いつの日からだろうか、「esports」という言葉を耳にしない日がなくなったのは。esports元年が謳われて早数ヶ月、今では様々なゲームタイトルで賞金制大会が開かれることも珍しくなくなり、ここ1年で国内のesports市場は目まぐるしいほどの発展を遂げてきた。
そんな中、Cygamesでは同社が提供する本格スマホカードバトル『Shadowverse(シャドウバース)』を中心に、CyberZやAbemaTVといったグループ会社を始め、様々なジャンルの企業と連携し、国内最大級のesports イベント「RAGE」やプロリーグを展開している。特に、2018年12月に開催予定の第2回世界大会「Shadowverse World Grand Prix 2018」では、優勝賞金約1億円(100万USドル)と国内esports史上最高額が支払われることが大きな話題となった。
そこで今回は、Cygamesが現状の国内esports市場をどのように捉えているのか。最も関わりの深い場所で市場に精通する、『シャドウバース』プロダクトマネージャーおよびesportsディレクターの森慶太氏にインタビューを実施。国内esports市場の未来に掛ける想いや、今後の取り組みについてお話を伺ってきた。
株式会社Cygames
『シャドウバース』プロダクトマネージャー兼esportsディレクター
森慶太氏
――:まずは森さんがCygamesでどういった業務を担当されているのか教えてください。
『シャドウバース』のプロダクトマネージャーとして、ゲーム外の各種展開を統括しています。(日本では)対CPU要素の強いゲームが多い中、『シャドウバース』のカードバトルはお客様同士の対戦がメインとなっています。そのため、運営としても単に季節もののイベントを実施するのではなく、対戦がいかに盛り上がるか、人と人が触れ合うことでどのような物語が生まれるかということが重要になってきます。その中のアプローチのひとつがesportsであり、「シャドバフェス」のようなオフラインイベントになります。Cygamesにはゲーム外の施策を担当する”メディアプランナー”という職種があるのですが、その担当が最も多くアサインされているタイトルは『シャドウバース』です。私はそのチームのひとりとしてゲーム外の各種展開を統括しております。
個人としては、このようなインタビューを含め各種メディアへの出演や広報も担っております。プロジェクトの代表として催事に参加することもありますので、トロフィープレゼンターを務めたり、Cygamesの代表としてイベントに参加したりすることもあります。あとは、ビジネス開発や商談、カンファレンスに登壇して「Cygamesの考えるesports像」や「『シャドウバース』をどのように展開していくか」といったプレゼンをさせていただく機会もあります。ユニークな業務としては、稀にですが『シャドウバース』の大会で実況を担当させていただくこともあります。
esports関連では、RAGEや「Shadowverse World Grand Prix 2018」、先ほど挙げた「シャドバフェス」に加えて、全国の高校生を対象とした「全国高校生シャドバ甲子園」という催事もあります。他にも、『シャドウバース』では全国各地で毎月、店舗大会を開催していただいているほか、オンラインではJCGというパートナーと共に毎週大会を運営していただいております。また、今年の春には所属選手に月給30万円を最低保障という待遇でプロリーグ「RAGE Shadowverse Pro League」を開始させていただきました。
――:『シャドウバース』がリリースされて約2年経ちますが、今では大会や試合を放送していない週末がないほど増えましたよね。
ありがとうございます。対戦ゲームにおいては、お客様が沢山遊んで下さっていることがとても大事だと思っています。なので、我々としてもesportsの大会を実施するだけではなくて、”遊ぶ”こと自体が盛り上がるようなプロモーションを大切にしていきたいと考えています。直近の話で、勝敗に関わりなくルームマッチで遊んでいただくと抽選で毎日誰かに100万円や豪華賞品が当たる「ルームマッチで100万円」という企画を行ったのもその一環となります。
――:そもそもCygamesがesportsに力を入れていこうと思われたルーツはどういったところにあるのでしょうか。
まず、弊社の理念として”ゲーマーが輝ける世界を実現したい・応援したい”という想いがあり、ひとつのアプローチとしてesportsがあったという流れになります。実際の例として、弊社はふたつのプロゲーミング・チームを支援しています。格闘ゲームのプロチーム「Cygames Beast」と、トレーディングカードゲーム『マジック・ザ・ギャザリング』のプロチーム「Team Cygames」です。
大事なのはゲームにコミットして本気で格好良く活躍する人達が報われること、そしてそれを応援する人達が出てくるということです。シャドウバースは当初から海外展開も視野に入れて開発していた対戦型コンテンツですから、esports的なアプローチもゲーム外施策として重要視してきました。
▲格闘ゲームのプロチーム「Cygames Beast」。
▲トレーディングカードゲーム『マジック・ザ・ギャザリング』のプロチーム「Team Cygames」。
ただ、esportsだけが重要だとは決して思っていません。ゲーマーが夢を叶えるという意味で言えば、大好きなゲームを通じて友達が出来た、先ほどの「ルームマッチで100万円」のような企画を通じて好きなゲームを遊んでいるだけで良いことがあったというのもまた素晴らしい実現だと思っています。シャドウバースは夢のあるゲームでありたいと思っています。
