【インタビュー】『FGO』プロジェクトマネージャーの3人に聞くセクション管理による独自の制作体制…開発環境の改善からより良いゲームを生み出す
2014年に設立し、2015年には『Fate/Grand Order(略称:FGO)』をリリースしたディライトワークス。同社は2016年10月12日に、スマートフォン向けリズムゲーム『バンドやろうぜ!』を配信開始した。
Social Game Infoでは今回、『FGO』のプロジェクトマネージャー(PM)を務める、芦田氏、藤井氏、佐藤氏にインタビューを実施。同タイトルにおける独自のPM体制や、組織作りの経緯、そして今後の展望についてお話を伺ってきた。
ディライトワークス株式会社
プロジェクトマネージャー
芦田 氏(写真左)
佐藤 氏(写真中央)
藤井 氏(写真右)
──:本日はよろしくお願いいたします。まず始めに、お三方がディライトワークスに入社された経緯について教えてください。
芦田氏(以下、芦田):前職ではプロジェクトのリーダーとして予算の管理や進行管理などを任されていたのですが、その際、このプロジェクトマネージャーの業務にやりがいを感じ、専属で働ける場所を求めていました。
そもそも、ゲーム業界でプロジェクトマネージャーという職種を募集していること自体多くありません。開発環境を整備することでクリエイターが制作に集中でき、作品のクオリティを上げられると考えています。
ディライトワークスではプロジェクトマネージャーを募集していたことから、しっかりとプロジェクトマネージメントの仕組みが機能するように意識されている会社だと思い応募しました。
藤井氏(以下、藤井):私の場合は、前職でプロジェクトマネージャーを務めていたのですが、やはり専属での募集という点に興味を惹かれました。また、ディライトワークスにはコンシューマゲームの制作経験を持っている人も多く在籍していますので、プラットフォームに依存せず、様々な経験ができるのではないかと思い入社しました。
佐藤氏(以下、佐藤):私は、前職では全く異なる業界で働いていたのですが、ゲーム業界で再び働きたいと思い転職活動をしていました。前々職ではゲーム業界でプランナーを務めていたのですが、そのときに繋がりのあった人がディライトワークスに在籍していたのも大きな理由ですね。面談では、入社後にどのように成長し、活躍できるかを親身になって考えてくれました。その際、プロジェクトマネージャーという立場で様々なプロジェクトを見ながら業界に対するブランクを埋めていくのが良いのではないかという話になり、プロジェクトマネージャーとして働くことになりました。
──:プロジェクトマネージャーの業務内容についてお聞かせください。
芦田:プロジェクトマネージャーの仕事は、進行管理のほか、開発の中で問題が発生した箇所を見つけ、どのように対処すれば流れがスムーズになり、効率が良くなるかを探る仕事です。全体の状況を把握することが非常に重要なポジションですので、毎朝プロジェクトの全体会議を行い、全員に情報を共有しています。『FGO』に関しては、プロジェクトマネージャーが複数人います。セクションごとに1名が専属で担当する体制で進行を管理しており、朝会の後はプログラム、デザイン、サウンドなど、セクションに分かれて情報をより細かく確認し、問題解決やクオリティアップに向けてその後の流れを決定します。なので、全体会議の部分以外については、その日ごとに臨機応変に対応することが多いですね。
藤井:現場において、常に各セクションの最適化を図っているイメージです。
──いつ頃から、現在のようにひとつのプロジェクトを複数人のプロジェクトマネージャーで担当するようになったのでしょうか?
芦田:複数人体制になったのは半年ほど前からです。そこから現在に至るまで各セクションに必要な人員が配置されております。プロジェクトマネージャーの仕事には改良の余地もありますので、まだまだよりよい効率化を図っている道中といった感じでしょうか。
佐藤:プロジェクトマネージャーとして、制作陣が開発に専念できる環境を提供したいという想いがありますので、まずは自分のスキルや性格を活かして、より良い環境作りができればと考えています。
──:セクションごとにプロジェクトマネージャーを配置する理由についてお教えいただけますか?
芦田:プロジェクトがどんどん大きくなっていますので、ひとりでは表面的な進行しか把握しきれないという問題があります。セクションごとに分けることで、より詳細にセクションに属する個人のタスクや作業量が把握できるようになります。進行管理以外の面でも、各セクションに問題解決や状況察知ができるメンバーをひとりずつ立てたいという方針もあり、現在も必要に応じて少しずつ増やしているという状況です。
──:これまで、どのようなことを行われたのでしょうか?
