【インタビュー】「i☆Ris」がソロ曲をふんだんに取り入れた待望の3rdアルバムをリリース…メンバーが語る5年間の成長と楽曲に込めた思い
▲左から山北早紀さん、芹澤優さん、茜屋日海夏さん、若井友希さん、久保田未夢さん、澁谷梓希さん。
声優とアイドルのハイブリッドユニット「i☆Ris」の待望の3rdアルバム「WONDERFUL PALETTE」が11月1日についに発売となった。アルバムはユニット曲だけでなく、個々のソロ楽曲が多く収録されていることに特徴がある。今回、メンバーの茜屋日海夏さん、久保田未夢さん、澁谷梓希さん、芹澤優さん、山北早紀さん、若井友希さんにインタビューを行い、ソロ曲の注目ポイントを中心にアルバムの魅力を聞いた。
――:今回のアルバムは、どういったコンセプトになっているのでしょうか。
若井さん:「6人6色の個性が詰まったパレット」という意味で、まさに「WONDERFUL PALETTE」だと思います。今回のアルバムでは、いままでのアルバムよりもメンバー個人のソロ曲が多く、それぞれの色が濃く出ています。お聴きになると、これまで見てなかったi☆Risの一面がみられると思います。もちろん、i☆Risらしい曲も入っています。
――:今回のアルバムの特徴はソロ曲を多く収録しているとのことですが、どういった経緯があったのでしょうか。
芹澤さん:i☆Risとしては、これまでの活動でシングルを多く出させていただきました。ユニットとしての楽曲もかなり豊富になってきたと思います。今年はユニットのデビュー5周年ですし、これまでとは違った、新しいことをやりたいと考えていました。3rdツアーでは、個々のメンバーがソロで歌う場面も出てきて、それぞれの個性が強く出せるようになってきましたし、アルバムでも個々のソロ曲を取り入れようとなりました。
山北さん:i☆Risのこれまでアルバムでは、シングルとはちょっと違った試みができていたことも大きかったと思います。6人の曲だけでなく、2人、3人ユニットなどの形で歌う曲も収録したこともありますから、今回のような取り組みもすんなりできたと思っています。
――:3rdライブツアーでは、それぞれソロで歌っておられて、これまで見えづらかった魅力が出ているとも感じました。
芹澤さん:ありがとうございます。そうですね。それを形にしたのが今回のアルバムといえるかと思います。
▲ライブツアーではメンバーがそれぞれソロで歌った。写真は芹澤優さん。
――:今回のソロ曲で皆さん、それぞれ注目して欲しいポイントなどがあったら教えて下さい。まず、リーダーの山北さんからお願いします。
山北さん:「Heart Crash!」を歌っています。ポイントは歌い方だと思います。私はi☆Risではハモパートを担当していることが多く、私の声がなかなかわかりづらいという方もいらっしゃるかもしれません。また、i☆Risというと、『プリパラ』の楽曲を担当しているイメージがあって、私自身もかわいく歌うようにしています。「こういう渋い声で歌えるんだ」と思ってもらえたら嬉しいです。ハモなども上・下で入っています。通常の曲よりも3倍の時間をかけて収録しましたので、オール山北づくしを堪能してもらえればと思います。
――:過去、「カバ☆リス」などでもソロで歌っていたと思うのですが、成長したなと感じることはありますか。
山北さん:あのとき歌ったのはカバー曲でしたし、私自身も活動を始めたばかりでしたので、決められたように歌うことだけを心がけていました。「自分を出す」というよりは、綺麗に歌おうとしていたと思います。ツアーでは昭和歌謡を歌って、皆さんからご好評いただきましたし、私自身も良かったと思いますので、昭和歌謡っぽい楽曲をリクエストしました。本当に自分の「好き」を出して、自分らしく、自分の好きなように歌えていると思います。
――:ありがとうございます。芹澤さんは。
芹澤さん:今回はじめて作詞をやらせてもらいました。皆さんが聞いてどんなふうに思うのか、ドキドキなんです。ポイントとしては、いままで「アイドルとしての私」というよりは、「人間としての私」が出ていると思います。いままで見せてなかった自分を出していますので、照れくささもあります。5年目だからこそファンの皆も受け入れてくれるのかなと思っています。
歌詞で「I Believe myself」というところがありますが、ファンの方からは「もともと自分のこと信じているんじゃないのかよ!」とツッコミが入るかもしれないですし、自分大好きな私が5年の活動を経て、どう変わったのか、どう思うのかを皆さんに包み隠さずにお伝えする内容になっています。そこが伝わったら嬉しいですね。
――:ソロでアルバムも出されていますよね。
芹澤さん:あのアルバムこそ、私の「好き」を詰め込んだものです。こういう自分でありたい、私のイメージするアイドル像を表現したものです。負けない、努力する、疲れたなんて、絶対に表に出さないんです。アルバムに収録する「キミノカノウセイ」は、私の内面をそのまま言葉にしています。等身大の自分といったらいいでしょうか。「最近はどうだい?」などと自分と対話しながら歌詞を作っていて、メンタルケアされているような気分になっていました(笑)
