【インタビュー】ゲーム業界のスタンダードになった制作管理ツール「Save Point」の今後をキーマンに直撃


MUGENUPが提供するイラスト・3DCG・動画など、クリエイティブに特化したプロジェクト管理ツール「Save Point(以下、セーブポイント)」。サービス開始以来、シェアの拡大を続けながら5年目を迎えようとしており、今では制作のスケジュール管理をセーブポイントに任せる例も少なくない。
 
間もなく5年目を迎えるツールはどのように成長し、どこへ向かおうとしているのか、MUGENUPの代表取締役・伊藤勝悟氏(写真左)、セーブポイント事業部のプロダクトマネージャー・村田一樹氏(写真右)に伺った。
 

「Save Point」紹介ページ

 

■クライアント数は150社以上!…MUGENUPの柱に成長

 
――:セーブポイントはサービスを開始して、今年の5月をもって5年目を迎えるところですが、お二人は現状をどのように見ていますか?
 
伊藤氏:リリースして4年目が終わろうとしていますが、当初はゲーム業界に力を入れてアプローチしてきて、おかげさまで利用してくださるお客様もかなり増えてきました。最初のころは弊社がもともとイラストを制作していたこともあり、そのつながりでセーブポイントを導入してくれるケースが多かったです。

今では「セーブポイント」独自のセールスルートも確立でき、導入していただくケースもかなり増えましたね。また、ゲーム以外の業界で使われるケースも徐々に増えてきました。
 
村田氏:サービス自体に関して言うと、プレビュー機能の改善が進み、3Dモデルの閲覧もできるようになりました。そのほかにもさまざまなソフトウェアへの対応も進めています。

 

――:具体的なクライアント数を教えていただくことはできますか?
 
村田氏:クライアント数だと150社以上、プロジェクト数としては500件以上に達しています。もちろんこの数字に手応えは感じていますが、まだまだ増やしていきたいのが私たちの思いです。
 
――:これまでの道のりを振り返って、特に印象的な出来事はありますか?
 
伊藤氏:大きなアップデートよりも、細かい修正を繰り返してきたことのほうが記憶に残っていますね。ユーザビリティは日々進化していて、普段使っていて使いづらい部分を改善していく方法をとっています。そのあたりはクライアント様からご要望をいただくことも多く、毎日コツコツと対応してきたのが今までです。

――:クライアントからの要望に細かく応えるのもセーブポイントの特徴だと思います。しかしクライアントの数が増えると、その分、個別のご相談も増えるのではないでしょうか。
 
伊藤氏:それはどうしてもありますよね。ご要望は常にいただいていますし、改善すべきところはできる限り改善していきたいと考えています。いただいたリクエストに対して、サービス全体のバランスを見ながら優先順位を判断して取り組んでいますが、私たちとしてはUIの見やすさだけは損なわないようアップデートを進めています。

例えばアクセスフローをサイドに設けて、ある程度柔軟に機能を使えるようにしつつ、メインの画面は邪魔しないよう工夫しています。
 
村田氏:ゲーム開発における最新のトレンドを追いかけて、どんなソフトウェアでも柔軟に検討できるように心がけています。今後もゲームに取り入れられそうなソフトウェアや機能、技術があればセーブポイントもしっかりと追従し、担保できるように頑張りたいです。
 

――:現在までに導入された機能で、評判がいいものはありますか。
 
伊藤氏:昔から変わらず「見たよ」ボタンは高い評価をいただいています。さまざまなワークフローを経て、最終的な確認をボタンひとつで済ませられるのは、やはり楽なんですよね。「見たよ」ボタンが便利だと言っていただけることこそが、セーブポイントへの評価だと思います。それ以前のワークフローの部分でも、しっかりセーブポイントを利用していただいている証拠ですから。
 
村田氏:デザイナーの方々は個別の成果物に対して細かくお返事されると思いますが、プランナーやプロデューサーといった立場の方であれば、手軽に連絡できたほうがいいですからね。チーム全体のコンセンサスを取りやすくなる利点もあると思います。

 

■海外拠点でも使いやすい「セーブポイント」

 
――:事業としてのセーブポイントについてもお伺いしたいのですが、今ではMUGENUPさんの柱と言っていいのではないでしょうか。
 
伊藤氏:確かにそういうポジションに近づいてきたと思います。ビジネスモデルが違うので単純な比較はできませんが、セーブポイントは事業として堅調に成長しています。これまでの中心事業であるクリエイティブの受託制作の場合はどうしても波がありましたが、セーブポイントはずっと右肩上がりですからね。
 
――:事業に安定感があれば、定期的なアップデートも確実に行なえますよね。
 
伊藤氏:そうですね。次のチャレンジにも繋がりますし、クライアント様としても、安心して使っていただけると思います。
 
――:ここからさらに事業を伸ばすために考えていることはありますか?
 
伊藤氏: 最近は2Dイラストや3DCGの制作においても海外の方とお話する機会が増えてきていますが、最近、セーブポイントに触れたことのある現地の方とお会いしたんです。話を聞くと「使い勝手がいい」と評価していただいて、海外拠点を含む制作現場でも、大きく効率化に貢献できると考えています。
 

――:海外拠点のターゲットはやはりゲーム企業に?
 