――:”ゲーマーが輝く”、特にプレイヤーがその中心にくることを重要視されているということですね。
その通りです。弊社としては”ゲーマーが輝ける世界を実現したい・応援したい”という思いが先にあって、その中の1つにesportsがあるという捉え方をしています。ただ、本気でコミットして競技シーンで活躍する方々がスポーツ選手として認められるというのは、本当に素晴らしいことだと思います。年末には「Shadowverse World Grand Prix 2018」で賞金総額131万ドル、優勝賞金100万ドルと、国内esports史上最高額の賞金が出る大会を実施するのですが、プレイヤーの方々に「スターになるとそこまで行けるんだ」と夢を持ってもらえたら嬉しいです。
2018年は弊社としても飛躍の年になると良いなと考えております。この夏から、コーポレートとしてesportsをテーマにした取り組みも新たに始まりますので、この観点から見てもCygamesとして今年が非常に大事な年になると思っています。
――:ひとえにesportsの大会と括っても、『シャドウバース』ではオンラインからオフライン、年齢制限、プロの有無など種類が多岐に渡っていますよね。
esportsの魅力のひとつとして、”多様性”が挙げられると思います。リアルなスポーツだと、年齢層はもちろん、男女混合やハンディキャップを抱えた方が同じ競技に参加することは難しいですが、ゲームを扱うesportsではそうした敷居もグッと下がりますし、多くの方が参加しやすいんです。RAGEという賞金大会もはかつては今より年齢制限が厳しかったのですが、今では高校生も出場できるようになりました。また、シャドバフェス内では、アプリの使用制限と同じ9歳以上から参加可能な大会も開催しています。実際にRAGEの会場では車椅子でお越しいただけるお客様も増えておりますし、そういった方々から「最初はオンラインで遊んでいたけど、だんだん上手くなってきたので試しに出場したくなりました」という声も聞けて非常に嬉しく思います。
また、トップレベルの競技だけを見て「自分には関係ない」と思われないよう、各地の店舗大会やオンラインで気軽に参加できる大会も実施しています。オンライン大会は匿名性を保ったまま参加できるのもひとつの特徴ですね。こうした取り組みから、色々な方が楽しめるよう気軽に参加できるesportsも目指しています。
――:そうした施策を経て、現在に至るまでどのような成果が出ていますでしょうか? また、今後に繋がる点についてもお話を聞かせてください。
『シャドウバース』はゲームタイトルとしては弊社のみで運営をしているのですが、esportsという観点ではアライアンスを組まなければ広げていけないと考えています。例えば、プロリーグは運営としてCyberZ、AmebaTV、エイベックス・エンタテインメントの4社協業になります。
そうした点を踏まえて、次第に弊社およびパートナーを含めた我々のesportsの展開に賛同して下さる企業が増えてきていることが大変ありがたいと感じています。プロリーグが最も顕著な例で、発足前の段階では「こういう構想があるのですがいかがですか?」と相談しに行っても、最初は雲を掴むような話で実態がないということからパートナーもなかなか増えませんでした。しかし、実際に我々のesports大会を見ていただいたり商談を重ねたりすることで賛同して下さる企業が増えていき、プロリーグを4チームでスタートすることができました。いざスタートしてみて、「ならば我が社も」ということですぐに2チームが加わって下さることになったのがつい先日の話です。
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今回は新たに、Jリーグ(日本プロサッカーリーグ)のJ1で活躍する名門クラブである横浜F・マリノスさんや、誰もが知っている日本テレビの傘下のAXIZさんが加入して下さって、シャドウバースのesports展開を世に開いていくためのパートナーがどんどん参画して下さっていることは非常に心強く思います。
これからはesportsも「スポーツ」を語るからには、健全な青少年育成や様々なものを学ぶ場として機能していかなければいけません。海外では産学協同がしっかりと成されていますので、これを日本でも実現させるために我々もさらに多くのパートナーと手を携えていかなくてはいけないと考えています。esportsの捉え方は各社様々だと思いますが、我々にとっては、我々の考え方に賛同いただけるパートナーが徐々に増えてきているということが大変心強いです。
――:esportsに取り組む企業は、どういった点に惹かれることが多いのでしょうか。
スポンサーとしてチームを持つという意味で言うと、当然CSR的な活動や広報、あるいはPR、コマーシャルのイメージもあると思います。ただ単にそれだけではなく、一所懸命に競技に打ち込んで頑張って輝いている人を応援するという意味で、スポーツとしてのesportsに可能性を感じて下さっている方々が増えているという実感はあります。気運が高まるという意味では、国際的に正式な競技タイトルとしてesportsが認定される国際大会も増えてきましたし、ここ日本では2020年には東京オリンピックやパラリンピックがあります。先ほども述べた通り、esportsは健常者スポーツとパラスポーツを一緒に行えるような魅力を秘めています。2020年というタイミングで日本のesportsがどれほどの規模に成長できるのか、この大きな機運と共にesportsを盛り上げたいと考えている方々も多いのではないでしょうか。
――:国内esportsの現状をどのように捉えていますか?
