【インタビュー】渋谷で注目のゲーム会社・マスタッシュのビジョンやカルチャーを、代表森尾紀明氏に聞く


各所に配置された木製パレット、柱に張り付けられたホワイトボード、移動式のカフェ屋台。このトリッキーなデザインのオフィスに居を構えているのは『マスタッシュ』と、グループ会社の『アップ・クルセーダーズ』だ。2つはどういった関係性にあるのか、どのような事業戦略を描いているのか、どういったカルチャーの中でコンテンツが生み出されているのか。全貌を紐解くべく、代表の森尾氏にインタビューを決行した。エンジニア対談もお見逃しなく。
 

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■エンタメの総合企業を目指して


───:外国人の方も結構いらっしゃるんですね。

メンバーの多様性はあると思います。国籍だけじゃなくて、個々の経歴もバラエティに富んでいますよ。演劇家や、メジャーの小説家だったり、アートの活動をしていたり。そういったメンバーが一丸となってエンタメをつくっているのが、うちの特徴ですね。
 
 

───:独自のエンタメをつくれる体制があることも、大手企業から信頼を寄せられている理由の1つですか?

クリエイティブに強いことに加えて、開発陣が非常に優秀なんですよ。難しいオーダーであっても難なく実現させてしまうだけの技術力がある。営業的にはプロジェクトを獲得しやすいみたいですね。立ち上げ期の会社にしては、多くのクライアントに気に行っていただいていると思います。


───:技術力が高い背景には、何か理由があるのでしょうか?

会社の成り立ちからして、ネイティブアプリの開発に特化しているからだと思います。だから、Unityなどのミドルウェアに対する造詣や理解も深い。あと、ワンソースでPCとスマホのどちらにもアウトプットできる技術も保持しています。1つのプラットフォームだけでマネタイズするのに時間がかかるようになっている今、大きな強みになっています。


───:ゲームづくりに対するスタンスとしては?

真新しいものをつくっていきたいですね。「こんなものがあったらいいよね」「こういうのって意外となかったよね」という部分を汲み取って形に落とし込んでいく。ただ、自分たちのつくりたいものをつくるためには、デベロッパーからパブリッシャーへの進化は欠かせないと思っています。今のゲームはマスマーケットになっていて、そこに食い込むためには資金力が必要なのですが、方法は2つしかありません。タイトルをガツンと当てるか、上場して資金調達をするか。
 

───:早くも上場を視野に入れているのですね。

ゲーム事業をコアにしつつ、エンタメに紐づく周辺事業も展開していきたいと思っています。営業利益が50億円くらいあれば、パブリッシャーとしてゲームづくりに充分な投資ができる。クリエイターに特化した人材事業、アートスタジオの設立、メディアの立ち上げなど、プランは練っています。エンタメの総合企業を目指していきます。


───:大胆な戦略ですね。

拡大路線を図りつつも、会社をつぶさないためのリスクヘッジは図っています。周辺事業を開拓し、「ゲームが冷え込んでも大丈夫なように」複数の事業に積極的に取り組んでいます。


───:企業形態も変わっていますよね。複数のグループ会社が緩やかにつながっている。

開発に特化した会社や、デバックやCSを担っている会社がグループ内にあるので、全てのフローを一気通貫で完結させることができます。プロジェクトの内容に合わせて柔軟に対応できるので、企業としての生命力は高いんじゃないかな。

 

 
───:グループの中での『マスタッシュ』の位置づけは?

「ものをつくる」という部分。企画ですね。


───:メンバーから企画案が上がってくることは多いですか?

日常的にありますよ。決裁者が私なので、話が速いんです。チャットワークやライン、メッセンジャーといったあらゆるツールから、日々いろいろな声が届きます。「こんなのやりたい」とか、「あれ買って」とか。決めるときはあっさり決めます。風通しはいいと思いますよ。
 

───:森尾さんは経営者でありつつも、ゲームづくりを楽しんでいらっしゃるという印象を受けます。

仕事半分、遊び半分みたいな感じですかね。


───:つくり手としてマーケットの現状を見たときに、どういったことを感じますか?

今は、数億円単位の予算が組まれているプロジェクトが多いじゃないですか。それって、つくり手としては結構つまらないんじゃないかと思っていて。カジュアルゲームは売れにくくなっていますが、手軽なコンテンツだからこそチャレンジできることもたくさんあるんですよ。ペイするためには時間がかかるかもしれませんが、海外でもリリースすることでカバーしていきたいなと。それを踏まえて、ボタン1つで英語やフランス語にファイルを変換できる仕組みを開発しているところです。


───:クリエイターとしてはワクワクできる環境だと思います。

現場の声、聞いてみますか? グループ企業の『アップ・クルセーダーズ』代表の内海さんは、華々しい経歴を備えていて、自身がエンジニアでもあります。

(ここで内海さんと社内で活躍中の女性エンジニアの対談をセッティングしていただきました)

 

■毎日のソースコードレビューで、メキメキと技術力が伸びる



●右:アップ・クルセーダーズ 代表取締役 内海さん
●左:エンジニア 小川さん

───:エンジニアの方が何をモチベーションにしているのか、どういった開発スタイルで仕事を進めているのか、などをお伺いしたいと思っています。

内海:なるほど。そういう意味では小川さんはピッタリですね。他社で経験を積んで、この間うちに入社したばかりだから、率直な声を聞けると思います。前職とはいろいろと違いがあると思うけど、何に対して一番感じる?

