トレーディングカードゲーム・ヴァイスシュヴァルツは、人気アニメ・ゲーム作品を中心に100を超えるタイトルが同じ舞台に集う“超エンターテインメントTCG”です。
最近では「ワールドトリガー」や「五等分の花嫁∬」、VTuber事務所「ホロライブプロダクション」などの商品発売が予定されており、さらに「アドベンチャー・タイム」など海外限定の商品も発売。全世界的な人気を誇る「MARVEL」の参戦も発表されるなど、海外でも知名度を獲得し、そのブランド力はTCG界でも有数のものとなりました。
「日本初のTCG専門カンパニー」を掲げて設立されたブシロードが創り上げたヴァイスシュヴァルツは、2008年3月に第1弾として「D.C(ダ・カーポ). D.C.Ⅱ」、「ペルソナ3」、「リトルバスターズ!」3タイトルの商品が発売されました。
ユーザーへの初お披露目として2007年12月にプロレスの聖地・新宿FACEで行われた「ヴァイスシュヴァルツ発表会」。ヴァイスシュヴァルツの創案者・木谷高明氏は「ヴァイスシュヴァルツ 五箇条の御誓文」を発表します。
一、刺激的かつ面白いゲームを楽しんで頂くことを目指します。
一、コレクションとトレードの楽しさを長期的にわたり味わって頂くことを目指します。
一、常に初心者を増やすことを心がけかつお客様のコミュニティ形成にお役に立つことを目指します。
一、参加タイトルのキャラクターの魅力を最大限に引き出すことを目指します。
一、地方のカードゲーム活性化のお役に立つことを目指します。
ヴァイスシュヴァルツの10年以上にわたる歴史はこの「五箇条の御誓文」を追い求め、さまざまなチャレンジを続けた日々だとも言えるのです。
今回は、そんなヴァイスシュヴァルツの軌跡の一端を知るべく、黎明期から深く関わってきた3人に、一番の思い出と展望・期待について語ってもらいました。
9月11日:遊宝洞・中村聡さん(ヴァイスシュヴァルツゲームデザイン)
9月12日:声優・愛美さん(ヴァイスシュヴァルツフェザー)
9月13日:ブシロード・籏野宏徳さん(ヴァイスシュヴァルツチームリーダー)
遊宝洞・中村聡さんの場合
中村聡
(なかむらさとし)
中村聡さんはヴァイスシュヴァルツのゲームデザインを設計、開発する会社・有限会社遊宝洞を率いるゲームデザイナーです。
世界的TCG「マジック・ザ・ギャザリング」の有名プレイヤーでもある中村聡さんは、理想のカードゲームを作るべく2001年に遊宝洞を立ち上げ、ヴァイスシュヴァルツの創案者である木谷氏とはブシロード創立以前からTCG開発を共にしていました。
中村聡さんはヴァイスシュヴァルツのゲームデザインを設計、開発する会社・有限会社遊宝洞を率いるゲームデザイナーです。
世界的TCG「マジック・ザ・ギャザリング」の有名プレイヤーでもある中村聡さんは、理想のカードゲームを作るべく2001年に遊宝洞を立ち上げ、ヴァイスシュヴァルツの創案者である木谷氏とはブシロード創立以前からTCG開発を共にしていました。
中村:木谷さんから「自分はTCGに全力を注ぐための会社・ブシロードを作りました。だから協力してほしいです!」と、本当に熱のこもったお誘いをいただきました。私達も是非に、ということで最初のプロジェクトとして始まったのがヴァイスシュヴァルツでした。
そうして開発がスタートし、数々の議論・試行錯誤を重ねていきます。そして2007年の秋にヴァイスシュヴァルツのプロトタイプが完成。12月の発表会につながっていきますが、中村さんが何より驚いたのは、発売前後のキャンペーンのすごさでした。
その内容は、2008年3月の第一弾発売に向け、2007年の12月から体験会が全国21ヶ所で実施され、2008年1月にはゲームシステム発表会、さらに全国100店舗をブシロードの社員が行脚するというものでした。
中村:私たち遊宝洞はお客様に遊んでいただいたときにどう刺激を与えられるか、面白いと思っているかに日々腐心していますが、もちろんそれだけではお客様には届かなくて、やはり宣伝だったりとか、講習会のような場を作ったりとかが必要で、でも実際は大変なんです。
発売前からここまでやるということをお聞きしたとき、当時も本当にありがたいと思いましたし、今でも変わらぬ熱量でキャンペーンをしていただけるのは、ゲームをデザインしている人間にとってありがたい話です。
これらのキャンペーンは設立したばかりのベンチャー企業がおいそれと行える規模のものではなく、中村さんもただならない熱意を感じていたといいます。そして、体験会が始まると次々とユーザーのリアルな声が中村さんの元へと届きます。そしてユーザーの声を踏まえて直したほうがいいと議論された点は次々と手を加えられていき、今の形になっていきました。中村さんはヴァイスシュヴァルツのTCGとしての魅力について、こう語ります。
