【セミナー】未来のゲームを想像するために必用なこと…ゲーム作家・文筆家の山本貴光氏が登壇したDeNA主催「座・芸夢 若手ゲームプランナー育成塾」を取材


ディー・エヌ・エー<2432>(DeNA)が主催する学生&若手ゲームプランナー(=ゲームデザイナー)向けの勉強会「座・芸夢 若手ゲームプランナー育成塾〜未来を担う人に伝えたいこと〜」。12月22日に渋谷ヒカリエ DeNA本社で開催された第7回では、「ルールズ・オブ・プレイ」の翻訳などで知られる、ゲーム作家・文筆家の山本貴光氏が登壇した。

本勉強会の特徴は、座学と演習がセットになって点だ。山本氏が掲げたテーマは「未来のゲームを想像しよう アイディアを自在に出すための知と技法」で、前半はゲームプランナーの心構えや、山本氏のゲームプランニング哲学を解説。後半は3ー4名に分かれてワークショップが実施され、大いに盛り上がった。

 

■飽きる動物である人間に、いかにセンスオブワンダーを届けるか



▲山本貴光氏

ゲームプランナーとは「ワクワク感(=センスオブワンダー)を作り出す職種」だと語る山本氏。これがなければ、どんなに技術が優れていても、味気ないゲームになってしまうと語る。そのためには、事前に数多くの材料をそろえることが大切だ。

もっとも、人間は自分の記憶や体験からしか材料をそろえることができない。そのためには自分が常日頃から「ワクワクしていること」が重要だ。山本氏は火星探査機キュリオシティが撮影した火星の地表の写真や、クリエイティブディレクター・寄藤文平氏との対談、落合陽一氏の一連の「魔術」的メディアアートなどを紹介しつつ、参加者に対して「あなたがワクワクしたことはなんですか」と問いかけた。
 

「センスオブワンダーとは、何かに驚けるということで、プランナーはこれを意図して作る存在です。そのためには探究心をくすぐる必要があります。自分がワクワクできるものを常日頃から探さなければならないのです」(山本氏)

続いて山本氏はゲームの構造やゲームプランナーの作業プロセスについて、駆け足でまとめた。
 


山本氏は、ゲームには「モンダイの提供」「解決方法の提供」「プレイヤーが行動を自由意志で選択」「結果の評価」という一連のサイクルがあると分析する。例としてあげられたのがスマホ/Flashゲームの『continuity』だ。主人公が鍵を得てゴールをめざすというゲームで、「レベルデザインの教科書にしたいくらい、良くできている」と語った。

http://continuitygame.com/playcontinuity.html

その上でゲームプランナーの仕事が、下記の8段階に整理された。なお、今日の演習はこのうち上流工程である①〜③が対象となる。

①題材:ゲームのモンダイを探す
②発想:モンダイをゲームの構造にまとめる
③企画:自分が思いついたアイディアを他人に伝えるための資料を作る
④発表:資料をもとに他人にプレゼンする
⑤仕様:資料をもとに設計図を作る
⑥制作:レベルデザインやデータ作成を行う
⑦試験:試作品をテストしてデバッグする
⑧運営:リリース後に運営を行う(運営型ゲームの場合)


 

■自分の経歴から自分にしか導けない題材を探す


続いて未知のゲームをどうやって想像するか。これには大きく下記4点があるとする。

①人類にとって未知のモンダイを発明する
②ゲームで既存のモンダイを変化させる
③ゲームで既存のモンダイを組み合わせる
④ゲームの外からモンダイをもちこむ


このうち、いわゆるパクリ・パクられが②と③で、①は難度が非常に高く、おすすめされたのが④となる。例としてあげられたのがスライムを操作するアクションパズル『マッシュルーム11』や、監獄経営ゲームの『プリズンアーキテクト』。そして美術史を題材としたアナログゲーム『ヴォルプスヴェーデ村と4人の芸術家たち:1894-1937』だ。

本作のゲームデザイナー・山中麻未さんは武蔵野美術大学の出身で、最新作『驚異の部屋:芸術に隠されたアレゴリー』も美術史が題材だ。山本氏は多くのゲームプランナーが、美術・建築・音楽の領域に造詣が浅い一方で、どちらも美術史に詳しい山中さんならではの題材選択だと賞賛した。ちなみに自身が過去に手がけた経営ゲーム『Thats QT』では、ファッション業界が題材となっている。

