ココネといえば、キャラクター着せ替えアプリ『ポケコロ』を提供する会社として知られている。非ゲーム系アプリでは世界的にもトップクラスの売上を誇っており、2011年よりサービスを開始したアプリながら、今でもアプリストアの売上ランキングの上位に顔を出す人気タイトルだ。売上ランキング上位の最古参のひとつといっていい。
ココネはもともと、NHN Japan(現LINE)社長であった千 良明/チョン・ヤンヒョン氏が2008年9月に設立した会社だ。当初は主に英語学習の語学サービスを提供する会社であった。NHN Japanをオンラインゲームの国内トップ企業まで成長させたことから、今度は「成功させてくれた社会に恩返ししたい」という想いで設立したという。
主力となる『ポケコロ』のサービスを開始したのは、2011年9月だった。「ハンゲーム」で培ったアバターサービスのノウハウを活かしたもので、リリース後、女性を中心に支持を集めている。
『ポケコロ』が、他の人気アプリと大きく異なる点は、モンスターと戦ったり、ゲームを進めるための決められたシナリオはないことだ。自分だけの世界を気ままに過ごしながら、友だちとのゆるいコミュニケーションが楽しめる。主な収益源はキャラクターの洋服や部屋コーディネートに使えるアイテムで、パラメーターなどはなく、季節感やかわいらしさなど感性に訴える点に特徴がある。同じように感性を重視したアプリ「Disneyマイリトルドール」もまもなくリリースするとのこと。
現在、『ポケコロ』が主力サービスとなっているが、語学サービスの提供も継続的に行っているという。代表の学生時代の恩師である、慶應義塾大学で言語応用学を研究する田中茂範教授の協力を得て、今年6月に言語教育研究所を設立し、英語教育の理論と実証の両面での研究、アプリの制作を行っている。
そんなココネだが、社員向けの福利厚生の一環として、マッサージや健康的な食事を提供しているほか、トレーニングジムの施設も社内に設置しているという。今回、同社執行役員の石渡真維氏と冨田洋輔氏にインタビューを行い、トレーニングジムを中心に紹介してもらった。
――:よろしくお願いします。トレーニングジムを導入されているとのことですが、制度の概要を教えて下さい。
石渡氏:当社は、ビル一棟まるまる借りているのですが、最上階にトレーニングジムがあります。9時30分から21時30分までオープンしており、社員は誰でも利用できます。筋トレやランニングはもちろん、ストレッチも行うことができます。またジムには健康管理士やトレーナーが常駐しており、パーソナルトレーニングを受けることもできます。
――:かなり本格的ですね。機器を設置したので勝手に使ってというものではないんですね。
冨田氏:はい。最初に利用するときに、トレーナーと相談をしてもらいます。例えば、痩せたい、筋肉を付けたい、柔軟性を高めたいなど、トレーニングの目的を聞いたら、それに基づいて、トレーニングのプログラムを決めていきます。ダイエットに関しては、なんと10kg以上痩せた人も複数います。
――:運動すると汗をかきますよね。シャワーを浴びることはできるんですか?
冨田氏:もちろんです。社内に男女別のシャワールームを完備しており、運動した後の汗を流すことができます。また上下のトレーニングウェアも支給しており、いつでも利用できるようにしています。
――:働いている方は無料で利用できるのですか?
石渡氏:いえ、サービスは利用しない人もいますので、最低限の利用料は払ってもらいます。金額は役職によって異なっており、役職が上になるほど高くなります。下は月額500円からで、役員クラスでも最高で1万円です。これでも一般のジムに通うよりは安くなっているのではないかと思います。
――:現在の利用率はどのくらいになるのでしょうか。
冨田氏:全社員の約7割になります。かなり高い数字だと思いますが、導入当初はあまり利用されませんでした。健康管理士やトレーナーが社内を巡回して社員に話しかけて勧誘したり、希望する人にはストレッチを施したりして、社内営業を行って認知を高めつつ、徐々に利用率を上げていきました。社内でトレーナーが椅子に座ったままストレッチを施す3分ストレッチが人気です。これを受けると、その時は少し痛いですが、終わると体が本当に軽くなります。それをきっかけにジムに通う人が増えました。
▲朝、希望者が集まってストレッチを行っているとのこと。これを行うことで、すっきりした状態で仕事に臨めるという。
――:そもそもの疑問ですが、社内にトレーニングジムを設置したのはなぜでしょうか。
冨田氏:以前は、社外にあるトレーニングジムと法人契約を結び、社員が格安で利用できるようにしていたのですが、あまり利用されませんでした。働きながら気軽に利用できるように、という趣旨で社内に設置しました。やるからには徹底的にやろうということで、健康管理士やトレーナーも常駐していますし、トレーニング機器も代表の千自らが足を運んで選定しました。
石渡氏:社員には健康的な体でいてほしいという千の願いがあります。千はこれまでの職場で、不摂生のために体を壊してしまう社員を何人も見ていて、心を痛めていたそうです。スキルを磨いて仕事をきちんとこなしつつ、運動や食事にも気を使ってほしいという考えです。健康的な食事やマッサージサービスを提供しているのはそのためです。
――:今後の課題を教えてください。
石渡氏:会社として出費がかさんでしまうのですが(笑)、社員全員に利用してもらうことが目標です。当社は、株式公開や、利益拡大を経営の第一目標としていません。社会に役立つ会社であるためには、まず社員が健康的で楽しく働かなくてはならないと考えています。ジムの取り組みは確かにとても力をいれていますが、むしろ社員のために当然、最低限のこと、とすら考えています。
冨田氏:あとは効果測定をどうするか、でしょうか。利用回数やアンケートなどで図っていますが、社員全員の健康度合いの改善も測定する必要があります。ただ、トレーニングの目的は人それぞれです。内脂肪率や体重、筋肉量、体力測定、柔軟性などKPIは人によって異なります。このあたりの指標管理も今後の課題といえるかもしれません。
――:ありがとうございました。
▲キッチンと食堂も。栄養バランスを考えた健康的な食事が取れるようになっている。
▲マッサージルームもある。
▲1階にはバーも。仕事が終わった後、ちょっと飲みながら同僚と話をすることとも可能だ。
(編集部 木村英彦)
会社情報
- 会社名
- ココネ株式会社
- 設立
- 2008年9月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 高谷 慎太郎