【インタビュー】3Dモデル制作にも活用を…ドリコム『ダビマス』スタッフが語る制作管理システム「セーブポイント」の可能性
ドリコムが現在配信中の競走馬育成シミュレーションゲーム『ダービースタリオン マスターズ(ダビマス)』。コンシューマでも人気を博す『ダービースタリオン』シリーズ初のスマートフォンタイトルとして2016年11月に配信されると、史上最多の実名馬が登場する点や伝説のレースを再現するイベントなどが高い評価を得ている。そんなダビマスでは現在、4月10日の12:00から4月19日の11:59までの間、ダビマスPR大使である田中将大選手に種牡馬を選定していただいた「田中将大選手監修 特別種抽選会」が開催中だ。興味のある人はぜひ参加してみてほしい。(関連記事)
本作のゲーム性や施策の制作、運営を支えているのが、MUGENUPが提供するクラウド型制作管理システム「Save Point(セーブポイント)」である。セーブポイントは膨大なソーシャルゲームのイラストデータを一括で管理し、クリエイティブの時間を作るツールとして急速に普及が進んでいる。今回のインタビューでは『ダビマス』の2D、そして3Dをディレクションする中心人物に話を伺い、セーブポイントの強みについて聞いた。
株式会社ドリコム
ゲームデベロップメント統括部 ゲームデベロップメント2部
成田 悟氏(写真左)
松村 武利氏(写真中央)
鈴木 那津子氏(写真右)
ゲームデベロップメント統括部 ゲームデベロップメント2部
成田 悟氏(写真左)
松村 武利氏(写真中央)
鈴木 那津子氏(写真右)
■以前はエクセルで進行を管理…連絡の行き違いも課題だった
―――:まずはみなさんが現在携わっている業務について教えてもらえますか?
成田氏:ゲームデベロップメント部の成田と申します。主な業務としてはパートナー企業様とのお話を進めたり、契約、座組みなどを担当しています。その中でセーブポイントの導入も進めてきました。
松村氏:私もゲームデベロップメント部に所属していて、主に3DCGを見ています。外部の会社さんが制作した3Dデータをチェックしたり、ときには自分で作ったりもします。弊社には特定の肩書が存在しないのですが、3Dアートディレクターの立場という認識で問題ありません。
鈴木氏:私が見ているのは2Dのイラスト周りです。外部の会社さんとやり取りをしながらフィードバックを出すこともあれば、もちろん自ら描くこともあります。
―――:みなさんはいずれも『ダビマス』を中心に活躍しているんですよね。
成田氏:3人とも、『ダビマス』の企画が始まってすぐの段階から関わっています。
松村氏:成田は企画書ベースのときからゲームのことを知っていて、その後「3Dのリソースがほしい」となったタイミングで私もプロジェクトに入りました。鈴木もその後すぐに加わりましたね。
―――:では、まずは制作初期の状況から教えてもらえますか? 当時はまだセーブポイントを導入していなかったんですよね。
成田氏:会社全体で言うと別プロジェクトで導入をしていたのですが、『ダビマス』ではまだでしたね。当時はまだイラストの量産まではいかなかったものの、今後のことを考えると対策しておかなければ…と考えていたんです。そこで、別プロジェクトで使っていたセーブポイントとの相性が良いのではと考えたのです。
松村氏:なので、私が入ったときにはすでにセーブポイントを利用することも決まっていましたね。
―――:その別プロジェクトでは、セーブポイント導入前はどのように制作物を管理していたのでしょうか。
成田氏:以前はセーブポイントでできる管理を、エクセルで作って行っていましたね。一列目に原画とフィードバックのコメントを貼って、次の列には修正画像とコメントを付けて、という形でスタッフと共有していたんです。しかも当時はスプレッドシートもなく、FTPで管理していました。しかし画像を何枚も貼るため容量も増えていき、扱うのが大変になっていきました。
松村氏:容量の圧迫がひどくなると、なにかを削除しなければいけません。しかしいざ画像を削除すると、それを必要としていたスタッフがいたりとトラブルの原因にもなっていました。
―――:それでセーブポイントを使うことになったと。では、具体的にどのような点に魅力を感じたのでしょう。
成田氏:別プロジェクトはリソースの数が膨大だったのですが、それを難なく管理できているのはすでに知っていました。そしてなによりも魅力に感じたのが、学習コストの低さです。スタッフがすぐに使い方を覚えて、すぐに使用できるのは私達にとってとてもありがたいことでした。
松村氏:最初にログインしたとき、すぐにどう使えばいいのかが分かったのは驚きましたね。
成田氏:この覚えやすさは社内だけでなく、外部のスタッフのみなさんにも好評です。説明は数ページ程度のドキュメントで、それだけで誰でもすぐに使ってくれます。
―――:2Dイラストを管理する鈴木さんも、使う場面は多いかと思います。
鈴木氏:そうですね。2Dイラストの場合は修正前後の比較をする機会も多く、そんなときでもセーブポイントはツール上ですべてできるのがありがたいです。線画のズレなど細かいポイントまで、Photoshopなど別のソフトを介さずにチェックできます。加えてチャットのような機能も備わっていて、外部の方々と気軽にフィードバックのやり取りを行えるのもいいですね。
松村氏:言った言わないの把握がしっかりできるのも嬉しいところです。確認ミスによる事故はほとんど起こりません。
―――:外部の方からの反響はいかがですか?