規模の話になると、やはり現状は海外が本場になっています。ですから、日本は追いかけているという意識があります。ただ、今お話した通り国内でもesportsに興味を示す企業は徐々に増えていますよ。
――:まだまだ日本のesportsは始まったばかりという印象はありますよね。個人的には、スポーツという言葉が入っているという点からも、1991年に設立されたJリーグの黎明期を彷彿とさせられるところがあります。
esports界も今のJリーグのような存在に成長していけると嬉しいという想いはあります。ただ、先ほども話した通り”esports”という言葉が付けば何でも良いとは思っておらず、弊社として大事にしたいのはやはり”ゲーマーが輝ける世界を実現したい・応援したい”という理念です。プロ選手になっても必ずしも胸を張れるような待遇ではないような話も少なくない中で、「プロ」と名が付いているものをただ野放しに拡大すればいいとは思っていません。もちろん、クオリティや待遇を担保して下さるパートナーとともに、一緒に規模を拡大したいと思っています。
先程は気運と申しましたが、我々は一過性のブームを作りたいのではなく、esportsを文化として残していきたいと考えています。10年、20年と続けて愛されるゲームが実際にいくつもあるように、『シャドウバース』もそうなるためのひとつの形としてesportsを大事にしたいと思っています。
――:現状の国内esports界に「今、これが欲しい」というものはありますか?
文化として根付くためにも、男女同じタイトルで競える、身体的なハンディキャップも克服できるといった多様性に冠するオープンさ、インクルーシブネスといったesportsの魅力を大事にできるかどうかは重要です。『シャドウバース』の大会は今のところチャンピオンが若い男性ばかりなのですが、今後、年齢層や性別、身体的ハンディキャップを乗り越えるヒーローが誕生すると、esportsとしてさらにひとつ上のステージに行けるのではないでしょうか。
そして、esportsが個性や才能のひとつとしても認められるようになり、夢を掴める分野に育つと良いなと。ゆくゆくは、昔の職業カタログにはなかった「プロゲーマー」という職業が認められるような世の中になればと思います。
――:まさに夢が広がる話ですね。
まだまだ改善しないといけない点、挑戦すべき領域も沢山あるものの、足下を見つめつつ、目線は高いところに置いておきたいですね。何度か申し上げた通り、我々は”ゲーマーが輝ける世界を実現したい・応援したい”という理念を掲げているのですが、『シャドウバース』を通じて「Cygamesは本気で取り組んでいるんだな」と思っていただけるようにしていきたいです。
――:また、Cygamesは自社やグループ会社のイベントのみでなく、8月3日~5日に米国・ラスベガスで開催される世界最大規模の格闘ゲーム大会「Evolution Championship Series 2018(EVO 2018)」にも協賛することを発表しています。この辺りの経緯についてもお話を伺えますか。
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繰り返しにはなりますが、Cygamesの根っこにあるのは一貫して” ゲーマーが輝ける世界を実現したい・応援したい”という理念です。もちろん、それは日本国内に限った話ではありません。故に、今回は海外の大会を選ばせていただきました。弊社には先程申し上げた格闘ゲームチーム「Cygames Beast」もあり、格闘ゲームコミュニティとご縁があったこともその理由です。ゲーマーが輝ける世界を実現したい・応援したいというシンプルな願いがまたひとつ形になったということです。
会社全体が「やるからには最高のものにしたい」という想いで取り組んでおり、海外事業部、広報やプロモーション担当も横断的に取り組んでいます。社を上げてこういった取り組み方ができるような会社であったことは心から嬉しいですね。
――:先ほどから伺う理念が社全体に深く浸透していることが伺える話ですね。
弊社はビジョンや行動規範の浸透にコストを割いている会社だと思います。私は2017年5月から合流したのですが、社のイズムが浸透するのは過去の社会人経験と比較しても驚くほど早かった実感があります。
また、トップとの距離が近く、さまざまな案件を精力的に牽引してくれるので、環境的に社会人としてはとてもやり甲斐があります。シャドウバース世界大会をはじめて提案した際は、額も規模も大きいので稟議に時間がかかると思ったのですが、すぐにトップの賛同を得られたのには驚きました。
――:確かに、Cygamesの上層部が柔軟に挑戦させてくれるというお話は、これまで様々な部署の方から伺ったことがあります。
そうなんです。社全体としての結びつきも強く、「弊社らしい取り組みだから」という理由で他部署の方が横断的に協力しあっています。だからこそ「EVO 2018」への協賛も実現できたのではないかと思います。
――:こうした展開があると、ユーザーに「Cygamesはesportsに本気で取り組んでいる」と思ってもらえる機会も増えそうですね。
