スマートフォン端末の機能を活かした直感的な操作方法、説明を必要としない明快さ、老若男女だれもが楽しめる万国共通のルールなど、ゲームの間口を広げるジャンルとして、スマートフォンアプリ市場において注目されているハイパーカジュアルゲーム。
gamebizでは、各社のハイパーカジュアルゲームにスポットを当てたレビューやインタビューを掲載するコーナー「ハイパーカジュアルゲーム道(ハイカジ道)」を展開している。
今回は、9月28日に開催された、モバイルアプリのビジネス・ソリューションをグローバルで展開するironSourceと、そのパブリッシングを担うソリューションであるSupersonic、そしてモバイル広告効果測定ソリューションを提供するAppsFlyerによる共同ウェビナー「Supersession ハイパーカジュアルゲームに関するインサイト」のレポート記事を、全3回に分けてお届けする。
ハイパーカジュアルゲームにおけるヒット作の作り方や、1つのコンセプトをビジネスへと成長させる方法など、日本のゲーム企業がグローバルでも活躍できるような知見を深めるための本ウェビナー。
1回目は、Supersonic 日本代表者/Source Code CMOの三枝光星氏によるセッション「ハイパーカジュアルゲームで成功するための道のり」。
「ハイパーカジュアルゲームで成功するための道のり」
「ハイパーカジュアルゲームで成功するための道のり」と題したセッションに登壇した三枝氏。冒頭、Supersonicについて簡単な紹介をした後、ハイパーカジュアルゲームのパブリッシングまでの流れを解説していった。
最初のステップとなる企画について、三枝氏は「ハイパーカジュアルゲームを作る上で、どんな企画が良いのか考える時に苦戦する方が多いと思う」と切り出し、「最初にやってもらいたい事がある」と続けた。
それが市場分析だ。今、何が売れているのかを理解するために、USのランキングなど市場を分析することが重要だとした。
では、市場分析の中で何を見ればいいのか? それが下の項目になる。
・どんなジャンルがトップチャートに入っているか
・どんなテーマ(物語、モチーフ)が使われているか
・成功しているゲームメカニックス(操作性)
・それらゲームの要素(ゲームを面白くしているユニークな表現)
企画では、トレンドを意識することも必要だ。トレンドはどこで生まれているのかというと、「基本的にはインターネットやSNSでバズっている動画がトレンドを生み出している」と三枝氏。そのトレンドをトップチャートのゲームと組み合わせる事で、新しいトレンドがチャートに生まれるというのだ。
それにはいくつかの方法論があると三枝氏は説明を続けた。
【方法論1.まったく新しいテンプレートとメカニズムを試す】
例として挙げられた『Going Balls』と『Chat Master』は、今までにない新しいゲームルールでトップチャートを取っている。「斬新なゲームを作るのは非常に難しいが、ひとつの方法論となる」(三枝)
【方法論2.上手くいくテンプレートを使用し、新しい物語を採用】
上の2タイトルは、失敗せずにキャラを増やしていく『Join Clash』と、髪の毛を伸ばし続けていく『Hair Challenge』。
一見違うゲームのように見えるが、三枝氏は「根本的には同じテンプレートだが、それぞれ新しい物語、ユニークさを表現しており、そこが重要となる」とした。
【方法論3.有名なメカニクス/テーマを使用して、新しいジャンルに持ち込む】
道が無いところに拾ったパネルで道を作り移動する『Bridge Race』。一方の『Stacky Dash』では、それをパズルゲームに応用している。
▲新しいサブジャンルに持ち込んで成功するパターンもあるという。
【方法論4.二つの成功した要素をマージする】
ショートカットして勝利を目指すレーシングゲーム『aqua park』と、道が無い所に道を作っていく『bridge race』。この2つの成功要素を組み合わせ、道が無い所に道を作ってショートカットしながらレースで勝利を目指す『short cut run』が生まれている。
【方法論5.既存の成功した概念を進化させる】
キャノンでボールを飛ばす『Knock Balls!』に、FPS要素を入れた『Knock'em All』。これが成功概念の進化というわけだ。
三枝氏は「これらの方法論は比較的有効なので、企画を考える際の参考にしてほしい」とした。
企画の次のステップは、最初のテスト(CPIテスト)だ。
ここで大事なのが、コアゲームプレイのみのMVP戦略だという。
CPIテストをする際に、まず見なければいけないのがスケールするか否かの判断。そして、どれだけシンプルかつ印象付けできるか。作るボリュームは10ステージで十分だが、多少のやりがいとユーザーに考えさせることが必要とのことだ。
また、テストする際にSupersonicでは、「RRやプレイタイムといった数値も確認しています。動画テストの際に重要なのが、最初の3秒でそのゲームの面白さ、操作性が伝えられるか? それを確認している」と三枝氏。
ハイパーカジュアルゲームに挑戦する場合は、最初から全て作り込まず、必ずテストしてほしいとした。
▲そのほか、最初のテストでポイントとなる事柄。
ステップ3はゲームの構築。ターゲットオーディエンスを覚えておき、シンプルかつ明確にゲームを作り込んでいくことがポイントとのこと。
その際、三枝氏は「簡単に遊べることが大事」とし、「難しすぎるとユーザーが離れてしまう。簡単と単純は違うので、そこは注意してほしい。単純すぎるとユーザーはだれて集中できず離脱につながります。基本的には飽きさせないために何をするかが大事になる」と加えた。
レベルデザインについては「最初の10ステージがカギ」と三枝氏。Supersonicでは離脱率を見ており、「10ステージ目の突破率を意識してほしい」と三枝氏。そして、「10ステージの突破率が最初のテストで20~30パーセントしかない場合、そのゲームの操作性に問題があるので改善できるかチェックするとよい」(三枝)とアドバイスした。
▲作り込むうえで、ジャンルによってユーザーがどこを求めているかが変わってくるので意識する。
▲APPU(平均ユーザープレイ時間)は、1日800秒だと好ましい。また、7日までのトータルタイムは1700秒(30分ほど)あるといいそうだ。
最後のステップは、ゲームをスケールさせる。収益の最大化をゴールとして、下のようなポイントを挙げた。
最後に三枝氏は、「Supersonicの使命は、ホワイトボックスアプローチの一環として、公開されるゲームのパフォーマンスの透明性、そして公開されたゲームをより適切に最適化し、その可能性を最大化するための重要な改善を一緒に考えること。そしてパブリッシングをよりよく理解し、デベロッパーのスキルを次のレベルに引き上げることです」とまとめた。
▲最後にレベニューシェアの実績やSupersonicの管理画面を紹介した。
~「ハイカジ道」の過去記事はこちら~
https://gamebiz.jp/news/tag/17082