そしてトピックが冒頭の問いかけに戻った。すなわち「あなたの問いはどこから来る?」だ。問いとは人間の記憶の中で「その時に思い出せること」と「そこから調べられること」からしか捻出できない。そこから最大限の内容を導き出すには、下記の6手法が考えられる。

①引き出しを増やす
②連想を活用する
③書き出して並べる
④組み合わせてみる
⑤変形してみる
⑥想像してみる


山本氏は「絵と言葉の一研究」(寄藤文平)、「知性の正しい導き方」(ジョン・ロック)、「ゲーム制作で心に留めておくことメモ」(山中麻未)から引用しながら、「“飽きる動物”である人間に対して、どのようにセンスオブワンダーを作り出すか。それがプランナーの仕事」だと解説。後半の演習で体験して欲しいとまとめた。

 

■キーワードとモンダイからゲームを考える


演習でははじめにカードが配られ、各自が思いついた言葉を記入した後に、回収されるところから始まった。続いて下記の要項で演習が進められた。

【分析編】
① 既存のゲームのモンダイを洗い出す(10分)
② チームで検討し、分類してみる(10分)


【創作編】
③ テーマを決める(5分)
④ ②と③からゲームを考える(20分)
⑤ 紙に表現する(10分)
⑥ 発表する(10分)


開始とともに、ポストイットに既存のゲームのモンダイを書き出し始めた参加者たち。「さらわれた女性を助ける」「ブロックがあふれないように、うまく揃えて消していく」など、さまざまなモンダイが書かれていく。その後、似たようなポストイットをまとめてグループ化。「タイムアタック」「発見する」「守る」など、各グループでさまざまなグループがみられた。
 

ここで登場したのが、演習の最初に記入された言葉カードだ。各チームにランダムに3枚のカードが配られ、ここに記された言葉とグループの組み合わせで、ゲームの構造を考えるように指示された。カードには「銀行」「ヒカリエ」「海」「ひよこ」など、さまざまな言葉が記されている。つまりテーマ(言葉)×グループ(モンダイ)=ゲーム構造というわけだ。みな頭をひねりながらアイディアを出し合っていた。
 
 

最後にゲームの構造を模造紙に書き上げて終了だ。模造紙は会場に張り出され、参加者全員で投票が行われた。その結果、「鍋奉行となって鍋パーティを演出し、参加者から理想の彼氏をゲットする」という「なべつかみ」がダントツの8票を得て優勝した。
 

 
【そのほかのグループのアイディア】







この結果に山本氏は「昔、焼き肉をただ焼いていくだけというゲームを彷彿とさせる内容だが、これには彼氏ゲットというストーリー性が加わっており、モンダイ設定の勝利ですね」と評価。また本勉強会を主導するDeNAの馬場保仁氏は、総じてイラストが多用されたものが得票を集めていると指摘し、「企画を考えるだけでなく、どのように伝えるかもプランナーにとって重要だ」と補足した。

山本氏は「今回は1時間強の時間しかなく、非常に慌ただしかったが、本来はもっと時間をかけてやったほうがいい」と解説する。その一方で友人間や、自分一人でもできるので、ぜひ自分たちでも試して欲しいと指摘。同じメンバーでも何度も繰り返すことで、新しい意見が付け加えられて、企画内容が更新されていくと語った。
 
 
(取材・文:小野憲史)
 

■第8回は1月26日(火)開催 エントリー受付中


次回(第8回)は第3回でも登壇した、神奈川工科大学の中村隆之氏(元「もじぴったん」シリーズ、ディレクター・プロデューサー)をむかえて、1月26日に実施される。内容は未定で、応募は公式サイトから可能だ。

◆参加資格: 
・ゲーム企画職(ディレクター、リードプランナー、プランナー)を目指す学生 ※学生は学年不問 
・若手のゲーム企画職の方 ※32歳以下

◆参加費:無料

◆参加エントリーはこちら 申込締切:2016年1月17日 結果連絡:2016年1月19日
・Peatixからのエントリーはこちら http://thegame8.peatix.com/view
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※事前エントリー制ですので、必ずお申込みください。
※定員を超える応募があった場合は抽選となります。
※当日はメディア取材、写真撮影が入る場合がありますが、撮影について配慮させていただきます。




 
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
https://dena.com/jp/

会社情報

会社名
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
設立
1999年3月
代表者
代表取締役会長 南場 智子/代表取締役社長兼CEO 岡村 信悟
決算期
3月
直近業績
売上収益1369億7100万円、営業利益224億9500万円、税引前利益312億5900万円、最終利益256億3000万円(2021年3月期)
上場区分
東証一部
証券コード
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