そこには、ゲームだけでなく企業やコミュニティを含めてCygamesを愛してもらいたいという想いもあります。ゲーマーのみなさんには「Cygamesという会社は、どういう理念に根差して運営しているんだろうか」、「どんな人たちがいるのだろうか」という部分までしっかりと見て下さると方々も少なくないと思っています。そうして、ゆくゆくは我々のコーポレートメッセージが日本国内だけでなく海外にも伝わってほしいなと願っています。
――:それが実現するとCygamesだけでなく、日本のesportsシーンにとっても明るい話になりますね。
できればゲームのクオリティだけでなく、「ゲーマーが輝ける世界を実現したい・応援したい」という理念も含めて「Cygamesのそういうところが好き」と応援してくださる方が増えてくれたら嬉しいですね。
――:ちなみに、森さん個人としてはこれからのesportsシーンのどういうところに期待されていますか。
最近はリアルスポーツチームがesportsに参画する事例も多いですが、スポーツチームの皆さんは、地域貢献や社会貢献、教育への還元に必ず取り組んでいます。そのメソッドが少しずつesports側に浸透しはじめていて、こういった観点での広がりに期待したいですね。
『シャドウバース』のプロリーグにも、北海道のバスケットボールチームを保有するレバンガさんや、次シーズンからはJ1の横浜F・マリノスさんも加わります。地域や社会への還元を当たり前のものとしてとらえて方々から我々が学ぶところは大変多いです。必ずしも海外をコピーする必要はないと思いますが、日本らしいesportsが実現していくと良いなと思います。
――:チーム発足当初、レバンガさんは実際に選手たちが北海道に足を運んでいる様子なども公式Twitterに掲載されていましたよね。
はい、またレバンガさんの最近の試みで我々が嬉しかったのは、北海道の専門学校とタイアップして催事を開催し、若者にesportsやスポーツを広めてくださったことです。横浜F・マリノスさんが既に障害者向けのサッカーチームを運営されているのですが、esportsに関してもインクルーシブな面に惹かれていると仰っていまして、社会貢献の観点で私たちも色々と学ばせていただきたいと思っています。
こうした活動を通じて『シャドウバース』ファンが「esportsにはこういう良さもあるんだ」、「ゲームにはこんな可能性もあるんだ」と思ってもらえると嬉しいです。我々は、esportsはあくまでもゲームの一側面でしかないと捉えておりますので、ゲームに秘められている可能性のひとつを指し示せるようなものになると良いですね。
――:そうなると世間からのゲームのイメージもガラッと変わりそうですね。
これまでも「ゲームで人生が変わった」という人は沢山いると思いますが、そういった人がもっと増えると嬉しいです。先ほどのスポーツの話に近いですが、好きなものに夢中になった経験がそのまま長所になりesports選手として花開く可能性もありますし、ゲームが人間教育に役立つこともあると思います。ゲームを通して自分に自信が持てるようになったり、成長に繋がったという人が増えると良いですね。
「俺、ゲーム得意なんだよね」という言葉が、今でいう「スポーツができる」、「勉強ができる」と同じような文脈で使えるフレーズになるような世の中にしたいです。既にesportsが成熟している国や地域では、そうした話も現実味を帯び始めていますので、励みにしたいですね。
――:最後に読者の方々にメッセージをお願いします。
Social Game Infoを読んでくださっている方の中には既にesportsに興味を持たれている方も多いのではないでしょうか。我々はesports=単なる賞金制大会ではなく、ゲーム文化を広く浸透させ、業界がより良くなるための一手段だという風に捉えています。”ゲーマーが輝ける世界”という意味では、必ずしも弊社のやり方が全てではないと思いますが、こうした考え方もesportsに対するひとつの在り方として参考にしていただると嬉しいです。
また、そのためにも我々自身もっと多くの方々の力を借りたいと考えています。そのうえで、弊社の”ゲーマーが輝ける世界を実現したい・応援したい”という理念に賛同し、興味を持っていただける人材を常にお待ちしています。もし、このインタビューを読んで下さった方の中に、自分自身のキャリアを輝かせる場としてのCygamesやesportsに興味をもってくださる方がいらっしゃれば、ありがたいですね。
――:本日はありがとうございました。
そんな中、Cygamesでは同社が提供する本格スマホカードバトル『Shadowverse(シャドウバース)』を中心に、CyberZやAbemaTVといったグループ会社を始め、様々なジャンルの企業と連携し、国内最大級のesports イベント「RAGE」やプロリーグを展開している。特に、2018年12月に開催予定の第2回世界大会「Shadowverse World Grand Prix 2018」では、優勝賞金約1億円(100万USドル)と国内esports史上最高額が支払われることが大きな話題となった。