藤井:私がチームに合流したときは、誰が何の作業をしているのかが分かりづらい状態でした。自分の作業が終わった際に次に何をすれば良いかが把握し辛く、非常に効率が悪かったのです。そこで、個々の作業が見える状態にすることでタスク同士の繋がりを把握しやすい状態にし、各セクションに何が必要かを洗い出せるように改善しました。当社のプロジェクトマネージャーに求められている”チーム間の潤滑油”的な役割を果たせたと感じましたね。
──:プロジェクトマネージャーをされている方には、どういった経歴の方が多いのでしょうか?
芦田:元々ゲーム業界やエンターテインメント業界で働いている方が多いです。
藤井:私はエンジニアとしてプログラマーをやっていた流れでプロジェクトマネージャーになりました。
──経験者でなくともなれる可能性があるのですね。
佐藤:先ほどもお話した通り、私は未経験からプロジェクトマネージャーになりました。
──:どういったスキルが求められるのでしょうか?
芦田:人柄は非常に重要です。コミュニケーション能力や、物事を俯瞰的に見られるような性格の方であれば、今までプロジェクトマネージャーの経験がなくとも大丈夫だと思います。
藤井:何か問題が発生した際、解決策を見出すためにはコミュニケーションが重要になりますので、人と話すことが好きな人は理想的ですね。
芦田:ツールを使用してやり取りを行うことももちろんありますが、社内で一番喋るポジションにあたるのがプロジェクトマネージャーですね。
──求める人材の理想像を教えてください。
藤井:思いやりがあり、チームメンバーと良好な関係を築ける方が望ましいですね。メールやチャットだけでなく、口頭でコミュニケーションを図って相手の気持ちを察せる方が理想的です。
──:社内の雰囲気についてお教えください。
芦田:まだまだ設立したばかりの会社ということもあり、色々なことを全員で決めていかなければならないので、意欲的で積極的な方が多いですね。
──:実際にディライトワークスで働いてみて印象はいかがですか?
佐藤:様々な業務に携われるので、自分の経験が増やせるという点において非常に良かったと思っています。プロジェクトマネージャーとして働きながらプランナーの業務を手伝わせていただくこともあり、自分に向いている仕事も見つけやすいので、後々にも役立つのがありがたいですね。
藤井:私は将来的にプロデューサーを目指したいと考えているのですが、現在、チームを掛け持ちしているので、様々なプロデューサーの手法を見ながら吸収できることが非常に勉強になっています。
──:御社ならではの特徴を教えてください。
藤井:コンシューマ経験者の方々と仕事を共にすることで、これまでの経験が通用しないことがあり、驚きを感じました。具体的には、作り込みの部分が深く、直前まで改善しようという意思が強いです。その辺りは、ソーシャルゲーム業界だけを経験している方にとってはギャップがあるかもしれません。
芦田: 『FGO』に関しては、ゲーム好きのメンバーしか在籍しておらず、自身の制作したゲームへの愛着度や、クオリティアップに対する向上心が非常に高いです。より良いゲームにしたいという点に関しては妥協がないですね。
――:外から見ていても、『FGO』はファンからの支持が厚く、制作陣も愛を込めて作られていることが伺えます。
芦田:ユーザー様からの意見もできる限り社内で反映して、より面白くできるところを模索しているメンバーが非常に多いです。大変なことではありますが、一致団結して気持ちを合わせている点については誇れる部分です。そのために、どういった段取りを組めば効率良くクオリティを上げられるかを考えることは、プロジェクトマネージャーとしてもやり甲斐を感じます。
──:『FGO』に携わって印象に残っている出来事はございますか?