成田氏:それが、私達から「セーブポイントというツールを使いたいのですが…」とお願いすると、「知っているんで問題ないですよ」と返ってくる機会も増えてきて、いろいろなメーカー、イラストレーターに普及してきたのも、セーブポイントが使いやすい要因だと思います。
―――:反響を聞くまでもないというか、むしろ相手もすでに詳しい状態なんですね。
成田氏:「どうやって使えばいいんですか」という内容の質問はほぼ来ないですし、そういう意味でもとても気軽で助かっています。
松村氏:3D関係のスタッフからも、質問はほぼゼロでした。使い方に関するレクチャーを省いて、いきなり3Dモデルの連絡をやり取りできましたね。
―――:では社内のスタッフからは、どんな反応がありますか?
成田氏:スタッフにはセーブポイントに対する意見を積極的に聞くようにしていて、やはり評判はいいです。誰もが昔から使っていたかのように扱っている印象です。
また、使い勝手が良い分、「新しい機能も欲しい」という声も出ていますね(笑)。制作自体を進めるツールとしてはすでに申し分ないのですが、例えば進捗を管理する機能がもう少し充実しているとありがたいというリクエストです。これまでもMUGENUPさんにはリクエストを実現していただいていたこともあるので、ガントチャートの機能拡張など、今後の展開に期待しています。
鈴木氏:2D制作チームにはほかのツールも使って比較しているスタッフもいましたけど、最終的には「セーブポイントがいい」という話に落ち着いていましたね。
■3Dアニメーションもセーブポイント上で可能に
―――:機能面で役立っているものはありますか?
成田氏:制作物の進捗に応じてステータスの色を変えることができ、どれだけの仕事がたまっているかをひと目で確認できる機能は頻繁に使っています。今日はなにを確認して、なにを提出しなければいけないかといった、日々の業務の管理がしやすくなりました。
▲多くの制作物が同時並行してもステータスの色や
フィルタ機能によってひと目で確認ができる
鈴木氏:イラストなどのクリエイティブだけでなく、タスクの管理という意味でも重宝しています。見るべき仕事の取りこぼしがなくなったのは、プロジェクトを進めるうえでも大きなことです。
松村氏:出来上がった3Dモデルを動かすモーション、アニメーションのチェックもセーブポイント上でできるのは良い機能だと思います。動画も投稿できるので全体の動きを確認できます。また最新のデータが常に目につくところにあるので分かりやすく、そこから過去データを漁るのも役立っています。それともうひとつ、見たよボタンがとても便利ですね。
▲動画データのプレビュー機能で
3Dデータのアニメーションも確認しやすい
鈴木氏:見たよボタンは私もよく使ってます! 見たよボタンはLINEの既読と同じ機能で、これのおかげで相手が確認したかどうかをすぐに把握できるんです。見たよボタンを押してもらうだけでこちらとしても安心できますし、なによりもいちいちメールやチャットで返信する手間が省けるのもいいですよね。やり取りが減ることで、時間の節約にもつながります。
成田氏:逆に見たよボタンが押されていない案件に対しては確認の連絡をしたり、全体的な流れを把握しやすくなる利点もあると思います。
―――:2D制作と3D制作の連携面で、スムーズにできたと感じたことはありますか?
