本稿はFacebook Gaming の提供による記事なります
我々、Facebook Gamingは、Facebookの中でゲーム業界に特化した組織です。世界各国・ゲーム会社様のスマホゲームやコンソールゲームのマーケティングを、Facebook広告を活用したプロモーションはもちろん、様々なツールやスキームを活用した全体的なマーケティング支援を行っております。
また、弊社では積極的にゲームマーケターのためのコミュニティを形成し、これまでの世界各国での成功事例の共有や、さまざまなレポート提供しております。
今回の記事では、ブログ、ポッドキャストを通じて発信を行っているDeconstructor of Fun(ディコンストラクターオブファン)が、2021年のゲーム業界における7つの重要なトレンドを予測。ゲーム企業にコンサルティングを行うゲーム有識者による最新の動向を紹介します。
( Facebook Gaming クライアントソリューションマネージャー 村木沙耶)
1.パズルゲームがモバイルで総収益トップのジャンルに
パズルゲームは2020年の収益が51億ドルと、前年から29%も成長し、2020年の総収益の50%以上を占めています。
今年は買収された企業によるソフトローンチの年になるでしょう。具体的には、Zynga (Peak)とPlayrix (Zagrava、Plexonic)によるものです(2021年下半期)。こうしたソフトローンチに加え、2021年はマージゲームがパズル市場に新規参入するゲームの大部分を占めるようになり、マージゲームの開発会社はM&Aの主なターゲットとなるでしょう。
Applovinと、大手から独立した小規模の新スタジオが引き続き、カジュアルメタゲームの限界を押し広げることが予想されます。また、「エンドコンテンツ」の進化によって非常に熱心なプレイヤーのリテンションを効果的に維持していくことがパズルゲームの新たなトレンドとなるでしょう。
2.ハイパーカジュアルは存続するものの、ハイブリッドカジュアルが躍進
2020年に、ハイパーカジュアルゲームのダウンロード数は前年比で78億回から118億回へと大幅に増えて前年比52%アップとなり、2桁の成長率を維持。広告収入も推定で30億ドルに達しました。
ハイパーカジュアルゲームでは、2つの大きなトレンドが明らかになりました。
心地良さを与えるしくみの採用拡大:
2020年にはSayGamesの『Perfect Slices』の成功を受けて、ウルトラカジュアルのサブジャンルが人気のピークに達しました。
誤解を招く広告から実際のゲームの提示へ:
Lion Studiosは、コアゲームに少しも似ていない誤解を招く広告のトレンドに追随するのではなく、紆余曲折を経て元のスタイルに戻り、2020年を通じて最も成功した広告フォーマットを利用してゲームを2本もリリースしました。
ハイパーカジュアル市場の成熟に伴い、定評のある開発会社は別の選択肢の模索や、より適切な収益化モデルが必要かどうかの検討に着手しました。
ハイパーカジュアルゲームの開発会社がアプリ内購入を促す機能の導入によって収益化を強化せざるを得なくなる中、2021年はハイブリッドカジュアルモデル(ハイパーカジュアルプレイヤーを収益化できるゲーム)が飛躍的な発展を遂げると予想されます。
この発展により、市場に参入するゲームの数が減り、成功するゲームの寿命が数週間から数か月へと延びるでしょう。
2021年のもう1つのポイントは、IDFA廃止によるCPMの低下でしょう。この変更によって収益化のしくみが機能不全に陥った結果、主要パブリッシャーが成長し、小規模のパブリッシャーが勢いを失う中で、市場では大規模な統合が行われると予想されます。
Voodooだけでなく大手パブリッシャー各社は、小規模開発スタジオの買収または設立によって同ジャンル外での成長を模索するでしょう。
3.モバイルの主要RPGがクロスプラットフォーム化
欧米市場のミッドコアゲームのアプリ内購入(IAP)による収益は104億ドルに達し、前年比で何と26%も成長しました。そしてロールプレイングゲーム(RPG)もその成長と歩調を合わせる形で、33億ドル(年初からの累積)を獲得し、前年比で29%成長しました。2021年は、RPGゲームのリリースと規模拡大がさらに難しくなるでしょう。