そこで今回は、Cygamesが現状の国内esports市場をどのように捉えているのか。最も関わりの深い場所で市場に精通する、『シャドウバース』プロダクトマネージャーおよびesportsディレクターの森慶太氏にインタビューを実施。国内esports市場の未来に掛ける想いや、今後の取り組みについてお話を伺ってきた。
株式会社Cygames
『シャドウバース』プロダクトマネージャー兼esportsディレクター
森慶太氏
■大事なのはesportsではなく”ゲーマーが輝ける世界”を実現すること
――:まずは森さんがCygamesでどういった業務を担当されているのか教えてください。
『シャドウバース』のプロダクトマネージャーとして、ゲーム外の各種展開を統括しています。(日本では)対CPU要素の強いゲームが多い中、『シャドウバース』のカードバトルはお客様同士の対戦がメインとなっています。そのため、運営としても単に季節もののイベントを実施するのではなく、対戦がいかに盛り上がるか、人と人が触れ合うことでどのような物語が生まれるかということが重要になってきます。その中のアプローチのひとつがesportsであり、「シャドバフェス」のようなオフラインイベントになります。Cygamesにはゲーム外の施策を担当する”メディアプランナー”という職種があるのですが、その担当が最も多くアサインされているタイトルは『シャドウバース』です。私はそのチームのひとりとしてゲーム外の各種展開を統括しております。
個人としては、このようなインタビューを含め各種メディアへの出演や広報も担っております。プロジェクトの代表として催事に参加することもありますので、トロフィープレゼンターを務めたり、Cygamesの代表としてイベントに参加したりすることもあります。あとは、ビジネス開発や商談、カンファレンスに登壇して「Cygamesの考えるesports像」や「『シャドウバース』をどのように展開していくか」といったプレゼンをさせていただく機会もあります。ユニークな業務としては、稀にですが『シャドウバース』の大会で実況を担当させていただくこともあります。
esports関連では、RAGEや「Shadowverse World Grand Prix 2018」、先ほど挙げた「シャドバフェス」に加えて、全国の高校生を対象とした「全国高校生シャドバ甲子園」という催事もあります。他にも、『シャドウバース』では全国各地で毎月、店舗大会を開催していただいているほか、オンラインではJCGというパートナーと共に毎週大会を運営していただいております。また、今年の春には所属選手に月給30万円を最低保障という待遇でプロリーグ「RAGE Shadowverse Pro League」を開始させていただきました。
――:『シャドウバース』がリリースされて約2年経ちますが、今では大会や試合を放送していない週末がないほど増えましたよね。
ありがとうございます。対戦ゲームにおいては、お客様が沢山遊んで下さっていることがとても大事だと思っています。なので、我々としてもesportsの大会を実施するだけではなくて、”遊ぶ”こと自体が盛り上がるようなプロモーションを大切にしていきたいと考えています。直近の話で、勝敗に関わりなくルームマッチで遊んでいただくと抽選で毎日誰かに100万円や豪華賞品が当たる「ルームマッチで100万円」という企画を行ったのもその一環となります。
――:そもそもCygamesがesportsに力を入れていこうと思われたルーツはどういったところにあるのでしょうか。
まず、弊社の理念として”ゲーマーが輝ける世界を実現したい・応援したい”という想いがあり、ひとつのアプローチとしてesportsがあったという流れになります。実際の例として、弊社はふたつのプロゲーミング・チームを支援しています。格闘ゲームのプロチーム「Cygames Beast」と、トレーディングカードゲーム『マジック・ザ・ギャザリング』のプロチーム「Team Cygames」です。
大事なのはゲームにコミットして本気で格好良く活躍する人達が報われること、そしてそれを応援する人達が出てくるということです。シャドウバースは当初から海外展開も視野に入れて開発していた対戦型コンテンツですから、esports的なアプローチもゲーム外施策として重要視してきました。
▲格闘ゲームのプロチーム「Cygames Beast」。
▲トレーディングカードゲーム『マジック・ザ・ギャザリング』のプロチーム「Team Cygames」。
ただ、esportsだけが重要だとは決して思っていません。ゲーマーが夢を叶えるという意味で言えば、大好きなゲームを通じて友達が出来た、先ほどの「ルームマッチで100万円」のような企画を通じて好きなゲームを遊んでいるだけで良いことがあったというのもまた素晴らしい実現だと思っています。シャドウバースは夢のあるゲームでありたいと思っています。
――:”ゲーマーが輝く”、特にプレイヤーがその中心にくることを重要視されているということですね。
その通りです。弊社としては”ゲーマーが輝ける世界を実現したい・応援したい”という思いが先にあって、その中の1つにesportsがあるという捉え方をしています。ただ、本気でコミットして競技シーンで活躍する方々がスポーツ選手として認められるというのは、本当に素晴らしいことだと思います。年末には「Shadowverse World Grand Prix 2018」で賞金総額131万ドル、優勝賞金100万ドルと、国内esports史上最高額の賞金が出る大会を実施するのですが、プレイヤーの方々に「スターになるとそこまで行けるんだ」と夢を持ってもらえたら嬉しいです。
