グリー、同社社員の筆頭著者論文が進化計算分野における国際会議「GECCO2020」に採択

グリー<3632>は、同社社員が筆頭著者となる論文※1が進化計算分野における最難関国際会議であるThe Genetic and Evolutionary Computation Conference (GECCO) にフルペーパーとして採択されたことを発表した。

GECCOは、Association for Computing Machinery (ACM)によって1999年から毎年開催されている、進化計算分野の代表的な国際会議。今回採択された論文は2020年7月に開催される「GECCO2020」※2で発表する予定。

グリーでは、研究開発の一環として、2018年より産業技術総合研究所 人工知能研究センターに社員が出向し、AI関連プロジェクトにおける研究を行っている。

今回の論文は出向中の同社社員が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の『人工知能技術適用によるスマート社会の実現』事業における「地理空間情報プラットフォーム構築と空間移動のスマート化」において取り組んだ研究により、得られたものとなる。

※1 Yoshihiko Ozaki, Yuki Tanigaki, Shuhei Watanabe, and Masaki Onishi. "Multiobjective Tree-structured Parzen Estimator for Computationally Expensive Optimization Problems." Genetic and Evolutionary Computation Conference (GECCO). 2020.
※2 「GECCO2020」は2020年7月にオンライン発表での開催が公表されている。


研究概要
今回採択された論文「Multiobjective Tree-structured Parzen Estimator for Computationally Expensive Optimization Problems」では、ベイズ最適化の一種であるTree-structured Parzen Estimator (TPE)と呼ばれる手法の多目的最適化への拡張を提案している。

目的関数の評価コストが高い多目的最適化問題は、重要な実問題においてしばしば現れる。このような問題は、限られた目的関数評価予算のもとで、効率的に複数の目的関数に対して最適なトレードオフを示すパレート最適解の集合を獲得する必要があり、一般的に非常に難しい問題であると認識されている。

本研究では、目的関数の評価コストが高い単目的最適化問題に対して高い実績を持つTPEと呼ばれる手法を拡張することで、少ない目的関数評価回数で効率的にパレートフロントを近似する新しい多目的最適化手法を提案した。

提案手法はベンチマークの結果、多くの場合において従来の多目的最適化手法に比べて優れた性能を達成することが示された。また、同研究では提案手法の設定と振る舞いに関する実験的な分析も行っている。

学術から実用への転換スピードがかつてなく速いAI技術においては、事業に広範な影響を及ぼし得る先端研究に対する深い理解が重要であると考えており、グリーでは今後も研究開発および、その過程で得た知見の直接的・間接的な事業応用を継続していく。


GECCOについて
GECCOは、Association for Computing Machinery (ACM)によって1999年から毎年開催されている、進化計算分野の代表的な国際会議。例年、数多くの同分野の優れた研究成果が発表されており、国際会議の評価を行っているThe Computing Research and Education Association of Australasia (CORE)のランキングにおいて、Rank Aと高く評価されているという。