【DeNA決算説明会】第4四半期は増収・減益も ゲーム事業はアプリ・ブラウザともに伸び増収増益に 「グローバルで人気のIPタイトルを仕込んでいる」



ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>は、5月10日、2018年3月期の連結決算(IFRS)を発表するとともに、東京都内でアナリスト・機関投資家向けの決算説明会を開催した。2018年3月期の業績は、売上収益が前の期比3%減の1393億円、営業利益が同18%増の275億円、最終利益が同25%減の229億円での着地となった。一時的な利益の影響を除外したNon-GAAP営業利益は同27%減の181億円だった。

第4四半期(1~3月)の数字を見ると、売上収益が前四半期比(QonQ)で1%増の333億円、営業利益が90%減の13億円、最終利益が90%減の2億円となった。IFRS営業利益が大きく減ったのは、前四半期で海外子会社の清算手続き完了に伴って計上した一時利益107億円が計上されたが、この四半期は計上されなかったため(一時利益は通期にもインパクトがあった)。

また、Non-GAAP営業利益については、同80%減の12億円だった。主力のゲーム事業については増益に転じたものの、プロ野球のシーズンオフが続いたことでスポーツ事業の赤字幅が拡大したほか、新規事業への投資を継続したことによる。新規事業・その他の赤字幅はQonQで6億円増えたとのことだった。
 


終わった期の決算を振り返ると、横浜DeNAベイスターズを中心とするスポーツ事業が売上、利益ともに成長し、グループにおける一つの収益事業としての存在感を高めた一方で、ゲーム事業でもブラウザのコイン消費の減少をアプリの増加で補うことに成功するなど一定の成果がみられた決算だった。2019年3月期は減益予想だが、2020年3月期以降の成長を企図した投資がメインになるようだ。


 
■セグメント別の状況 ゲームはブラウザのコイン消費がプラスに
 


主力のゲーム事業は、売上収益が同1%増の333億円、セグメント利益が同6%増の60億円と増収増益となった。コイン消費をみると、アプリのコイン消費がQonQで伸びただけでなく、ブラウザでも増加した。ブラウザについては、おそらくCygamesの『グランブルーファンタジー』の貢献とみられるが、「主要サードパーティータイトルの貢献」(守安社長)があったとのことだった。
 


EC事業は、売上収益が同14%増の43億円、セグメント利益が同110%増の4億円だった。グループ外の一般加盟店の流通金額の増加が続くなど、決済代行の売上が順調に拡大し、増収増益要因となった。また、旅行については取扱高が伸びたが、コミッションが下がったとのこと。オークションは安定して貢献しているとした。
 


スポーツ事業については、売上収益が同37%減の17億円、セグメント損益が前四半期の10億円の赤字から16億円の赤字に赤字幅が拡大した。プロ野球・横浜DeNAベイスターズがシーズンオフに入っているため、第3四半期と第4四半期は赤字となった。なお、通期の数字を見ると売上収益が前の期比23%増の169億円、セグメント利益が同66%増の18億円と伸びた。
 


 
■2019年3月期は投資の1年に

なお、同社はこれまで次の四半期(3カ月単位)の業績予想のみを開示していたが、今回からは、2019年3月期の連結業績予想を発表した。ゲーム事業の動向・スポーツ事業の季節性・新規事業への投資額の公表などを考慮したという。売上収益1500億円(前期比8%増)、営業利益155億円(同44%減)、Non-GAAP営業利益155億円(同14%減)、最終利益110億円(同52%減)とした。

売上については、主力のゲーム、スポーツ、新規事業、その他を中心に増収を見込んでいるという。営業利益については、大きくマイナスとなる見通しだが、前期に計上した、海外子会社の清算手続き完了に伴って計上した一時利益107億円の影響がはく落するため、大幅な減益となる見通し。Non-GAAP営業利益が新規事業への投資負担が発生するため、こちらも減益となる。
 


ゲーム事業は売上収益に応じた適切な費用の管理を行い、前期と同等以上の利益を目指す。今期リリース予定の任天堂との協業タイトル『Mario Kart Tour』だけでなく「名前は出せないが、グローバルで人気を集めているIPタイトルを仕込んでいる」。成長イメージとしては今期は横ばいで、次の期である2020年3月期に再成長を目指す考えを示した。新作は任天堂との協業以外で、5本強を計画している。
 
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
https://dena.com/jp/

会社情報

会社名
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
設立
1999年3月
代表者
代表取締役会長 南場 智子/代表取締役社長兼CEO 岡村 信悟
決算期
3月
直近業績
売上収益1367億3300万円、営業損益282億7000万円の赤字、税引前損益281億3000万円の赤字、最終損益286億8200万円の赤字(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
2432
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