【メディア工房決算説明会】主力の占いの落ち込みが減収減益の要因 ゲームも開発遅延、売上低調で赤字に ARやAI事業に先行投資…近日詳細発表の予定も
メディア工房<3815>は、10月18日、東京都内で2016年8月期の決算説明会を開催した。決算説明会に先んじて10月7日に発表された2016年8月期の連結決算は、売上高19億4000万円(前々期比20.1%減)、営業利益2600万円(同90.3%減)、経常損益6000万円の赤字(前々期2億1600万円の黒字)、当期純損益1億3900万円の赤字(同8600万円の黒字)と最終赤字に転落した。
決算説明会では、同社の長沢一男代表取締役社長が決算概要と2017年8月期の事業戦略の説明を行った後、質疑応答を行った。その内容も踏まえつつ、決算説明会の模様をまとめてみた。
■「2016年8月期は大変不本意な期」(長沢社長)
まずは各セグメント別の状況を見てみると、同社の主力分野である占いコンテンツ事業が売上高で前々期比20.9%の減収、営業利益で同27.0%の減益と大きく落ち込んでいる。この減収・減益の金額を見ると、売上高が4億8800万円、営業利益が2億2500万円となっており、この金額分がほぼ会社全体の減収減益の金額とイコールになっている。長沢社長は「2016年8月期は大変不本意な期になった」と総括した。
占いコンテンツ事業は、コンテンツ1つあたりの短命化に加え、大ヒットコンテンツが不在であったことも大きく、台湾向けコンテンツの好調やLINE占い向けの売上増加などでカバーするには至らなかった状況だ。「占いデジタルコンテンツ離れが明らかに起きており、質の転換が必要」(長沢社長)とし、コンテンツジャンルの拡大などを課題としていた。
一方、成長ファクターとして期待されたゲームコンテンツ事業も苦戦した。開発遅延によるリリースの遅れや配信済みゲームタイトルの売上低調などで、2016年8月期は1億900万円の営業赤字を計上する結果となっている。こうした状況を受けて、期中は子会社ルイスファクトリーの設立や事業譲受による事業体制の変更に着手、「安定収益が必要であり、セカンダリー市場に進出した」(同)。
さらにO2O事業も女性向け情報メディア「omotano」、ファッションレンタルサービス「Licie」などの取り組みを進めたが、いずれも不調で赤字化している。なお、「omotano」については配信停止、「Licie」については事業提携を解消と、いずれも撤退する結果となった。
■占いコンテンツの収益モデルの多様化に注力 ゲームは受託で安定収益を構築へ
続く2017年8月期は、売上高25億円(前期比28.8%増)、営業利益1億8000万円(同6.8倍)、経常利益1億8000万円、当期純利益1億800万円を見込んでいる。占いコンテンツ事業において、収益モデルの多様化や世界展開による配信網の拡大に取り組むほか、ゲームコンテンツ事業はセカンダリー事業に加え、国内課金ゲームのリリースにも取り組むとしている。なお、この予想値ついて長沢社長は「前期実績を踏まえた保守的な予想」としていた。
占いコンテンツ事業は、「今年5月からPCとモバイルの2事業部を1事業部に統合」(同)し、配信数や人員配置の見直しを進めることで、新規コンテンツの企画・制作時間の拡充を進めていく。また、3月に投入した広告収入モデルのほか、課金モデルも今冬よりサブスクリプションサービスを開始するなど収益モデルの多様化を図っていく。
一方、ゲームコンテンツ事業は、OBOKAID’EMによる国内ゲームの海外配信、ブルークエストによる海外ゲームの国内パブリッシングに加え、ルイスファクトリーによるセカンダリー市場における運営受託という新体制での事業展開を進めていく。なお、ルイスファクトリーはセカンダリー事業による安定的な収益の計上に加え、国内課金ゲームの新規タイトルの開発にも取り組み、今期は売上高で5億5000万円以上を計上することを想定している。
その他事業は、不調だったO2O事業の中で、アイドル応援プロジェクト「girls be」のみを継続する。これは同社が研究開発投資を続けてきたAR事業との親和性を意識したためだという、なお、同社はAR事業のほか、AI事業についても先行投資を行っており、これらに絡むリリースも近日発表する予定としていた。
(編集部:柴田正之)
会社情報
- 会社名
- 株式会社メディア工房
- 設立
- 1997年10月
- 代表者
- 代表取締役社長 長沢 一男
- 決算期
- 8月
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3815