2018年は弊社としても飛躍の年になると良いなと考えております。この夏から、コーポレートとしてesportsをテーマにした取り組みも新たに始まりますので、この観点から見てもCygamesとして今年が非常に大事な年になると思っています。
――:ひとえにesportsの大会と括っても、『シャドウバース』ではオンラインからオフライン、年齢制限、プロの有無など種類が多岐に渡っていますよね。
esportsの魅力のひとつとして、”多様性”が挙げられると思います。リアルなスポーツだと、年齢層はもちろん、男女混合やハンディキャップを抱えた方が同じ競技に参加することは難しいですが、ゲームを扱うesportsではそうした敷居もグッと下がりますし、多くの方が参加しやすいんです。RAGEという賞金大会もはかつては今より年齢制限が厳しかったのですが、今では高校生も出場できるようになりました。また、シャドバフェス内では、アプリの使用制限と同じ9歳以上から参加可能な大会も開催しています。実際にRAGEの会場では車椅子でお越しいただけるお客様も増えておりますし、そういった方々から「最初はオンラインで遊んでいたけど、だんだん上手くなってきたので試しに出場したくなりました」という声も聞けて非常に嬉しく思います。
また、トップレベルの競技だけを見て「自分には関係ない」と思われないよう、各地の店舗大会やオンラインで気軽に参加できる大会も実施しています。オンライン大会は匿名性を保ったまま参加できるのもひとつの特徴ですね。こうした取り組みから、色々な方が楽しめるよう気軽に参加できるesportsも目指しています。
――:そうした施策を経て、現在に至るまでどのような成果が出ていますでしょうか? また、今後に繋がる点についてもお話を聞かせてください。
『シャドウバース』はゲームタイトルとしては弊社のみで運営をしているのですが、esportsという観点ではアライアンスを組まなければ広げていけないと考えています。例えば、プロリーグは運営としてCyberZ、AmebaTV、エイベックス・エンタテインメントの4社協業になります。
そうした点を踏まえて、次第に弊社およびパートナーを含めた我々のesportsの展開に賛同して下さる企業が増えてきていることが大変ありがたいと感じています。プロリーグが最も顕著な例で、発足前の段階では「こういう構想があるのですがいかがですか?」と相談しに行っても、最初は雲を掴むような話で実態がないということからパートナーもなかなか増えませんでした。しかし、実際に我々のesports大会を見ていただいたり商談を重ねたりすることで賛同して下さる企業が増えていき、プロリーグを4チームでスタートすることができました。いざスタートしてみて、「ならば我が社も」ということですぐに2チームが加わって下さることになったのがつい先日の話です。
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今回は新たに、Jリーグ(日本プロサッカーリーグ)のJ1で活躍する名門クラブである横浜F・マリノスさんや、誰もが知っている日本テレビの傘下のAXIZさんが加入して下さって、シャドウバースのesports展開を世に開いていくためのパートナーがどんどん参画して下さっていることは非常に心強く思います。
これからはesportsも「スポーツ」を語るからには、健全な青少年育成や様々なものを学ぶ場として機能していかなければいけません。海外では産学協同がしっかりと成されていますので、これを日本でも実現させるために我々もさらに多くのパートナーと手を携えていかなくてはいけないと考えています。esportsの捉え方は各社様々だと思いますが、我々にとっては、我々の考え方に賛同いただけるパートナーが徐々に増えてきているということが大変心強いです。
――:esportsに取り組む企業は、どういった点に惹かれることが多いのでしょうか。
スポンサーとしてチームを持つという意味で言うと、当然CSR的な活動や広報、あるいはPR、コマーシャルのイメージもあると思います。ただ単にそれだけではなく、一所懸命に競技に打ち込んで頑張って輝いている人を応援するという意味で、スポーツとしてのesportsに可能性を感じて下さっている方々が増えているという実感はあります。気運が高まるという意味では、国際的に正式な競技タイトルとしてesportsが認定される国際大会も増えてきましたし、ここ日本では2020年には東京オリンピックやパラリンピックがあります。先ほども述べた通り、esportsは健常者スポーツとパラスポーツを一緒に行えるような魅力を秘めています。2020年というタイミングで日本のesportsがどれほどの規模に成長できるのか、この大きな機運と共にesportsを盛り上げたいと考えている方々も多いのではないでしょうか。
――:国内esportsの現状をどのように捉えていますか?