佐藤:イベントをリリースするたびに開発現場も盛り上がってプレイしています。リリースするだけで終わらず、自分たちでも盛り上がれるほど愛を込めて作っていることに驚くと共に、本プロジェクトに携われたことに喜びを感じました。
芦田:ここまで自身のプロジェクトに愛を持って接しているチームは中々ないと思います。クオリティに対しての基準が高いうえ、まだまだ上げたいと向上心を持っているメンバーが揃っております。
──:今後の展望をお聞かせください。
芦田:規模が大きなプロジェクトですので、今以上にユーザー様に楽しんでいただけるよう、「ただ純粋に、面白いゲームを創ろう。」という理念の下、より働きやすい開発環境を作り出すために尽力していきたいですね。
(C)TYPE-MOON / FGO PROJECT
Social Game Infoでは今回、『FGO』のプロジェクトマネージャー(PM)を務める、芦田氏、藤井氏、佐藤氏にインタビューを実施。同タイトルにおける独自のPM体制や、組織作りの経緯、そして今後の展望についてお話を伺ってきた。
■セクション管理による効率的な『FGO』のPM体制に迫る
プロジェクトマネージャー
芦田 氏(写真左)
佐藤 氏(写真中央)
藤井 氏(写真右)
──:本日はよろしくお願いいたします。まず始めに、お三方がディライトワークスに入社された経緯について教えてください。
芦田氏(以下、芦田):前職ではプロジェクトのリーダーとして予算の管理や進行管理などを任されていたのですが、その際、このプロジェクトマネージャーの業務にやりがいを感じ、専属で働ける場所を求めていました。
そもそも、ゲーム業界でプロジェクトマネージャーという職種を募集していること自体多くありません。開発環境を整備することでクリエイターが制作に集中でき、作品のクオリティを上げられると考えています。
ディライトワークスではプロジェクトマネージャーを募集していたことから、しっかりとプロジェクトマネージメントの仕組みが機能するように意識されている会社だと思い応募しました。
藤井氏(以下、藤井):私の場合は、前職でプロジェクトマネージャーを務めていたのですが、やはり専属での募集という点に興味を惹かれました。また、ディライトワークスにはコンシューマゲームの制作経験を持っている人も多く在籍していますので、プラットフォームに依存せず、様々な経験ができるのではないかと思い入社しました。
佐藤氏(以下、佐藤):私は、前職では全く異なる業界で働いていたのですが、ゲーム業界で再び働きたいと思い転職活動をしていました。前々職ではゲーム業界でプランナーを務めていたのですが、そのときに繋がりのあった人がディライトワークスに在籍していたのも大きな理由ですね。面談では、入社後にどのように成長し、活躍できるかを親身になって考えてくれました。その際、プロジェクトマネージャーという立場で様々なプロジェクトを見ながら業界に対するブランクを埋めていくのが良いのではないかという話になり、プロジェクトマネージャーとして働くことになりました。
──:プロジェクトマネージャーの業務内容についてお聞かせください。
芦田:プロジェクトマネージャーの仕事は、進行管理のほか、開発の中で問題が発生した箇所を見つけ、どのように対処すれば流れがスムーズになり、効率が良くなるかを探る仕事です。全体の状況を把握することが非常に重要なポジションですので、毎朝プロジェクトの全体会議を行い、全員に情報を共有しています。『FGO』に関しては、プロジェクトマネージャーが複数人います。セクションごとに1名が専属で担当する体制で進行を管理しており、朝会の後はプログラム、デザイン、サウンドなど、セクションに分かれて情報をより細かく確認し、問題解決やクオリティアップに向けてその後の流れを決定します。なので、全体会議の部分以外については、その日ごとに臨機応変に対応することが多いですね。
藤井:現場において、常に各セクションの最適化を図っているイメージです。
──いつ頃から、現在のようにひとつのプロジェクトを複数人のプロジェクトマネージャーで担当するようになったのでしょうか?
芦田:複数人体制になったのは半年ほど前からです。そこから現在に至るまで各セクションに必要な人員が配置されております。プロジェクトマネージャーの仕事には改良の余地もありますので、まだまだよりよい効率化を図っている道中といった感じでしょうか。
佐藤:プロジェクトマネージャーとして、制作陣が開発に専念できる環境を提供したいという想いがありますので、まずは自分のスキルや性格を活かして、より良い環境作りができればと考えています。
──:セクションごとにプロジェクトマネージャーを配置する理由についてお教えいただけますか?
芦田:プロジェクトがどんどん大きくなっていますので、ひとりでは表面的な進行しか把握しきれないという問題があります。セクションごとに分けることで、より詳細にセクションに属する個人のタスクや作業量が把握できるようになります。進行管理以外の面でも、各セクションに問題解決や状況察知ができるメンバーをひとりずつ立てたいという方針もあり、現在も必要に応じて少しずつ増やしているという状況です。
──:これまで、どのようなことを行われたのでしょうか?
