DeNA、医療ICTベンチャーのアルムを買収…取得価額は約292億円 他の株主やパートナーと協力して同社の成長を加速へ
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ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>は、5月25日、医療ICTベンチャーのアルムの株式を取得し、子会社化することを発表した。
同社は、まず2022年7月にアルムの第三者割当増資を引き受け、アルム株を37.3%を保有して持分法適用会社とする見通し。その後、アルムによる既存株主からの自己株式の取得や消却、子会社化にかかる各種手続きの完了などを条件として、アルム代表取締役社長の坂野哲平氏が保有する同社の普通株式を取得することにより、同社株を57.5%保有して子会社化することを想定している。取得価額は概算で292億5400万円。
アルムの主要ソリューションの一つである「Join」(汎用画像診断装置用プログラム)は、医療関係者がセキュアな環境でコミュニケーションをとることができるアプリとして2016年に日本で初めて保険診療の適用が認められたプログラム医療機器で、日本では地域医療の要である中核病院をはじめとした約470の医療機関で導入されている。海外においても約30カ国で展開し、国内外計約1100の医療機関で導入されるなど、近年、特に救急分野を中心にその利用が進展している。
また、新型コロナウイルス感染症対策においては、同社の「MySOS」(パーソナルヘルスレコードアプリ)が厚生労働省入国者健康確認センターに入国者健康居所確認アプリとして採用され、「Team」(地域包括ケアアプリ)が自治体に陽性者の療養管理システムとして採用されるなど、急性期医療から感染症対策に事業領域を広げている。
DeNAは、アルムを子会社とし、これまで培ってきたコミュニティマネージメントやセキュリティなどのテクノロジーや、事業企画・開発力・渉外力などを活かすとともに、例えば、遠隔診療の分野ではSOMPO Light Vortexと、さらなるグローバル展開においては三井物産<8031>と、スマートシティの分野では今般新たに参画する西武ホールディングスとなど、他の株主やパートナーと協力し、同社の成長を加速する。
あわせて、ヘルスケア事業におけるヘルスビッグデータ戦略をはじめDeNAの事業との相乗効果の創出に積極的に取り組み、社会課題領域の収益基盤の強化を図っていく。
なお、6月30日に開催予定のアルムの臨時株主総会での承認可決およびアルムの取締役会を経て、DeNA取締役である大井潤氏がアルムの代表取締役となる見通しで、アルム代表取締役社長の坂野氏とともに共同代表に就任する予定だ。
会社情報
- 会社名
- 株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
- 設立
- 1999年3月
- 代表者
- 代表取締役会長 南場 智子/代表取締役社長兼CEO 岡村 信悟
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上収益1367億3300万円、営業損益282億7000万円の赤字、税引前損益281億3000万円の赤字、最終損益286億8200万円の赤字(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 2432