【インタビュー】来たる節目に向けて掲げる「モンスト経済圏」…”みんなでワイワイ楽しめる”を突き詰めるモンストシリーズが描くこれからの戦略とは

ミクシィ<2121>は、去る5月、2022年3月期の決算説明会で、モンストシリーズの最新スマホゲーム『ゴーストスクランブル』を2023年3月期の上期にリリースすることを発表した。

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『ゴーストスクランブル』はヒカリ攻撃で戦うプレイヤー3名と監督・サポートに特化したドローンプレイヤー1名の最大4人でオバケを蹴散らす共闘アクションゲームだ。

同社では、『ゴーストスクランブル』に限らず、今後もモンストシリーズのタイトルを複数本準備していると言う。

『モンスターストライク』同様、「みんなで遊ぶと楽しい」を軸とした遊び方を提案していき、シリーズとしてのモンスト経済圏の構築と拡大を目指すそうだ。

特定のタイトルに頼る「一本足打法」ではなく、複数のタイトルで経済圏を強化してモンスト事業を成長させていくとしたミクシィ。その戦略にはどのような考えがあるのか。

本稿では、モンスト事業責任者である根本氏と新規事業統括プロデューサーの異議田氏にインタビューを実施。モンスト事業の振り返りとともに、今後の展望について語ってもらった。
 

10年の節目を前に立ち返ったモンスターストライクの原点”みんワイ”

株式会社ミクシィ
執行役員
モンスト事業本部 本部長
根本 悠子氏(写真右)

モンスト事業本部 新規事業開発部
部長
異儀田 諭氏(写真左)

――:『モンスト』は9周年を控え、シリーズ新作『ゴーストスクランブル』も控えていますが、ここまでの「モンスト」事業を率直に振り返ってみて、いかがでしたでしょうか。

根本:『モンスト』自体のコミュニティはこれまでを通じて、ユーザーさんとのタッチポイントも広がっていき、すごく強いファンコミュニティといったものを形成させていただいたと思います。

と同時に、『モンスト』を改めて考えていく必要がありました。

――:改めて考えていく、と言いますと?

根本:まず、『モンスト』の歩みについてお話したいと思います。

『モンスト』は2013年にリリースをしました。代表の木村もよく話していることですが、ミクシィ自体、元々SNS運営をしている背景もあり、その知見を活かし、友達同士で話題になるなどのゲームの機能や仕掛けが奏功して口コミで広がっていきました。

――:当時、ランキングもじわじわと伸びていたのを覚えています。

根本:もちろん、スマートフォンゲーム市場がちょうど伸びている時期というのもありました。その流れに乗って、一気に成長していき、当時は中々入れ替わることの少なかったランキング1位も、リリースから7ヶ月後に達成することができました。

…正直なところ、絶好調すぎたと言える時期もあったと思います(笑)。

打てば響くという時期があり、業績としても急拡大していった時期でした。スマートフォンゲーム市場自体の拡大という恩恵もあり、業界内では独自のポジションというのも築かせていただいたと思います。

とはいえ、経年や市場自体の鈍化もあり、その後は横ばい傾向が続いているのも事実です。2015年〜16年、3周年の頃には様々な投資として、周辺事業を展開していました。

――:各社、長期運営に関しては難しいながらも工夫している印象です。

根本:私たちも、早くから様々な展開を行い、経済圏を拡大を狙い挑戦をしましたが、なかなか難しい市場ではあるというのは、もう皆様ご存じのとおりだと思います。

そんな中、改めて『モンスト』の強みや提供価値、ミクシィ社のアイデンティティである、コミュニケーションの会社というのをきちんと再解釈、モンストらしくアップデートすることから着手しました。

みんなでワイワイ楽しむということが『モンスト』の持っている強み、それを軸に、新規事業の展開も含めて検討を始めました。それが2019年頃になります。

そして、検討、分析をしていく中で当然、今の『モンスト』ではどうしてもこぼれてしまうニーズや、この9年で薄れていったものの中でも、本来であれば強みだったものであったり、みんなでワイワイ楽しいという原点に対して、新規タイトルや新しいエンタメコンテンツを含めて新規事業である『モンストシリーズ』がそこを担っていくという形で、成長を狙うという中長期の戦略にたどり着いています。

