【決算レポ】ドリコム、収益回復鮮明に 『ウィズダフネ』けん引し25年10-12月は四半期ベースで過去最高の売上、営業黒字転換

ドリコム<3793>は、2026年3月期第3四半期(2025年10月~12月)の決算において、四半期ベースで過去最高となる売上高50億6200万円を計上したことを明らかにした。主力モバイルゲーム『Wizardry Variants Daphne(以下、ダフネ)』が1周年施策などを背景に好調に推移したことが、業績を大きく押し上げた。営業利益は6億7000万円、営業利益率は13.3%と、会社が目標とする15%水準に近づいた。EBITDAは8億9000万円、経常利益は6億5000万円、四半期最終利益は6億2000万円となり、収益性の回復が鮮明となっている。

・売上高:50億6200万円(前四半期比34.2%増)
・営業利益:6億7100万円(前四半期は4億9300万円の損失計上)
・経常利益:6億5700万円(同5億0900万円の損失計上)
・最終利益:6億2100万円(同5億6300万円の損失計上)

 第3四半期累計(2025年4月~12月)の連結業績は、売上高133億円、営業利益9600万円、経常利益4000万円となった。第1四半期に減損損失を計上した影響は残るものの、営業利益・経常利益の両面で、会社計画通り黒字転換を果たした点は大きなトピックだ。一方、最終損益は第1四半期に実施した減損の影響により、累計で17億4100万円の損失計上となっている。

・売上高:133億0100万円(前年同期比62.2%増)
・営業利益:9600万円(同2600万円の損失計上)
・経常利益:4000万円(同7800万円の損失計上)
・最終損失:17億4100万円(同8億2300万円の損失計上)

 

■通期業績予想は据え置き、配当は無配へ修正

通期業績予想については、第3四半期までの進捗が想定通りであることから、売上高175億円、営業利益5億円、EBITDA16億円、経常利益4億円、最終利益13億円の損失計上とする従来予想を据え置いた。

・売上高:175億円(同38.3%増)
・営業利益:5億円(同346.4%増)
・経常利益:4億円(同650.4%増)
・最終損失:13億円(同10億3500万円の損失計上)
・EPS:-45.23円

なお、今期の最終利益が赤字となる見込みであることを受け、配当予想は0円へ修正された。内藤裕紀社長は、「安定的に利益を創出できるフェーズに入った段階で、あらためて配当を検討する」としている。

 

■主力『ダフネ』は1周年を経て安定フェーズへ

ゲーム事業では、『Wizardry Variants Daphne』が引き続き業績を牽引した。第3四半期は1周年施策の影響もあり売上が高水準となったが、会社は周年後を見据え、コラボレーション施策や言語追加による配信地域拡大を通じて、売上の平準化と長期運営を目指す。

一般的にモバイルゲームでは、リリース直後や大型周年イベント時に売上がピークを迎えやすいが、同社は「リリースから1年を経過しても売上が伸長している点は、非常にポジティブ」と評価しており、今後は中長期での収益積み上げを重視する構えだ。

 

■広告宣伝費を最適化、利益改善に寄与

第3四半期の利益改善には、広告宣伝費の適正化も大きく寄与した。前四半期比での利益増加額は約11億円となり、その内訳は約8億円が増収効果、残る約3億円がコスト見直しによるものだという。

特に第2四半期に一時的に増加していた広告宣伝費については、ユーザーのLTV(ライフタイムバリュー)算出精度の向上や獲得効率の改善を進めた結果、第3四半期では適正水準へと抑制された。これにより、広告宣伝費の削減だけで約2億円規模のプラス効果が生じた。

 

■新作開発は慎重姿勢、既存タイトルへの投資を優先

新作ゲーム開発については、複数のプロトタイプ開発が進行しているものの、今期中に本開発へ移行するタイトルは現時点では想定していない。会社は、新規開発を急ぐよりも、「勝てる確度が高いタイトルを見極めてから本開発に進める」方針を明確にしている。

また、当面は『ダフネ』への投資を最優先とし、既存ユーザーに対する新たな体験価値の提供を通じて、タイトル価値の最大化を図る考えだ。

 

■出版事業で存在感、『汝、暗君を愛せよ』が部門1位

コンテンツ事業では、出版分野での成果が際立った。自社レーベルのライトノベル作品『汝、暗君を愛せよ』が、『このライトノベルがすごい!2026』において部門1位を受賞。出版事業参入から3年での快挙となった。

同社は出版をIP創出の重要な起点と位置付けており、原作の育成からアニメ化までを一気通貫で手がける体制を構築してきた。現在、原作アニメ化が発表済みの作品は3タイトルに上っており、今後もアニメ化案件の積み上げを目指す。

 

■IP経済圏拡大の中核に『Wizardry』

IP展開の象徴的な事例として挙げられたのが、『Wizardry』シリーズだ。ドリコムは2020年に同IPの権利を取得して以降、過去作の再展開、モバイルゲーム、コミック、グッズなど多面的な展開を進めてきた。

『Wizardry Variants Daphne』を中核に据えつつ、複数の関連コンテンツを“衛星的"に展開することで、従来のコアファン層だけでなく、新規ユーザーの流入も促進。デジタルとリアル双方で接点を増やし、IP全体の経済圏拡大を図っている。

 

■「IP×テクノロジー」で次の成長フェーズへ

同社は現在、IPを「生み出す」「育てる」「収益化する」という一連の機能が揃い始めた段階にあると自己評価している。出版、アニメ、ゲーム、グッズといった複数の事業が連動し、徐々に成果が顕在化してきた。

中期的な成長イメージについては、現在あらためて策定を進めており、次回以降の決算発表での開示を予定している。短期的には通期計画の達成を確実にしつつ、中長期では「IP×テクノロジー」を軸としたエンターテインメント企業としての成長を目指す構えだ。

 

株式会社ドリコム
http://www.drecom.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社ドリコム
設立
2001年11月
代表者
代表取締役社長 内藤 裕紀
決算期
3月
直近業績
売上高126億5500万円、営業利益1億1200万円、経常利益5300万円、最終損益10億3500万円の赤字(2025年3月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
3793
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