――:自分との対話で作詞をされたと。茜屋さんも今回作詞をされていますよね。
茜屋さん:はい。作詞をするのが3回目となります。いままでは提示されたテーマに沿って作詞していましたが、今回はフリーテーマで、初めてテーマ設定から自分で行いました。今回は、大好きだった祖母に届いたら良いなと思いながら詞にしました。歌詞にある「ひまわりの花」は祖母が好きだった花です。皆さんにも大事な人を思い浮かべながら聴いていただけたらと思っています。
――:曲についてはどんな感じなんでしょうか。
茜屋さん:私自身、野間康介さんの曲が大好きでして、今回、野間さんに作曲していただきました。私の得意なバラード曲です。i☆Risでは「ザ・バラード」といえる曲が少ないですし、ストーリー性のある曲を通して歌いたいと思っていました。作詞も含めて、自分としても満足できる仕上がりになったと思います。
――:作詞にかぎらないことかもしれませんが、フリーテーマだとかえって困りませんでしたか。
茜屋さん:自分で決めていたので、それほどは困りませんでした。ただ、はじめに書いた詞がやや暗かったので、自分に寄りすぎているということで、みんなにも投影してもらえるように試行錯誤して書き直しました。
――:創作活動で作り直しや試行錯誤は常ですからね。若井さんは作詞と作曲をされているそうですが…。
若井さん:はい。「Growing days」という曲の作曲も作詞もしました。私もフリーテーマでした。シンガー・ソングライターになりたくて温めていた曲でして、いつか誰かに聞いてほしいなと思っていました。ありがたいことに、今回のアルバムに入れていただけることになりました。アルバムで夢がかなってすごくうれしいです!
――:どういう歌詞にされたのですか。
若井さん:当時の自分の素直な思いを綴っています。誰かの応援歌になったら良いなと思って作りましたので、全体的にポジティブな曲に仕上がっています。いまみると「世界はきっと僕を待っている」など自分でも驚くくらいポジティブです(笑)
――:若井さんはソロとしてデビューされていますし、i☆Risでもソロ曲がありましたよね。
若井さん:i☆Risのソロとして歌っていた曲は、作ってくださった曲でしたが、今回は、自分で書くからこそ全部自分の気持ちで書いたことで、より気持ちが乗りますし、メロディも同様です。この曲が素直な若井友希ですと思って聴いてもらいたいです。i☆Risとして歌うときは、曲がポップでかわいいですし、i☆Risで活動をしてから、歌い方が少し変わりました。自分の曲は、飾らずに自分の歌いたいように歌えました。こちらの方が素ですね。
――:久保田さんですが、ソロ曲はキャラソン以外では始めてですよね。
久保田さん:はい。これまで1人ではキャラクターソングを歌ったことがありましたが、自分1人は今回が初めてでした。最初だからこそ自分の好きなようにやらせていただきたいと思い、曲も自分で選びました。完成されたものを見ると、「これが私です!」という曲というより、私とメンバー、ファンのみんなで作ってきた「アイドル・久保田未夢」のキャラクターソングです、といった仕上がりになっていると思います。本当にいい曲になったと思います。
――:歌詞の部分も面白いですね。
久保田さん:「わんわんお!」なども歌詞に入っていて、eNuさんは、私のことを調べてくださったんだなと思います。ライブで披露した時、レコーディング、曲で聞く分にはひとりしかいないですが、ライブでやったほうが輝ける曲だと思いますので、ライブで披露するのが楽しみです。
――:「わんわんお!」のあたりはお客さんも盛り上がりそうですね。最後に澁谷さんですが、他の方とちょっと楽曲の記載が違いますよね。
澁谷さん:はい。他のメンバーと違っているのは、私からクリエイターさんを指定して書いている点です。YOUSAYさんが私の大好きなギタリストで、ライブパフォーマンスだけでなく、楽曲のギターもすごくかっこいいんです。私が堪能できるような楽曲をお願いします、と個人的な希望からオーダーしました。以前からバンドをやりたいと話していましたので、この曲にはそれが叶えばいいなという思いを込めています。「DETERMINE」という曲には、誓いや決心という意味もありますが、自分の気持ちの固い部分を全面的に出せた楽曲になったと思います。
――:澁谷さんもソロを出されていますよね。
澁谷さん:当時は『幻想曲WONDERLAND』のカップリング曲で、ゲームとのタイアップ曲でした。まだ自分が確立していない時期の曲でしたので、音源を聞いてみると「恥ずかしいな」と思ってしまいます。歌詞にもあるように、「過去(きのう)の自分さえも愛してあげよう」というフレーズがあるのですが、過去の自分があるからこそ今があると感じていますので、そういういまと現在がリンクできるような、いまを忘れてはいけない、一番大事にしなくてはならないことを強調しました。