RPGゲームの収益化モデルは主に、「クジラ」と呼ばれる高額課金プレイヤーに支えられています。この収益化のしくみはこれまで、最適化されたユーザー獲得により成り立ってきました。しかし、IDFA廃止後の時代は、「クジラ」と呼ばれるユーザーを獲得することと、そうしたユーザーを早い段階で見きわめることがきわめて難しくなります。
さらに、RPGに参入して成功を収めたければ、IDFA廃止の打撃を和らげられるよう、十分な資金を用意しておく必要があります。
収益化では深さよりも広さが重視される:
プレイヤーがどこからもたらされたかをトラッキングできなければ、プレイヤーをA/Bのセグメントにグループ化することはより困難になるでしょう。
IPとのコラボレーション:
IDFA廃止により、CPIを下げることが再び重視されるようになるでしょう。そこでIPが役立つのです。各種イベントを通じて、既存のタイトルに取り入れられるIPが増えると予想されます。
近い将来、現在の主要RPGがPCクライアントの提供を始め、クロスプラットフォーム化するでしょう。Plariumの『RAID』がその手引きとなり、Scopelyのような企業が後に続くのは時間の問題です。
4.Supercellのミッドコア王座をめぐる争い
7つのサブジャンルからなるストラテジーゲームの2020年の純収益は50億ドルにのぼります。IAPの収益は前年比で21%増加、ダウンロード数は前年比で9%増加しています。
このカテゴリではSupercellが何年にもわたって優位を占めてきましたが、今年の第1四半期末までにはLilithがSupercellを上回ると予想されます。Supercellの収益は減少を続ける見込みであり、その結果、同社の経営陣や戦略に何らかの変更があるでしょう。
昨年同様、ストラテジージャンルでは引き続き4Xが優勢であり、それ以外の6つのサブジャンルの合計を上回っています。FunPlusは2020年に、4Xのサブジャンルで他社よりも大きな成功を収めました。『トップウォー』の成功を受けて、コアゲームプレイでより多くのイノベーションが起きると予想されます。またモバイルRPGと同様、IDFA廃止に対処するために、4Xゲームではクロスプラットフォームプレイが提供されるでしょう。
2番目に大きなサブジャンルのビルド&バトルは、プログレッションのメカニクスとソーシャルゲームプレイの両方に大規模なイノベーションを取り入れるところまで成熟しています。
アジアの主な市場を除けば、私たちはMOBA(マルチプレーヤー オンライン バトル アリーナ)の可能性については常に懐疑的ですが、このサブジャンルはジャンル全体で最も速いペースで成長を続けています。
『リーグ・オブ・レジェンド:ワイルドリフト』のリリースは有望ながら、年間収益が5,000万ドルを下回るニッチなタイトルにとどまると予想されます。またRiotが2021年に新たなモバイルタイトルをリリースする可能性は低いでしょう。
5.スポーツ・レーシングゲームは10億ドル規模の争いに
スポーツ・レーシングにとって2020年はすばらしい年でした。2019年に8億2,700万ドルだった合計収益が10億ドルの大台を突破し、12億ドルに達したのです。
全体として、スポーツカテゴリには新たにチャート入りを果たした注目すべき新タイトルはありません。
2021年のスポーツジャンルでは、フランチャイズ以外のリアルなスポーツゲームが成長を続け、市場において直接的な模倣タイトルが増えると予想されます。2021年も実際のリーグ/シリーズに対するパンデミックの悪影響が続くことを考えると、フランチャイズスポーツ、特に『NBA』では引き続き収益とダウンロード数が低迷するでしょう。
2020年に、レーシングジャンルの収益は24%増加し、ダウンロード数は25%増加しました。サブジャンル(アーケードレーシングとリアルレーシング)に注目すると、新型コロナウイルス感染症の流行拡大によって最大の利益を得たのはリアルレーシングであることがわかります。
アーケードレーシングは引き続き細分化され、制作価値が低く、ハイブリッド収益化(広告とIAP)という特徴を持ちます。
特に基本プレイ無料の収益化の点で、上位タイトルに迫るゲームはないと考えられます。『CSR Racing 2』は今後もサブジャンルのトップに君臨し、2021年の市場シェアは40%を超えるでしょう。
2020年の成長はロックダウンに支えられたものと考えられるため、2021年にはレーシングジャンルの収益が減少すると予想されます。
6.コロナとIDFA廃止後のモバイルのカジノゲーム
