アエリアの事業展開を振り返る

 アエリア<3758>の下方修正は、個人的に残念なニュースでした。別に株を持っていたというわけではなく、全体的に停滞感の強いオンラインゲーム業界のなかにあって、攻めの姿勢が目立っていたからです。新規タイトルへの投資に慎重な他社とは一線を画しているように思われました。今回は、アエリアのこれまでの事業展開を振り返ろうと思っています。

急成長から2期連続の最終赤字に

 アエリアは、2004年の上場以来、モバイルコンテンツとオンラインゲームを事業の中核に据え、順調に業績を伸ばしてきました。オンラインゲーム事業を担うのは、後に札幌アンビシャスに上場したゲームポット。同社は、アイテム課金が日本国内で本格的に普及する契機になったといわれる、「スカッとゴルフパンヤ」を運営していました。

 ところが、2008年12月期、2009年12月期と2期連続で11億円を超える最終赤字を計上します。同社は、黒川木徳FHDやダイトーエムイー等を買収し、新たに金融事業に参入したわけですが、長く続く証券業界の低迷やリーマンショックの影響を強く受けた格好。また2008年4月に、ゲームポット株式をソネットエンタテイメントに売却し、同社が連結から外れたことも響いたようです。(開示情報

 アエリアがゲームポット株式を売却した件については、投資会社として回収を狙うのは当然という気もしますし、自社でオンラインゲーム事業の運営を開始していたことからグループ内競争を避けたいという考えもあったのでしょう。

 

2010年よりオンラインゲーム事業を中核に

 アエリアは、2009年12月期より、事業の整理を開始し、金融証券子会社を売却し、金融事業から撤退しました。同時に、オンラインゲーム事業を事業の中核に据えると発表しています。(開示情報) 以後、オンラインゲームの月次ベースでの売上高は、順調に拡大を続け、2009年には2億円前後だったものが、2010年に入ってからコンスタントに3億円を超えるようになりました。

収益回復に遅れ 中期で評価すべきか

 最後に、アエリアの四半期ベースでの業績推移をみてみると、2010年12月期に入って、2008年、2009年の低迷期から脱したものの、収益力がまだ回復していないことが見て取れます。会社四季報(2010年夏号)で「オンラインの収益急改善前提の会社計画やや過大」と指摘されていました。ただ、ここ最近、良質なブラウザゲームを積極的に投入していることや、海外市場にも積極的であることから、単年度というタームではなく、2、3年後といった中期で評価する必要があるかと思われます。また、金融事業からの撤退に伴い、貸借対照表が大きく変わってしまったため、その点も再度、精査する必要があるかと思います。

事前登録サイト
株式会社アエリア
http://www.aeria.jp/

会社情報

会社名
株式会社アエリア
設立
2002年10月
代表者
代表取締役会長 長嶋 貴之/代表取締役社長 小林 祐介
決算期
12月
直近業績
売上高226億7100万円、営業利益4億7300万円、経常利益7億5200万円、最終利益4億8000万円(2023年12月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
3758
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