カヤック<3904>は、8月31日「CEDEC2017」で「ユーザーとのエンゲージメントを育むコミュニティ運営「友情マーケティング」の解説」のセッションを行い、ソーシャルゲーム事業部プロデューサー・マーケティングディレクターの杉政英樹氏が登壇した。
本セッションでは、ユーザーからアイデアを積極的に募るコミュニティ運営やNPSを活用した分析を行いユーザーの声をゲーム改善に取り入れている『ぼくらの甲子園!ポケット』の事例をもとに、コミュニティ形成を通じてユーザーと一緒にタイトルを継続的に育てていくための取り組みや手法を聞くことができた。
▲ソーシャルゲーム事業部プロデューサー・マーケティングディレクターの杉政英樹氏
カヤックのゲーム作りにおいては、「コミュニティドリブンなゲーム作り」を掲げている。具体的には、ユーザー同志のエンゲージメントを高める仕組みがあるゲームやコミュニティのなかからエピソードが生まれるゲームだという。今回事例として紹介する『ぼくらの甲子園!ポケット』も、プレイヤーがひとりの球児として最大15人のプレイヤーと野球部を結成し甲子園を目指す、ギルドバトル型野球ゲームとなっている。
セッションのタイトルにも含まれる「友情マーケティング」とはどのようなものか?これは「ユーザー間の友情」と「ユーザーと運営間の友情」の二つの友情の最大化を目指すことだという。カヤックでは「友情」を運営の発信、ゲームとのエンゲージメント率(定量)、友情エピソードが生まれるゲームになっているか(定性)と定義している。
友情の最大化を目指す友情マーケティングの施策は、ゲーム運営メンバーが中心となっているという。ユーザー間の友情とユーザーと運営との友情の最大化を目指すために行っている具体的な施策も紹介した。
例としてオフラインイベントの「ぼくポケ会議」を挙げた。これはぼくポケを良くするアイデアをユーザーと運営が一緒に考えるユーザー参加型リアルイベントになる。会議ではユーザーを運営に巻き込んで、プロデューサーも参加してユーザーとブレストを行い面白くするためのアイデアを出し合う。また会議後には懇親会を行いユーザー同志が仲良くなることができユーザーからの評判も良かったという。
友情マーケティングの施策は、運営が本気でユーザーの事を考えるために、チームに定着させることも重要だという。ぼくポケ会議では、初回実施はマーケが主導し一定コストをかけて行っていたが、現在では完全に運営主導による内製で行われたという。運営のプロデューサーやコミュニティマネージャーは企画作成など初回の運営を手伝って学び、実際に3回目からはすべて自前運営でマーケは費用面のみの関与になった。
またリアルイベント後には、「Keep=良かったこと」「Problem=悪かったこと」「Try=次に試すこと」のKPTを運営メンバーで振り返り、ブラッシュアップを行っている。
次にゲーム内に内包されている友情を高める特徴的な機能が二つ紹介された。ひとつは「友情エピソードの投稿」で、ゲーム内でユーザーから定期的に友情に関するエピソードを募集し、現在までに4,000件以上のエピソードが寄せられている。エピソードはゲーム内で紹介したり、エピソード集としてノベルティ化してイベントでプレゼントしているという。
もうひとつは「甲子園優勝新聞」で、ゲーム内で甲子園の優勝校に送られる特別報酬になる。優勝新聞をこうしてほしいというユーザーの要望が多くあるが、運営ではすべての要望を取り入れようというスタンスで、要望を反映した新聞を作るためデザイナーの稼働を最優先で確保しているという。
これらの施策によって、運営が本気でユーザーの事を考えることが重要で、リアルイベントで直接熱い思いを聞いたり、友情エピソードを追体験することで、自分の作っているゲームはただのゲームではなく、ゲームの向こうにユーザーがいることを実感することで、「ユーザーと運営の友情」に近づくきっかけとなっているという。
友情マーケティング施策の効果はどのように定点観測を行っているのだろうか。これは主にマーケティングの役割になる。「ユーザー間の友情」と「ユーザーと運営の友情」が高まっているかの定点観測の方法について紹介された。月に一回ユーザーアンケートを行い、ゲームに対する満足度だけでなく、「運営チームのことを信頼できていますか?」「他のプレイヤーと友情を感じたことはありますか?」と率直に質問しているという。
さらに、友人や同僚に薦める可能性を0から10までとその理由を答えるNPS(ネットプロモータースコア)を調査し、定点観測を行っている。また生放送を見たりリアルイベントに参加したユーザーと見ていない、参加していないユーザーはどう違ってくるかなどについても調査を行い、ユーザーに伝わったこと、伝わっていないことをしっかり受け止めてコミュニティ運営やゲームの改善に活かしていると語った。
最後に、杉政氏は友情を高めるために、ユーザーのために運営が汗をかくことを基本に、マーケティングはPDCAを回しチームへフィードバックすることと仕組み作りでサポートするという役割が大切だと語った。
また、コミュニティマーケティングを組織で機能するポイントを二つ挙げた。ひとつは、わかりやすく、浸透しやすいコンセプトで、カヤックの場合は「友情」となる。二つ目は、運営メンバーが主体となることだ。これはポジティブなフィードバックループがまわることで根付いてくるという言葉でセッションを締めくくった。
