9月17日より開催中の東京ゲームショウ 2015のCygamesブースにて、『グランブルーファンタジー』のエンジニアセッションが行なわれた。ここでは同社の取締役CTOである芦原栄登士氏(写真右)をMCとして迎え、エンジニアの高橋満氏(写真中央)、そしてフロントエンドエンジニアの田口和之氏(写真左)が登壇。『グランブルーファンタジー』の開発における苦労や今後の展望、さらには開発チーム内の環境など興味深い話が語られた。
■作っては壊しての繰り返しだった開発
『グランブルーファンタジー』は「ブラウザアプリでの究極のゲーム作り」を目指したと芦原氏。しかし、本作の開発時はネイティブアプリが盛り上がりを見せてきた頃であり、ブラウザベースでの開発は意外性を伴うものだった。これについて高橋氏は、インストールの手間がない分、楽に導入できる点を評価しての決定だったという。対して田口氏は、開発開始当初こそ「なんでブラウザでやるのか」と感じたというが、端末の容量を圧迫しないことも含めた手軽さは確かな魅力として捉えているようで、現在は「他には真似のできないアプリを作れた」と胸を張った。
しかし、いざ配信を始めてみると、一定の評価はもらえるが他のネイティブアプリを比較されることもあったと高橋氏。そのため、いつしかネイティブアプリをライバルと考え、そこに負けないようなクオリティを追求していこうと目標を設定したという。その中で最も苦労した点というと、毎月「レビュー会」というチーム内での体験会のエピソードを高橋氏は挙げた。ここで出てきた意見を元に、一から作りなおしてまた提出して…という作業を何ヵ月も繰り返したとのこと。作っては壊しての繰り返しは、エンジニアとしても特に苦労が絶えなかったそうだ。
そんな難しさはあったものの、開発チームのモチベーションは常に高かったとのこと。「面白いゲームを作りたい」という共通の目標は変わらなかったため、全スタッフが高い意識を持って開発に臨んでいたと高橋氏は振り返っていた。
■ひと癖もふた癖もあるチームメンバー
ここで芦原氏は、苦労を重ねてきた中でも一際凄さを感じた点として、音の同時再生を挙げた。当時のブラウザアプリというと、BGMと同時にボイスを流せる作品が非常に少なかったという。芦原氏自身、同時再生は「できないもの」と考えていたそうだが、『グランブルーファンタジー』の開発チームはこれを実現したのだ。高橋氏が言うには、当時新卒だったスタッフがサウンドを担当しており、試行錯誤しながら技術を確立したとか。
サウンドにかぎらず若いスタッフが活躍する機会は多いそうで、年齢層にかかわらずあらゆるスタッフが活躍できる環境が整っていると話した。年齢だけでなく、Cygamesにはさまざまなスタッフが存在しており、ボクシングが大好きでジム通いをしている人や、アウトドアが好きで毎週キャンプに出掛けている人もいる。
さらには音楽ゲーム『ダンスダンスレボリューション』の日本チャンピオンまで在籍しているとのこと。総じて芦原氏は「いろいろな面の才能が集まったチーム」と評していた。田口氏も同じことを考えているようでさまざまなスタッフが集まることにより、視野がひとつにとどまらない点が何よりも大きな魅力であると話した。
最後の話題として出てきたのは、「これからチャレンジしていきたいこと」。ここで田口氏は、東京ゲームショウ 2015で発表された英語版に言及すると、「日本と海外のユーザーさんが同じタイミングで遊べて、なおかつ今のイベントのスピード感に差異が出ないようしていきたい」と語った。また高橋氏は新しいコンテンツに関して、ブラウザならではのスピードで提供していきたいとコメントした。
■『グランブルーファンタジー』
©Cygames, Inc.