――:お1人だけ歌詞が共作になっていますが、これは。
澁谷さん:これはSHINNOSUKEさんの詞をベースに、私の気持ちを加えたということです。作詞を担当されたSHINNOSUKEさんには作詞の方向性をお願いしておりまして、そこに自分の歌いたい感情や思いをのせました。
――:そういうことでしたか。ありがとうございます。全体の曲で注目してほしい曲はありますか。
若井さん:「Daily Berry!!」ですね。私もこの曲のファンなんです。ソロ曲もいっぱい話していますが、全員の曲もいいですね。
澁谷さん:改めて聞くと、i☆Risの曲はいい曲が多いなと思いますね。
山北さん:まさにWONDERFUL PALETTEですね。
若井さん:全員曲の中でもバラエティに富んでいます。可愛い曲からかっこいい曲まであります。ソロ曲が続いた後に、「WONDERFUL PALETTE」になるのがいいですよね。ソロ曲でそれぞれが個性を出して、「これがi☆Risです!」と締めるような流れになっています。アルバムを手にとっていただいたら、シャッフル再生せずに最初は1曲目から最後まで通しで聴いてほしいなと思います。
――:そういえば、お聞きしたかったのですが、「イチズ」の武道館バージョンはどうしていれたんですか。武道館で披露されたときも素晴らしかったので、私もぜひ入れるべきと思ったのですが…
澁谷さん:私もお話をお聞きしたときは「ああ、入るんだ!」と思いました。私たち自身もこのバージョンを気に入っていましたし、会場にいらした方やスタッフさん、外部の方からもとても評判が良かったです。この曲は、メモリアルなアレンジになりますが、武道館ライブの場だけにとどめるのももったいないということで、今回、音源化することになりました。5周年のアルバムで音源化できることは本当に素敵なことだと思います。同様に「Daily Berry!!」も限られた期間しか歌っていない曲でしたが、大事な曲が音源化されて自分たちの手元に置いていつでも聴けるのは本当にうれしいです。
▲昨年11月に実施された武道館ライブ。
――:武道館Ver.という表記も気になりました。
若井さん:収録にあたって、武道館バージョンでいいんじゃないですかと提案しました!
久保田さん:たしかに武道館でやっていないと付けられないタイトルだよね。
澁谷さん:オーケストラバージョンというアイディアもありましたが、私たちとしても武道館バージョンがしっくりきました。
若井さん:歴史を刻んでいくスタイルで(笑)
芹澤さん:最近、i☆Risを知って「イチズ」のオリジナルをご存じない方には、これをきっかけに興味持ってもらえたらと思います。
――:あと、レコーディング中、何か印象的なエピソードがあったら教えてください。
若井さん:「パズル」(若井さんが作詞・作曲)のレコーディングの時、何年かぶりに全員のレコーディングに立ち会いました。最近はスケジュールを合わせるのが難しいのでバラバラにレコーディングにしているのですが、デビューした頃は全員集まって順番に録っていたんです。久々に見ていて、それぞれのやり方になっているなあと思いました。以前はディレクターさんの指示に従って歌っていましたが、自分なりにアレンジしたり、自分の判断で歌い直しをお願いしたりと、それぞれのスタイルができていて、新鮮な気持ちになりました。
――:皆さん、そのへんのスタイルはどうやって確立させていったんですか?
芹澤さん:レコーディングを重ねるごとに少しずつスタイルができていったように思います。最初は本当に何もわからないですし、緊張していますから、ディレクターさんからの指示や教えていただくことに応えるのに精一杯でしたね。
若井さん:レコーディングは、リラックスして臨むのが一番いいんです。みんな、本当にリラックスしていて、それが良い曲につながっているんだなと思いました。
――:なるほど。
山北さん:あとは「パズル」の収録では友希先生が付き添ってくれて、私たちとしてもとてもありがたかったのですが、その数日後には「Feel it」のレコーディングがありました。その際、友希先生が「みんな、お疲れ様。頑張ってね!」というメッセージと、巨大なおにぎりを差し入れてくれたんです。レコーディング時間の夜10時頃にスタジオに到着したとき、おにぎりに気づいて、「私のために?」と一瞬思いましたが、「ちょっと待てよ」ということで、LINEでメンバーに確認しました。
若井さん:レコーディングの最初は私でした。おにぎりを置いていったら、さきさま(山北さん)まで誰も持って帰らなかったんです(笑) 優(芹澤さん)のために置いたのですが…。
山北さん:他のメンバーは結局、誰宛のものかわからずじまいで、手を出さずに私まで来たのですが、結局、スタッフさんに美味しく食べられましたとさ…というお話でした。
若井さん:誰も食べてくれませんでした…。
茜屋さん:私はその存在にも気づきませんでした。LINEの写真を見て、「こんなのあったっけ?」と。あのおにぎり、友希ちゃんが食べきれなかったご飯の残りでしょ?