藤井:私がチームに合流したときは、誰が何の作業をしているのかが分かりづらい状態でした。自分の作業が終わった際に次に何をすれば良いかが把握し辛く、非常に効率が悪かったのです。そこで、個々の作業が見える状態にすることでタスク同士の繋がりを把握しやすい状態にし、各セクションに何が必要かを洗い出せるように改善しました。当社のプロジェクトマネージャーに求められている”チーム間の潤滑油”的な役割を果たせたと感じましたね。
■プロジェクトマネージャーに必要なのは知識や経験より”人柄”
──:プロジェクトマネージャーをされている方には、どういった経歴の方が多いのでしょうか?
芦田:元々ゲーム業界やエンターテインメント業界で働いている方が多いです。
藤井:私はエンジニアとしてプログラマーをやっていた流れでプロジェクトマネージャーになりました。
──経験者でなくともなれる可能性があるのですね。
佐藤:先ほどもお話した通り、私は未経験からプロジェクトマネージャーになりました。
──:どういったスキルが求められるのでしょうか?
芦田:人柄は非常に重要です。コミュニケーション能力や、物事を俯瞰的に見られるような性格の方であれば、今までプロジェクトマネージャーの経験がなくとも大丈夫だと思います。
藤井:何か問題が発生した際、解決策を見出すためにはコミュニケーションが重要になりますので、人と話すことが好きな人は理想的ですね。
芦田:ツールを使用してやり取りを行うことももちろんありますが、社内で一番喋るポジションにあたるのがプロジェクトマネージャーですね。
──求める人材の理想像を教えてください。
藤井:思いやりがあり、チームメンバーと良好な関係を築ける方が望ましいですね。メールやチャットだけでなく、口頭でコミュニケーションを図って相手の気持ちを察せる方が理想的です。
■作品への”愛”がチームをひとつにまとめ上げる
──:社内の雰囲気についてお教えください。
芦田:まだまだ設立したばかりの会社ということもあり、色々なことを全員で決めていかなければならないので、意欲的で積極的な方が多いですね。
──:実際にディライトワークスで働いてみて印象はいかがですか?
佐藤:様々な業務に携われるので、自分の経験が増やせるという点において非常に良かったと思っています。プロジェクトマネージャーとして働きながらプランナーの業務を手伝わせていただくこともあり、自分に向いている仕事も見つけやすいので、後々にも役立つのがありがたいですね。
藤井:私は将来的にプロデューサーを目指したいと考えているのですが、現在、チームを掛け持ちしているので、様々なプロデューサーの手法を見ながら吸収できることが非常に勉強になっています。
──:御社ならではの特徴を教えてください。
藤井:コンシューマ経験者の方々と仕事を共にすることで、これまでの経験が通用しないことがあり、驚きを感じました。具体的には、作り込みの部分が深く、直前まで改善しようという意思が強いです。その辺りは、ソーシャルゲーム業界だけを経験している方にとってはギャップがあるかもしれません。
芦田: 『FGO』に関しては、ゲーム好きのメンバーしか在籍しておらず、自身の制作したゲームへの愛着度や、クオリティアップに対する向上心が非常に高いです。より良いゲームにしたいという点に関しては妥協がないですね。
――:外から見ていても、『FGO』はファンからの支持が厚く、制作陣も愛を込めて作られていることが伺えます。
芦田:ユーザー様からの意見もできる限り社内で反映して、より面白くできるところを模索しているメンバーが非常に多いです。大変なことではありますが、一致団結して気持ちを合わせている点については誇れる部分です。そのために、どういった段取りを組めば効率良くクオリティを上げられるかを考えることは、プロジェクトマネージャーとしてもやり甲斐を感じます。
──:『FGO』に携わって印象に残っている出来事はございますか?
佐藤:イベントをリリースするたびに開発現場も盛り上がってプレイしています。リリースするだけで終わらず、自分たちでも盛り上がれるほど愛を込めて作っていることに驚くと共に、本プロジェクトに携われたことに喜びを感じました。
芦田:ここまで自身のプロジェクトに愛を持って接しているチームは中々ないと思います。クオリティに対しての基準が高いうえ、まだまだ上げたいと向上心を持っているメンバーが揃っております。
──:今後の展望をお聞かせください。
芦田:規模が大きなプロジェクトですので、今以上にユーザー様に楽しんでいただけるよう、「ただ純粋に、面白いゲームを創ろう。」という理念の下、より働きやすい開発環境を作り出すために尽力していきたいですね。
(C)TYPE-MOON / FGO PROJECT
会社情報
- 会社名
- ディライトワークス株式会社
- 設立
- 2014年1月
- 代表者
- 代表取締役 庄司 顕仁