メディア工房<3815>は、11月6日、東京都内で、2015年8月期の証券アナリスト・機関投資家向け決算説明会を開催した。発表された連結決算は、売上高24億2700万円(前の期比2.2%減)、営業利益2億6800万円(同58.5%減)、経常利益2億1600万円(同65.8%減)、当期純利益8600万円(同73.7%減)と減収減益となった。
主力の占いコンテンツがヒットコンテンツに恵まれなかったことに加え、ゲーム事業や新規事業への先行投資に伴い、コスト先行となったことが影響した。またブルークエストとギフトカムジャパンを連結子会社化したことに伴い、のれんの償却が発生したことも響いた。最終利益については、お小遣いアプリと韓国DPG事業を整理したことに伴い、特別損失が発生したため。
■15年8月期は減収減益に 電話占いが伸びる
まず、売上高から見ていくと、前の期比2.2%減の24億2700万円だった。主力の占いで大ヒットコンテンツに恵まれなかったことによるもの。前の期は、琉球ユタはるさん監修のコンテンツが大ヒットしたが、この期はこれに匹敵するヒットがなかったとのことだった。こうしたなか、ゲーム事業の売上が出てきたほか、電話占い(その他事業)の売上が伸びたとのこと。電話占いに関しては来期黒字化が見えてきたそうだ。
また、営業利益は58.5%減の2億6800万円だった。ゲーム開発の先行投資で売上原価が増加した。さらにゲーム事業のブルークエスト、O2O事業のギフトカムジャパンが連結に加わったことに伴い、のれんの償却が発生し、収益を圧迫したとのこと。また、O2O事業の赤字幅が広がったが、不採算案件も受託していたことも響いた。今後、受注にあたって採算性を考慮し取捨選択を行っていくという。
■各事業の状況 ゲームに加え占いも世界展開へ
決算説明会では、各事業の足元の状況と戦略を説明した。全体的な方針として、国内占い事業という安定した収益基盤を維持・拡大に務めつつ、スマートフォンゲームアプリや占いコンテンツの世界配信を行うことで、収益を伸ばしていく考えだ。PCブラウザゲームのパブリッシングを行うブルークエストも前期に改革した結果、足元では黒字化を果たしたという。
さて、各事業の状況だが、まずゲーム事業では、自社ゲームブランド「OBOKAID'EM(オボカイドイーエム)」から、『BOOST BEAST(ブーストビースト)』を世界144カ国でリリースし、65万ダウンロードとなった。また、PUMOとの協業タイトル『みどりの星』は広告収益モデルのゲームアプリだが、165万ダウンロードになったという。今後の事業展開の基盤ができあがったという。
新作ゲームに関しては、現在、10本のアプリを制作しているそうだ。自社開発を行うだけでなく、PUMOやGlasshead、KEYROUTEといったゲーム開発会社と組んでタイトルを世界同時にリリースする方針。タイトルを一つ一つ積み上げて、地道に売上を増やしてく考え。また、韓国子会社と共同で韓国で開催される「G-STAR」にも出展する予定だ。
子会社のブルークエストについては、海外で開発されたPCブラウザゲームのパブリッシングに特化し、「OBOKAID'EM」との住み分けを行っている。この期は、『天空の王国ルメリア』と『トーテムと時の旅人』の2タイトルをリリースしており、年内にさらに新規タイトルをリリースする準備を進めているとのこと。今期黒字化が見込まれる。
また、占いに関しては、「OBOK占い」として世界配信も行っていく。AppleからApple WatchとApple TV向けに占いコンテンツを制作してほしいとのリクエストがあり、『LuCKY 4 LeAF (仮)』を開発している。大きな収益源と位置づけているわけではなく、同社の知名度向上と「OBOKAID'EM」のブランディングが狙いとなる。「ゲーム性を加えた占いアプリで、文章を少なくして翻訳代もかからないようにした」という。
主力の国内占い事業に関しては、App StoreとGoogle Playはもちろん、楽天、Gunosy、LINEなど複数のプラットフォームで配信を行う。また占いコンテンツに関しては、従来の課金型の占いコンテンツに加え、広告収益をメインとするライトなアプリにも力を入れる。「性格診断100」はApp Storeの総合無料ランキングで2位まで上がった。今後、無料型の占いアプリから課金型のアプリへの誘導なども図っていく考え。
(編集部 木村英彦)
会社情報
- 会社名
- 株式会社メディア工房
- 設立
- 1997年10月
- 代表者
- 代表取締役社長 長沢 一男
- 決算期
- 8月
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3815