若井さん:そうです!
茜屋さん:面白すぎる(笑)
――:これまで2枚のアルバムと比べて挑戦したと感じるところはありますか。
澁谷さん:ボーナストラックの「扇子・オブ・ワンダー☆」ですね。いつかi☆Risもセルフプロデュースして自分たちで曲やライブを作りたいと思っていました。それに向けての記念すべき第1作になるんじゃないかと思いました。お披露目のときは本当に緊張しました。
若井さん:やはり自分たちで作った曲を披露するときは、いただいた曲を披露するときとは違って、どういう風に聴いてくれるんだろう、評価してくれるんだろうと、何から何まで感覚が違っていました。でも思ったよりも反響が良くて嬉しかったですね。
▲ライブツアーでお披露目となった「扇子・オブ・ワンダー☆」。センスを使ったダンスが印象的だった。
――:本当に良い曲でしたよね。フリも印象的でした。
若井さん:レコーディングは2人が先に録っていたのですが、聞いたときは本当に遊び心が満載だと思いましたね。
澁谷さん:レコーディングも楽しかった。どこにもない曲になったね。
山北さん:やりたいと思っていたことを全部詰め込めたから良かった。楽しかったです。
――:最後にライブがありますが、意気込みを。
若井さん:私たちにとっては去年の武道館のライブはとても大きかったです。今年は5年目になりますが、周囲から、i☆Risのピークは武道館ライブだったと思われないようにするためにも、今回のアルバムとライブを通じて、私たちの新しい面や成長した部分をお見せしたいと思っています。来年に向けた架け橋的なものになると思います。ぜひご期待ください!
発売日:2017年11月1日
Type-A【CD+Blu-ray】EYCA-11758/B ¥6,800(税込)
Type-B【CD+DVD】EYCA-11757/B ¥4,300(税込)
Type-C【CD only】EYCA-11759 ¥3,250(税込)
◆Blu-ray:「i☆Ris 3rd Live Tour~Fan+6=∞~」中野サンプラザ公演(夜)/off shot収録
◆DVD:「i☆Ris 結成5周年記念Live~5 years old! Everyone comes together☆~」off Shot
・3枚購入特典 恒例の座談会DVD
◆収録内容
Type-A【CD+Blu-ray】
Type-B【CD+DVD】
全14曲収録
01 Shining Star (アニメ「プリパラ」OPテーマ曲)
02 Re:Call (アニメ「双星の陰陽師」OPテーマ曲)
03 Daily Berry!!(デイリーヤマザキ×サントリーBOSSキャンペーンソング【初CD化!】)
04 イチズ-武道館Ver.-
05 Ready Smile!! (アニメ「プリパラ」OPテーマ曲)
06 Heart Crash! (山北ソロ曲)
07 キミノカノウセイ(芹澤ソロ曲・作詞)
08 Dear...(茜屋ソロ曲・作詞)
09 Growing days (友希ソロ曲・作詞・作曲)
10 Lovely Time(久保田ソロ曲)
11 DETERMINE(澁谷ソロ曲・作詞 共作)
12 WONDERFUL PALETTE
13 Feel it
14 パズル(友希 作詞・作曲)
◆収録内容
Type-C【CD only】
全15曲収録
01 Shining Star (アニメ「プリパラ」OPテーマ曲)
02 Re:Call (アニメ「双星の陰陽師」OPテーマ曲)
03 Daily Berry!!(デイリーヤマザキ×サントリーBOSSキャンペーンソング【初CD化!】)
04 イチズ-武道館Ver.-
05 Ready Smile!! (アニメ「プリパラ」OPテーマ曲)
06 Heart Crash! (山北ソロ曲)
07 キミノカノウセイ(芹澤ソロ曲・作詞)
08 Dear...(茜屋ソロ曲・作詞)
09 Growing days (友希ソロ曲・作詞・作曲)
10 Lovely Time(久保田ソロ曲)
11 DETERMINE(澁谷ソロ曲・作詞 共作)
12 WONDERFUL PALETTE
13 Feel it
14 パズル(友希 作詞・作曲)
・Bonus track 扇子・オブ・ワンダー☆(作詞:山北、作曲:若井、編曲:澁谷)
声優とアイドルのハイブリッドユニット「i☆Ris」の待望の3rdアルバム「WONDERFUL PALETTE」が11月1日についに発売となった。アルバムはユニット曲だけでなく、個々のソロ楽曲が多く収録されていることに特徴がある。今回、メンバーの茜屋日海夏さん、久保田未夢さん、澁谷梓希さん、芹澤優さん、山北早紀さん、若井友希さんにインタビューを行い、ソロ曲の注目ポイントを中心にアルバムの魅力を聞いた。