伊藤氏:その可能性は高いと思っています。海外には大きなゲーム開発会社がどんどん増えてきていますし、ワークフローが日本と似通っている部分もあるんです。弊社から仕事をお願いしている海外の会社さんに話を聞いてみても、日本とそれほど差異はありません。それならばセーブポイントも、スムーズに導入できると思います。
 
――:海外拠点でも利用が広がることでセーブポイントとしても得られるものは大きいと思います。
 
伊藤氏:新しいお客様からもご意見やご要望を聞くことができ、そこからより良いサービスに発展することもあるかと思います。それは国内向けも含めて、さらなるアップデートのヒントになるかもしれません。
 
――:ちなみに、国内に関してはどのように広げていく考えなのでしょうか。
 
村田氏:国内の方々から頂くプロダクトへのご意見は、スピード感をもってしっかり反映させていきたいと思います。
 
伊藤氏:ゲーム業界はもちろんですけど、学校など違った分野にも積極的に導入してもらいたいです。学生でも手軽に使えるものですし、これからゲームに関わる人も多いと思います。若い頃から使い方に慣れてもらって、会社に入ってからもすぐに利用できるのがベストです。実際に専門学校で導入していただいて、一定の手応えを掴んでいます。

 
――:学校からはどのような反響がありましたか?
 
伊藤氏:まず導入の経緯としては、課題の提出をする際に便利ということで試しに導入していただいて、使いやすさを実感してもらい正式に採用されることになりました。

イラストやゲームの制作となると、週に数回の講義だけでは間に合わないケースも多々あります。そんなときでもセーブポイントがあれば、講義外の時間でも手軽に提出することが可能になるんです。またスケジュール管理ができる点も好評のようです。専門学校の講師の方々には兼業の方も多く、業務がお忙しいため、少なからず手助けできていると思います。
 
村田氏:面白いところでは、クリエイティブの管理ではなく工場のライン管理のために導入したケースもあります。ガントチャートやスケジュール管理に魅力を感じていただいたようで、PCを使ったことのない方でも手軽に使えると好評をいただいています。
 
伊藤氏:工場という事例は珍しいですけど、挑戦の幅が広がったという意味で、わたしたちにとっても貴重な経験ができましたね。

 
――:工場の方々がどういった経緯でセーブポイントを知ることになったのかも気になりますね。
 
村田氏:どうやら以前からスケジュールの管理に苦労していたそうで、インターネットで「タスク管理」と検索して行き着いたみたいです。セーブポイントはクリエイティブに特化したツールで、ものを作る共通点からお話をいただきました。
 

■ゲーム業界と今後に関して


――:ゲーム業界に対する広がりについてはどのようにお考えですか。
 
伊藤氏:ゲームの開発、運営に関わる会社には引き続き幅広くアプローチを続けていきます。それに加えて、ゲーム関連の広告を制作する会社からも相談をいただくようになりました。
 
村田氏:あとはグッズや映像など、ゲームに関わる周辺の業界からも注目していただいているところです。ゲームというジャンルにおいて、事業を拡大する余地はまだまだあると思います。

 
――:今後のアップデートの方向性についても教えてもらえますか。
 
伊藤氏:まず、引き続きサービスの改修は進めていきます。これまでクライアント様のご希望にお応えしてさまざまな機能を取り入れてきましたが、その結果として、機能が増えすぎた面もあると思っています。中には使われていない機能もありますし、整理していく作業もそろそろ必要だと思っています。
 
村田氏:クライアント様のご意見やご要望については、今後もぜひお話をお伺いしたいと思います。偏りすぎず、多くの意見をいただきたいですね。


――:制作方法は会社によって違いますし、初めからすべての制作方法を用意するのは現実的ではないですからね。
 
村田氏:だからこそセーブポイントが制作管理のスタンダードになってほしいです。違う会社でも管理の方法は変わらない、そんな環境が私たちの究極の夢です。また昨今のキーワードになっている「働き方改革」にも寄与できると思います。デザイナーと企業のやり取りをセーブポイントが担保することで、より作業を効率化できます。
 

伊藤氏:ノウハウの蓄積も大きいですよね。プロジェクトの途中で入ってきたスタッフでも、セーブポイントさえ覚えていればデータのやり取りと流れがわかるため、初日から作業できますからね。これまでだと経験者であっても、新しい会社では流れを覚えることからはじまりましたから、この違いは明確にあると思います。
 
――:それでは最後に、今後の展望について一言お願いします。
 
伊藤氏:クリエイティブの世界が人材難と言われている中、セーブポイントはツールとして効率化をより進めていかなければいけません。もちろんそれだけでなく、データの保全、履歴の活用という部分でも効果を発揮します。新しい人が入ってきてもスムーズに作業できますし、働き方改革に貢献できると考えています。今後は他業種展開という大きな挑戦も待っています。セーブポイントのさらなる発展に期待していただければと思います。
 
村田氏:セーブポイントを使っていただくことによって、制作現場に一本筋が通るような、そんなツールを目指しています。テレワークでも、新しく入社した人でも遜色なく仕事ができる。これがクリエイティブのスタンダードな管理ツールになるようにステップアップしていきたいですね。

 
――ありがとうございました。
 
(撮影:SYN.PRODUCT/https://www.t-kang.com/))
 

「Save Point」紹介ページ

株式会社MUGENUP
https://mugenup.com/

会社情報

会社名
株式会社MUGENUP
設立
2011年6月
代表者
代表取締役 伊藤 勝悟
企業データを見る