――:再解釈や分析では具体的にはどのような議論があったのでしょうか。

異儀田:まず、『モンスト』の現状をどう捉えているかですが、ブランドとはとても言えないと私たちは考えています。一つのタイトルがただ有る、といった印象です。

根本からもありましたが、スマートフォンゲームの黎明期にて先行者メリットを享受してここまできたというのが実状だと考えています。

そして、我々が大事にしている”みんなでワイワイ”ですが、昨今を考えていると、『モンスト』がその先頭に今も立てているのかというと、甚だ疑問です。

最近はマルチで遊ぶコンテンツもたくさん出てきておりますし、”みんなでワイワイ”をイメージして『モンスト』を想起する人は以前よりも少なくなったと言えるでしょう。

とはいえ、ミクシィはコミュニケーションの会社です。やはりコミュニケーションに対して深掘って突き詰めていく会社なので、人が集まった際のコミュニケーションの中心にモンストやミクシィブランドのコンテンツがないと自分たちがいる意味がないと思います。

となった時に、モンストシリーズの提供価値とは何かと、それは単なるキャラクターや世界観ではないと考えています。

一般的に、ブランドと言いますと、既存ゲームIPを例に挙げれば、任天堂さんで言う「マリオ」「ポケモン」、スクウェア・エニックスさんで言う「ドラゴンクエスト」など、キャラクターや世界観が際立っている作品だと思います。

そして、そのキャラクター達がスピンオフといったかたちで様々な展開をしていることという認識でいます。

一方『モンスト』を9年間展開している中で、オラゴンなどのキャラクターは見たことがある方もいらっしゃると思いますが、他の会社様同様、今キャラクターを横展開していってもさすがに「よくわからん」で終わると思います。

なのでやはり自分たちの強みは何かと考えると、”みんなでワイワイ”に戻ってきてしまうんです。

というのを前提にまず、現在発表しております『ゴーストスクランブル』においては、これまでのモバイルゲームの経験をふまえて、モバイルゲーム領域として新たな”みんワイ”を展開させていただきます。

新しい体験を世に提供し続けてきたことでスケールしてきた『モンスト』なので、もう一度そこに立ち返ろうと思います。

根本:私たちの考えた戦略に基づき、今期からはモンストシリーズという、「モンスト」屋号のタイトルを継続的にリリースしていく計画を立てております。

もちろん、その先にはゲーム以外でのエンタメコンテンツも強化、拡充予定です。

新しい事業や新しい活動も含めて、コミュニティの中で今までにない、価値のある”みんワイ”のコミュニケーション変容を目指しながら、やっぱり『モンスト』だよねと感じてもらえるようにしていきたいです。

もちろん変化や挑戦というのは引き続きしつつも、本家である『モンスト』がもともと持つ強みというのに、”みんワイ”の要素をとがらせた新規タイトルをリリースすることで、全方位的にコミュニケーションという分野をカバーしていこうと考えています。