――:今回のアルバムは、どういったコンセプトになっているのでしょうか。
若井さん:「6人6色の個性が詰まったパレット」という意味で、まさに「WONDERFUL PALETTE」だと思います。今回のアルバムでは、いままでのアルバムよりもメンバー個人のソロ曲が多く、それぞれの色が濃く出ています。お聴きになると、これまで見てなかったi☆Risの一面がみられると思います。もちろん、i☆Risらしい曲も入っています。
――:今回のアルバムの特徴はソロ曲を多く収録しているとのことですが、どういった経緯があったのでしょうか。
芹澤さん:i☆Risとしては、これまでの活動でシングルを多く出させていただきました。ユニットとしての楽曲もかなり豊富になってきたと思います。今年はユニットのデビュー5周年ですし、これまでとは違った、新しいことをやりたいと考えていました。3rdツアーでは、個々のメンバーがソロで歌う場面も出てきて、それぞれの個性が強く出せるようになってきましたし、アルバムでも個々のソロ曲を取り入れようとなりました。
山北さん:i☆Risのこれまでアルバムでは、シングルとはちょっと違った試みができていたことも大きかったと思います。6人の曲だけでなく、2人、3人ユニットなどの形で歌う曲も収録したこともありますから、今回のような取り組みもすんなりできたと思っています。
――:3rdライブツアーでは、それぞれソロで歌っておられて、これまで見えづらかった魅力が出ているとも感じました。
芹澤さん:ありがとうございます。そうですね。それを形にしたのが今回のアルバムといえるかと思います。
▲ライブツアーではメンバーがそれぞれソロで歌った。写真は芹澤優さん。
――:今回のソロ曲で皆さん、それぞれ注目して欲しいポイントなどがあったら教えて下さい。まず、リーダーの山北さんからお願いします。
山北さん:「Heart Crash!」を歌っています。ポイントは歌い方だと思います。私はi☆Risではハモパートを担当していることが多く、私の声がなかなかわかりづらいという方もいらっしゃるかもしれません。また、i☆Risというと、『プリパラ』の楽曲を担当しているイメージがあって、私自身もかわいく歌うようにしています。「こういう渋い声で歌えるんだ」と思ってもらえたら嬉しいです。ハモなども上・下で入っています。通常の曲よりも3倍の時間をかけて収録しましたので、オール山北づくしを堪能してもらえればと思います。
――:過去、「カバ☆リス」などでもソロで歌っていたと思うのですが、成長したなと感じることはありますか。
山北さん:あのとき歌ったのはカバー曲でしたし、私自身も活動を始めたばかりでしたので、決められたように歌うことだけを心がけていました。「自分を出す」というよりは、綺麗に歌おうとしていたと思います。ツアーでは昭和歌謡を歌って、皆さんからご好評いただきましたし、私自身も良かったと思いますので、昭和歌謡っぽい楽曲をリクエストしました。本当に自分の「好き」を出して、自分らしく、自分の好きなように歌えていると思います。
――:ありがとうございます。芹澤さんは。
芹澤さん:今回はじめて作詞をやらせてもらいました。皆さんが聞いてどんなふうに思うのか、ドキドキなんです。ポイントとしては、いままで「アイドルとしての私」というよりは、「人間としての私」が出ていると思います。いままで見せてなかった自分を出していますので、照れくささもあります。5年目だからこそファンの皆も受け入れてくれるのかなと思っています。
歌詞で「I Believe myself」というところがありますが、ファンの方からは「もともと自分のこと信じているんじゃないのかよ!」とツッコミが入るかもしれないですし、自分大好きな私が5年の活動を経て、どう変わったのか、どう思うのかを皆さんに包み隠さずにお伝えする内容になっています。そこが伝わったら嬉しいですね。
――:ソロでアルバムも出されていますよね。
芹澤さん:あのアルバムこそ、私の「好き」を詰め込んだものです。こういう自分でありたい、私のイメージするアイドル像を表現したものです。負けない、努力する、疲れたなんて、絶対に表に出さないんです。アルバムに収録する「キミノカノウセイ」は、私の内面をそのまま言葉にしています。等身大の自分といったらいいでしょうか。「最近はどうだい?」などと自分と対話しながら歌詞を作っていて、メンタルケアされているような気分になっていました(笑)
――:自分との対話で作詞をされたと。茜屋さんも今回作詞をされていますよね。
茜屋さん:はい。作詞をするのが3回目となります。いままでは提示されたテーマに沿って作詞していましたが、今回はフリーテーマで、初めてテーマ設定から自分で行いました。今回は、大好きだった祖母に届いたら良いなと思いながら詞にしました。歌詞にある「ひまわりの花」は祖母が好きだった花です。皆さんにも大事な人を思い浮かべながら聴いていただけたらと思っています。