本セッションでは、ユーザーからアイデアを積極的に募るコミュニティ運営やNPSを活用した分析を行いユーザーの声をゲーム改善に取り入れている『ぼくらの甲子園!ポケット』の事例をもとに、コミュニティ形成を通じてユーザーと一緒にタイトルを継続的に育てていくための取り組みや手法を聞くことができた。
カヤックのゲーム作りにおいては、「コミュニティドリブンなゲーム作り」を掲げている。具体的には、ユーザー同志のエンゲージメントを高める仕組みがあるゲームやコミュニティのなかからエピソードが生まれるゲームだという。今回事例として紹介する『ぼくらの甲子園!ポケット』も、プレイヤーがひとりの球児として最大15人のプレイヤーと野球部を結成し甲子園を目指す、ギルドバトル型野球ゲームとなっている。
セッションのタイトルにも含まれる「友情マーケティング」とはどのようなものか?これは「ユーザー間の友情」と「ユーザーと運営間の友情」の二つの友情の最大化を目指すことだという。カヤックでは「友情」を運営の発信、ゲームとのエンゲージメント率(定量)、友情エピソードが生まれるゲームになっているか(定性)と定義している。
友情の最大化を目指す友情マーケティングの施策は、ゲーム運営メンバーが中心となっているという。ユーザー間の友情とユーザーと運営との友情の最大化を目指すために行っている具体的な施策も紹介した。
例としてオフラインイベントの「ぼくポケ会議」を挙げた。これはぼくポケを良くするアイデアをユーザーと運営が一緒に考えるユーザー参加型リアルイベントになる。会議ではユーザーを運営に巻き込んで、プロデューサーも参加してユーザーとブレストを行い面白くするためのアイデアを出し合う。また会議後には懇親会を行いユーザー同志が仲良くなることができユーザーからの評判も良かったという。
友情マーケティングの施策は、運営が本気でユーザーの事を考えるために、チームに定着させることも重要だという。ぼくポケ会議では、初回実施はマーケが主導し一定コストをかけて行っていたが、現在では完全に運営主導による内製で行われたという。運営のプロデューサーやコミュニティマネージャーは企画作成など初回の運営を手伝って学び、実際に3回目からはすべて自前運営でマーケは費用面のみの関与になった。
またリアルイベント後には、「Keep=良かったこと」「Problem=悪かったこと」「Try=次に試すこと」のKPTを運営メンバーで振り返り、ブラッシュアップを行っている。
次にゲーム内に内包されている友情を高める特徴的な機能が二つ紹介された。ひとつは「友情エピソードの投稿」で、ゲーム内でユーザーから定期的に友情に関するエピソードを募集し、現在までに4,000件以上のエピソードが寄せられている。エピソードはゲーム内で紹介したり、エピソード集としてノベルティ化してイベントでプレゼントしているという。
もうひとつは「甲子園優勝新聞」で、ゲーム内で甲子園の優勝校に送られる特別報酬になる。優勝新聞をこうしてほしいというユーザーの要望が多くあるが、運営ではすべての要望を取り入れようというスタンスで、要望を反映した新聞を作るためデザイナーの稼働を最優先で確保しているという。
これらの施策によって、運営が本気でユーザーの事を考えることが重要で、リアルイベントで直接熱い思いを聞いたり、友情エピソードを追体験することで、自分の作っているゲームはただのゲームではなく、ゲームの向こうにユーザーがいることを実感することで、「ユーザーと運営の友情」に近づくきっかけとなっているという。
友情マーケティング施策の効果はどのように定点観測を行っているのだろうか。これは主にマーケティングの役割になる。「ユーザー間の友情」と「ユーザーと運営の友情」が高まっているかの定点観測の方法について紹介された。月に一回ユーザーアンケートを行い、ゲームに対する満足度だけでなく、「運営チームのことを信頼できていますか?」「他のプレイヤーと友情を感じたことはありますか?」と率直に質問しているという。
さらに、友人や同僚に薦める可能性を0から10までとその理由を答えるNPS(ネットプロモータースコア)を調査し、定点観測を行っている。また生放送を見たりリアルイベントに参加したユーザーと見ていない、参加していないユーザーはどう違ってくるかなどについても調査を行い、ユーザーに伝わったこと、伝わっていないことをしっかり受け止めてコミュニティ運営やゲームの改善に活かしていると語った。
最後に、杉政氏は友情を高めるために、ユーザーのために運営が汗をかくことを基本に、マーケティングはPDCAを回しチームへフィードバックすることと仕組み作りでサポートするという役割が大切だと語った。
また、コミュニティマーケティングを組織で機能するポイントを二つ挙げた。ひとつは、わかりやすく、浸透しやすいコンセプトで、カヤックの場合は「友情」となる。二つ目は、運営メンバーが主体となることだ。これはポジティブなフィードバックループがまわることで根付いてくるという言葉でセッションを締めくくった。
(撮影・記事執筆:森山晃義)
会社情報
- 会社名
- 株式会社カヤック
- 設立
- 2005年1月
- 代表者
- 代表取締役CEO 柳澤 大輔/代表取締役CTO 貝畑 政徳/代表取締役CBO 久場 智喜
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高174億6700万円、営業利益10億2100万円、経常利益10億3800万円、最終利益5億1100万円(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3904