ
■技術開発に余念がないモンストスタジオ
株式会社ミクシィ
モンストスタジオ システム開発部 国内クライアント開発グループ
柳澤 貴宏 氏(写真右)
株式会社ミクシィ
モンストスタジオ システム開発部 たんぽぽグループ
五嶋 壮晃 氏(写真左)
――:本日はよろしくお願いします。はじめに柳澤さんと五嶋さん、おふたりが現在ご担当されている業務について教えてください。
柳澤貴宏氏(以下、柳澤):私は国内版『モンスト』におけるゲームのコア部分の開発を務めています。メイン業務としては、「ストライクショット」(本作におけるスキル)などのギミック開発、ゲーム以外ではOS依存のシステム周りを担当しており、ゲーム部分とシステム部分の両方を担当しています。
五嶋壮晃氏(以下、五嶋):私は海外版『モンスト』のクライアントサイドからサーバーサイド、ミドルウェアの開発を担当しています。おもに日本版をベースに、各地域に併せてローカライズやカルチャライズを施し、既存の機能を変更したり、新しい要素を追加したりしています。所属は「たんぽぽグループ」という部署になります。
――:「たんぽぽグループ」ですか。聞きなれない部署名ですが、具体的にどういうことをやられているのでしょうか。
五嶋:おもにミクシィの社内開発において、利便性を高めるシステムやWEBサービスなどを構築する部署となります。現在はモンストスタジオ内に部署があり、主に『モンスト』に関わる開発環境の向上などを担っています。
――:まさに『モンスト』の開発者を支える、屋台骨のような存在ですね。ちなみに、五嶋さんは海外版もご担当されているとのことですが、日本版と比べて変更されている箇所はあるのですか。
五嶋:詳細は申し上げられませんが、たとえばガチャの演出では、日本版だとガチャガチャを意識した内容となっていますが、とある国では全く別の形を採用しています。各国の文化などをきちんと分析して、より現地で受け入れられるように開発しています。
――:なるほど。柳澤さんは国内版をご担当されていますが、直近で手掛けたものはなんでしょう。
柳澤:新しいステージはもちろんですが、先日開催したアニメ『エヴァンゲリオン』とのコラボレーションも担当しました。具体的には、デザイナーからあがってきた素材に対して、私のほうで実際にダメージが当たる瞬間であったり、エフェクト周りだったりと動きを手がけています。
このコラボでは、『エヴァンゲリオン』と『モンスト』の双方の世界観を重視する必要があり、色々と試行錯誤を繰り返しました。『エヴァンゲリオン』の世界観を大切にする一方で、『モンスト』は、爽快感や快適性を重視しており、あまり凝った演出にしてしまうとゲームテンポが乱れてしまいます。双方の世界観を崩さないように、上手くバランスを見極めながら開発していく必要がありました。
――:『モンスト』と言えば、世界累計利用者数が3000万人を突破した国民的ゲームアプリかと思いますが、そのサービスを支える開発を行うのは並大抵のことではないかと思います。何か開発面において、気を配っているところはありますか。
五嶋:「たんぽぽグループ」所属の私としては、社内開発の利便性を高めることを意識して開発をしています。1例ですが、私がモンストスタジオに配属されたときは『モンスト』のクライアント開発ではWindows OSしか対応していませんでしたが、デザイナーやエンジニアのなかではMacOSX利用者が多く、開発環境に不便さを感じているメンバーが多かったため、Macでも開発できるような環境を整備しました。
――:現場に新しい選択肢を作ったわけですね。開発スピード向上に繋がっていそうですね。柳澤さんはいかがですか。
柳澤:お客様の声にはなるべく耳を傾けています。モンストスタジオでは、朝の会議でお客様からの声やイベント後の反応などの共有が常に行われています。
直近の『エヴァンゲリオン』コラボでは、『モンスト』ではじめて『エヴァンゲリオン』を知ったという方がいるなど、改めてユーザー母数の高さや、普段ゲームで遊ばない一般層にも広く親しまれていることが実感できました。このように、職種の垣根を越えてスタジオ全体で情報を共有できるのは、本当にありがたいことですね。
直近の『エヴァンゲリオン』コラボでは、『モンスト』ではじめて『エヴァンゲリオン』を知ったという方がいるなど、改めてユーザー母数の高さや、普段ゲームで遊ばない一般層にも広く親しまれていることが実感できました。このように、職種の垣根を越えてスタジオ全体で情報を共有できるのは、本当にありがたいことですね。