――:曲についてはどんな感じなんでしょうか。
茜屋さん:私自身、野間康介さんの曲が大好きでして、今回、野間さんに作曲していただきました。私の得意なバラード曲です。i☆Risでは「ザ・バラード」といえる曲が少ないですし、ストーリー性のある曲を通して歌いたいと思っていました。作詞も含めて、自分としても満足できる仕上がりになったと思います。
――:作詞にかぎらないことかもしれませんが、フリーテーマだとかえって困りませんでしたか。
茜屋さん:自分で決めていたので、それほどは困りませんでした。ただ、はじめに書いた詞がやや暗かったので、自分に寄りすぎているということで、みんなにも投影してもらえるように試行錯誤して書き直しました。
――:創作活動で作り直しや試行錯誤は常ですからね。若井さんは作詞と作曲をされているそうですが…。
若井さん:はい。「Growing days」という曲の作曲も作詞もしました。私もフリーテーマでした。シンガー・ソングライターになりたくて温めていた曲でして、いつか誰かに聞いてほしいなと思っていました。ありがたいことに、今回のアルバムに入れていただけることになりました。アルバムで夢がかなってすごくうれしいです!
――:どういう歌詞にされたのですか。
若井さん:当時の自分の素直な思いを綴っています。誰かの応援歌になったら良いなと思って作りましたので、全体的にポジティブな曲に仕上がっています。いまみると「世界はきっと僕を待っている」など自分でも驚くくらいポジティブです(笑)
――:若井さんはソロとしてデビューされていますし、i☆Risでもソロ曲がありましたよね。
若井さん:i☆Risのソロとして歌っていた曲は、作ってくださった曲でしたが、今回は、自分で書くからこそ全部自分の気持ちで書いたことで、より気持ちが乗りますし、メロディも同様です。この曲が素直な若井友希ですと思って聴いてもらいたいです。i☆Risとして歌うときは、曲がポップでかわいいですし、i☆Risで活動をしてから、歌い方が少し変わりました。自分の曲は、飾らずに自分の歌いたいように歌えました。こちらの方が素ですね。
――:久保田さんですが、ソロ曲はキャラソン以外では始めてですよね。
久保田さん:はい。これまで1人ではキャラクターソングを歌ったことがありましたが、自分1人は今回が初めてでした。最初だからこそ自分の好きなようにやらせていただきたいと思い、曲も自分で選びました。完成されたものを見ると、「これが私です!」という曲というより、私とメンバー、ファンのみんなで作ってきた「アイドル・久保田未夢」のキャラクターソングです、といった仕上がりになっていると思います。本当にいい曲になったと思います。
――:歌詞の部分も面白いですね。
久保田さん:「わんわんお!」なども歌詞に入っていて、eNuさんは、私のことを調べてくださったんだなと思います。ライブで披露した時、レコーディング、曲で聞く分にはひとりしかいないですが、ライブでやったほうが輝ける曲だと思いますので、ライブで披露するのが楽しみです。
――:「わんわんお!」のあたりはお客さんも盛り上がりそうですね。最後に澁谷さんですが、他の方とちょっと楽曲の記載が違いますよね。
澁谷さん:はい。他のメンバーと違っているのは、私からクリエイターさんを指定して書いている点です。YOUSAYさんが私の大好きなギタリストで、ライブパフォーマンスだけでなく、楽曲のギターもすごくかっこいいんです。私が堪能できるような楽曲をお願いします、と個人的な希望からオーダーしました。以前からバンドをやりたいと話していましたので、この曲にはそれが叶えばいいなという思いを込めています。「DETERMINE」という曲には、誓いや決心という意味もありますが、自分の気持ちの固い部分を全面的に出せた楽曲になったと思います。
――:澁谷さんもソロを出されていますよね。
澁谷さん:当時は『幻想曲WONDERLAND』のカップリング曲で、ゲームとのタイアップ曲でした。まだ自分が確立していない時期の曲でしたので、音源を聞いてみると「恥ずかしいな」と思ってしまいます。歌詞にもあるように、「過去(きのう)の自分さえも愛してあげよう」というフレーズがあるのですが、過去の自分があるからこそ今があると感じていますので、そういういまと現在がリンクできるような、いまを忘れてはいけない、一番大事にしなくてはならないことを強調しました。
――:お1人だけ歌詞が共作になっていますが、これは。
澁谷さん:これはSHINNOSUKEさんの詞をベースに、私の気持ちを加えたということです。作詞を担当されたSHINNOSUKEさんには作詞の方向性をお願いしておりまして、そこに自分の歌いたい感情や思いをのせました。
