各社がブロックチェーン/NFTやメタバースに熱視線 スクエニ、バンナム、ミクシィ、グリーらが決算で明らかにした新領域の今



21年7月〜9月の決算が出揃った。

この中ではゲーム以外にも、ブロックチェーン/NFTやメタバースといった分野での報告も目立った。特にスクウェア・エニックスが「中期事業戦略の進捗」として、ブロックチェーンゲームへの本格参入を検討することを明らかにしたことは大きく注目を集めた。

またバンダイナムコホールディングスがメタバースをグループ全体で準備していると明言している。ミクシィ<2121>はNFTにおいて、今年大きく伸長したDapper

本稿では各社の決算で明らかになった各社のブロックチェーン/NFTやメタバース領域についてお伝えする。


■スクエニ、ブロックチェーンゲームへの本格参入を検討



従来から取り組んできたコンテンツクリエーションに加えて、分散型コンテンツとしてのトークンエコノミーを前提としたブロックチェーンゲームに今後注力する。その背景として、ゲームに携わる人のプロファイル・インセンティブが「楽しむ」だけでなく、「交流する」 「創る」 「集める」など多様化してきたことあげられる。

また、NFTの普及を背景に代替貨幣「トークン」を用いた経済圏「トークンエコノミー」が普及・拡大し、ゲームそのものも中央集権型から分散型へと広がりをみせている。

特にNFTデジタルカード「資産性ミリオンアーサー」第1弾は一部のセットが即日に完売しある程度の手応えを感じたのではないだろうか。今後同社の抱える超強力なIPにも影響するのか期待したいところ。



加えて、以前よりブロックチェーンゲーム 『The Sandbox』のに出資するなど継続的に市場に食指を伸ばしていた。


■ミクシィはNFTで最高の成功を収めたDapper Labsと業務提携、暗号資産(仮想通貨)交換所Bitbankとの資本提携もしっかり



決算とともに、Dapper Labsとの業務提携を行ったのがミクシィ<2121>だ。

Dapper Labsは「Flow」という次世代のブロックチェーンを開発、累計売上が8億ドル(約909億円)とも言われるNFTを使ったデジタルトレーディング「NBA Top Shot」を運営し、今年大きく伸長した企業。

ミクシィは、同社が培ってきたエンターテインメントやスポーツ領域での事業開発のノウハウを生かして新規事業を創出することで、日本においても多くの人に楽しんでもらえる NFT サービスを提供できると考え、業務提携に至ったと説明をしている。

決算説明会で、記者からの暗号資産(仮想通貨)とゲームへの期待という質問に、木村社長は「現段階ではいま公開されている情報以上の内容はない」としながらも「暗号資産(仮想通貨)やNFTに関しては非常に注目している。ゲームのマーケットの未来にも大きなインパクトになる可能性がある」と返答していた。

ミクシィは、自社のデジタルエンターテインメントやスポーツ領域コンテンツをかけあわせたNFTサービスをいち早く展開することで、この急成長市場におけるビジネスの拡大を目指すとしている。


■豊富なIPを背景にバンダイナムコホールディングスがメタバースをグループ全体で準備
バンダイナムコホールディングス<7832>は、9月中間期の決算説明会で、仮想3次元空間「メタバース」への取り組みについて質問を受けると、グループ全体で準備を進めているとし、今後発表する予定であることを明らかにした。

「メタバース」は、自分の分身となるアバターを通じて、仮想空間内を行き来し、ユーザー同士が自らコミュニケーションを取り合い楽しむことができる、非常に自由度が高い空間。これまでのゲームの延長線ではない新たなエンターテインメントの可能性を秘めていると評価しているという。

なお、グループのバンダイナムコネクサスの手塚晃司社長は、当サイトのインタビューでも「メタバース」について以下のようなコメントを行っている。

「最近、3Dアバターを使ったメタバースが非常に注目されていますが、バンダイナムコグループ内でも興味を持っている会社が多いです。ただ、それぞれが個別に開発してしまうと同じようなシステムが5個も6個もできてしまう可能性があります。そういった重複を防ぐため、共通のオンラインロビーモジュールを当社が開発して提供しています。各IPで使うメタバースで必要とされているシステムは似ているので、同じ基本システムを使ったほうが効率的なんです。」

