ミクシィ、『モンスト』復調し1~3月だけで営業利益140億円叩き出す 「リバイブは本質的に途上」(木村社長)とさらなる成長に含み



ミクシィ<2121>は、5月15日、2020年3月通期の連結決算を発表するとともに、オンラインでの決算説明会を開催した。発表した決算は、売上高1121億円(前の期比22.1%減)、営業利益171億円(同58.2%減)、経常利益169億円(同58.8%減)、最終利益107億円(同59.6%減)だった。大幅な減益だったが、予想を上回る着地となった。
 


それ以上に注目を集めたのが、第4四半期(20年1~3月)の業績だ。売上高は、前四半期比(QonQ)で66.4%増の387億円、営業利益140億円(前四半期9億円の赤字)、経常利益138億円(同9億円の赤字)、最終利益102億円(同17億円の赤字)とQonQで大幅な増収・黒字転換を達成した。
 


主力の『モンスターストライク(モンスト)』の売上が好調に推移して全体の伸びをけん引したことに加えて、グループに加わったチャリロト、ネットドリーマーズの売上が加わったためだ。
 


利益面では、『モンスト』復調による増収効果もあり、営業利益は黒字に転換した。連結子会社が加わったことや期末賞与などで人件費が増えたものの、『モンスト』のプロモーション活動の効率化による広告宣伝費の圧縮、前四半期に発生した本社移転費用がなくなったことなども利益増加に寄与した。
 


木村弘毅社長(写真)は、『モンスト』について「広告費を効率化しつつ、2月、3月の売上を伸ばすことができた」と述べた。MAU(月次アクティブユーザー数)とARPU(客単価)が回復した。これまで取り組んできたリバイブの成果がでたといえるもので、「適切な施策を打つことができれば、高い売上・利益を達成できると、再認識し、自信にもつながった」と振り返った。

この四半期では、「鬼滅の刃」や「映画ドラえもん のび太の新恐竜」「FAIRY TAIL」など外部の人気IPとのコラボレーションを積極的に実施したほか、ゲーム企画/アップデートの質と量の向上を図り、マーケティングやメディアミックスの連携をより綿密に実施したという。まだ成長余地は十分にあるとし、引き続きリバイブに注力する、としている。
 


またセガから取得した『共闘ことばRPG コトダマン』についてもコメントがあり、「成長軌道に乗せることができた」という。同社として初めて他社開発タイトルを運営することになったタイトルだが、移管完了後、主力タイトル『モンスターストライク』とのコラボなどを実施したことが奏功し、業績が拡大していると明かした。

そのほか、劇場版「魔法少女まどか☆マギカ [前編] 始まりの物語/[後編] 永遠の物語」やTVアニメ「銀魂」、TVバラエティー番組「水曜どうでしょう」、動画クリエイターとのコラボなどと積極的に実施するとともに、村西とおる氏を起用したWebCMなども展開するなど注目を集めた。

同社の新作についても2021年3月期のリリースに向けて自社開発ゲームの仕込みを開始したことを明らかにした。新作は、勝ち筋のみえた企画のみ、厳選して開発しているという。昨今、成熟化が指摘されるモバイルゲーム市場だが、市場規模は依然として大きく、「新しい遊び」を提供することができれば、ヒットタイトルを生み出すことは可能と考えているようだ。
 


なお、2021年3月期通期の連結業績は、売上高1000億円(前期比10.9%減)、営業利益110億円(同35.9%減)、経常利益110億円(同35.0%減)、最終利益65億円(同39.4%減)を見込む。直近の業績推移を見ると、「ネガティブサプライズ」とも言えるような大幅な減益となったが、ネガティブな要素が予想されているわけでなく、社会情勢なども鑑み、保守的に立てたようだ。
 


業績のカギを握る主力タイトル『モンスト』については、10%程度の減収を想定しているという。木村社長は、「足元の売上は好調に推移しているものの、本質的なリバイブには至っていない」と慎重な見方を示した。これからの『モンスト』のポテンシャルを出し切っておらず、施策次第でまだまだ伸ばせるという認識なのだろう。

新型コロナウイルスの影響については、ゲームなどオンラインで提供するサービスに追い風となる一方、イベントやスポーツなどオフラインに関するものはネガティブに影響を受けているという。オンラインの比重のほうが大きいものの、業績予想に関してはコンサバティブ(保守的)に立てている、とした。
 

(編集部 木村英彦)
株式会社MIXI
https://mixi.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社MIXI
設立
1997年11月
代表者
代表取締役社長 木村 弘毅
決算期
3月
直近業績
売上高1468億6800万円、営業利益:191億7700万円、経常利益156億6900万円、最終利益70億8200万円(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
2121
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