App Annie、「モバイル市場年鑑 2020」を発表 モバイルゲームがゲーム市場の占有率60%を記録 国内消費支出の前年比成長は『DQウォーク』が1位
App Annie Japanは、1月16日、2019年の世界・日本のモバイル市場を包括的にまとめたレポート「モバイル市場年鑑 2020」を発表した。
『モバイル市場年鑑 2020』サマリー
・2019年の全世界アプリダウンロード数は、過去最高となる2040億件に到達しました。ダウンロード数増加を牽引する主力になったのは、インド、ブラジル、インドネシアを含む新興市場で、米国、日本、韓国のような成熟市場では、ほぼ横ばいです。
・全世界のアプリストア消費支出は1200億ドルに到達し、2016年の2.1倍に増加しています。
・1日のモバイル利用時間は、2018年から40分伸び、全世界平均で3時間40分にまで増加しました。
・世界において、モバイル中心企業は非モバイル企業に比べ、上場における平均評価額が825%増加しています。
・Z世代は、ランキング上位アプリにおけるユーザーあたりのセッション数が非若年層世代より60%多くなっています。
米国ではゲーム系を除く消費支出上位アプリにおける支出の96%がサブスクリプションに
・米国では、非ゲーム系アプリにおける消費支出上位250のうち、支出額の96%がサブスクリプションによるものでした。非ゲーム系アプリとゲームを合計した消費支出総額でも、4分の1となる25%がサブスクリプションによる消費となりました。
・また世界においても、サブスクリプションモデルが成功を収めており、マッチング系アプリの「Tinder」、動画ストリーミングアプリの「Netflix」、「Tencent Video」が2019年の非ゲーム系アプリの消費支出ランキングの上位3位を占めています。
IoTアプリのダウンロード数が1年間で急増、モバイルはデバイス郡の中枢に
・米国では2019年の1年間だけで、IoTアプリの上位20位のダウンロード件数が1億6000万件を超えました。
・コネクテッドデバイスは2025年までに252億台に達すると見込まれており、“コネクテッドTV”や“コネクテッドカー”など、モバイルは今後様々な状況においてユーザーが周囲の世界とやり取りする際の主要なインターフェースになることが予想されます。
「◯◯Pay」の利用者増加に伴い、フィンテックアプリが金融機関のアプリよりも速いペースでユーザー基盤を拡大
・ファイナンスアプリについて、全世界における上位10位のフィンテックアプリ(金融機関以外の企業が管理しているアプリ)とバンキングアプリ(民間の金融機関や金融サービス会社が管理しているアプリ)をそれぞれ比較すると、平均月間アクティブユーザー数(Monthly Active Users:以下MAU)において、フィンテックアプリがバンキングアプリを大きく上回りました。
・日本は、フィンテックアプリのMAU成長率が世界で2番目に高く 、 2019年も引き続きトレンドとなった「◯◯Pay」の利用者増加に伴う成長であることが分かります。
<2019年にブレイクしたファイナンスアプリ>
ファイナンスアプリは、2019年に最もブレイクしたカテゴリーとして、ダウンロード数の絶対数を前年から大きく伸ばしました。ダウンロード数の前年比成長ランキングでは、前年からの高いレベルを維持したアプリもある一方、多くは前年比で目覚ましい成長率を記録しています。またファイナンスアプリの特徴として、利用されているアプリが国によって異なる点が挙げられます。同じアジアや欧州でも上位アプリは異なり、各国が独自のファイナンスサービスを展開していることが分かります。日本でもPayPay、d払い、LINE Payなど、国内企業のアプリが台頭しています。
モバイルゲームがゲーム市場の占有率60%と過去最高を記録
・世界全体のゲームの消費支出において、モバイルゲームの支出額が、家庭用ゲーム機などすべてのゲーム形式を合計した額よりも35%高くなりました。
・また、「Call of Duty: Mobile」や「マリオカート ツアー」など、家庭用ゲーム機のタイトルをモバイル向けにローンチし、より大きな市場での収益化を実現した事例もありました。
・モバイルゲームは、消費支出における世界的なリードを広げ、2020年にはゲームアプリがアプリストアで1000億ドルを超えると予測されます。
<2019年にブレイクしたゲーム:ダウンロード数、消費支出>
ゲームカテゴリーの中でもモバイルゲームは消費支出において世界をリードするプラットフォームであり、この分野のビジネスチャンスは現在も増え続けています。既存のパブリッシャーや大手パブリッシャーに限らず、新規参入サービスにも成功のチャンスがある成長市場といえます。ゲームカテゴリーにおけるダウンロード数の前年比成長ランキングでは、任天堂「マリオカート ツアー」が、調査対象12カ国のうち、日本、米国を含む最多5つの国でトップ成長を記録しました。また全体的には、8カ国でランキング入りしている「Color Bump 3D」など、シンプルで分かりやすい「ハイパーカジュアルゲーム」が前年に続き高い伸び率となっています。消費支出の前年比成長ランキングにおいては、実際の景色や地形などにコンピュータを使って情報を加える「AR(拡張現実)」技術を活用したゲームアプリ「Dragon Quest Walk」が国内トップ成長となりました。
動画ストリーミングアプリでは高い重複利用率により市場が拡大
・「Disney+」や「AppleTV+」の登場により、動画ストリーミング市場の競争が激化しています。従来サービスである「Netflix」、「Amazon Prime Video」、「HBO NOW」に加え、2020年には「HBO Max」、NBCUniversalの「Peacock」がローンチ予定など、その競争はさらに勢いを増す見込みです。
・また、動画ストリーミング市場においては、米国における「Netflix」ユーザーの「Disney+」利用率が25%となるなど、ユーザーの重複利用率が高いことも、市場拡大を牽引している要因のひとつであると考えられます。
<2019年にブレイクした動画ストリーミングアプリ>
2017年から利用時間が50%増加したエンターテインメントアプリを牽引したのが、動画ストリーミングアプリの成長です。映画やテレビ番組、ライブイベントをオンデマンドで視聴する方法として、モバイル端末での動画ストリーミングアプリ利用が増加しています。高品質ストリーミング、ユーザー生成コンテンツの成長、そしてオフラインモードの標準化といった業界の進化により、重視されるポイントが画面サイズからモバイル視聴へとシフトしました。2020年春から商用化が予定されている「5G」により、その移行はさらに促進されると考えられます。全体的には、米国の動画ストリーミング配信サービス「Netflix」が中国、ロシアを除く最多10カ国でランクインし、うち6カ国では1位を獲得するなど好調です。一方で日本国内では、ECサービスの会費にサービス利用費が含まれている「Amazon Prime Video」や、民放の公式無料配信ポータル「TVer」などが「Netflix」を利用時間で上回る結果となりました。
日本の各ランキング<月間アクティブユーザー数、ダウンロード数、消費支出額>
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