プリントシール事業とコンテンツ・メディア事業、キャラクタ・マーチャンダイジング事業、ゲーム事業を手掛けるフリュー<6238>が12月18日、東証(市場区分は公開価格決定後に決定する予定)に新規上場する。
もともと前身は、オムロン<6645>のエンタテインメント分野の新規事業として1997年に立ち上げられ、プリントシール事業や携帯コンテンツ事業、プライズ事業などを手掛けた。2002年には、エンタテインメント事業部に昇格し、2003年7月にはオムロンエンタテインメント(オムロン100%資本)を設立し、同事業部の全事業を継承した。さらに、2007年7月にMBO(マネジメントバイアウト、経営陣による株式の買い取り)を実施して、現・フリューに全事業と全従業員を継承し、現在に至っている。
現在、事業の中核となっているのは、プリントシール事業だ。同事業ではプリントシール機本体の販売に加え、プリントシール機専門店「girls mignon」を展開している。また、そのプリントシール機で撮影した画像をスマートフォンなどに取り込むサービスのほか、若年女性層を主なターゲットした各種サイトを展開するコンテンツ・メディア事業と、許諾を受けたキャラクター版権を利用し、アミューズメント施設が提供するクレーンゲーム景品のぬいぐるみ、フィギュアなどを企画・販売するキャラクタ・マーチャンダイジング事業も行っている。
さらに、ゲーム事業では、PS Vitaやニンテンドー3DSなどのハードに対応した家庭用ゲームソフトや、Google PlayやApp Storeなどのプラットフォーム事業者を通じて配信するスマートフォン向けゲームの企画・開発・販売・運営を手掛けている。家庭用ゲームソフトは、アニメや漫画などの人気キャラクターの版権を利用したゲームソフトと、著名な外部クリエイターを起用してクオリティを追求したオリジナルゲームソフトを展開。スマートフォン向けゲームは、女性向け恋愛シミュレーションゲームとキャラクターの育成やバトルを楽しむRPGが中心となっている。
続いて業績面を見てみると、2016年3月期予想を含めてここ数期にわたり、売上高は200億~250億円、経常利益は30億~35億円での推移が続く形となっている。ただ、プリントシール事業やキャラクタ・マーチャンダイジング事業は、対象市場となるアミューズメント市場の縮小傾向という課題を抱えており、ゲーム事業の強化など収益構造の変化を図れるかが大きな課題となってきそうだ。
なお、2016年3月期の連結業績予想は、売上高240億8200万円(前年同期比0.7%増)、営業利益33億4300万円(同10.2%増)、経常利益33億800万円(同0.9%増)、当期純利益21億6300万円(同13.3%増)を見込んでいる。
【フリューの売上高の推移(単位:百万円)】
【フリューの経常利益の推移(単位:百万円)】
※13年3月期までは単独決算。16年3月期は予想(会社発表)
※グラフは有価証券届出書および会社側発表資料より作成
【フリューの経常利益の推移(単位:百万円)】
※13年3月期までは単独決算。16年3月期は予想(会社発表)
※グラフは有価証券届出書および会社側発表資料より作成
上場に伴う手取り概算金は、仮条件の平均価格3100円をベースとした手取概算額で20億9435万6000円となる見通し。これに第三者割当増資で調達する6億3310万円を合わせた約27億2000万円は、以下の通りに充当する予定。
①主に、新規ユーザー獲得にかかる広告宣伝活動資金として、プリントシール事業の販促費用や、ゲーム事業のTVCMやWEB上の成果報酬型広告などへ9億2575万円(2017年3月期に4億4498万円、2018年3月期に4億8076万円)を充当。
②主に、ソーシャルゲームやモバイルコンテンツの制作外注費やアプリ開発外注費、プリントシール機の物流・設置作業にかかる業務委託費用として、11億7730万円(2016年3月期に4806万円、2017年3月期に5億7703万円、2018年3月期に5億5219万円)を充当。
③プリントシール機の新機種開発にかかる費用(試作品設計用の材料費、インタビューなどの市場調査費用、開発派遣社員の給与など)及び、コンシューマゲームソフトの試作品の制作やデバックにかかる外注費用として、6億2440万円(2017年3月期に3億4160万円、2018年3月期に2億8280万円)を充当。
なお、上場時の発行済株式総数943万2000株で、仮条件の平均価格3100円で概算すると、想定時価総額は292億3920万円となる。
〈連結業績予想〉 注)単位は百万円。2015年7月1日付で1対1000株の株式分割を実施しており、一株利益は分割修正を考慮した数字
〈会社概要〉
本社=東京都渋谷区鶯谷町2番3号
URL=http://www.furyu.jp/
社長=田坂 吉朗
設立=2006年10月3日
発行済株式数=943万2000株(上場時)
資本金=5億5000万円(2015年11月13日現在)
大株主=田坂吉朗190万株(21.84%)、フリュー社員持株会74万株(8.51%)、吉田眞人60万株(6.90%)、芝山貴史60万株(6.90%)、新本祐一60万株(6.90%)、三嶋隆60万株(6.90%)、稲毛勝行40万株(4.60%)、中村真司40万株(4.60%)、鬼頭金正40万株(4.60%)、溝上耕史40万株(4.60%)
〈上場要項〉
公開株式数=168万3600株(公募=73万2000株、売出し=73万2000株、オーバーアロットメントによる売出し=21万9600株)
仮条件=3000円~3200円
ブックビルディング期間=12月2日~12月8日
公開価格=12月9日決定予定
申込期間=12月10日~12月15日
払込期日=12月17日
売買単位=100株
主幹事証券=野村
監査法人=有限責任監査法人トーマツ
会社情報
- 会社名
- フリュー株式会社
- 設立
- 2007年4月
- 代表者
- 代表取締役社長 三嶋 隆
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高427億6800万円、営業利益37億7100万円、経常利益37億3500万円、最終利益24億9100万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 6238