【インタビュー】「グループ内連携を強化しIP軸戦略を推し進めること」 バンダイナムコネクサス手塚社長が語るバンダイナムコグループ内での本当のミッションとは

また9月には、ブロックチェーンやNFTを専門にしているdoublejump.tokyoへの出資を行っている。なおdoublejump.tokyoはスクウェア・エニックスの資産性ミリオンアーサーの開発も行っている。


■グリーは、メタバース「REALITY」のグローバル展開を狙う。以前よりVRやバーチャルライブ配信アプリを開発



グリー<3632>は、子会社REALITYがサービス提供するメタバース「REALITY」のグローバル展開の状況について、アクセスするユーザーのほとんどが海外からであることを明かした。全体の母数も比率も開示されていないため、どこまでグローバルでヒットしているのか判断しづらいところだが、海外を中心にプロモーション展開を行っており、ユーザー獲得が順調に進んでいるという。

最高財務責任者の大矢 俊樹氏は、「グローバルで通用するサービスだ。今後もプロモーションを積極的に行っていきたい」とした。広告宣伝費については「一定期間の中で回収可能な基準を定めている」として、一定のルールを設けて資金投下を行っている。並行してアプリの機能拡充などへの投資も行っているとした。

他社との差別化ポイントとして、日本のアニメテイストのアバターを楽しめるメタバースであることをあげた。ここ数年、日本のアニメを配信する映像配信プラットフォームの普及を背景に、日本のアニメファンやアニメテイストのコンテンツを好むユーザーが世界各地で増えてくるなど追い風が吹いているという。




■BOI、「メタバース」プロジェクトを明らかに



バンク・オブ・イノベーション(BOI)<4393>は、11月12日、2021年9月期決算とともに開示した決算説明資料において、「メタバース」プロジェクトを組織化したことを明らかにした。現在のフェーズは、試作段階にあり、本開発には入ってないという。リリース時期については決まり次第、発表するとしている。



同社の「メタバース」プロジェクトの構想・企画は、2019年よりスタートしており、2021年8月に組織化したという。アバターでのLIVEコミュニケーションやエンターテインメント、ユーザークリエイト、経済活動などを自由にできる仮想空間では、NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)の活用を検討中とのこと。




■CRI、メタバースをにらみリアルタイムコミュニケーションプラットフォームの技術開発に2億円以上を投資 
CRI・ミドルウェア<3698>は、11月11日に開示した決算説明資料において、次期主力製品「CRI TeleXus」の技術開発に2億円以上を投資予定だという。

「CRI TeleXus」は、メタバースやオンラインゲームを実現するためのリアルタイムコミュニケーションプラットフォーム。大規模な人数の会話を実現し、仮想空間内で自然な会話を実現しているほか、3Dサウンド技術によって、臨場感の豊かな音響空間をサポート。動画配信機能によって映画などを鑑賞しながら会話できるなど、メタバース実現のための映像と音声の高度な伝達技術を提供するものとしている。




■アクセルマークは動画NFTトレーディングカードやスポーツゲームを開発中




同社は、以前よりブロックチェーンを利用したゲーム『コントラクトサーヴァント』を配信している。現在は電通、オルトプラスと共同でアニメ映像作品IPの動画をNFTトレーディングカードとして発行するサービスの企画開発を行っている。

またOneSportsと共同開発中の新作スポーツブロックチェーンゲームにおいて、Jリーグとライセンス契約を締結するなど、着々とブロックチェーン周りにおいて足場を固めている状況だ。


モバイルファクトリー<3912>は、今年7月にNFTマーケットプレイス「ユニマ」 のリリース。ブロックチェーン事業における重要性が増したため、「ブロックチェーン事業」とセグメント化している。

同社の現在の事業は、

・自社人気コンテンツのNFTを販売
・アーティスト・クリエイター、芸能人との企画進行中
・「ユニマ」SaaSの先行提供
・購入型クラウドファンディングのリターン(返礼品)NFTを販売

今後の方針は

・SaaS利用企業の獲得に向けた営業強化
・ステーションNFTの価値向上へ
・各種NFT製品化、順次販売開始
・出版社やゲーム企業との提携・協業、IP獲得へ

非常に具体的な内容を挙げており、事業の一つの柱としている。


■gumiの投資先であるduble jump.tokyoに国内各社の注目集まる。2018年にはopenseaへ投資も


gumi<3903>は以前より、新規領域についてかなり前から投資を行っている企業だ。実際に2018年にはopenseaへ投資を行っている。

9月の決算発表時にはファンド規模が1億米ドル(予定の)gumi Cryptos Capital Fund IIを組成、今後も積極的に投資を行っていくという。