――:そういうことでしたか。ありがとうございます。全体の曲で注目してほしい曲はありますか。
若井さん:「Daily Berry!!」ですね。私もこの曲のファンなんです。ソロ曲もいっぱい話していますが、全員の曲もいいですね。
澁谷さん:改めて聞くと、i☆Risの曲はいい曲が多いなと思いますね。
山北さん:まさにWONDERFUL PALETTEですね。
若井さん:全員曲の中でもバラエティに富んでいます。可愛い曲からかっこいい曲まであります。ソロ曲が続いた後に、「WONDERFUL PALETTE」になるのがいいですよね。ソロ曲でそれぞれが個性を出して、「これがi☆Risです!」と締めるような流れになっています。アルバムを手にとっていただいたら、シャッフル再生せずに最初は1曲目から最後まで通しで聴いてほしいなと思います。
――:そういえば、お聞きしたかったのですが、「イチズ」の武道館バージョンはどうしていれたんですか。武道館で披露されたときも素晴らしかったので、私もぜひ入れるべきと思ったのですが…
澁谷さん:私もお話をお聞きしたときは「ああ、入るんだ!」と思いました。私たち自身もこのバージョンを気に入っていましたし、会場にいらした方やスタッフさん、外部の方からもとても評判が良かったです。この曲は、メモリアルなアレンジになりますが、武道館ライブの場だけにとどめるのももったいないということで、今回、音源化することになりました。5周年のアルバムで音源化できることは本当に素敵なことだと思います。同様に「Daily Berry!!」も限られた期間しか歌っていない曲でしたが、大事な曲が音源化されて自分たちの手元に置いていつでも聴けるのは本当にうれしいです。
▲昨年11月に実施された武道館ライブ。
――:武道館Ver.という表記も気になりました。
若井さん:収録にあたって、武道館バージョンでいいんじゃないですかと提案しました!
久保田さん:たしかに武道館でやっていないと付けられないタイトルだよね。
澁谷さん:オーケストラバージョンというアイディアもありましたが、私たちとしても武道館バージョンがしっくりきました。
若井さん:歴史を刻んでいくスタイルで(笑)
芹澤さん:最近、i☆Risを知って「イチズ」のオリジナルをご存じない方には、これをきっかけに興味持ってもらえたらと思います。
――:あと、レコーディング中、何か印象的なエピソードがあったら教えてください。
若井さん:「パズル」(若井さんが作詞・作曲)のレコーディングの時、何年かぶりに全員のレコーディングに立ち会いました。最近はスケジュールを合わせるのが難しいのでバラバラにレコーディングにしているのですが、デビューした頃は全員集まって順番に録っていたんです。久々に見ていて、それぞれのやり方になっているなあと思いました。以前はディレクターさんの指示に従って歌っていましたが、自分なりにアレンジしたり、自分の判断で歌い直しをお願いしたりと、それぞれのスタイルができていて、新鮮な気持ちになりました。
――:皆さん、そのへんのスタイルはどうやって確立させていったんですか?
芹澤さん:レコーディングを重ねるごとに少しずつスタイルができていったように思います。最初は本当に何もわからないですし、緊張していますから、ディレクターさんからの指示や教えていただくことに応えるのに精一杯でしたね。
若井さん:レコーディングは、リラックスして臨むのが一番いいんです。みんな、本当にリラックスしていて、それが良い曲につながっているんだなと思いました。
――:なるほど。
山北さん:あとは「パズル」の収録では友希先生が付き添ってくれて、私たちとしてもとてもありがたかったのですが、その数日後には「Feel it」のレコーディングがありました。その際、友希先生が「みんな、お疲れ様。頑張ってね!」というメッセージと、巨大なおにぎりを差し入れてくれたんです。レコーディング時間の夜10時頃にスタジオに到着したとき、おにぎりに気づいて、「私のために?」と一瞬思いましたが、「ちょっと待てよ」ということで、LINEでメンバーに確認しました。
若井さん:レコーディングの最初は私でした。おにぎりを置いていったら、さきさま(山北さん)まで誰も持って帰らなかったんです(笑) 優(芹澤さん)のために置いたのですが…。
山北さん:他のメンバーは結局、誰宛のものかわからずじまいで、手を出さずに私まで来たのですが、結局、スタッフさんに美味しく食べられましたとさ…というお話でした。
若井さん:誰も食べてくれませんでした…。
茜屋さん:私はその存在にも気づきませんでした。LINEの写真を見て、「こんなのあったっけ?」と。あのおにぎり、友希ちゃんが食べきれなかったご飯の残りでしょ?