新型コロナウイルス感染症の流行拡大によるロックダウンのピーク時にカジノのダウンロード数は急増し、このジャンルのダウンロード数は前年比37%増の目覚ましい成長を遂げました。2021年に生活が日常に戻るにつれ、ダウンロード数の成長率は縮小を続けることが予想されます。
大手パブリッシャーが引き続き多角化を進めて他のジャンルに参入する一方で、小規模な開発会社はプレイヤーの関心を引いて市場に留まるための新たなアプローチを試すでしょう。
2021年のスロットゲームでは、より多くのメタ機能がコアゲームプレイに直接統合されるようになるでしょう。さらに、プレイヤーの選択が新たな形で結果として反映されるようにマシンが進化すると予想されます。競争度を増す市場で各スロットゲームが存在感を高めようとする中、プレイヤーを引きつけるために、訴求力の高い新たなメカニクスが採用され始めています。
スロットデザイナーには、より効率的なアプローチを取り入れることで、注目度の高いメカニクスを紹介することが期待されます。
ビンゴゲームは2020年も引き続き、シェアに最も大きな不均衡が生じているサブジャンルとなりました。カジノ全体のダウンロード数の壁は、ビンゴに最も大きな打撃を与えているようです。 この年、上位アプリほぼ全てにおいてダウンロード数が大幅に減少しました。
2021年にはビンゴゲームで、複数のイベント(1年間のシーズンなど)にわたる長いプログレッションと持続的なレベル上げが取り入れられると予測されます。このサブジャンルはパズルやスキルベースのミニゲームが生まれる場所になっています。
これらは多くの場合、リワードコレクションステージで実施されます。このトレンドは今後も続き、ミニゲームのデザインで目新しさを追求するゲームが注目を集めるでしょう。
ポーカーでは2020年に大きな変化は見られませんでしたが、交流オプションや、より目につきやすいカスタマイズツールの採用が拡大すると予想されます。
ソーシャルカジノはカジノ内の最新のサブジャンルで、『Coin Master』が引き続き成長し、サブジャンル内のあらゆる競合を圧倒しそうです。
7.シューティングの次のヒット作
シューティングは2020年の純収益が21億ドルと、モバイルで5番目の規模のジャンルとなっています。
2021には、『Garena Free Fire』がシューティングゲームのトップ3に入ると予想されます。『Garena Free Fire』の収益化とコンテンツのアップデートの頻度は実際には非常に積極的で、機能セットは競合より優れているとは言わないまでも、少なくとも同等です。
より多くのマルチプレイヤーシューティングゲームが、新たなレベルアップシステムを導入してRPI(Revenue Per Impression)の成長を促すでしょう。こうしたゲームでは新ゲームモードの導入が拡大し、さらにはこのレベルアップに役立つアイテムの販売が開始されることが見込まれます。これらはシーズンごとの期間限定モードに限られる可能性もありますが、システムはPvP(対戦型)シューティングに取り入れられるでしょう。
キャラクターのレベルアップを重視した新タイトルが競争の激しい市場で、競合のいない新たな分野を開拓:
上位タイトル以外のインストール数の伸びに見られる根強い需要は、市場参入の機会につながります。カテゴリの上位タイトルと直接対決して失敗に終わることなく、このプレイヤー層のリテンションと収益化の手段を見つけることが重要です。
今後もレポートやベストプラクティスを紹介していきたいと思いますし、詳細について気になる方はFacebook Gamingまでお問い合わせください。
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■Vol.2 日本のストラテジーゲームユーザーはユーモアのある広告が好き?…「4大ゲームジャンル 最新レポート」より
■Vol.3 RPGユーザーはキャラクターや世界観に没入できるプロモーションを好む…「4大ゲームジャンル 最新レポート」より
■Vol.4 ローンチに気を付けるべき点はなにか?…ゲーム開発のアイデア段階からリリースまでをチェックできる「ゲームローンチ戦略ガイド」
■Vol.5 アプリ広告の費用対効果を向上させる「A A A・自動アプリ広告」の今とは
■Vol.6 コロナ禍で世界のゲームユーザーはどのように変わったか?…「2021年最新ゲーム市場レポート」より
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