【連載】中山淳雄の「推しもオタクもグローバル」 ニューヨークのアニメ祭典、Anime NYC is NOW!

コロナ渦でのアニメイベント最前線―5万チケット完売御礼!
2021年11月19日(金)、晩秋の晴天のもとでニューヨークのアニメイベント「Anime NYC」がスタートした。北米のアニメイベントとしてはかなり新しい2017年に新設されたイベントで日系大手の国際コンベンション運営事業者であるリードエキシビションでシニア・ヴァイスプレジデントをしてきたGreg Topalian氏が立ち上げたイベントである。

日本で最も有名な北米アニメイベントといえば1992年から約30年間、毎年7月に行われてきたLos AngelsのAnime Expo(AX=アニメエクスポ)だろう。ユニーク来場者11万人超、4日間の延べ来場者数35万人を数えるイベントだが、同エリアではアメコミや映画を中心としたもう1つのイベントがある。SanDiegoComiCon(サンディエゴコミコン)は1975年設立から45年間、ユニーク来場者13万人超のイベントである。この西海岸の2つのイベントは日本のアニメ・ゲーム・出版事業者でも最も有名な部類に入るだろう。

西海岸にはコミコンに対してAXがあるのに、なぜ東海岸の大都市ニューヨークには、NewYork ComicCon(NYコミコン)があってAXがないのか?アニメNYCはそんな構想から2017年にスタートした。2006年から始まるNYコミコンが2019年でユニーク26万人まで急成長したように、アニメNYCもまた異例の成長を遂げている。2万人(17年)→3.6万人(18年)→4.6万人(19年)ときて、2020年はコロナによりオンライン化を余儀なくされた。2年ぶりの開催となる今回は、なんと11月8日にNY州が海外渡航者の受け入れを始めたばかりの「世界のアニメイベントの最前線」である。

 

▲13時からの会場を待ち、すでに朝8時から待機列が出来ていた
 

▲会場内の待機スペースに入り切れず、所狭しと長蛇の列が出来る

NY州を中心としたアニメファンは殺到した。ふたを開けてみれば、前日までに5万枚の入場チケットはすべてSold out。ホテルもほとんどが埋まっており、観光客もベネズエラやニュージーランド、英国など様々な場所から集まってきている。もちろんコロナ対策は慎重を期さなければならない。参加客のみならず全てのゲストにもワクチン2回接種も、渡航前3日間以内の陰性証明書が必須で、それらがそろわないとどれだけ有名なアーティスト・声優であっても会場入り口でブロックだ。

▲NY市内はほぼ1ブロックごとに無料コロナ検査ができる屋外テントが並んでいる

アニメイベントの未来、2022年の国境開放
日本では東京ゲームショウもアニメジャパンも2020、2021年と2年連続オンラインでの開催を余儀なくされており、それ以外にもほとんどのアニメイベントはこの期間の開催を取りやめている。2021年末にコミケが人数制限してリアル参加の受け入れを始めているが、こうした取り組みは今後恐る恐るスタートする状況であり、さらに海外からタレントやユーザーを受け入れるのは2022年も半ばになってからの動きだろう。慎重を期さなければならないことは論を待たないが、それでも今回のアニメNYCでのユーザーの熱狂ぶりを見るに、もはや2年続けて開催を見送った日系アニメイベントも、もはや2022年にはユーザーを呼び込まなくてはファンの気持ちが離れていくのではないかといううっすらとした不安も感じる。

日系企業でも、今回のアニメNYCでは北米支社を中心に、ちらほらと海外イベントに参加する積極的な企業が目につきはじめた。講談社USA・Verticalは「進撃の巨人」展示、Yenpress(KADOKAWA)は「トイレの花子君」、Aniplexは「鬼滅の刃」「FGO」、同じくソニー資本参加に入ったCrunchyrollはすでに日本で話題沸騰中の「ODD Taxi」が展示されている。BANPRESTOやBandai Namco ArtsなどもアニメNYCの常連である。ブシロードは異色の「新日本プロレスStrong Spirits」アプリゲームのプロモーションでレスリングリングを敷設している。

目玉はホロライブである。8月にデビューを飾ったホロライブEnglishの新世代5人のVtuberと同時回線でつなぎ(すでに数ヶ月で各人Youtubeで20-50万人ものフォロワーに成長!)、NYCイベント開始早々フルキャパシティ1600名のメインステージを陣取り、パネルを開催予定である。

これからアニメNYCのイベント・パネル情報も随時アップデートしていきたい。

 

▲講談社USA・Verticalの進撃の巨人原画展
 

▲YenPress(KADOKAWA)の「Toilet-bound Hanako-Kun(トイレの花子君)」
 

▲AniplexのDemon Slayer(鬼滅の刃)展示
 

▲初参加のカバー社はHololive Englishですでに米国で100万人以上登録者のいるVtuber達の展示を行っている
 

▲Crunchyroll社の「ODDTAXI」展示
 

▲BANPRESTO社はPosketの展示
 

▲レスリングリングを模したブシロード社「新日Strong Spirits」ゲームアプリ展示

■中山淳雄氏略歴
エンタメ社会学者&早稲田MBA経営学講師。リクルートスタッフィング、DeNA、デロイト、バンダイナムコスタジオ、ブシロードを経てRe entertainmentを創業。エンタメ社会学者として研究する傍ら、メディアミックスIPプロジェクトのプロデュース・コンサルティングに従事している。東大社会学修士、McGill大経営学修士。新著『推しエコノミー 「仮想一等地」が変えるエンタメの未来』を10月14日に上梓し、アマゾンベストセラー1位を記録し、早くも増刷も決定した。

 

Re entertainment

会社情報

会社名
Re entertainment
企業データを見る