松村氏:『ダビマス』の場合は競馬場などの背景ですね。2Dのイラストを確認しつつ3Dに落とし込んでいく作業では役立ちました。それにお互いのチームがどれくらい進んでいるかを把握できるのもメリットだと思います。
鈴木氏:原画から3Dに起こす作業をする場合はセーブポイントの比較機能は力を発揮すると思います。両方の進捗を確認できることで食い違いも少なくなりますし、キャラクター括りですべてのデータを見られるのも心強いです。
▲見たよ!ボタンで形式的なやりとりを効率化し、
具体的なフィードバックに時間を割いている
―――:3Dを制作するうえで役立つ機能はあるのでしょうか。
松村氏:現在実装されているバージョンではデカール表示の機能がないものの、開発中の新ビューアのプロトタイプでは追加されて使いやすそうでした。さらに見やすさや操作性も改善されているみたいで、期待しているところです。
―――:すでに次のバージョンのビューアも見ているのですね。
松村氏:MUGENUPさんに見せていただいて、すぐに使いたいと思いましたね。
成田氏:今まで以上にイラストや3Dモデルが見やすくなることで、ディレクターなど制作に直接関わらないスタッフにも使ってもらうといいのではと考えています。今はアーティスト同士の共有が主な使い方ですが、ディレクター側の指示もツール上で出せるともっと効率的になるかもしれません。
―――:ドリコムさんとしてもかなり期待していると。
成田氏:イラストはPNGなどの画像データさえあればどこでも見れますけど、3Dとなるといろいろな角度から見たいものです。モーションだったらなおさらです。セーブポイントはそんな願いを叶えてくれるのではと期待しています。
―――:機能面以外、例えば使い心地などはいかがでしょうか。
松村氏:直感的な操作でできるのはもちろん、PSDなど重いデータであってもすぐに表示してくれるのはすごいと思いましたね。また一般的なファイル形式にはほとんど対応しているので、表示されずに悩んだこともありません。
成田氏:そのおかげもあって、最近ではイラストの社内レビューを行う際も、セーブポイントでデータを共有しているんです。
松村氏:『ダビマス』の場合、社内レビューで扱われるのは大抵調教師などおじさんのイラストなんですけどね(笑)。さまざまなタイプのイラストができたらラベル分けして、あとはそれを見てもらうだけという形にしています。制作だけでなく、チェックしてもらうときにも利便性を感じているので、むしろデザイナー以外のスタッフにも普及してくれたら嬉しいですね。
▲任意の画像をブックマークするサムネビュー機能
ラベルで分類することでいつでも誰でも簡単に検索できる
―――:それでは、セーブポイントに今後期待することがあれば教えてください。
成田氏:現在は全制作物がいくつ必要で、どこまで進んでいるかの生産管理をほかのツールでまとめている状況です。このような情報を、私達が慣れ親しんでいるエクセルのような操作感で、セーブポイント上にまとめられたらもっと便利になると思います。細かいところを言えば、先ほど挙げたガントチャート機能拡張の他に、工程掲示板で直近の画像比較ができたり、ラベル検索のand/orを切り替えられると嬉しいですけど、イラスト制作の面で不便に感じることはほとんどないです。
鈴木氏:画像に直接文字を書き込める機能についてはよく意見があがります。デザイナーはPhotoShop等DCCツールで作業できるのでそれほどでもないのですが、ディレクターやプランナーなど、非デザイン職の方々が簡単に意見できるようになることで、クリエイティブの質が全体的に引き上げられると思います。
松村氏:モーションを見るときに骨組みまで分かったら、より細かな作業ができると思います。しかしたくさんの機能を追加してもらうより、現在の動作の軽さを維持してほしい気持ちのほうが強いです。
―――:ありがとうございました。
(取材・分:ライターユマ)
■関連サイト
・『ダービースタリオン マスターズ』 App Store
・「セーブポイント」
©2016ParityBit
会社情報
- 会社名
- 株式会社ドリコム
- 設立
- 2001年11月
- 代表者
- 代表取締役社長 内藤 裕紀
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高97億7900万円、営業利益9億300万円、経常利益7億9300万円、最終利益1億400万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3793
会社情報
- 会社名
- 株式会社MUGENUP
- 設立
- 2011年6月
- 代表者
- 代表取締役 伊藤 勝悟