若井さん:そうです!
茜屋さん:面白すぎる(笑)
――:これまで2枚のアルバムと比べて挑戦したと感じるところはありますか。
澁谷さん:ボーナストラックの「扇子・オブ・ワンダー☆」ですね。いつかi☆Risもセルフプロデュースして自分たちで曲やライブを作りたいと思っていました。それに向けての記念すべき第1作になるんじゃないかと思いました。お披露目のときは本当に緊張しました。
若井さん:やはり自分たちで作った曲を披露するときは、いただいた曲を披露するときとは違って、どういう風に聴いてくれるんだろう、評価してくれるんだろうと、何から何まで感覚が違っていました。でも思ったよりも反響が良くて嬉しかったですね。
▲ライブツアーでお披露目となった「扇子・オブ・ワンダー☆」。センスを使ったダンスが印象的だった。
――:本当に良い曲でしたよね。フリも印象的でした。
若井さん:レコーディングは2人が先に録っていたのですが、聞いたときは本当に遊び心が満載だと思いましたね。
澁谷さん:レコーディングも楽しかった。どこにもない曲になったね。
山北さん:やりたいと思っていたことを全部詰め込めたから良かった。楽しかったです。
――:最後にライブがありますが、意気込みを。
若井さん:私たちにとっては去年の武道館のライブはとても大きかったです。今年は5年目になりますが、周囲から、i☆Risのピークは武道館ライブだったと思われないようにするためにも、今回のアルバムとライブを通じて、私たちの新しい面や成長した部分をお見せしたいと思っています。来年に向けた架け橋的なものになると思います。ぜひご期待ください!
i☆Ris 3rdアルバム「WONDERFUL PALETTE」
発売日:2017年11月1日
Type-A【CD+Blu-ray】EYCA-11758/B ¥6,800(税込)
Type-B【CD+DVD】EYCA-11757/B ¥4,300(税込)
Type-C【CD only】EYCA-11759 ¥3,250(税込)
◆Blu-ray:「i☆Ris 3rd Live Tour~Fan+6=∞~」中野サンプラザ公演(夜)/off shot収録
◆DVD:「i☆Ris 結成5周年記念Live~5 years old! Everyone comes together☆~」off Shot
・3枚購入特典 恒例の座談会DVD
◆収録内容
Type-A【CD+Blu-ray】
Type-B【CD+DVD】
全14曲収録
01 Shining Star (アニメ「プリパラ」OPテーマ曲)
02 Re:Call (アニメ「双星の陰陽師」OPテーマ曲)
03 Daily Berry!!(デイリーヤマザキ×サントリーBOSSキャンペーンソング【初CD化!】)
04 イチズ-武道館Ver.-
05 Ready Smile!! (アニメ「プリパラ」OPテーマ曲)
06 Heart Crash! (山北ソロ曲)
07 キミノカノウセイ(芹澤ソロ曲・作詞)
08 Dear...(茜屋ソロ曲・作詞)
09 Growing days (友希ソロ曲・作詞・作曲)
10 Lovely Time(久保田ソロ曲)
11 DETERMINE(澁谷ソロ曲・作詞 共作)
12 WONDERFUL PALETTE
13 Feel it
14 パズル(友希 作詞・作曲)
◆収録内容
Type-C【CD only】
全15曲収録
01 Shining Star (アニメ「プリパラ」OPテーマ曲)
02 Re:Call (アニメ「双星の陰陽師」OPテーマ曲)
03 Daily Berry!!(デイリーヤマザキ×サントリーBOSSキャンペーンソング【初CD化!】)
04 イチズ-武道館Ver.-
05 Ready Smile!! (アニメ「プリパラ」OPテーマ曲)
06 Heart Crash! (山北ソロ曲)
07 キミノカノウセイ(芹澤ソロ曲・作詞)
08 Dear...(茜屋ソロ曲・作詞)
09 Growing days (友希ソロ曲・作詞・作曲)
10 Lovely Time(久保田ソロ曲)
11 DETERMINE(澁谷ソロ曲・作詞 共作)
12 WONDERFUL PALETTE
13 Feel it
14 パズル(友希 作詞・作曲)
・Bonus track 扇子・オブ・ワンダー☆(作詞:山北、作曲:若井、編曲:澁谷)
会社情報
- 会社名
- エイベックス・ピクチャーズ株式会社
- 設立
- 2014年4月
- 代表者
- 代表取締役社長 寺島 ヨシキ/代表取締役副社長 勝股 英夫
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 非公開
- 上場区分
- 未上場