規模の話になると、やはり現状は海外が本場になっています。ですから、日本は追いかけているという意識があります。ただ、今お話した通り国内でもesportsに興味を示す企業は徐々に増えていますよ。
――:まだまだ日本のesportsは始まったばかりという印象はありますよね。個人的には、スポーツという言葉が入っているという点からも、1991年に設立されたJリーグの黎明期を彷彿とさせられるところがあります。
esports界も今のJリーグのような存在に成長していけると嬉しいという想いはあります。ただ、先ほども話した通り”esports”という言葉が付けば何でも良いとは思っておらず、弊社として大事にしたいのはやはり”ゲーマーが輝ける世界を実現したい・応援したい”という理念です。プロ選手になっても必ずしも胸を張れるような待遇ではないような話も少なくない中で、「プロ」と名が付いているものをただ野放しに拡大すればいいとは思っていません。もちろん、クオリティや待遇を担保して下さるパートナーとともに、一緒に規模を拡大したいと思っています。
先程は気運と申しましたが、我々は一過性のブームを作りたいのではなく、esportsを文化として残していきたいと考えています。10年、20年と続けて愛されるゲームが実際にいくつもあるように、『シャドウバース』もそうなるためのひとつの形としてesportsを大事にしたいと思っています。
――:現状の国内esports界に「今、これが欲しい」というものはありますか?
文化として根付くためにも、男女同じタイトルで競える、身体的なハンディキャップも克服できるといった多様性に冠するオープンさ、インクルーシブネスといったesportsの魅力を大事にできるかどうかは重要です。『シャドウバース』の大会は今のところチャンピオンが若い男性ばかりなのですが、今後、年齢層や性別、身体的ハンディキャップを乗り越えるヒーローが誕生すると、esportsとしてさらにひとつ上のステージに行けるのではないでしょうか。
そして、esportsが個性や才能のひとつとしても認められるようになり、夢を掴める分野に育つと良いなと。ゆくゆくは、昔の職業カタログにはなかった「プロゲーマー」という職業が認められるような世の中になればと思います。
――:まさに夢が広がる話ですね。
まだまだ改善しないといけない点、挑戦すべき領域も沢山あるものの、足下を見つめつつ、目線は高いところに置いておきたいですね。何度か申し上げた通り、我々は”ゲーマーが輝ける世界を実現したい・応援したい”という理念を掲げているのですが、『シャドウバース』を通じて「Cygamesは本気で取り組んでいるんだな」と思っていただけるようにしていきたいです。
■オフィシャルスポンサーとしてEVOに参加。理念実現に向けた大きな一歩を踏み出す
――:また、Cygamesは自社やグループ会社のイベントのみでなく、8月3日~5日に米国・ラスベガスで開催される世界最大規模の格闘ゲーム大会「Evolution Championship Series 2018(EVO 2018)」にも協賛することを発表しています。この辺りの経緯についてもお話を伺えますか。
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・Cygames、米国・ラスベガスで8月3日から開催される世界最大規模の格闘ゲーム大会「EVO 2018」のオフィシャルパートナーに
繰り返しにはなりますが、Cygamesの根っこにあるのは一貫して” ゲーマーが輝ける世界を実現したい・応援したい”という理念です。もちろん、それは日本国内に限った話ではありません。故に、今回は海外の大会を選ばせていただきました。弊社には先程申し上げた格闘ゲームチーム「Cygames Beast」もあり、格闘ゲームコミュニティとご縁があったこともその理由です。ゲーマーが輝ける世界を実現したい・応援したいというシンプルな願いがまたひとつ形になったということです。
会社全体が「やるからには最高のものにしたい」という想いで取り組んでおり、海外事業部、広報やプロモーション担当も横断的に取り組んでいます。社を上げてこういった取り組み方ができるような会社であったことは心から嬉しいですね。
――:先ほどから伺う理念が社全体に深く浸透していることが伺える話ですね。
弊社はビジョンや行動規範の浸透にコストを割いている会社だと思います。私は2017年5月から合流したのですが、社のイズムが浸透するのは過去の社会人経験と比較しても驚くほど早かった実感があります。
また、トップとの距離が近く、さまざまな案件を精力的に牽引してくれるので、環境的に社会人としてはとてもやり甲斐があります。シャドウバース世界大会をはじめて提案した際は、額も規模も大きいので稟議に時間がかかると思ったのですが、すぐにトップの賛同を得られたのには驚きました。
――:確かに、Cygamesの上層部が柔軟に挑戦させてくれるというお話は、これまで様々な部署の方から伺ったことがあります。