モンストブランドとは仲間とのコミュニケーションに変容を与える存在

 ――:”みんなでワイワイ”とは色々な形があると思いますが、ミクシィではどのように考えているのでしょうか。

根本:”みんなでワイワイ”というと、抽象度が高い表現ですが、私たちが考える”みんワイ”とは、コミュニケーションが変異するネタであることを軸として考えています。

コミュニケーションの会社であるミクシィというところも踏まえていますが、社会課題に対しても何か解決をしていかなければいけないという背景もあります。

昨今話題に挙がるコミュニケーション課題。コロナ禍という時勢もあり、物理的にコミュニケーションがどうしても対面ではなくなってきています。

それから、デバイスの変化やテクノロジーの進化で便利になった部分もありますが、コミュニケーションが希薄になった部分もあるのも事実。

リアルに同じ空間で遊ぶ機会が減ってきていることも含めて、モンストシリーズ全体でコミュニケーションのパラダイムシフトを起こしていけるようにしていきたいです。

――:コロナ禍では、多分に影響もあったと思います。何か考える契機にもなったのでしょうか。

根本:例えば、通勤時間や学校の休み時間に『モンスト』をやっていた、みたいことが物理的に機会が減った事実はあると思います。

一方で、もともとオンラインでつながって遊ぶ形もありましたので、これを機にオンラインでやってみたら便利だったと、楽しかったと気付いてくださる機会もあると思います。

そこは良い意味で、ユーザーさんや世間に対してアジャストすべきだという視点に立ち返る機会にも、この数年はなったと思います。

だだ、やっぱり会ったときには対面でやったら面白いよね、というのは、間違いなくあるとは思います。

ですから、オンラインでしか『モンスト』を遊んでいなかった人にも、今後は広がりがもてるような企画の幅出しはしていきたいと考えています。

異儀田:個人的には、オンラインとオフラインはこれまでも共存していたとは思いますし、その比率の問題でしかないと思います。

自分たちがやらなければいけないことは、突き詰めて言うと、コミュニケーションを生むことではなくて、気の合う仲間と元々あるコミュニケーションに変容を与える、新しい何かを加えることです。

その為に自分たちが何か提供していくので、モンストシリーズを遊んだら、なんか会いたい、やっぱり会って一緒にやりたいと思えるようなものを作りたいですね。

なので、オンラインか、オフラインかみたいなゼロイチの話ではなくて、コミュニケーションのきっかけになるものを作りたいという気概は常に持っています。

根本:コミュニケーションって当たり前にあるものなので、難しいものです。もしくは機能で考えてしまいがちにもなります。

そこから、もう少し人の源泉的な欲求や動機になるのは何だろうと考える機会として私たちのコンテンツを提供していきたいです。

最終的には、会わなくても済むところを、『モンスト』「モンストシリーズ」があるから、わざわざ人と人が会う機会や今までのコミュニケーションにプラスした新しいエッセンスや気づき、ユニークな体験など手を変え品を変え「用事を作れる」ような世界を目指していきたいと考えています。
 

ユーザーサプライズファースト…期待を裏切るモンストシリーズ

――:今後の展望についてもお聞かせいただけますか。

根本:来年、『モンスト』がちょうど10周年になります。

シリーズタイトルも継続的にリリース予定ですので、モンストブランドにタッチができるラインアップが拡充している状態を、今期から来期にかけて目指していきます。

10周年のタイミングで、『モンスト』というゲーム一本しかないという状態から、モンストシリーズが加わり、”みんワイ”のブランドの第一歩として歩を進めていきたいと考えています。

最終的には、人が集まり、みんなで盛り上がりたいねというときに、きちんと「モンストブランドのなにか」が想起される。そんなコミュニケーションの中でのポジションを目指していきたいと考えています。

現在はまだ、シリーズタイトルの話に終始してしまいますが、最終的にはゲーム以外も含めたエンタメコミュニケーションを形成していきたいと考えています。

人と人のコミュニケーションすべてに対して、動機や機会をつくっていくことをモンスト事業全体としては目指していく戦略になります。

異儀田:先ほども言いましたが、現実、”みんなでワイワイ”と言えば思い浮かぶコンテンツは他に譲っている可能性もありますが、やっぱり自分たちはそこで勝っていきたいです。

キャラクターとかストーリーの拡張というより、みんなでワイワイできる体験を今の『モンスト』ではない、かつ他社がやってないところで面白い体験がつくれないかと、いろいろなゲームの準備を進めています。

『ゴーストスクランブル』については、4人でプレイするゲームなのですが、その4人の構成が若干ユニークになっておりますので、『モンスト』も含めた既存の4人プレイのゲームにはない体験ができるかと思います。

この『ゴーストスクランブル』をはじめとして、仲間が集まったときに、いつもと違った体験ができるコンテンツをどんどんつくっていくことで、シリーズとして定着していけばとは考えております。


