2021年の株式市場、コトブキヤが時価総額上昇率229%、ゲーム・アニメ・ホビー関連で首位 サンリオやブシロードも上位 ゲーム苦戦、メタバース・NFTは明暗

2021年の上場しているゲーム及び周辺企業の時価総額の変動からゲーム業界の動きを振り返っていきたい。お正月の読み物と思って気軽に読んでいただければ幸いだ。まず、2020年から簡単に振り返っていくと、ゲームと周辺企業の株価は倍以上に上昇する銘柄が続出した1年だった。市場の評価の裏付けとなる業績も好調な企業が多かった。「巣ごもり消費」の恩恵で家庭用ゲーム会社だけでなく、スマートフォンゲーム会社でも大幅増益・黒字転換する会社が増えるなど活況を呈した1年だった。

では、2021年はどうだったか。全体的にはコロナ禍の苦境から立ち直った会社が復調する一方、2020年好調だったゲーム会社が総じて下がった。特にスマホゲームの会社は、巣ごもり需要の減退と超大型タイトルの大ヒットで売上を落とした会社が増え、減益または再び赤字となる会社が増えていった。何らかの決断を求められる会社も出てくるかもしれない。

また、コンソールゲームの会社は、巣ごもり需要の減退が予想されていたにもかかわらず好調な決算が続いたものの、半導体不足でハードウェアの供給不足の影響が懸念され、秋以降は株価が低迷した。PS5はともかく、すでに出回っているハードウェアが多いので、ソフトメーカーに限ってはそこまで懸念することかという感覚もある。

他方、壽屋(コトブキヤ)<7809>が年初から229%上昇した。関連企業ではダントツのトップである。サンリオ<8136>や、ブシロード<7803>、KADOKAWA<9468>、東映アニメーション<4816>も高い伸びとなった。これについてはハイターゲットのホビー関連やコロナ禍からの復調に加えて、もう一つの視点としては「IP」の強さがある。いずれも自社で強力な版権を持っているだけでなく、他社の有力な版権を獲得できる力を持っている。

そして、長い前置きとなるが、株式市場では「テーマ」も重要だ。記者は株式市場に関わり始めたとき、当時の似非関西人の上司(本人が佐賀出身だったので自らそう話していた)から「株価で重要なのは需給、業績、テーマや。特にテーマは需給や業績に関係なく大きく上がることがあるから特に注意しとけ。下手に逆らうと大火傷するで…」などと言われたものだ。

そのテーマに関連した事業を主力とする会社はもちろんだが、幅広い銘柄が発掘され、ときに急上昇する。その事業でまともに売上さえ立っていないような会社でさえ対象になる。バブルというより、仕手株のような上がり方といったほうが適切かもしれない。「これ、関係ないだろ」と突っ込みたくなる会社も急騰することがあるが、買っている方もそんなことは百も承知。全体の流れに逆らうだけ無駄である。若気の至りというやつで、何度か抵抗したものだったが、いずれも徒労に終わった。

さて、前置きが長くなったが、2021年はメタバースやNFT関連企業も一つの市場のテーマとなったが、明暗が分かれたようだ。アクセルマーク<3624>やグリー<3632>、GFA<8783>が大きく上がった一方、モバイルファクトリー<3912>やgumi<3903>はマイナスとなった。2021年の年明けだったか、証券業界の知人から注目している銘柄はありますかと聞かれて、「アクセルマークが変わりつつあって面白そうですよ」と答えたら当惑されたものだ。2022年の注目を聞かれたら、日本ファルコム<3723>をあげたい。

なお、時価総額上昇率上位は以下のとおり。