【モバイルファクトリー決算レポート】主力の『駅メモ!』6周年施策の貢献でQonQで増収増益 新型コロナ下での売上は一時3割減も足元9割まで回復


モバイルファクトリー<3912>は、7月22日、2020年12月期通期の第2四半期累計(1~6月)の連結決算を発表、売上高14億400万円(前年同期比15.5%減)、営業利益4億3000万円(同20.8%減)、経常利益4億3200万円(同20.4%減)、最終利益2億9800万円(同12.6%減)となった。

今回の記事では、特にその中から第2四半期期間(4~6月)の内容を中心に取り上げてみたい。
 

■『駅メモ!』の6周年施策が奏功し、QonQで増収増益


まずは第2四半期期間の業績を四半期推移(QonQ)で見てみると、売上高は7億3800万円(前四半期比10.7%増)、営業利益2億3700万円(同22.8%増)、経常利益2億3900万円(同24.5%増)、最終利益1億6500万円(同23.4%増)となった。主力の位置情報連動型ゲーム『ステーションメモリーズ!』(『駅メモ!』)の6周年施策により、売上高・利益ともに増加した。

ただし、政府からの緊急事態宣言発出に伴う外出自粛要請を受け、2020年2月より順次ゲーム内イベントを一部中断・延期し、移動を伴わない代替施策を実施してきたこともあり、前年同期比較では減収減益となっている。
 

続いて、サービス別売上高推移を見ると、ソーシャルアプリサービス(位置ゲーム)の売上高は前四半期比で14.5%増となった。一方でコンテンツサービスは、自社で運営している各着信メロディサービスの課金会員数が緩やかに減少する形が続いた。
 
 

■新型コロナ流行で『駅メモ!』の売上高は一時前年同月比で70%台に


今回の四半期決算において、外すことのできない話題は、やはり新型コロナウイルス感染症の流行と、政府の緊急事態宣言に伴う外出自粛要請による影響だろう。同社の主力タイトルである『駅メモ!』は、位置情報連動型ゲームの特性からこの影響が大きく、3~4月の売上高は前年同月比で70%台にとどまった。ただ、これも5~6月にかけては約90%まで回復しているとのことで、7月以降もこうした傾向が続くのか注目されるところだ。
 

新型コロナ感染症の流行が違った形で影響したのは、2月3日から実施していた自社株買いだ。当初は上限100万株、12億円を上限としてたが、最終的に30万7800株、4億7420万5500円で取得を終了した。これは、将来の業績への影響に備えた財務健全性維持などを総合的に判断した結果としており、新型コロナ感染症の流行による業績面へのリスクに備えた対応ということになる。
 
 

■新作『駅メモ! Our Rails』を発表 ブロックチェーンを活用した機能も


新作の動きとして出てきた話題が、8月3日にリリース予定の新作ブロックチェーン×位置情報連動型ゲーム『駅メモ! Our Rails』だ。『駅メモ!』シリーズの最新作となる本作だが、「フェア機能」や「ステーションオーナー機能」の新機能を加えたWEB版タイトルとなる。

特にトークン化された駅を購入して、ユーザー自身が駅のオーナーになれる「ステーションオーナー機能」は、ブロックチェーンのトークンのマーケットプレイとして提供予定の「ユニマ」を活用した展開が予定されており、今後の同社のブロックチェーン領域での展開の1つの試金石となってきそうだ。
 

 

■新型コロナ流行の影響の合理的な見積もりが困難で予想は据え置き


2020年12月期通期の連結業績予想は、売上高32億9500万~35億4600万円(前年同期比3.3%増~11.2%増)、営業利益10億400万円~13億300万円(同9.5%減~17.4%増)、経常利益10億200万円~13億円(同9.7%減~17.2%増)、最終利益6億9200万円~8億9900万円(同10.4%減~16.3%増)と従来のレンジ形式による予想を据え置いている。

これは、新型コロナ感染症の流行が位置情報連動型ゲーム全体に与える影響を合理的に見積もることが困難なためとしており、状況がクリアになってきた段階で予想の修正が行われる可能性は十分考慮しておきたい。
 

 
株式会社モバイルファクトリー
http://www.mobilefactory.jp/

会社情報

会社名
株式会社モバイルファクトリー
設立
2001年10月
代表者
代表取締役 宮嶌 裕二
決算期
12月
直近業績
売上高33億7000万円、営業利益9億4500万円、経常利益9億4000万円、最終利益ゼロ(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3912
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