【AppAnnie調査】Marvel IPアプリの収益ランキングでDeNAの『Marvel War of Heroes』が1位! D3Pの『Marvel Puzzle Quest』は3位に


App Annieは、Marvelの知的財産(IP)がゲームアプリの成功に与える効果について分析したブログ「Marvelに学ぶ、アプリ市場でヒーローになる方法」を発表した。

スパイダーマンやアベンジャーズなど、世界的に人気のあるキャラクターを1940年代から生み出し続けているMarvelは、映画やテレビを始めとするマルチメディア戦略で強固なファン層を築いている。そして、最適なパートナーを選ぶ嗅覚と強固なモバイル戦略によって、数々のヒットゲームアプリをポートフォリオに加えてきた。

App Annieは2012年1月から2015年9月までのMarvel IP アプリのダウンロード数と収益額を調査し、Marvel IPを用いたヒットアプリの傾向を明らかにした。Marvel IPアプリの収益ランキングにおいては、ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>の『Marvel War of Heroes』は1位、ディースリーパブリッシャーの『Marvel Puzzle Quest』は3位にランクインしている。

また、地域別に見ると、米国でのダウンロード数と収益額が特に大きい一方で、ブラジル、ロシア、中国等のアジアや南米市場でもMarvel IPは高いパフォーマンスをあげている。ブログ内では、アベンジャーズやスパイダーマンなどの人気キャラクターが与えるダウンロード数への影響についても解説している。
 
 

■Marvelの大ヒットアプリ


Marvelアプリの人気はすでに証明ずみ。App Annieの Worldwide App Annie Index・ゲーム編[2015年5月号] において、『MARVEL Future Fight』は合計DL数で6位と、超ヒット作『Clash of Clans』のすぐ後ろにつけた。また2014年9月 には『SpiderMan Unlimited』が合計DL数で2位に入り、『Candy Crush Saga』と『Subway Surfers』の間に食い込んだ。

Marvelのモバイルアプリに注目してみよう。『Store Intelligence』を使って、全世界のiOS App StoreとGoogle Playで配信中のMarvelタイトル(無料、フリーミアム、有料、ペイドミアムのゲームとアプリ)を対象に、2012年1月から2015年9月のパフォーマンスを調べてみた。その結果、Marvelタイトルの中でDL数と収益のトップに立つ10タイトルが抽出された(うち2本は両方のランキングに登場)。



DL数ランキング:
1. SpiderMan Unlimited (Gameloft、2014年9月リリース)
2. Iron Man 3 (Gameloft、2013年4月リリース)
3. Marvel Contest of Champions (Kabam、2014年11月リリース)
4. Marvel Future Fight (Netmarble、2015年3月)
5. Avengers Alliance (Marvel Entertainment、2013年6月)
6. Thor: The Dark World (Gameloft、2013年10月)

収益ランキング:
1. Marvel War of Heroes (DeNA、2012年10月)
2. Marvel Contest of Champions (Kabam、2014年11月リリース)
3. Marvel Puzzle Quest (Bandai Namco、2013年8月)
4. Marvel Comics (Marvel Entertainment、2010年4月)
5. Marvel Future Fight (Netmarble、2015年3月)
6. The Amazing SpiderMan(Gameloft、2012年6月)

ランクインしたアプリ10本のうち9本が、単独のヒーローやヒーローチーム、または複数のコミック作品のキャラクターをフィーチャーしたゲーム。Marvelのデジタルコミック配信アプリ『Marvel Comics』は、メディア/エンターテインメント系アプリとして唯一収益ランキングに入っている。

 

■ゲームが世界中で人気


上記の9本のMarvelゲームに関して、DL数と収益が特に大きい国を調べてみた。やはりいずれもアメリカがトップだったが、他の多くの国でもMarvelのIPは熱狂的な人気を集めていることがわかる。ブラジルとロシア( モバイルアプリ が急成長を遂げている国)は、DL数で大きな割合を占めた。DL数上位のゲームは、いずれもブラジルのGoogle Playで好調で、ロシアのGoogle Playランキングをほぼ独占している。


▲2015年3月のリリース以来、 Marvel Future Fight はブラジルとロシアのGoogle PlayのRPGカテゴリーで人気をキープ。

中国が合計DL数で3位に入ったことは、 iOSのDL数で世界トップに立った中国 におけるMarvelブランドの人気を示している。とはいえ、Marvelの映画作品(特に『アイアンマン3』 と 『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』 )が中国で大きな収益を上げていることを考えれば、さほど驚くには当たらない。

一方でアメリカは、『Marvel War of Heroes』、『Marvel Contest of Champions』、『Marvel Puzzle Quest』を収益のトップアプリに押し上げるのに大きく貢献。『Marvel Contest of Champions』はイギリスとカナダでも大きな収益を上げている。Marvelはモバイルゲームにおける巨大ブランドであり、北米のみならず全世界、特にアジアと南米市場で大きな人気を獲得していることが容易に見てとれる。

 

■複数回ライクインしたパブリッシャー


App Annieの分析では3つのパブリッシャーが突出しており、1つ以上のタイトルで何度もランキングに登場。

そのうち Gameloft は、DL数の1位、2位、6位、および収益の6位と、計4つのランクを獲得している。その結果、同社は合計DL数ランキングにおいて圧倒的なポジションを占め、また収益の多くをフリーミアムではなく有料のビジネスモデルによって獲得した唯一のパブリッシャーとなった。