そうなんです。社全体としての結びつきも強く、「弊社らしい取り組みだから」という理由で他部署の方が横断的に協力しあっています。だからこそ「EVO 2018」への協賛も実現できたのではないかと思います。
――:こうした展開があると、ユーザーに「Cygamesはesportsに本気で取り組んでいる」と思ってもらえる機会も増えそうですね。
そこには、ゲームだけでなく企業やコミュニティを含めてCygamesを愛してもらいたいという想いもあります。ゲーマーのみなさんには「Cygamesという会社は、どういう理念に根差して運営しているんだろうか」、「どんな人たちがいるのだろうか」という部分までしっかりと見て下さると方々も少なくないと思っています。そうして、ゆくゆくは我々のコーポレートメッセージが日本国内だけでなく海外にも伝わってほしいなと願っています。
――:それが実現するとCygamesだけでなく、日本のesportsシーンにとっても明るい話になりますね。
できればゲームのクオリティだけでなく、「ゲーマーが輝ける世界を実現したい・応援したい」という理念も含めて「Cygamesのそういうところが好き」と応援してくださる方が増えてくれたら嬉しいですね。
――:ちなみに、森さん個人としてはこれからのesportsシーンのどういうところに期待されていますか。
最近はリアルスポーツチームがesportsに参画する事例も多いですが、スポーツチームの皆さんは、地域貢献や社会貢献、教育への還元に必ず取り組んでいます。そのメソッドが少しずつesports側に浸透しはじめていて、こういった観点での広がりに期待したいですね。
『シャドウバース』のプロリーグにも、北海道のバスケットボールチームを保有するレバンガさんや、次シーズンからはJ1の横浜F・マリノスさんも加わります。地域や社会への還元を当たり前のものとしてとらえて方々から我々が学ぶところは大変多いです。必ずしも海外をコピーする必要はないと思いますが、日本らしいesportsが実現していくと良いなと思います。
――:チーム発足当初、レバンガさんは実際に選手たちが北海道に足を運んでいる様子なども公式Twitterに掲載されていましたよね。
はい、またレバンガさんの最近の試みで我々が嬉しかったのは、北海道の専門学校とタイアップして催事を開催し、若者にesportsやスポーツを広めてくださったことです。横浜F・マリノスさんが既に障害者向けのサッカーチームを運営されているのですが、esportsに関してもインクルーシブな面に惹かれていると仰っていまして、社会貢献の観点で私たちも色々と学ばせていただきたいと思っています。
こうした活動を通じて『シャドウバース』ファンが「esportsにはこういう良さもあるんだ」、「ゲームにはこんな可能性もあるんだ」と思ってもらえると嬉しいです。我々は、esportsはあくまでもゲームの一側面でしかないと捉えておりますので、ゲームに秘められている可能性のひとつを指し示せるようなものになると良いですね。
――:そうなると世間からのゲームのイメージもガラッと変わりそうですね。
これまでも「ゲームで人生が変わった」という人は沢山いると思いますが、そういった人がもっと増えると嬉しいです。先ほどのスポーツの話に近いですが、好きなものに夢中になった経験がそのまま長所になりesports選手として花開く可能性もありますし、ゲームが人間教育に役立つこともあると思います。ゲームを通して自分に自信が持てるようになったり、成長に繋がったという人が増えると良いですね。
「俺、ゲーム得意なんだよね」という言葉が、今でいう「スポーツができる」、「勉強ができる」と同じような文脈で使えるフレーズになるような世の中にしたいです。既にesportsが成熟している国や地域では、そうした話も現実味を帯び始めていますので、励みにしたいですね。
――:最後に読者の方々にメッセージをお願いします。
Social Game Infoを読んでくださっている方の中には既にesportsに興味を持たれている方も多いのではないでしょうか。我々はesports=単なる賞金制大会ではなく、ゲーム文化を広く浸透させ、業界がより良くなるための一手段だという風に捉えています。”ゲーマーが輝ける世界”という意味では、必ずしも弊社のやり方が全てではないと思いますが、こうした考え方もesportsに対するひとつの在り方として参考にしていただると嬉しいです。
また、そのためにも我々自身もっと多くの方々の力を借りたいと考えています。そのうえで、弊社の”ゲーマーが輝ける世界を実現したい・応援したい”という理念に賛同し、興味を持っていただける人材を常にお待ちしています。もし、このインタビューを読んで下さった方の中に、自分自身のキャリアを輝かせる場としてのCygamesやesportsに興味をもってくださる方がいらっしゃれば、ありがたいですね。
――:本日はありがとうございました。
(取材・文 編集部:山岡広樹)