中村:今思うと、立ち上げ時から挑戦的に取り組んだ部分が今もそのままコンテンツとしての魅力になっていると思うんです。例えば、ヴァイスシュヴァルツのようないろいろな作品が参戦するTCGは、いろいろな作品が1つのパックに入っているタイプと、1つの作品で1つのパックという2種類の売り方があります。
2007年の発売当時はいろいろな作品が入っているパックのほうが単純な商品数を増やせるのもあって主流だったのですが、あえて1タイトル1パックにした。これをやることで、自分の好きな作品だけでデッキが組めるという点と、ファン同士でコレクション&トレードがしやすいという利点を生み出しました。
制作者としてはファイトしてほしいのはもちろんですが、実際問題として、どう初めにTCGに触れてもらうかというハードルはいつの時代もすごく高いんです。ヴァイスシュヴァルツきっかけとして「カードゲームは知らないけど、この商品は気になる」という方々に触れてもらえることが多くて、それは本当にありがたいお話なんです。
中村さんはカードゲームとしての魅力も交え、さらにこう語ります。
中村:ヴァイスシュヴァルツは10年以上続いているTCGではめずらしく、根本のゲームシステム部分はほとんど変わっていないんです。でもそれこそが、このカードゲームにとって重要な要素になりました。それは、2007年に発売された商品と2021年に発売された商品が同じ土俵に立てるということです。言い換えると、いつでも新しくはじめていいし、いつでも一旦休んでいいし、いつでも戻ってきていいカードゲームになっている。
「好きなタイトルの参戦が発表されたのではじめました!」「好きなタイトルで久しぶりに新しい商品が発表されたので、昔のデッキで戻ってきました!」という人も、遅れはすぐに取り戻せるんです。
今、あらゆるエンタメ・遊びがものすごいスピードで楽しめるこの時代に、ここまで緩やかで間口の広い遊びはそうそう無いんじゃないかと思います。でもそれは、紙のTCGが持つ魅力のなかでも、他のTCGにはなかなかない、ヴァイスシュヴァルツならではの魅力だなと感じています。
現在に至るまで、ヴァイスシュヴァルツをゲーム面から支えてきた中村さんと遊宝洞のみなさん。最後に今後のヴァイスシュヴァルツについての思いを語ってくれました。
中村:ヴァイスシュヴァルツが10年以上続いているのは、お客様や販売店舗さんからいただいた支持はもちろん、魅力的な作品に支えていただいているからこそだと思います。
なので、我々はカードゲーム作りをこれからも続けていくときに、作品の魅力を最大限に引き出すために常に作品への敬意を払い続けながらやりたいし、おこがましいかもしれないですが、ヴァイスシュヴァルツを通じて、作品に恩返しできればと思っています。
それは、ゲームプレイ上で作品の世界観が浮かび上がってくるような刺激的で面白いカードたちを作って、ユーザーにご満足いただくというのがひとつ。もうひとつはヴァイスシュヴァルツをきっかけに間接的にでも、参戦している素晴らしい作品の数々を新たに知ってほしいということです。
https://video.unext.jp/browse/feature/FET0009977
最近、動画配信サービスのU-NEXTさんに「ヴァイスシュヴァルツコーナー」というのができたんです。今まで参戦したタイトルの映像作品がリストアップされているのですが、そこに並んだものすごいタイトルの数を見て、改めてそう思いました。
例えば相手の持っているカードが気になったとき、作品を知るきっかけになれているということだと思いますし、そういう機会がヴァイスシュヴァルツを通じて、一回でも二回でも増えてくれたら、それは恩返しになるのではないかなと思っています。
▼中村さんのヴァイスシュヴァルツ思い出の1枚「やりこみ大将みゆき」
https://ws-tcg.com/cardlist/?cardno=LS/W05-002&l
「作品の世界観に沿う形で、少しビックリしてもらえるカードを作りたいと思って作りました。ソウルを+50なので、ユーザーの方がどこかにいい組み合わせのカードはないかと探してくれて嬉しかったですね」
次回(9月12日公開)はヴァイスシュヴァルツフェザー(サポーター)として現在も活躍する、声優の愛美さんにお話をお聞きします。
また、遊宝洞のみなさんにヴァイスシュヴァルツのカードゲームとしての魅力をお聞きした記事も公開中です。
9月14日はYouTubeLIVEにてヴァイスシュヴァルツをはじめブシロードTCGの最新情報が一挙に公開される「ブシロードTCG戦略発表会2021秋」が生配信予定です。
会社情報
- 会社名
- 株式会社ブシロード
- 設立
- 2007年5月
- 代表者
- 代表取締役社長 木谷 高明
- 決算期
- 6月
- 直近業績
- 売上高462億6200万円、営業利益8億8200万円、経常利益18億9800万円、最終利益8億400万円(2024年6月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 7803