【先行レビュー】爽快感が際立つ忍術2D横スクロールアクション『SHINOBI 復讐の斬撃』プレイレポート 昔ながらのシンプルなゲーム性ながらデザインや操作性は現代に最適化された期待作

セガは、8月29日に2D横スクロールアクション『SHINOBI 復讐の斬撃』を発売した。本稿ではそのプレイレビューをお届けしていく。
『SHINOBI 復讐の斬撃』は、1987年にアーケードゲームとして稼働していた歴史ある作品。その後もさまざまなプラットフォームで続編が展開されてきたが、今回改めて新作として美麗なビジュアルとアクション要素と共によみがえった。
2D横スクロールアクションと聞くと古風でシンプルだが、それ相応のゲーム性と作り込みを想像してしまう人もいるだろう。本作は良い意味でその期待を裏切るクオリティと遊び応えを備えた作品であったので、その部分を紹介していきたい。
■忍者アクションの爽快感が詰まった2D横スクロール
本作の世界観は、現代に身を潜めて暮らす主人公ジョー・ムサシたちが属する忍の一族“朧一族”と、世界を武装兵器によって脅かす“ENEコーポレーション”の戦いを描いたものだ。

忍が主役ではあるものの、時系列は現代のため、忍術や忍具を使う敵だけでなく、銃をはじめとした近代兵器を用いる敵も登場する。忍術vs化学兵器という構図はなかなか無い斬新なもので、より忍者という異能が際立つ内容となっていた。
筆者の印象としては、本作の忍者は日本人が想像する姿よりも、海外の人々が想像する“NINJA”に感じた。エフェクトとして漢字が用いられていたり、アメコミ風に見えるビジュアルなど、日本以外の国にもターゲットを向けていることを強く感じた。ワールドワイドな展開が決定していることから、世界中の人々がプレイすることになるだろう。
続いては、中心となるゲーム部分の紹介をしていく。ゲームのアクションについては、忍者らしくスタイリッシュで爽快感のある内容となっている。ジャンプは高く二段ジャンプも可能、障害物を前転で乗り越える、派手な刀技と
小回りの利く手裏剣(クナイ)など「忍者ならこれができるよね」とイメージする動きのほとんどがゲーム内で再現されている。
特にジャンプに関しては調整で長距離ジャンプ、ジャンプ中に横に素早く移動する技“飛燕”など、空中を舞うかのような動きが可能だった。壁を縦に上る、壁を蹴って高度を上げるなど、横スクロールアクションと言いつつも、上下に大きく動くステージも多く、立体的なアクションが楽しめる。

攻撃は弱攻撃と強攻撃、クナイ投擲が基本。クナイは威力も高く遠距離攻撃ができるが、使うたびに数が消費され、道中で補給しないといけないため、扱い方は考える必要がある。
物理攻撃だけでなく、忍法や忍術を使った特殊攻撃もできる。忍術は矢印キーを利用してその時々に合ったものを選べる。忍法はムサシの必殺技で、画面上の敵すべてを一掃する。どちらも使用するにはそれぞれ異なるゲージを敵を倒すことで貯める必要があり、これらをどのタイミングで使うか、そのためにどうやってゲージを貯めながら進むか、プレイヤーの技量が問われる。
忍法は特にエフェクトも豪華なものとなっており、ムサシのクールな構えから放たれる大技は、ゲームを盛り上げる大きなポイントだ。


もう1つの必殺技であるシノビ・エクスキューションは、一定数のダメージを与えた相手に“滅”の文字を刻み、その文字が刻まれた画面上の敵を一掃する攻撃。
こちらは最後のトドメの一撃のための技で、これでトドメを刺すと敵がドロップするアイテムの量が多くなる。報酬が増えるのも嬉しいが、何より複数体の敵を一掃する瞬間は、横スクロールアクションでは味わえると思っていなかった爽快感があった。
■全体的にシンプルだが考えて攻略が求められる部分も
相手をコンボで切りつけている瞬間も、ただボタンを押すだけではなく、弱攻撃・強攻撃・忍術をオリジナルの形で組み合わせられるため、自分が編み出したコンボを活用して敵を倒すことも可能。相手は攻撃すると怯み状態になるため、コンボを繋げやすい。練習用のモードも用意されており、本作がこの“敵をどうカッコよく倒すか”という部分に重きを置いているように感じた。
技や忍術はゲームを進めるごとに道中で会得したり、ショップで解放できたりする。ゲームを進めるごとに新しい技が使えるようになるので、マンネリ感なく進められる。

全体的な難易度としては、デフォルトの状態だとややハード気味に感じるかもしれない。相手の攻撃は4〜5発受けるとゲームオーバーとなってしまうため、ダメージを受けながらも敵を倒す“ゴリ押し”はできない作りだ。
特にボス戦はかなり難しく、ちょっとした焦りをしっかりと咎めてくる攻撃パターンが非常にいやらしい。前述の通り、コンボが気持ちよく放てる影響で連続攻撃したくなるのだが、逆にボス戦はそれをグッと我慢してヒットアンドアウェイを心がけなければならない。このバランス感覚が慣れるまでは鬼門となりそうだ。

操作自体はコントローラーのワンボタンで簡単なのだが、それをどう組み合わせるか、どう戦うかでプレイヤーの腕前が問われる。ゲームをとりあえずクリアするような一定のラインまでは、アクションゲームの初心者と上級者で大きな差は出なさそうだが、効率よく進めたり、被弾を抑える戦い方などアドリブの利かせ方で差が出る印象だ。
さまざまなアクションで障害を突破していくが、中にはステージにダメージ判定のある箇所が存在しており、敵ばかりに気を取られるわけにもいかない。そうなると危険を冒さずにまっすぐ進みたくなるが、寄り道をすることで多くの銭を得られる場所もあるので、リスクを冒してくまなく探索をするのか悩ましいところ。
■細かい部分の作り込みにも要注目
プレイして余裕が出てきた後には、ぜひ本作のビジュアル面にも注目していただきたい。本作は1つのステージの背景も1枚はめ込みではなく、移動するとしっかりと背景絵も切り替わる。個人的に印象に残ったのは、ステージの合間で入るボーナスステージで、背景で逃走するルーズ卿が常に動き続けている様子は迫力満点で、プレイ中の没入感は2Dとは思えない満足度であった。
キャラクターのアクション1つとっても、構えから攻撃までの動きが丁寧に描かれており、2Dでありながらも高品質さをしっかりと感じる描写となっている。2D横スクロールアクションは特有のちょっと古風な感じが苦手という人も、本作であればすんなりと受け入れてもらえるに違いない。

2D横スクロールアクションとして非常に高いクオリティで完成された本作。デザインについてはストーリーの一枚絵からゲーム中のキャラクターの動きまで作り込まれており、プレイした際の満足感は非常に高い。ゲームの中身も忍者であることを意識したアクションは爽快感にあふれており、誰でもその楽しさにすぐに触れられる。
ジョー・ムサシが時代に適応して現代に生きるシノビという設定なのであれば、本作は現代のゲームクオリティに適応して作られた2D横スクロールアクションと言えるだろう。忍術で敵を一掃する気持ちよさはぜひ一度味わっていただきたい。
©SEGA
会社情報
- 会社名
- 株式会社セガ
- 設立
- 1960年6月
- 代表者
- 代表取締役会長CEO 里見 治紀/代表取締役社長執行役員COO 内海 州史/代表取締役副社長執行役員Co-COO 杉野 行雄
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1916億7800万円、営業利益175億3900万円、経常利益171億9000万円、最終利益114億8800万円(2023年3月期)