Supercellが満を持して贈る新作ゲームアプリ『クラッシュ・ロワイヤル』（以下、『クラロワ』）が、世界中で大ヒットを記録。本作は『ヘイ・デイ』『クラッシュ・オブ・クラン』『ブーム・ビーチ』に続く、Supercellがグローバルに展開する4つ目のゲームで、同社初となるiOS/Android 両プラットフォームでの世界同時ローンチとなった。
本稿では、『クラロワ』のゲーム概要をはじめ、ユーザー思考、マネタイズ、プロモーション展開について紹介。
■毎試合、必ずスリルと興奮を味わえる
『クラッシュ・ロワイヤル』は、オフィシャルとしては新感覚カードゲームと銘打っているが、その姿は対戦型の本格タワーディフェンスゲームである。プレイヤーは、対戦相手と自分のそれぞれが持っている2つのクラウンタワーと1つのキングタワーを、より多く壊したほうが勝利となる。
タワーを倒すために使用するのが画面下のカード。『クラッシュ・オブ・クラン』でもお馴染みのユニットや、プリンス、ナイト、ベビードラゴンなど同作にはいないキャラクターも多数登場する。たくさんのカードを所有することができるが、各対戦で使えるカードは最大8枚まで。各カードの特徴や定められているエリクサー数（MAX10）を考慮し、どのカードを持って相手に挑んでいくか、戦略的にプレイすることが肝となる。
カードには、各々使用するエリクサーの数が決まっている。当然、強いカードほど多く使用するため、カードの強弱とエリクサーの数を見極める必要がある。また、面白いのが2つのクラウンタワーと1つのキングタワーの存在。たとえば、相手が先にひとつのタワーを集中して攻撃してきたら、それに迎え撃つように攻防戦が始まる。しかし、相手の隙をついてもう一方のタワーにカードを送り出して錯乱させることもできるのだ。
タワーはそれぞれ弓や大砲などで自動的に攻撃するのだが、強いカードに攻められるとさすがに太刀打ちできない。相手が何を考えているのか、そして手持ちのカードや現在のエネルギー数はいくつあるのか、これらを把握できることで、グッと勝率も上がることだろう。
なお、ゲーム画面を見てわかる通り、キングタワーにはどちらか一方のクラウンタワーを壊さないと近づけない。ひとつのクラウンタワーを壊して、そのままキングタワーを壊すのもいいが、その隙に相手が2つのクラウンタワーを破壊してタイムリミットになってしまったら負けてしまう。最後の最後まで油断できないギリギリの攻防戦、これらが度々巻き起こるのが『クラロワ』の白熱ポイントだ。
また、チュートリアルはコンピューターだが、基本的にバトルはランクに応じた対プレイヤーとなる。
▲制限時間は3分。残り1分になるとエネルギー増加量が2倍となり、より激しいバトルが繰り広げられる。なお、それでも決着が付かないときは、1分間延長となり、その後何も変わらなければ引き分けとなる。
▲こちらはホーム画面。勝利を重ねると所有するトロフィー数があがり、レアカードも含む新しいカードをアンロックすることができる。現在はエリア8（必要トロフィー数：3000）まで存在。また、勝利することでカードなどが入った宝箱を取得できる。最大4個キープでき、そのレア度に応じて開封時間が決まっているが、エメラルド（有償通貨）を使用することで瞬時に開けられる。
▲バトルデッキでは、バトルに持ち込めるカードを選択できる。同じカードを取得することで経験値が上がり、一定数になるとアップグレードできる。カードには、強力な近距離攻撃で突き進むものもあれば、遠距離から応戦するカードも存在。それぞれ使い方によっては、活躍の場が見いだせるため、バランスよくカードデッキを組み替えていこう。
▲クランに所属することで、クランメンバーとカードを寄付しあえたり、フレンドリーマッチ機能を使って気軽にクランメンバー同士で対戦を楽しむことが可能。
▲クラロワTVでは、上位プレイヤーたちのバトル模様が視聴できる。最初のうちはあまり参考にならないが、ゲームを進めていくうちにトッププレイヤーたちの立ち回りは、必ず身につけたくなるはず。「ちょっと今バトルは…」というとき、何かの待ち時間の際に視聴するのにうってつけ。
■App Storeをジャック 大ヒットの背景には何が…
基本的なマネタイズは、有償通貨であるエメラルドの購入。エメラルドは、ゴールド・宝箱を購入したり、前述したようにホーム画面にある宝箱の開封時間を瞬時に終わらしたりと、用途は様々だ。とくに後者は、ホーム画面に宝箱をキープできるのが最大4つのため、4勝したのちに宝箱が残っていると、新しい宝箱を手に入れることが出来ない。そのため、バトルを繰り返す遊ぶ人にとっては、エメラルドを宝箱の時短に使用することが多い。もちろん、宝箱が4つとも埋まっていてもバトルを遊ぶことは可能だ。
▲カードは基本的に宝箱から取得したり、クランメンバーに寄付してもらうことで取得できるが、ショップでは一部カードをゴールドで購入できる。ショップ上のカードは、時間によって入れ替わるので、レアなカードが登場したら一気にアップグレードしておきたいところ。
また、具体的なプロモーションのそれとは異なるが、『クラロワ』はApp Storeをジャックした。本来、App Storeでは毎週金曜日にベスト新着ゲームを更新するところ、『クラロワ』のグローバルローンチの木曜日に合わせて大々的に展開。なかでもバナー全てを『クラロワ』のクリエイティブ一色にしたのは、未曾有の試み。プラットフォーム側の力の入れようには、Supercellの新作ゲームアプリのローンチが、どれだけ世界的に注目されているのかは見てわかるはずだ。
『クラロワ』は、すでに14ヵ国のApp Storeで売上ランキング（ゲームカテゴリー）1位を獲得している。昨日伝えたように、主要国である北米では、早々に3位を記録し、首位に立つのも時間の問題だろう（関連記事）。なお、日本では3月4日（金）10時現在で37位にランクイン。
本作は、硬派なゲームアプリの印象だが、実際触ってみるとじつに遊びやすい。ランクに応じた対プレイヤー戦ということもあって、毎試合、必ずスリルと興奮を味わえる安定したバトル進行が保証されている。負けたときの悔しさ、勝ったときの喜び、十二分に感じ取れる対戦ゲームアプリの決定版だ。
思えばSupercell社は、『ヘイ・デイ』『クラッシュ・オブ・クラン』『ブーム・ビーチ』と立て続けに大ヒット作を生み出している。しかし、『クラロワ』リリースまでの間には、『Smash Land』を含む様々なゲームタイトルの開発中止もあった。これらの開発中止の理由に、ユーザーからは好意的なフィードバックがあったものの、「ほかのゲームで設定された高い基準に到達することが困難だった」と自らで判断したのだ。
過去作に次ぐヒット作品を生み出していく同社だけに、現状の結果だけではGOサインを出せなかったのだろう。「本当に面白いゲームを世に送り出す」…こうした徹底した開発姿勢が、こんにちの『クラロワ』ヒットに繋がった。
今後もSupercellの動向に注目していきたい。
（文：編集部 原孝則＠hara_tatsu）
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■『クラッシュ・ロワイヤル』