▲2014年9月、『SpiderMan Unlimited』はフランス、ロシア、アメリカなどのGoogle Playのアクション(ゲーム)カテゴリーで上位にランクイン。その結果、MarvelのIPアプリのDL数トップに輝いた。

KabamとNetmarble はそれぞれ、『Marvel Contest of Champions』と『Marvel Future Fight』というヒットゲームで、DL数と収益の両方にランクインした。『Marvel Contest of Champions』は2014年11月、 Marvel Future Fight は2015年3月にリリースされたばかりで、これは驚くべき急成長。

どちらのタイトルもフリーミアムモデルを採用し、 ゲーム内通貨のバンドル販売 を行なっている。実際、収益ランキングに入ったアプリ6本のうち5本が、有料モデルではなくアプリ内課金を採用している。

 

■ヒーローたちがDL数に貢献


App Annieの分析で浮上したMarvelアプリ10本のうち、最も人気が高かったキャラクター群はアベンジャーズとその中心メンバーであるアイアンマンとマイティ・ソーだった。アベンジャーズとそのメンバーをフィーチャーしたアプリはDL数の2位、5位、6位にランクインし、その他のトップアプリにもアベンジャーズのキャラクターが多数登場する。この人気には、すでに2019年半ばまで公開予定が決まっているMarvelの映画作品群『マーベル・シネマティッ
ク・ユニバース』 や、ABCとNetflixが放送しているスピンオフ作品の影響もあるかもしれない。


▲マーベル・シネマティック・ユニバースは、アベンジャーズを人気のIPにするうえで大きな役割を果たした。

最も人気のある単体のヒーローはスパイダーマンであり、DL数で1位、収益で6位につけている。スパイダーマンはすでにソニー・ピクチャーズエンタテインメントが製作した5本の映画に登場しており、2016年の『キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー』でマーベル・シネマティック・ユニバースへの仲間入りを果たす予定。

ミュータントのヒーローチームであるXMENは、DL数でも収益でも上位6位以内に入らなかったものの、2016年の『 XMEN:アポカリプス 』の公開が同フランチャイズへの世界的な関心を高める可能性がある。ウルヴァリンやサイクロップスのような人気の高いキャラクターは、『Marvel War of Heroes』、『Marvel Contest of Champions』、『Marvel Puzzle Quest』のスクリーンショットとアイコンにも登場している(なお、App Annieの スクリーンショット と アイコンに関するガイドで、コツとベストプラクティスを学ぶことができる)。

 

■インタビュー:マーベル・ユニバースでヒット作を生み出す


App Annieでは、経験豊かなモバイルマーケターたちに、Marvelアプリのヒット作をリリースした体験についてうかがった。

Marvel Games Marketingの元バイスプレジデント、Javon Frazier氏。


Marvel Digitalの元マーケティング担当バイスプレジデント、Javon Frazier氏は、彼が実現させた重要なパートナーシップについて語った。「Marvelでは、DeNAやGameloftのようなトップクラスのアプリ開発会社と提携することで、刺激的で没入感のあるゲーム体験を創造することができました」

Frazier氏は若い頃からMarvelのファンで、素晴らしいアプリを作るために情熱を注いでいた。「マーベル・ユニバースに情熱を注ぎながら成長したことが、Marvel Gamesの品質に貢献することにつながったのです」


Kabamの元製品マーケティングマネージャーで、
DeNAの元製品マーケティング主任でもあるStephanie Lin氏。


Kabamの元製品マーケティングマネージャーで、DeNAの元製品マーケティング主任でもあるStephanie Lin氏は、2つのMarvelタイトルに携わった経験を語った。

「Marvelは世界で最も愛されているブランドの1つであり、世界中に何百万ものファンを抱えています。Marvel War of Heroes(DeNA)やMarvel Contest of Champions (Kabam)のようなゲームで強力なハリウッドのIPに取り組むことは、Marvelブランドの持つ影響力を考えると、実に素晴らしい体験でした」

最後に、App Annieのマーコム&コミュニティ担当バイスプレジデントで、DeNAの元マーケティングディレクター、Fabien Pierre Nicolas氏の話で締めくくろう。

「Marvel War of Heroesをリリースし、MarvelのIPアプリの収益ランキングで首位を獲得できたことを誇りに思っています。このような功績はすべて、ヒット作を生み出すエキスパートであるCygamesのチーム、私たちとMarvelファンの橋渡しに尽力してくれた(Javonを含む)Marvelのチーム、そして Marvel War of Heroes をヒットさせることに情熱を注いだDeNAの私のチームの共同作業によるものなのです」

Nicolas氏はまた、MarvelのIPがアプリストアにおいてさらに成長するとの予測を示している。

「IPのライセンシングに関して言えば、ディズニーがMarvelユニバース全体にわたる広大なビジョンを持っていることを考えると、Marvelの勢力は世界中で年々広がり続けると私は予想しています」

 

■ブランドがアプリストアを活性化する


Marvelの成功は、有名なIPがゲームのDL数と収益の拡大をもたらす大きな原動力になることを示している。また、パブリッシャー各社は、例えば『Marvel Puzzle Quest』のCMで「超人ハルク」の俳優Lou Ferrigno氏が起用されたように、Marvelアプリを売り込むアプローチを進化させている。

他のフランチャイズも、Marvelの足跡に続くことができるはず。2015年12月のアプリストアランキングは、期待の高い「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」が公開され、スター・ウォーズ関連の既存のゲームや新しいゲームにとって追い風になる可能性など、目が離せない。モバイルアプリ市場でブランドを確立するためには、今が本当に良いタイミングであると言えるだろう。


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