スマートフォン向けソーシャルゲームの企画・開発・運営を行うアカツキ<3932>が3月17日、東証マザーズに新規上場する。
同社は、2010年6月に設立され、同年9月に「Mobage」へソーシャルゲームの提供を開始し、2011年2月にブラウザゲーム『シンデレラナイン』をリリースした。また、2013年7月にネイティブアプリは『シンデレライレブン』をリリースし、同年11月に同じく『サウザンドメモリーズ』をリリースするなどネイティブアプリに進出、共同開発案件である『テイルズ オブ リンク』を2014年3月、『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』を2015年1月にリリースしている(提供はいずれもバンダイナムコエンターテインメント)。
ソーシャルゲームの開発では、「オリジナルタイトル」の制作だけではなく、アニメや漫画などの、ユーザー認知度の高いキャラクター等のIPを有する他社(IP使用会社)との協業により、IPを利用したソーシャルゲームの制作を行っている。現在は、『サウザンドメモリーズ』などオリジナルタイトルが5タイトル、他社IPを利用したタイトルが『テイルズ オブ リンク』と『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』の2タイトルとなっている。
業績は急拡大している。2015年3月期は、売上高は43億4400万円(前年同期比103.3%増)、営業利益5億7700万円(同4.7%増)、経常利益5億9300万円(同7.1%増)、当期純利益3億6800万円(同6.5%増)と売上高が倍増した。これは2014年3月期よりネイティブアプリの開発に経営資源を集中し、『シンデレライレブン』『サウザンドメモリーズ』『テイルズ オブ リンク』『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』をリリースしたことで実現した。一方で、そららの開発費用など先行投資の影響が大きく、利益の伸びが売上高と比べると小さかったものと思われる。
続く2016年3月期の予想は、売上高50億3900万円(前年同期比16.0%増)、営業利益15億5400万円(同169.2%増)、経常利益13億3200万円(同124.3%増)、当期純利益6億1200万円(同66.1%増)と今期は利益が大きく伸びる予想となっている。ネイティブアプリへのシフトに向けた先行投資負担が一巡し、利益率が大きく改善した結果だろう。
【アカツキの連結売上高の推移(単位:百万円)】
【アカツキの連結経常利益の推移(単位:百万円)】
※16年3月期は予想(会社発表)
※グラフは有価証券届出書および会社側発表資料より作成
※2013年3月期までは単独決算
【アカツキの連結経常利益の推移(単位:百万円)】
※16年3月期は予想(会社発表)
※グラフは有価証券届出書および会社側発表資料より作成
※2013年3月期までは単独決算
同社のネイティブアプリへのシフト、そしてバンダイナムコエンターテインメントとの協業ビジネスの成長がはっきりと分かるのは、取引先別の販売状況だ。2014年3月期には「Mobage」向け比率の高さからディー・エヌ・エー<2432>の比率が大きかったものの、2015年3月期にはGoogle向けの比率が最大となった。さらに2016年3月期は第3四半期までの実績でバンダイナムコエンターテインメント向けの比率が50%を超える水準となってきており、『テイルズ オブ リンク』と『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』、特に『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』の寄与度が大きくなってきていることが予想される。
また、同社は2014年7月に台湾に子会社Akatsuki Taiwan Inc.を設立。海外言語版の販売実績は2015年3月期の1億8000万円から2016年3月期は第3四半期まで7億5900万円となっている。
上場に伴う手取り概算金は、38億8832万円となる見通し。これに第三者割当増資の手取概算額8億7892万円と合わせた調達資金の使途は以下の通り。
①グループの事業拡大を目的としたソーシャルゲーム事業の開発・運用に係る人件費やサーバー構築費用等の資金として37億6790万円(2017年3月期に16億4008万円、2018年3月期に21億2782万円)を充当。
②グループのコンテンツ配信サービスを効果的に拡大していくためのWEB広告や動画広告など各種広告宣伝費として3億8524万円(2017年3月期に1億1175万円、2018年3月期に2億7349万円)を充当。
③国内で実績のあるタイトルを海外展開するためのAkatsuki Taiwan Inc.の運用資金として4億5600万円(2017年3月期に2億2800万円、2018年3月期に2億2800万円)を充当。
なお、上場時発行済み株式1347万2600株と有価証券届出書提出時における想定発行価格1930円から計算した想定時価総額は、260億211万8000円となる。
〈連結業績予想〉 注)単位は百万円。2015年10月30日付で1対100株の株式分割を実施しており、一株利益は分割修正を考慮した数字
注2)2013年3月期は非連結
〈会社概要〉
本社=東京都目黒区上目黒一丁目1番5号第二育良ビル4階
URL=http://aktsk.jp/
社長=塩田 元規
設立=2010年6月14日
発行済株式数=1347万2600株(上場時)
資本金=7億93万円(2016年2月12日現在)
大株主=塩田元規483万5,000株(39.19%)、香田哲朗236万5,000株(19.17%)、サンクピア220万株(17.83%)、Owl Age110万株(8.92%)、グロービス4号ファンド投資事業有限責任組合51万1500株(4.15%)、リンクアンドモチベーション45万4500株(3.68%)、Globis Fund IV,L.P.30万6600株(2.49%)、橋本雄祐30万株(2.43%)、小川智也10万5000株(0.85%)、安納達弥5万株(0.41%)
〈上場要項〉
公開株式数=379万5000株(公募=220万株、売出し=110万株、オーバーアロットメントによる売出し=49万5000株)
仮条件=1800円~1930円
ブックビルディング期間=3月1日~3月7日
公開価格=3月8日決定予定
申込期間=3月9日~3月14日
払込期日=3月16日
売買単位=100株
主幹事証券=野村
監査法人=有限責任あずさ監査法人
会社情報
- 会社名
- 株式会社アカツキ
- 設立
- 2010年6月
- 代表者
- 代表取締役CEO 香田 哲朗
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高239億7200万円、営業利益26億7600万円、経常利益28億3400万円、最終利益12億8800万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3932