――:今後はシリーズ作品も複数展開されるのでしょうか。

異儀田:はい。ただ、定期的に出すというより継続的に出すという考えです。

今の自分たちには『モンスト』しかありません。ですから、重厚長大な至高の一本を創り出すというよりは、できる限り打席に立ち、いろいろなタッチポイントをユーザーさんに創り出したいと考えています。

例えば、仲間が4人集まったときにアクションゲームはやるけど、他のゲームはやらないという人たちもいれば、アクションはやらないけど、別のゲームジャンルだったら内輪ではやるという人もいます。

やはり、集まったら集まったなりのコミュニティーの嗜好性があるはずです。

そこに対して、色々な形やジャンルを矢継ぎ早に打っていくことで、どれかに気に入っていただけたら、その人たちはモンストシリーズのユーザーとして支持してくれるのではないかと考えています。

『ゴーストスクランブル』がまず、その一歩となりますし、今後も新作の準備をしていきます。

――:ちなみに決算ではWEB3.0、メタバースについても言及していましたが、お二人からはどういった可能性を感じていますか。

異儀田:可能性は無限大にあると思いますし、少なくとも、この事業としてはやっていくつもりです。

ただ、まだ世間的にはNFTなどにユーザーさんの目線は向いていないと思います。

ですから、どういうアプローチをしていくかを考えていく必要があります。

そして、自分たちの場合、キャラクターなどを仮想空間やブロックチェーンで実現しても、受け入れてくれないという認識なので、ここでも”みんワイ”にこだわるべきだと思います。

仲間同士で集まって、面白いコンテンツが欲しいよねってなったときに、「あるじゃん、ここに」というのがモンストシリーズの何かであってほしいということです。

ですから、人のライフサイクルやコミュニティーがまずベースにあり、そこに、自分たちのコンテンツが点在させられている在り方になると思います。

こういったゲームを作りたいというよりは、こういう人たちが集まれば、こういうことやりたいよね、その時にモンストシリーズのコンテンツがあるじゃん、といった存在でありたいです。

――:なるほど。ツールや媒体を創り出すのではなく、あくまでコミュニケーションの変容を目指す姿勢であると。

根本:仮想空間にアバターで日常生活や活動ができることをメタバースと言われる方もいますが、そもそもメタバースの定義自体もまだまだはっきりしていません。

ですから、私たちとしてもどういう形でアプローチすべきか、モンストらしくどうあるべきかなどしっかりと考えていく段階だと思っています。

――:最後に読者に向けて一言お願いします。

根本:『モンスト』においては、引き続きユーザーサプライズファーストで様々な仕掛けを準備しています。今年の9周年も盛り上げていくことはさることながら、来年の10周年に向けたプロジェクトも検討を始めています。

節目になるタイミングでもあり、モンストシリーズとしても活動の幅が広がっているという状態にもなっているはずなので、みんなでワイワイ盛り上がるならやっぱり『モンスト』「モンストシリーズ」と選ばれ続けられるブランドポジションを確立していきたいと思っています。

異儀田:期待、と言うと、少し自分たちが提供していくものは異なったものかもしれません。ただ、まずはユーザーさんに満足していただけるものを作っていきたいです。

その上で、ユーザーサプライズファーストは会社の理念としてもあるように、良い意味でも悪い意味でも先入観がある中で、良い形で裏切っていくようなものを出していかないといけません。

かつて『モンスト』が支持されたのは、それができたからだと思います。

今の時代において、同じようなアプローチをするにはどういうものを出さなきゃいけないのかを考えた上で、ユニークな体験を提供していきたいと思っています。

期待とは違うものが多分、提供できるはずです。「すごいのが出てきた!」よりは「こんなのがあったんだ!」といった驚きが与えられるといいなと思います。

ですから『ゴーストスクランブル』も、期待せずに楽しみにしていただけると幸いです(笑)。

――:(笑)。ありがとうございました。







株式会社ミクシィ
http://mixi.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社ミクシィ
設立
1997年11月
代表者
代表取締役社長 木村 弘毅
決算期
3月
直近業績
売上高1180億9900万円、営業利益160億6900万円、経常利益170億2600万円、最終利益102億6200万円(2022年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
2121
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