JCBAら、クリプト税制の改正要望を金融庁に提出 申告分離課税や法人税の見直しなどを求める



日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)は、8月3日、日本暗号資産取引業協会(JVCEA)と共同で、暗号資産に係る2023年度税制改正要望書を取りまとめ、7月29日付で金融庁へ提出したと発表した。

■日本における暗号資産税制の課題
GMOインターネットがWeb3ベンチャー支援に特化したベンチャーキャピタルの新会社設立を発表[1]し、実業家である前澤友作氏もWeb3特化型ファンド「MZ Web3ファンド」を設立[2]するなど、Web3.0領域への期待が高まっている。

国としても2022年6月7日に閣議決定された「骨太の方針」において、「ブロックチェーン技術を基盤とするNFTやDAOの利用等のWeb3.0の推進に向けた環境整備の検討を進める」と明記され、7月15日には経済産業省 大臣官房にWeb3.0政策推進室が設置された。

このWeb3.0のインフラ・決済には暗号資産・パブリックブロックチェーンが基盤となるものの、日本においてはそれを推進するための税制等の環境が他国と劣後してしまっていることから、起業家・利用者が海外へ流出している。

[1] GMO Web3株式会社, https://web3.gmo/

[2] MZ Web3ファンド, https://web3.mzfund.co.jp/


■税制改正要望について
同協会は毎年、自民党「予算・税制等に関する政策懇談会」に業界団体として唯一参加し要望を行ってきた。本年度も、暗号資産交換業及び暗号資産関連デリバティブ取引業の自主規制団体であるJVCEAと共同で、両協会の会員である暗号資産交換業者及び暗号資産・Web3.0関連ビジネス事業者の意見を集約し、税制改正要望書として下記のとおり取りまとめた。

なお本年は、例年の20%申告分離課税の要望に加え、Web3.0ビジネスの環境整備を目的として法人税の要望を追加した。また、相続時の資産税についても要望を追加した。


■要望骨子
(1)分離課税
暗号資産取引にかかる利益への課税方法は、20%の申告分離課税とし、損失については翌年以降3年間、暗号資産に係る所得金額から繰越控除ができることを要望する。暗号資産デリバティブ取引についても同様とする。

(2)法人税
期末時価評価課税の対象を市場における短期的な価格の変動又は市場間の価格差を利用して利益を得る目的(短期売買目的)で保有している市場暗号資産に限定し、それ以外のものを対象外とすることを要望する。少なくとも喫緊の課題への対応として、まず自社発行のトークンについて対象から除くことは必須である。

(3)資産税
相続により取得した暗号資産の譲渡時の譲渡原価の計算について、取得費加算の特例の対象とすることや、相続財産評価について、上場有価証券と同様、相続日の最終価格の他、相続日の属する月の過去3ヶ月の平均時価のうち、最も低い額を時価とすることを要望する。


■暗号資産に関する税制の課題

世界的なWeb3.0への注目から暗号資産の時価総額及び取引金額は、引き続き世界的に大幅な増加を続けており、他の金融商品と同じく有用な決済手段および資産クラスとしての利用が国内外で確立されつつある。

また、NFT取引の決済、メタバースにおける取引決済やDAOにおけるメンバー間の取引決済など、バーチャル空間において暗号資産が決済手段の主流となりつつある。そのような中で下記の観点から申告分離課税の導入、法人税の整備、資産税の整備が必要不可欠であると考える。

①税務申告促進
暗号資産の仕組みや取引の特殊性を鑑みると、利用者による適正な税務申告によって捕捉性を高めることが税の徴収において重要であると認識している。しかし、現状税制では暗号資産による利益は一律の税率でないこと、また申告の有無に関わらず前年度の損失繰越ができないことなどが、利用者による適正かつ積極的な申告の促進を妨げていると思料する。

②税の公平性や制度内の整合性
2020年の金融商品取引法や資金決済法の改正により、暗号資産の法規制上の位置づけに重要な変化があった。業界団体による自主規制も行われ、利用者保護や業界全体の健全化も進んでおり、他の金融商品と同じく有用な決済手段および資産クラスとしての利用が国内外で確立されつつある。

このような暗号資産の金融商品としての法規制上の位置づけや、他の金融商品の枠組みの中で暗号資産の派生商品が生じている現状を鑑み、有価証券など他の金融商品との税制度における整合性・公平性を担保する必要があると考えている。

③海外との競争力確保
暗号資産を利用した資金決済分野の革新やブロックチェーン技術の応用による経済社会の高度化に備え、原則キャピタルゲイン課税とする主要国の暗号資産税制との乖離を縮小する必要がある。

④トークンに係る法人期末時価評価課税の見直しによるWeb3.0ビジネスの支援
現行の期末時価評価課税は、プロジェクトに関するトークンの販売により資金調達した法人やトークンを購入することでプロジェクトを支援する法人・ファンドへ重い税負担を課すこととなり、日本国内でのブロックチェーン関連事業の起業に重大な障害となるとともに、トークンの発行者や開発者、投資家をはじめとするプロジェクト関係者の海外流出を招いている。

法人による暗号資産保有目的の多様化にもかかわらず一律期末時価評価課税の対象とすることは、法人の事業遂行や日本での起業を妨げ、日本政府が掲げるWeb3.0推進の妨げとなる。

⑤相続時に過大な税負担となるケースの解消
資産税においては、暗号資産は相続時の時価に基づき相続税が課税され、かつ暗号資産の譲渡時に取得費加算の特例の対象とならないことから、相続人が相続税と所得税を最高税率で負担する場合もあるなど、相続した暗号資産の時価評価額以上の過大な税負担となっている。



■個人税の背景



■法人税の背景
 


■資産税の背景



■添付資料について

・投資家アンケートの実施
現状の税制から分離課税にすることにより懸念される税収への影響に対して一般の暗号資産投資家を対象にした暗号資産税制に関するアンケート調査を実施。昨年比約2.4倍の26,000件を超えるアンケート回答よりデータ分析を行い、増収効果と申告分離課税導入の有効性を示した。

また、保有目的について約30%がNFTの購入のためと回答した。


■資料のダウンロード
・「2023年度税制改正に関する要望書」(PDF)
・添付1. 概要説明資料(PDF)
・添付2. 暗号資産の税務申告と税制改正要望に関するアンケート調査結果(PDF)
・添付3. 暗号資産の各国税制比較表 (PDF)
・添付4. 暗号資産の税務申告と税制改正要望に関するアンケート調査結果に基づく分析結果(PDF)

詳細は下記よりダウンロードできる。
https://cryptocurrency-association.org/news/main-info/20220803-001/


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