小川:ソースコードレビューですね。前職では完全に個人で動いていて、みんなでソースを見る機会なんて全くありませんでした。それが一番大きいですね。他のエンジニアの人たちのコードを見て、ビックリしましたよ。何て分かりやすいんだっていう。

内海:それこそが、エンジニアに最もやってもらいたいことなんですよ。本人だけが分かって、他のメンバーが分からないというのは良くなくて。誰が見ても分かるソースであれば、何かあったときに他のメンバーがすぐに対応できるし、使いまわしも利きやすい。

小川:名前や関数で追っていけますもんね。速読で内容が分かる。

内海:マーケットにない新しいエンタメをつくるためには「いかに他社よりも早くリリースできるか」というポイントが重要で、そのためにはプランナーが求めているものをエンジニアがよりスピーディーに具現化しないといけない。事業の回転が早い会社であればあるほど、ソースのクリンネスは大切になってきます。


───:小川様はもともとクライアント側だったのですか?

小川:いいえ、サーバ側です。

内海:今サーバをやっている人の中には、「クライアントにチャレンジしたい」という人もたくさんいると思います。本来はどちらも手掛けるのが普通なんですよ。この2つが区分けされている状況がおかしい。当社では両方のエンジニアがスワップすることは珍しくないですよ。学ぶ気がある人には、どんどん場を提供しています。
 
小川:最初はソースをレビューし合うことに戸惑いもありました。でも今は、他の人が書いているソースを同じ時間軸で見て、意見を交わし合うことで非常に多くの学びがあると感じています。最近、技術力がメキメキと伸びている気がしますね。

内海:他のメンバーのいいソースを真似ることができるからね。本やWebには記載されていない活きた情報を得られるので、参考書を読んだり、セミナーに行ったりする必要性がないんですよ。結局のところ、本質は現場でしか分からないから。


───:レビューのペースは?

小川:ほぼ毎日ですね。

内海:リーダー同士だけでレビューするというのはよく聞くけど、それだとリーダーにしかノウハウが溜まりません。私は全員にソースの意図を理解してほしいんですよ。


───:個々の成長をここまで支援してくれる方が社長のポジションにいると、現場としてはすごくありがたいですね。

内海:これから小川さんには、カジュアルゲームを1人で開発してもらいます。大規模プロジェクトは、どうしても手掛ける領域が限られてしまう。エンジニアが1人でガンガンつくれるカジュアルゲームって大切なんです。

小川:まさに今日からスタートするんですよ。

 

内海:バッターボックスに立ってもらって、私はバッティングコーチとして見守る感じでしょうか。1ヶ月後にはリリースする予定です。納期が決められているので、理想は追求し切れないと思います。ビジネスである以上、求道者であるわけにはいきません。おそらく部分的にはソースが拙くなると思いますが、それも含めて経験を積んでもらいたいなと。


───:どんな方がこの会社に向いていると思いますか?

小川:受け身じゃない人ですね。分からないことをまわりの人たちに質問できる積極性があれば、どんどん伸びていく環境だと思います。

内海:会社に在籍している方はもちろん、フリーの方にも来てほしいですね。1人でガツガツするのもいいけど、10人から毎日刺激を受けた方が成長は圧倒的に速い。2ヶ月、3ヶ月くらいで、火を見るよりも明らかに変わってきますよ。

あとはソースで語れる方かな。エンジニアはソースでコミュニケーションを図れると思っています。ソースにNGを出すこともあるかもしれませんが、決して人格や仕事振りを否定しているわけではありません。そこでめげず、積極的にソースを書いてほしい。実践を通して人が育つと思っているので、チャレンジは大歓迎ですよ。失敗したとしても、次に活かせばいい。「メキメキと腕を伸ばしたい方ならぜひ」っていう感じですね。


───:分かりました。では最後に、改めて森尾さんに締めていただければと思います。今後こういう会社にしたいというイメージはありますか?

森尾:ビジョンとして描いているのは、仕事、ユーザー満足度、生活という流れで好循環をつくり出していける会社です。社員一人ひとりが目標を持って仕事に取り組み、良質なコンテンツを生み出し、ファンになってくれるユーザーが増えていく。そして、ユーザー満足度の向上に比例して会社の売上が伸び、社員の給料も上がってプライベートが充実し、仕事のやりがいがさらに高まる、といった感じでしょうか。このサイクルの中で全社員がイキイキと働くことが、私の理想像です。

 

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会社情報

会社名
株式会社マスタッシュ
設立
2014年10月
代表者
代表取締役 森尾 紀明
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