ミクシィ<2121>は、11月6日、東京都内で決算説明会を開催した。同日発表した2016年3月期の第2四半期(4~9月)連結決算は、売上高953億円(前期比2.7倍)、営業利益436億円(同3.0倍)、経常利益433億円(同3.0倍)、四半期純利益284億円(同3.1倍)と驚異的な増収増益を達成した。しかし、四半期推移(QonQ)で見てみると、減収減益となるなど、これまでの圧倒的な右肩上がりの成長トレンドから大きな変化のタイミングを迎えつつある。
一方で、これまで開発中としていた新作タイトルが、今回の説明会でいよいよヴェールを脱ぎ始めるなど、新たな動きも鮮明になってきた。
今回の決算説明会では、まずは萩野泰弘取締役が財務状況を説明、続いて森田仁基代表取締役社長(写真)が事業状況の説明を行った。その後に行われた質疑応答の内容も踏まえつつ、会見の様子をまとめてみた。
■QonQでの減収減益は2014年3月期2Q以来
まず、荻野泰弘取締役が財務状況の説明を行ったが、第2四半期累計の業績は売上高、利益とも予想を上回る進捗となったとのこと。ちなみに売上高の通期計画に対する進捗率は51.5%、営業利益は同54.6%、経常利益は同54.2%、四半期純利益は同54.7%に達している。一方で、業績をQonQで見ると、第2四半期期間(4~6月)は売上高452億円(前四半期比9.6%減)、営業利益193億円(同20.6%減)と減収減益になった。同社がQonQで減収減益となるのは『モンスターストライク』(以下、『モンスト』)リリース前の2014年3月期第2四半期以来となる。
この要因について、荻野取締役は「『モンスト』に初心者パックを導入したが、これを既存の課金ユーザーも利用できたため利用し、ARPPU(課金ユーザー当たり売上高)が一時的に低下したため」としていた。ただし、「初心者パックの効果で課金者数は増加し、10月も順調に推移している」ともしており、今回のQonQ推移が一時的なものなのかどうか、第3四半期でじっくりと確認する必要がありそうだ。
売上原価は外注費が第1四半期とほぼ同水準で推移するなど計画をやや上ブレした。この外注費には新規タイトルと12月17日に発売予定のニンテンドー3DS版『モンスト』の開発費など約7億円が計上されている。一方、販管費は第1四半期対比で約14億円の増加となったが、これは『モンスト』におけるテレビCMや屋外プロモーションなど積極的なマーケティング施策の展開に加え、チケットキャンプのマーケティングにも約6億円を投下したためとなっている。
■提供停止の中国版を除くと利用者は緩やかに増加中
続いて、森田仁基社長が各事業の状況の説明を行った。まずは『モンスト』を展開するエンターテインメント事業からとなるが、『モンスト』の利用者推移は中国版の提供停止に伴い、その分が大きく減少する形となった。しかし、中国版を除外した数字で見てみると、緩やかな上昇ペースが続いている。
国内での『モンスト』の展開は、ゲーム内イベントとして「ルパン三世」とのコラボを実施した。このコラボではユーザー参加型の事前キャンペーンや、コラボTVCMの放映も行っており、「アクティブユーザー数増加に寄与した」(森田社長)とのこと。また、一般社団法人e-sports促進機構が主催する「モンストグランプリ2016 闘会議CUP」の開催も決定。12月より予選を開始し、来年1月31日の「ニコニコ闘会議」で決勝戦を開催する。
■アニメ「モンスト」は累計再生回数500万回を突破
大きなトピックの1つがアニメ「モンスターストライク」のYouTubeでの配信開始だ。アニメ登場モンスターがアプリ内イベントクエストに登場したりするなど、アニメとアプリをリンクする仕掛けも施されており、10月25日時点でYouTube累計再生回数500万回 チャンネル登録数12万人超となっている。
また、ニンテンドー3DS版『モンスト』は10月2日より予約が開始となっており、「年末商戦でのリリースに間に合った」(森田社長)としていた。
海外展開については、台湾・香港・マカオは順調な推移が続いている。また、北米については大規模プロモーションの準備を進めており、それとともに「アプリの北米向けカルチャライズをかなり行っている」(森田社長)とのことだ。さらに後の質疑応答で中国展開の話題も出たが、今回の提供停止は「理由はあくまでテンセントとの相違によるもの。中国向けも準備を行っている」(同)としていた。
■新作2タイトルを電撃発表!『ブラックナイト ストライカーズ』は年内提供予定!
速報記事でも取り上げたが、今回の決算説明会において、新作2タイトルが発表となった。1つはXFLAGTM(エックスフラッグ)スタジオの完全新作タイトルとなる『ブラックナイト ストライカーズ』(年内提供予定)で、こちらは同社がかねて3タイトルのパイプラインがあるとしていたうちの1タイトルとなる。3人協力プレイや競争要素といったキーワードは出ているものの、実際のゲーム画面など詳細はまだ不明であり、今後の続報を待ちたい。
もう1タイトルの『マーベル ツムツム』(2016年春提供予定)は、同社とウォルト・ディズニー・ジャパン、NHN PlayArtの3社による共同開発タイトルとなり、『ディズニー ツムツム』のなぞって消して遊ぶゲームシステムに『モンスターストライク』の「協力プレイ要素」や「バトル要素」を盛り込んだタイトルになるとのこと。
■チケットキャンプは11月より新CMを放映へ
メディアプラットフォーム事業では、チケットキャンプの月次流通総額(取扱高)がかなり予想を上回って推移しているという。前述のマーケティングの効果がそうしたもようで、11月からはさらに新たなTVCMを放映する予定としている。
■通期予想は据え置きも3DS版や新作は予想に含まず
なお、2016年3月期通期の予想は、売上高1850億円(前期比63.8%増)、営業利益800億円(同51.8%増)、経常利益800億円(同51.8%増)、当期純利益520億円(同57.7%増)と従来予想を据え置いている。ただ、これはニンテンドー3DS版『モンスト』や、新作は不確定要素として業績予想に入れておらず、先行投資の費用のみ織り込んだ数字となる。ちなみに10月の売上高見通しは165億円とのことで、「底を打って上がってきている」(森田社長)としていた。
なお、単純に165億円×6で計算すると990億円となり、これに上期実績をプラスすると1943億円となり、プラスαで新作と考えれば、業績予想の上ブレとなる公算は大きそうだ。
(編集部:柴田正之)
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会社情報
- 会社名
- 株式会社MIXI
- 設立
- 1997年11月
- 代表者
- 代表取締役社長 木村 弘毅
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1468億6800万円、営業利益:191億7700万円、経常利益156億6900万円、最終利益70億8200万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 2121