――:たしかにユーザーからの声は重要ですね。何か印象的なユーザーからのメッセージや出来事はありましたか。
五嶋:メッセージではないのですが、以前、中学生が校外学習としてモンストスタジオのオフィスを見学しに来たことがありました。「『モンスト』のことをもっと知りたい」「作っている人を知りたい」といったように、純粋に子供たちが開発者側のことに興味を持ってくれていたのは驚きましたし、何より嬉しかったです。それだけ『モンスト』が若年層の方にも遊ばれているのもそうですし、個人的にはこの子たちの中からゲーム開発者が出てきてほしいとも思いました(笑)。
――:それは嬉しいですね(笑)。
柳澤:スタジオ全体で一貫して、“お客様に楽しんでもらうこと”を追求しているので、その反応が良い形で返ってきたときはやはり嬉しいですね。プロデューサーの木村(『モンスターストライク』プロデューサー・木村弘毅氏)が「お客様に満足していただけるものなら、失敗してもいいのでチャレンジしよう」と言ってくれることもあり、モンストスタジオでは技術研究にも積極的に取り組むことができています。我々のチャレンジがお客様の反応につながっていると感じることができるのは、技術者にとってのやりがいにもつながり、良いサイクルが生まれているように思います。
――:ちなみに、エンジニアのおふたりの目線で改めて『モンスト』の魅力はどこにあると思いますか。
五嶋:私が遊んでいて面白いと思うのは、やはり4人で遊べる「マルチプレイ」ですね。通信的な不都合も感じず、友人とダイレクトにゲームの楽しさを共有できるのは、臨場感があります。『モンスト』がリリースされた当時は、まだスマホを持ち寄って一緒に遊ぶという文化が無かったなかで、マルチプレイを実現させる技術開発を経て、みんなと一緒にスマホゲームで遊ぶという文化を弊社で作ったことは、手前味噌ではありますが誇りに思っているところです。
柳澤:引っ張って遊ぶという爽快感は、自身が遊んでいてもそうですし、マルチプレイで他人が遊んでいるところを見ているだけでも面白いと感じるのは『モンスト』ならではですね。先ほども申し上げましたが、開発現場では“お客様に楽しんでもらう”という考えが全員に浸透しています。それぞれ職種は異なりますが、目指すべき方向は同じため、ゲーム内やリアルイベントなど様々な形で『モンスト』を盛り上げているのも印象的です。
――:分かりました。『モンスト』の開発において、今後の展望を教えてください。
五嶋:私は「たんぽぽグループ」として、今後も『モンスト』の開発において利便性の高い機能を増やしていきます。開発スピードの向上を担うのはもちろん、これから新しく入社してきた方々にも問題なく使用できるような環境作りは、やはり大切だと思っています。
また、我々のグループは、クライアント側だけにとどまらず、サーバー側も見ているため、マルチプレイのネットワーク周りも更に快適に遊べるようにきちんと対応していきます。さらに、これから海外にも積極的に展開していくなかで、効率よく運用できるような仕組みを作っていくフェーズだとも思っています。
柳澤:今後も『モンスト』を楽しんでもらうために、ゲーム内の様々なところで新しい要素を加えていきます。この他、『モンスト』を生み出したことによって、お客様は“その次”に期待されているところがあると思いますが、先日発表(関連記事)があったように、現在モンストスタジオでは新しいゲームを開発しています。こちらもご期待ください。
――:分かりました。ここからは採用面についてお聞きしていこうと思います。そもそも、おふたりがミクシィに入社、もといモンストスタジオに携われたきっかけは何だったのでしょうか。
(取材・文:編集部 原孝則)
■ミクシィ
■『モンスターストライク』
■インタビュー記事一覧
© mixi, Inc.
会社情報
- 会社名
- 株式会社MIXI
- 設立
- 1997年11月
- 代表者
- 代表取締役社長 木村 弘毅
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1468億6800万円、営業利益:191億7700万円、経常利益156億6900万円、最終利益70億8200万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 2121