【メディア工房決算説明会】ヒットコンテンツの不在や新作ゲームの遅延で営業益80%減 下期以降、韓国子会社や新作リリースで挽回目指す


メディア工房<3815>は、4月22日、東京都内で、証券アナリスト・機関投資家向けの2016年8月期中間決算(15年9月〜16年2月期)の説明会を開催した。発表した決算は、売上高10億0900万円(前年同期比16.5%減)、営業利益4100万円(同80.9%減)、経常利益1400万円(同92.2%減)、最終損益2200万円の赤字(前年同期8300万円の黒字)となり、減収・最終赤字転落となった。

主力の占いコンテンツの売上の減少に加えて、ゲーム開発にかかる人件費と外注費が増加したことが主な要因だった。またゲームサービスの提供開始に伴い、サーバー関連の費用が増加したことも響いた。また最終損益も初めて赤字となった。同社では、連結納税制度をとっておらず、同社単体の税金の概算になるという。また事業整理損による納税額の減少や、子会社の業績好転などにより、通期では黒字になる見通しと説明している。
 

決算説明会に臨んだ長沢一男社長は、「2年前から第2の創業期として占い以外の事業に取り組んできたが、最初の1年はなかなか浸透しなかった。予想以上に占いコンテンツの減収や、ゲームのリリース遅延があったものの、着実に前進しているのではないか」と述べた。下期は仕込みの成果が出てくるが、同時に体制の再構築も行うため、本格的な成長は来期(17年8月期)になる見通しだという。


 
■セグメント別の状況

セグメント別に状況を見ていこう。
 

占いコンテンツは、売上高が18.4%減の9億5700万円、営業利益が24.7%減の3億3100万円だった。大ヒットコンテンツが1つも出ていないことに加えて、ゲームと同じくコンテンツの寿命が短命化していることにより、会員数の減少や課金収入が減ったことが主な要因だという。他方、電話占いサービスについては、独自展開のサービス「Lierre」と、LINEと共同で展開するLINE占いが伸びているそうだ。両サービスともに順調に伸びていることから体制を強化することでさらなる拡大を狙う。
 

ゲーム事業は、売上高4100万円となり、前年同期の800万円から大きく伸びた。他方、ゲーム開発に係る人件費や外注費が発生したため、営業赤字幅は2000万円から5500万円に拡大した。同社では、新作ゲームアプリのリリースの遅延や、子会社ブルークエストの体制整備の遅れが響いたことが赤字幅拡大の要因としている。さらに『BOOST BEAST』がサービス開始から1年ほどで終了したようにゲームアプリの収益貢献が限定的だったことも一因とみられる。
 

O2O事業も赤字だった。売上高が同62.9%減の1000万円、営業損益が3300万円の赤字(同4200万円の赤字)だった。「omotano」「Licie」「girls be」のサービスを展開しているが、「いまいち低調」だという。下半期はプロジェクトの見直しを行う一方、新サービスの提供を行っていく計画だ。
 


 
■通期業績予想を変更せず 韓国子会社とゲーム事業がポイント

2016年8月通期は、売上高28億円(前期比15.4%増)、営業利益4億円(同49.3%増)、経常利益4億円(同85.2%増)、最終利益2億3000万円(同167.4%増)を見込む。第2四半期段階での通期予想に対する進ちょく率は、50%を大きく割り込んでいる期初予想からは変更していない。占いの緩やかな回復をベースに、ゲーム事業とメディア工房コリアの収益貢献がポイントになるという。

各事業セグメントの戦略の説明が行われた。

まず、海外戦略の説明から始まった。メディア工房コリアは、韓国のVCが50%出資するようになったが、「思った以上にうまくいっている」ため、下期の収益回復の柱の一つになるようだ。またゲーム広告ショーやコスプレコンテストの開催などを行うKOREA MCNとの提携も計画しているという。コスプレ市場やメディア工房のコンテンツの中国展開を狙う。またゲームについては、拠点を設けずにGoogleとAppleのプラットフォームでコンテンツ配信を行う。フランス通信大手のORANGE社との協業はその第一弾となる。「今後とも海外との提携企業を増やしていく」という。
 

主力の占いコンテンツについては、コンテンツ制作体制の整備を行う。まず、同社では、これまでPC向けとモバイル向けの2事業体制をとってきたが、両事業を一本化する。同時に新規コンテンツの企画・制作時間の拡充を行うなど、新規コンテンツの企画制作の体制を整備するとのこと。
 

コンテンツについては、増加するライトユーザーに対する施策を強化する。「スマホが普及し、テレビの代わりにSNSやチャット、ゲームで遊ぶ時間が増えている。占いコンテンツにゲーム要素を取り入れ、ユーザー自信の選択により結果を表示する」ものとなる。その代表例が『性格テスト〜あなたならどうする?』だ。また月額制や従量課金性への依存度を下げるため、AppStoreとGoogle Play向けの広告モデルをメインとするコンテンツも提供する。
 

また好調の電話占いについては、長沢氏は、占いに対するニーズの変化を感じていることを明かした。「これまでは当たる占いが求められたが、悩みごとや迷いごとを聞いてもらいたい、解決策を出してもらいたいというニーズが強い。いわば道しるべだ」と述べた。電話とチャット占いが増えていくとの見方を示し、ニーズに対応する体制を整備するという。
 

ゲームコンテンツ事業は、広告収益とアプリ内課金のモデルに加えて、新たにサブスクリプション課金型のコンテンツも配信する予定。ゲーム事業の収益版の安定化と増加が主な目的だ。ORANGE社との提携はその一環だ。同時に、ゲームの開発・運営ノウハウのある会社のM&Aを視野に入れるなどゲーム事業の再構築を行う考えも示した。
 

スマートフォンアプリを展開するOBOKAID’EMでは、4月21日にリリースした『TRAP DA GANG』のほか、『みどりのほしぼし』、『LADY DIAMOND』のほか、さらに4本の新規タイトルをリリースする予定だ。『Flappy Bird』で知られるドットギア社との共同開発タイトル『N project』については「6月頃に出したい」。
 

また、海外で開発したPCブラウザゲームのパブリッシングを行うブルークエストについては、体制整備が遅れていたが、下半期に新タイトルを配信し、挽回を期す。現在9タイトルを配信中で、5月に2本、6月に1本配信する考え。
 
株式会社メディア工房
https://www.mkb.ne.jp/

会社情報

会社名
株式会社メディア工房
設立
1997年10月
代表者
代表取締役社長 長沢 一男
決算期
8月
上場区分
東証グロース
証券コード
3815
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